株式会社 資本市場研究所きずな
Fainancial Markets R&D KIZUNA
 
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―資本市場関連行政
―金融商品取引法
―証券業
―証券関連税制
―会計制度
―商品先物法制
―デリバティブ規制
―格付機関
―グローバル金融規制
―銀行の証券業務
―公開企業M&A
―中小企業M&A
―M&A一般
―銀行のM&A業務
―ファンド全般
―ヘッジファンド
―投資信託
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―ベンチャーファンド
―ディスクロージャー制度
―取引所・業界ディスクロ
―企業のディスクロ対応
―ディスクロージャー全般
―企業再生
―引受業務
―社債
―新興市場(IPO)
―エクイティ・ファイナンス
―Cガバナンス法規制
―Cガバナンス企業の対応
―企業への投資家の期待
―取引所上場制度
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―地方取引所
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―投資教育
―CDS
―FX取引
―証券業界の変化
―PTS
―排出量取引
―CFD取引
―少額継続投資
―保険・不動産
―取引所機能整備
―決済システム


 

   →行政
      ・今後、日本の資本市場はどう変わるのか (2月11日)
      ・個人への投信販売規制の流れ~フィデューシャリー・デューティ-にどう対応するか  (2月1日)
      ・HFT規制の動向について (1月21日)
      ・日本銀行によるETF買入れについて~市場への影響と課題、そして出口は? (1月3日)
      ・証券取引等監視委員会の役割と最近の動向 (12月25日)
      ・確定拠出年金制度への加入条件拡大について (6月13日)
      ・虚偽記載・監査法人処分・課徴金~投資家・株主は企業の不正会計処理からどう守られるのか(2月3日)
      ・日銀によるリスク資産の買入れと補完措置について(12月30日)
      ・金融行政方針と個人投資家~市場や証券会社は何を求められているのか (12月3日)
      ・証券ビジネスの課題~証券検査の重点検査事項より(4月10日)
      ・株主コミュニティ制度とは何か(3月14日)
      ・新規・成長企業へのリスクマネー供給拡大に向けた施策の現状(11月12日)
      ・日本市場の成長戦略を見直す~「金融・資本市場の活性化に向けて重点的に取り組むべき事項(提言)」
       はどこまで進んでいるか(11月3日)

      ・リスクマネー供給強化政策とその現状について(10月19日)
      ・プロ投資家とは何なのか~プロ向けファンド規制動向から (8月26日)
      ・投資に関する税制の変遷と課題について (6月26日)
      ・資本市場の成長戦略について (6月17日)
      ・株式取引における日本市場の課題 (4月1日)
      ・最近の“投資”に関する問題と、当局の対応について (3月26日)
      ・クラウドファンディングの最近の状況(1月21日)
      ・証券会社が仲介するベンチャー企業投資と未公開株売買~金融審議会“新規・成長企業へのリスク
       マネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ報告書より(1月16日)
      ・高齢者勧誘規制について(11月5日)
      ・クラウドファンディングの可能性とリスク管理について(9月12日)
      ・資本市場改革はアベノミクスに貢献できるのか(6月7日)
      ・空売りはどう変わるか?多分11月から(3月13日)
      ・空売り規制の全体像について(3月11日)
      ・空売りの仕方について (10月25日)
      ・改めて、市場対策を見直す (10月15日)
      ・来年から機能強化される信用取引制度 (9月26日)
      ・信用取引制度の改革(7月17日)
      ・公的資金による株式等の買入れて(6月18日)
      ・投資を通じた国民の資産形成について (5月14日)
      ・貯蓄から投資へ~個人の資産形成の視点から (3月2日)
      ・信用取引と売買単位 (2月7日)
      ・明日の個人投資家の為に(1月16日)
      ・市場対策としての“空売り規制等”を考える (10月24日)
      ・総合取引所議論のポイントと現状 (9月12日)
      ・欧州での空売り規制強化に想う (8月15日)
      ・自己株取得に係る時限措置についても考える (4月28日)
      ・空売り規制に係る時限措置の継続について、今一度考える (4月26日)
      ・取引所と金融行政への期待 (3月23日)
      ・試される市場 (3月17日)
      ・【緊急対策】今、日本の資本市場が出来る事 (3月14日)
      ・戦前の清算取引について (3月4日)
      ・投資助言・代理業とは何なのか (2月9日)
      ・デリバティブを組み込んだ仕組債や投信の販売 (2月7日)
      ・信用取引制度をやさしく考える (2月3日)
      ・為替デリバティブと中小企業 (1月28日)
      ・自社株買い→金庫株→買収に利用:株主にとって理想だが・・ (1月18日)
      ・“アジアのメイン・マーケット”プロジェクト=その2 (12月9日)
      ・“アジアのメイン・マーケット”プロジェクト=その1 (12月8日)
      ・私論、株価対策について (10月5日)
      ・直近の行政処分事例から見えるもの (9月30日)
      ・市場競争力強化プランのその後と新成長戦略=その2 (6月25日)
      ・市場競争力強化プランのその後と新成長戦略=その1 (6月24日)
      ・新成長戦略の中での、“新金融立国”への期待 (6月22日)
      ・株式持ち合い解消への動きと、その受け皿 (6月11日)
      ・金融審議会報告から見える事、見えない事:証券業界の将来図 (12月10日)
      ・金融審議会凍結に反対する (11月16日
      ・消費者としての投資家保護の論点~とりあえず米国 (10月27日)
      ・新大臣に業界が望むべきこと (9月16日)
      利益相反について (7月21日)

      ・株価対策法案の行方 (6月25日)

   →金融商品取引法
      ・投資助言・代理業について~資産管理型ビジネスの先導役として(11月4日)
      ・始まった株主コミュニティ制度(10月28日)
      ・いよいよ始まる電子募集取扱業務~投資型クラウドファンディング開始に向けて(5月26日)
      ・「投資型」クラウドファンディングに関する規則案(証券会社、金融機関向け)(2月23日)
      ・電子募集取扱業務とは何か (9月27日)
      ・リスクマネーの供給と環境変化への対応~平成26年度金融商品取引法改正案の概要より (4月29日)
      ・相場操縦の伏流~2つの相場操縦事件について (2月20日)
      ・不公正取引について (2月18日)
      ・相場操縦行為について(8月29日)
      ・11月から変わる“空売り規制”~関係者が考えた事とその背景(8月27日)
      ・今後、変わる市場関係ルール~金融商品取引法改正(6月公布より)(8月1日)
      ・強化されるインサイダー取引規制(6月27日)
      ・11月から変わる“空売り規制”は、株式の取引にどう影響するか(5月28日)
      ・本年度の資本市場に関する金融商品取引法改正について(4月22日)
      ・利益相反問題の系譜 (8月28日)
      ・再び増資インサイダー問題について (5月30日)
      ・インサイダー取引規制について (5月9日)
      ・金融商品取引法からみる証券会社の役割 (4月23日)
      ・増資インサイダーの構造と現段階での対策について (4月13日)
      ・空売り規制について~その機能面の問題 (4月6日)
      ・空売り規制について~その情報のあり方 (4月4日)
      ・インサイダー取引規制に関する問題の概要 (4月2日)
      ・投資家目線からみた平成24年度金融取引法改正 (3月26日)
      ・インサイダー取引に係る問題の概要=後編  (12月19日)
      ・インサイダー取引に係る問題の概要=前編  (12月17日)
      ・新たに始まる空売り規制とその背景 (10月31日
      ・相場操縦行為のチェック体制について (8月25日)
      ・インサイダー取引規制とM&A (7月13日)
      ・最近のインサイダー取引考(7月12日)
      ・平成23年度金融商品取引法改正その2=証券関連部分(6月16日)
      ・平成23年度金融商品取引法改正その1=利用が期待されるライツ・イシュー (6月13日)
      ・個人投資家の相場操縦行為について (12月24日)
      ・来年4月から変わる証券市場ルール (10月25日)
      ・空売り規制と自社株取得緩和 (8月2日)
      ・日本の金融・資本市場は何を目指すのか (4月26日)
      ・金融商品取引法改正を業界目線から考える (3月10日)
      ・コーポレート・ガバナンス強化の為、開示強化へ (2月15日)
      ・空売り規制強化?=空売り報告制度の整備 (1月22日)
      ・業界規制には、産業育成の視点を (10月19日
      ・業界ルール改正の小と大 (9月10日)
      ・空売り規制について (7月16日)
      ・金融商品取引法改正 (6月24日)
      ・スタートする内部統制報告書―そのイロハ (4月17日

   →証券業
      ・リテール証券2016年度決算の動向~別れる戦略 (5月27日)
      ・証券会社の情報開示について (4月17日)
      ・金融商品仲介業に係わる動向について。 (3月28日)
      ・個人の金融資産の概況について (1月9日)
      ・証券アナリストとは何か~規制強化の背景と役割について (10月2日)
      ・リテール証券2015年度決算の動向 ~変わる金融商品販売 (5月27日)
      ・未公開株への投資制度とその現状(5月12日)
      ・個人へ金融商品の募集・取引は、どの様に行われるか~金融商品取引業者が求められるもの(1月14日)
      ・個人投資家は、誰に何を頼むのか~金融商品取引業者について(1月7日)
      ・始まった株主コミュニティ制度(10月28日)
      ・新たに始まる未公開株取引制度について~「投資型」クラウドファンディングと株主コミュニティ制度
       (6月8日)
      ・投資型クラウドファンディング制度の概要(3月24日) 
      ・金融商品仲介業の現状~改訂版2 (10月9日)
      ・個人の金融資産と外貨投資について (6月19日)
      ・リテール証券2013年度決算の動向~それぞれの新しい動きが目指すもの (5月29日)
      ・客はどうやって作るのか~証券会社の場合 (5月20日)
      ・情報産業としての証券会社の縛り=法人関係情報について(2月12日)
      ・投資型クラウドファンディングの可能性と課題(1月23日)
      ・高齢者の投資はどうあるべきか~勧誘ルール強化とその背景(1月7日)
      ・NISAへのそれぞれの期待(10月1日)
      ・独立系金融商品仲介業の現状 (8月8日)
      ・グリーンシート市場の失敗から学ぶ教訓(7月11日)
      ・世界の中の日本市場 (1月17日)
      ・金融商品仲介業の現状について~改定版 (12月20日)
      ・証券会社の戦略としての仲介業 (12月18日)
      ・金融商品の販売者は、53万人もいる (12月6日)
      ・金融証券仲介業者には、どうしたらなれるのか (11月30日)
      ・証券会社が求めるもの (11月16日)
      ・改めて、証券会社とは何か (11月14日
      ・個人の金融資産・海外投資~強まらぬリスク選好 (9月21日)
      ・大手ネット証券の最近の戦略 (8月30日)
      ・個人の金融資産(6月29日)
      ・個人投資家の海外投資動向(6月8日)
      ・ネット証券の概況(6月6日)
      ・投資家のニーズ=需要予測について (6月1日)
      ・リテール証券会社の収益構造について (5月16日)
      ・個人金融資産について (3月28日)
      ・投資家にとっての証券会社の役割について (3月15日)
      ・基本に戻るリテール証券 (1月24日)
      ・グリーンシート市場の失敗 (1月20日)
      ・年初にあたり期待したいこと (1月4日)
      ・証券会社の役割とは何か (12月27日)
      ・証券仲介業の位置付け (12月1日)
      ・証券会社として、今行うべきこと (11月8日)
      ・仲介者としての証券業の現状の課題 (10月26日)
      ・証券会社の役割について考える-幻冬舎MBO問題より (10月19日)
      ・リーマンショック後3年、投資銀行とは何だったのか=その2 (9月16日)
      ・リーマンショック後3年、投資銀行とは何だったのか=その1 (9月15日)
      ・個人投資家からみたネット取引 (9月6日)
      ・大手ネット証券短観、9月 (9月5日)
      ・証券会社の今=危機感なき転換点(6月15日)
      ・SNSは活用できるのか=証券業界の場合 (6月6日)
      ・市場に足りないもの=リテール証券の決算から見えること(速報版) (5月13日)
      ・ライブドア事件が市場に残したもの (5月2日)
      ・証券仲介業の現状 (4月22日)
      ・大震災後一ヵ月:証券会社の営業環境 (4月14日)
      ・大震災後、個人投資家が注目すること (3月29日)
      ・大震災後の証券会社等の動向 (3月28日)
      ・市場の大変動が及ぼす取引への影響 (3月18日)
      ・今、証券会社に出来ること (3月16日)
      ・証券会社は投資家のニーズをどう考えるのか (3月1日)
      ・対面営業のリテール証券の問題意識とその方向性 (2月17日)
      ・ネット証券の限界と期待=ITからICT活用へ (1月26日)
      ・今年、証券業界が期待したいこと、但し、市況以外=その2 (1月6日)
      ・今年、証券業界が期待したいこと、但し、市況以外=その1 (1月5日)
      ・証券業協会にお願いしたいこと (12月28日)
      ・個人投資家が証券会社に求めるもの (12月17日)
      ・上期証券決算から見える個人投資家動向=ネット証券編 (11月10日)
      ・上期証券決算から見える個人投資家動向=大手証券編 (11月9日)
      ・今、証券業界が期待されていること (10月19日)
      ・証券会社の利益相反 (9月9日)
      ・未公開株投資とエンジェル税制について (8月20日)
      ・証券会社自らの情報提供 (7月21日)
      ・証券仲介業の今日的意味 (7月15日)
      ・環境問題から期待される市場 (6月20日)
      ・経済界からみた日本の金融・資本市場の課題 (6月14日
      ・米金融規制改法案(デリバティブ規制)の影響 (4月23日)
      ・ブローカーって何 (4月21日)
      ・業界が問われているビジネスモデル (4月19日)
      ・最近の規制強化2点 (4月12日)
      ・金融商品取引業界の概要と、規制強化 (3月19日)
      ・証券業に起きている変化=最近の証券会社検査状況から見えるもの (3月15日)
      ・ファイナンスの主幹事というビジネス (3月4日)
      ・直近決算動向からみるオンライン証券というビジネス-その2 (3月3日
      ・直近決算動向からみるオンライン証券というビジネス-その1 (3月2日)
      ・銀行系証券というビジネスモデル (2月23日)
      ・資本市場に係る本年の10大テーマ:後半 (1月5日)
      ・資本市場に係る本年の10大テーマ:前半 (1月4日)
      ・信用取引という制度の情報 (12月21日)
      ・金融・資本市場関係者の売買 (11月5日)
      ・ネット証券というビジネスモデル (10月28日)
      ・フェアバリューについて (10月26日)
      ・証券業界におけるこの10年とここ1年、そして・・・ (10月9日)
      ・最良執行義務について考える (9月25日)
      ・未公開株の売買について (9月7日)
      ・マザーズ改革に、新興市場を想う (8月26日)
      ・証券仲介業について (7月3日)
      ・プロ投資家とは (5月15日)
      ・日本の金融が望まれること―経済界から (4月23日)
      ・金融市場の活性化に向けた総合金融サービスとは? (4月1日)

   →税制
      ・証券税制の変遷とその方向性(3月15日)
      ・平成28年度税制改正から、個人の投資に係るもの (12月23日)
      ・平成28年度税制改正要望について~投資に関係するもの(2)(9月17日)
      ・平成28年度税制改正要望について~投資に関係するもの(1)(9月15日)
      ・更なる個人の投資拡大へ~新たな税制改正とその背景(2月4日)
      ・個人の投資に関する平成27年度税制改正〔速報版〕(1月13日)
      ・個人を無理なく投資家にする方法 (9月17日)
      ・個人投資家へのサポート強化について (9月12日)
      ・個人の投資に係る平成27年度税制改正要望について (9月4日)
      ・証券税制の流れと課題~「貯蓄から投資へ」の進め方 (8月4日)
      ・今後変わる投資に関する税制~平成26年度与党税制改正大綱より(12月17日)
      ・証券関連税制の課題と平成26年度の改正要望(9月10日)
      ・平成25年度税制改正で個人の投資はどう変わるか(3月4日)
      ・これから変わる証券税制(速報版)について(1月29日)
      ・個人の投資をどうサポートするか~平成25年度税制改正要望より (9月14日)
      ・投資に関する税制の現状について(6月22日)
      ・証券税制はどう変わるのか (12月15日)
      ・証券税制の論点をやさしく考える (9月26日)
      ・平成23年度税制改正大綱の個人投資関連部分について (12月21日)
      ・噛み合わぬ税制改正要望 (11月2日)
      ・平成23年度税制改正要望纏まる=その2 (9月3日)
      ・平成23年度税制改正要望纏まる=その1 (9月2日)
      ・投資家目線の証券税制の論点について (7月1日)
      ・税制改正要望から見える業界の問題意識 (6月21日)
      ・証券税制改革の先に (5月28日)
      ・本年度の税制改正で、何が変わるか (1月15日)
      ・業界の税制改正要望 (10月8日)
      ・守るべき金融所得一体課税 (9月30日)
      ・平成22年度税制改正要望(証券業務関連) (9月1日)

   →
会計制度
      ・IFRSは何が問題だったのか~ディスクロージャーのルールとして(6月19日)
      
IFRS導入議論にみる震災後日本の縮図(7月5日)
      ・時価から公正へ=フェアバリューって何?IFRSに向けて (11月16日)
      ・
IFRSへの誤解 (6月3日)
      ・4月から始まるIFRSの影響-その2 (4月1日)
      ・4月から始まるIFRSの影響-その1 (3月31日)
      ・
持ち合い株式について (11月4日)
      ・IFRS:注目の金融商品会計見直し (9月28日)
      ・国際会計基準スケジュール概略 (8月14日)


   →商品先物法制
      ・
資本市場からみた商品市場 (8月27日)
      ・
商品先物規制強化(米国)を考える (10月21日)
      ・
商品先物取引法について (7月22日)
      ・商品取引所その2 (5月29日)
      ・
商品取引所その1 (5月28日)


   →デリバティブ規制
      ・最近の個人投資家デリバティブ取引(6月25日)
      ・個人投資家にとってのデリバティブ取引について (4月5日)
      ・デリバティブ取引の不招請勧誘禁止等 (9月14日)
      ・デリバティブ規制について (1月6日)
      ・FX取引規制=業者側の対応と懸念 (7月7日)
      ・
FX取引レバレッジ規制について (6月2日)
      ・証券化商品とCDSの行方 (5月13日)
      ・外為証拠金取引規制強化―その背景 (4月30日)

   →格付機関
      ・誰の為の格付機関か (12月5日)
      ・今、改めて格付機関を考える (8月11日)
      ・格付及び格付機関への期待 (7月15日)
      ・
格付機関規制、実質的に始まる (10月7日)
      ・投資家にとっての格付機関規制 (1月7日)
      ・
格付機関規制について (7月17日)

   →グローバル金融規制
      ・HFT(高頻度取引)規制は必要なのか (7月15日)
      ・グローバルに求められるもの―金融・資本市場 (5月8日)
      ・金融は何処へ向かうのか―金融サミット後の姿は (4月6日)

   →銀行の証券業務
      ・銀行の証券業務について(4月27日)
      ・銀行と証券が一緒に・・~ファイアーウォール規制と緩和の背景について (4月8日)
      ・デリバティブは難しい商品なのか?中小企業への販売の場合 (6月2日)
      ・銀行の証券業務 (9月24日)


リテール証券2016年度決算の動向~別れる戦略 (5月27日)
 2016年度のリテール証券各社の業績は投信関連の手数料の収益全体における比率が減少している。
 これは多くのリテール証券が近年取り組んできている資産管理型営業(ラップ口座取組み強化)の結果とも見做されるが、その他の収益(金融収益、トレーディング収益、ラップ口座などのアドバイザリー・フィーを含む)比率が高かったのは、外債や外国株・仕組債などの個人への取次ぎ増加に係るトレーディング収益の影響も大きかったようだ。
なお、ラップ口座は、昨年末で約54万口座まで増加し、6.4兆円を運用するようになっており、この運用残高に対して例えば4%のリテール証券会社収益が期待できれば、投信販売や残高報酬の金額に相当するような収益が期待できる。ラップ口座ビジネスは、大きく分けるとラップ口座の販売、ラップ口座の運用に関する助言(投資助言)、ラップ口座の運用(投資運用)となるが、これを自社内(自社グループ内を含む)で行うが、投資助言や投資運用の専業者と行うか、もしくはその一部をAI(人工知能)に任せるかでリテール証券各社の戦略の違いが出そうだ。

☆ リテール証券2016年度決算の動向~別れる戦略
・2016年度決算の特徴
・リテール営業を取り巻く環境
・リテール証券の動向と変化
・リテール証券は何処へ向かうのか

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証券会社の情報開示について (4月17日)
 証券会社の情報開示が強化されます。
これは、金商法第46条の4で定められる“業務及び財産の状況に関する説明資料”を日本証券業協会若しくは自社のWeb上で公開することを義務付けるもので、業界の自主規制ルールとして6月1日から施行が予定され、2018年3月期決算の説明資料から公表が適用されます。

 この規則改正の目的は、証券会社等の業務及び財産の状況の透明性を高め、顧客の投資判断の一助とするとされていますが、昨年後半に協会において検討された“私募債等の商品審査及び販売態勢等のあり方に関するワーキング・グループ”において、金融庁の意向(ワーキングスタート時の、金融庁監督局証券課長の発言)を受け私募債事故の再発防止策の一環として、顧客が証券会社の財務状況等を容易に確認できるようにするために取り組む施策として実施されます。
但し、この説明資料(所謂、証券会社のディスクロジャー誌)は、金商法上では“全ての営業所若しくは事務所に備え置いて公衆の縦覧に供し、又はインターネットの利用その他の方法により公表しなければならない”とされていたものです。また、同ワーキングの中で取り上げられたことに関して、協会は以下の様に整理しています。
=証券会社の財務状況によって、弁済を受けられる可能性に差が生じ得るからであり、今般の私募債関連事案においても、顧客間で弁済を受けられるか否かに差が生じていることは事実である。投資家より寄せられた苦情の中には、証券会社の財務状況や株主構成を、ディスクロージャー誌等を通じて知ることができていたらもっと注意することができた、という顧客側の意見があったと伺っている。そのため、ディスクロージャー誌を自社ウェブサイトに掲載することが再発防止策の1つとして考えられるのではないか。( 私募債等の商品審査及び販売態勢等のあり方に関するワーキング・グループ(第4回) 議事概要より)

 上記の説明資料における記載内容に関しては、金融商品取引業等に関する内閣府令第174条に定める事項が求められていますが、証券会社の概況及び組織に関するものでは上位10名までの株主に関する情報など、業務の状況に関するものでは有価証券の募集・売買等や自己資本規制比率・従業員の状況に加え、B/SやP/L・借入金の内容などの財産の状況に関するもの、内部管理や分別管理などの状況、企業グループの内容なども示す必要があります。 
今回の自主規制ルールにおいては、これを原則自社若しくは協会のホームページに掲載することとなりますが、地方の小規模証券会社で縁故者等で実質的に経営に関与していない上位10名までの個人株主に関しては、氏名ではなく個人とだけの記載内容を変更する配慮がなされています。

 一方、上場している証券会社の情報開示は株主や投資家を意識したものですが、適時開示(取引所規則)としての決算短信では、財務諸表とともに経営成績・財政状態に関する分析・事業のリスク・詳細な経営方針の具体的記載などが加わっています。この公表項目は、他の上場企業と同じですが、業績予想に関しては証券会社の事業内容が経済情勢や市場環境の影響を大きく受けることを理由として公表されていません。但し、同じく市場環境の影響が大きい日本取引所グループにおいては、業績予想は決算短信上で開示されています。

 また、有価証券報告書における記載内容は企業内容等の開示の関する内閣府令の第三号様式に定められたものですが、決算短信などに比べてより詳細な情報開示が求められています。例えば、役員に関する情報では略歴まで必要ですし、コーポレートガバナンスに関する記載では内部統制システムの整備状況、社外監査役や社外取締役との関係に関する記述も求められています。

 いずれにしても証券会社が顧客から信頼される為には、財務基盤のみならず、それを支える事業基盤(大株主や金融機関との関係、同業他社との関係、金融商品仕入先との関係)などに関する情報も重要になってきますが、情報開示強化を機に地方証券会社主体に金融機関や同業との提携が進む可能性もあり、今後その動向が注目されます。 
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金融商品仲介業に係わる動向について。 (3月28日)
 金融商品仲介業は、投資家の市場アクセスの充実を図る為の証券仲介業制度として2004年4月にスタートしました。これは「証券市場の改革促進プログラム」の一環として、誰もが投資しやすい市場の整備を目的に、ファイナンシャル・プランナーなどの活用を想定した制度でしたが、2007年9月の金商法施行から現在の名称となっています。
本年1月末の金融商品仲介業者の状況は、855業者が金融庁に登録されていますが、最近は年100社程度が新たに登録している一方、70~80業者が登録取消しを行っています。
 金融商品仲介業務の展開については、主に以下3つのパターンがあります。

① 金融機関の金融商品仲介業務
金融機関は、金商法上では登録金融機関として債券や投信の販売を取り扱うことが出来ますが、顧客向けの商品部門を持たないので外国債券や比較的リスクの高い投信を個人に販売する場合、大手証券会社や外国証券会社の仲介業として、個人へ金融商品を提供する形態が定着してきました。

② 証券会社の販売網として
これは、中堅証券会社や対面の販売網を持たない大手ネット証券会社等が、ファイナンシャル・プランナーや税理士・保険代理店、個人などを仲介業者として自社の販売網に取り込もうとするものですが、実際に販売力のある仲介業者は独立性が強く、複数の証券会社の仲介業者のなるケースが目立っています。仲介業者からみた証券会社選択のポイントは、商品・サービスの品揃え、専用システム提供コストと手数料分配率、営業支援などですが、当初この戦略を推進していた大手証券会社は、全社的営業推進の難しさから販売網整備としての仲介業戦略から撤退しています。
また。大手ネット証券会社の仲介業戦略も最近分かれてきており、SBI証券は今までのIFA(独立系金融アドバイザー)のネットワーク化から、傘下の仲介業SBIマネープラザで大規模(3000人程度)に金融アドバイザーを増やしていく計画に切り替えたようです。一方、楽天証券はIFAの自社ネットワーク強化の為、仲介業者に対する支援を強化しています。

③ 証券会社営業拠店の業態転換として
中堅証券会社にとっての仲介業戦略は上記の販売網構築目的がある一方、自らの仲介業への業態転換や営業拠店の再編策として利用しています。これは、証券会社としての自己資本規制から解放されるとともに、他社システムや販売インフラを利用することが出来るメリットがある一方、営業員の帰属性や営業推進が低下する可能性があります。なお、FPL証券の様に販売力のある仲介業者の中から証券会社を目指す動きも出始めています。

 金融商品仲介業者の外務員数については、2016年12月末時点で、法人が3,104名、個人が327名で合計3,431名ですが、これは証券会社の外務員数89,942名の3.8%にしか過ぎません。また、ファイナンシャル・プランナーの有資格者数19.4万人の1.7%です。NISAやiDecoなどによる今後の個人投資家の拡大を考えた時、個人に対する投資アドバイスのチャネル拡大として仲介業者の増加が望ましいのです
が、証券会社・金融機関などのアドバイザーやファイナンシャル・プランナー資格者などからの参入の可能性があります。
 その為には、仲介業者の成功神話と独立支援・持続的なサポートが必要ですが、これらを全て仲介元に頼るようですと、結局仲介元証券会社などのコストが増加し、大手証券の戦略の様に自社内の営業網整備として社内に組み込まれていくこととなります。当初の政策期待の様に、独立性の高い仲介業者を育成するためには、金融商品仲介業務への参入バーを低くしたり、業界団体による独立支援を行うような動きがあっても良いように思われます。
 また、仲介業者が顧客のニーズに応え易くなるためには、債券や海外投資の代替手段としてETFの多様化なども役立つ可能性がありますが、その為には一層ETF取引への仲介業者のアクセスを容易にする体制やシステムが提供されれば、個人投資家に提供される投資アドバイスの幅も拡大し、仲介業務の質の向上に繋がっていくと考えます。

 
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今後、日本の資本市場はどう変わるのか (2月11日)
 昨年5月より、金融審議会において日本市場や取引所などの在り方が議論されていました。これは、投資を通じた国民の安定的な資産形成の重要性が高まっていることや、ICTなど情報技術が進展していることで市場を取り巻く環境が大きく変わっていることなどを踏まえたものです。その報告書は、昨年12月22日に公表されており、議論テーマの各内容に合わせて今後関係法令などが整備されると予想されます。
以下に、同報告書の内容を簡略化したイメージ図にしてみました。

☆ 今後、日本の資本市場はどう変わるのか
・顧客本位の業務内容---証券会社も銀行も原則の策定と公表へ
・資産形成におけるETF活用---個人の積立投資向け低コスト商品開発と取扱いチャネル拡大は?
・取引の高速化への対応---HFTは、登録制導入へ
・市場間競争と取引所外の取引---PTSの承認取引拡大へ
・取引所グループの業務範囲---グループ内システム会社集約とフィンテック対応
  
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個人への投信販売規制の流れ~フィデューシャリー・デューティ-にどう対応するか  (2月1日)
 個人の投資による資産形成で最も期待されている金融商品は投資信託です。
その販売チャネルの拡大として金融機関での取扱いが解禁(1998年12月)され、広く個人が利用していく為に投信の販売に関係するルールも強化されてきました。
一方、今年度の金融審議会での検討テーマの一つとして“国民の安定的な資産形成とフィデューシャリー・デューティ-”が上げられていましたが、国民の安定的な資産形成のためにフィデューシャリー・デューティ-の範囲拡大と内容の明確化が議論されました。その投信販売規制とフィデューシャリー・デューティ-議論の動向について以下に見直してみました。

☆個人への投信販売規制の流れ~フィデューシャリー・デューティ-にどう対応するか
・個人への投信販売規制強化の流れ
・投信販売とフィデューシャリー・デューティ-(その課題とは)
・顧客本位の業務運営とは何か
・投信販売はどう変わるべきなのか 
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HFT規制の動向について (1月21日)
 アルゴリズムを用いた高速のプログラム取引のことをHFT(High frequency trading)といいますが、2010年に高速化対応の取引システムであるアローヘッドが東京証券取引所に導入され、更にコロケーション・サービスも投資家に提供されたことで、日本においてもHFTの存在感が増しています。
最近の取引状況では、東証の全取引に占めるHFTのシェアは約定件数ベースで4~5割、注文ベースで7割に達していると言われています(金融審議会における事務局資料より)。但し、HFTを利用しない投資家にとっては、流動性向上のメリットの一方で、市場の想定外のイベントが発生した場合の価格変動の増大リスクや、取引の公正性確保への不安・不満などがあります。

 また、HFTを利用した相場操縦行為として、以下の事例が証券取引等監視委員会によって処分勧告されています。
・相手方のアルゴリズム取引の特性(指値変更注文に瞬時に反応)を利用することを意図した相場操縦。
・見せ玉を発注、第三者に取引が繁盛に行われていると誤解させてアルゴリズム取引による注文を誘引、その後全ての見せ玉を取り消し。
・最良売り(買い)気配に小口注文を発注後、反対の最良買い(売り)気配値に大口注文を発注、それに誘引されたアルゴリズム取引注文と小口注文を約定させた。
・売買を誘引する目的で大量の買い注文を連続発注、相場を変動させる一連の売買および委託。
・大引前約30秒間に、証券会社を介してDMAやアルゴリズムを用いて大量の買い注文を連続発注。 等

 昨年5月から行われている金融審議会の市場ワーキング・グループにおいても、HFTに対する欧米の金融当局による規制の動きを踏まえ、“取引の高速化”に関する新たな規制の一環として、アルゴリズム高速取引を行う投資家に対するルール整備が検討されていました。
HFTに対する規制案の概要は次の様なものです。(金融審議会市場ワーキング・グループ報告-平成28年12月22日より、制度の概要を抜粋)

☆ HFT規制案について

【登録制の導入】
アルゴリズム高速取引を行う投資家に対する登録制を導入し、必要な体制整備・リスク管理義務を課す。
【規制の枠組み】
◇体制整備・リスク管理に係る措置 として、 取引システムの適正な管理・運営や 適切な業務運営体制及び財産的基礎の確保が求められる。また、事業報告書の提出も必要。
◇通知・情報提供に係る措置として、アルゴリズム取引を行うことの当局への通知 、 各注文がアルゴリズム取引によるものであることの明示、 アルゴリズム取引戦略の届出 、 取引記録の作成・保存が求められる。
【実効性の確保】
売買注文を受ける証券会社に対して、無登録でアルゴリズム 高速取引を行う投資家や、アルゴリズム高速取引を行うための体制整備・リスク管理 を適正に講じていることが確認できない投資家からの取引の受託を禁じる。海外の投資家に対しては国内における代表者又は代理人の設置を求める。
(証券会社については、既に一定のシステムリスク管理体制の整備や取引記録の保存等が求められている。)
なお、証券会社による取引確認だけではなく、取引所によるアルゴリズム取引を用いる投資家の調査も可能とする。

 上記の報告書をベースにHFTに対する法制度整備は行われていくものと予想しますが、取引所としては取引高速化に対応していくことがグローバルな市場間競争では必要条件となることに変わりありません。今後、欧米の規制動向を踏まえながら、HFT取引監視に対するノウハウを証券会社や取引所が蓄積していくことに期待します。
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個人の金融資産の概況について (1月9日)
 作年9月末の個人金融資産の概況が、日銀から12月19日に公表されました。集計は9月末時点ですが、その他、個人の投資に関する統計資料(11月末)と合わせ、個人の投資の状況は以下の通りです。

☆ 個人の金融資産の概況について

 個人の金融資産全体は、昨年6月末よりは株式市場の持ち直しもあって1,752兆円(6月末比6兆円増加)と幾分回復しています。この部分には、昨年11月からのトランプ相場の影響は反映されていませんので、3月公表分では過去最高だった2015年12月末の1,783兆円に迫る可能性もあります。
投資信託への資金流入は細っているようですが、前年比で見ても市場価格の下落に負けて3.3%の資産額を3.3%減少させています。また、トランプ相場での上昇局面においては株式と共に個人投資家の利食い売りも伝えられています。

 一方、個人の海外証券投資については、投信を通したものは米国株式への投資増加が目立っています。特に直接の外国株式投資において、11月の状況は取引が急増しています。外国債券においても高水準の買い越しが継続しています(11月6,676億円買い越し)。
また、FX取引は久々に月間取引額(店頭FX取引ベース)が500兆円を超え、11月は530兆円となっていますが、これは米大統領選前後のポジション調整が大きかったようで、円の売り越し額は11月末768億円と極端に縮小しています。 

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日本銀行によるETF買入れについて~市場への影響と課題、そして出口は? (1月3日)
 トランプ相場以前の日本市場は、100円を一時的に割る様な円高の進行にも関わらず、8月以降は意外に底堅く16,000円台を維持していましたが、これは原油相場の底打ちするとともに、作年7月下旬に公表された日銀による日本株ETFの買入枠をほぼ倍増の年間6兆円としたリスク資産買入拡大策が大きく影響しています。この金融緩和強化策の中で、ETF買入れに焦点を当ててその影響や課題などを取り上げます。

☆ 日本銀行によるETF買入れについて~市場への影響と課題、そして出口は?
・リスク資産買入の沿革と現状
・ETF買入れの実態とその効果
・市場関係者が指摘する懸念
・敢えて考えるEXITについて

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証券取引等監視委員会の役割と最近の動向 (12月25日)
証券取引等監視委員会(以下、監視委)は、10月25日に「平成28事務年度 証券モニタリング基本方針」を公表しています。
先ず証券モニタリングの取組方針として、 全ての金融商品取引業者等に対し、オンサイト・オフサイトの一体的なモニタリングを実施することを表明しています。今までは、大手証券グループに対して監視委と金融庁が一体的に検査・監督に当たっており、今後はその他の金融証券取引業者等に対して各地域の財務局と協働してモニタリングを実施します。
業種別の主な検証事項は次の通り。

【 大手証券】海外拠点での業務を含むリスク管理態勢を重点的に検証。
【それ以外の証券会社】業務運営 の適切性について検証。域証券会社については、取り扱う商品のリスクの所在を十分検討しているか等について検証。
【FX業者】外為市場で大きなイベントが発生した場合、投資者保護上の措置 及び業者自身のリスク管理態勢の整備状況について検証。
【投資運用業者】業者自身のガバナンスの構築状況、運用するファンドのガバナンスの構築状況等に ついて実態把握を行い、今後の効果的なモニタリングを行うためのベンチマークの策定へ。
【投資助言・代理業者】顧客に誤解を生じさせる広告や虚偽の説明による勧誘の有無等について検証。
 その他、業界横断的に顧客本位の業務運営、サイバーセキュリティ対策、高速取引注文の増加を踏まえた売買審査の実施状況等について実態把握していくとしています。

 監視委の最近の動向では、金融証券取引業者以外への動きも目立っています。東芝の会計不祥事では、刑事訴追を前提に歴代の社長3人から任意で事情聴取していることが報じられており、上場企業の不正会計についても有価証券報告書の虚偽記載として、複数の課徴金納付命令勧告を金融庁に対して行っています。また、インサイダー取引や相場操縦行為など市場での不公正取引への摘発も、以前に比べて迅速化しています。

☆ 証券取引等監視委員会の概要

 監視委は、法的には金融庁に属する審議会等の一つで、金融庁設置法では金融審議会と同じ位置づけとなり、米国のSEC(証券取引委員会)に比べ規則制定権がないものの、金融商品取引法第211条において強制調査権が与えられています。証券取引や金融先物取引等の公正を確保する目的で、1992年に大蔵省に設置され、その後の省庁再編で内閣府外局たる金融庁の審議会等となっています。本年12月から一新した委員構成は、検察出身の長谷川委員長、あずさ監査法人出身の浜田委員、大和総研理事だった引頭委員となっており、財務局の関係人員も含めて764名(平成27年度、監視委は410名)の人員となっています。この陣容は、設立当時200名程度だったものから約4倍近くに拡充しています。監視委の各機能とその最近の業務実態(平成27年度)は次の様になっています。
◇市場分析審査:一般から年間7,758件の情報提供があり、不公正取引の審査は年間1,097件
◇証券検査:対象となる金融商品取引業者等は約8千社(金融機関約千社、プロ向けファンド業者約4千社超)。検査実施は、254業者でその内第1種金融商品取引業者は61社。その内、検査結果に対する勧告は18社。
◇取引調査:インサイダー取引や相場操縦等の不公正取引を行った者に対し、課徴金の支払を求める勧告を行うための調査。勧告件数は35件。
◇開示検査:上場企業約3,600社等が提出開示書類に虚偽がないか検査。勧告件数は6件。
◇犯則調査:違反行為のうち、重大・悪質なものを調査し、検察官に告発。告発実施数は8件。

 この様に監視委の業務は、調査・検査を通して金融商品取引の公正さや健全性を維持して投資家を保護していくものですが、一方では市場と投資家を仲介する金融商品取引業者の健全な育成も、金融における重要な成長戦略ではないでしょうか。
 
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証券アナリストとは何か~規制強化の背景と役割について (10月2日)
 証券アナリストとは専門的な知識をもち上場企業などの分析を行う職業を指しますが、今、再びこの証券アナリストの役割について市場関係者の注目が集まっています。
嘗てはエンロン・ワールドコム事件の時、格付機関や証券会社などで実質的な市場のゲートキーパーとしての役割を問われた時もありましたが、最近ではコンプライアンスや市場倫理に反するような事案も起きています。

この証券アナリストについて、次の様になっています。
☆ 証券アナリストとは何か~規制強化の背景と役割について
   ・証券アナリストを取り巻く環境
   ・アナリスト規制について
   ・証券アナリストの在り方について
   ・資本市場の中における課題と役割について

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資本市場からみた商品市場 (8月27日)
 本年7月25日より東京商品取引所(以下、東商取)において金現物取引が始まっています。英国のEU離脱問題や中国経済の先行きなどへの不安から、今後金に対する個人の需要が高まることを期待して、商品先物取引が中心の東商取が100グラムと1キロの2種の金現物を取り扱うものです。個人が金現物を持ち込んで売ることは出来ませんが、同取引所が指定した倉庫で金現物を受け取ることも出来ます。

 一方、金先物価格に連動するETN・ETFは、現在東証に5銘柄上場(内、海外ETF1銘柄)されていて、2銘柄はロンドンの価格、残り2銘柄が国内での東商取の価格に連動しており、そのうち1銘柄は個人でも1キロ~5キロまで(現在)は金現物に転換することが出来ます(※金ETFの現物への転換は、現在消費税や改鋳費用などが掛かり、取り扱える証券会社が限定されています。)。商品関係のETFは、2009年~2010年にかけて、東証に数多く上場されており、その数は国内ETF11銘柄、海外ETF19銘柄に達していますが、その内、東商取の商品先物指数に連動するものは6銘柄に限られています。ETFは指数連動商品で商品市場の代替機能を果たしており、ETFの取引が増えれば裁定取引などで原市場の取引が増加しますが、現状では国内の商品取引市場に影響を与えるものは限られています。

 国家戦略として日本市場をアジアのコアマーケットにしようとする戦略は、アベノミクスでも表明されていますが、これは前民主党政権時から議論されていた総合取引所構想がベースになっています。その構想については、日本の経済力や金融・資本市場の大きさに比べ、商品市場やデリバティブ市場が小さかったことや、世界の取引所グループが総合取引所化を進めていたことがありました。当時の成長戦略の一環として、金融庁・農林水産省・経済産業省が中心となって2010年10月から総合取引所構想が検討され、2012年2月にその検討結果が取りまとめられており、その関係法令(金商法関連)は2014年3月に施行されています。その骨子は次の様なものです

・金融商品取引所での「金融商品」定義に、コメ等以外の商品先物取引法上の商品を加える。
・総合取引所については金融庁が一元的な監督を行う。
・総合取引所は、商品デリバティブ取引に関して金融商品取引業以外の者に取引参加資格を与えることが出来る。
・清算機関については、最低資本金に係る免許要件を設定。
・第一種金融商品取引業者の業務に、取引所における商品デリバティブ取引に係る業務を追加し、商品先物取引法における行為規制等に関しては、金融商品取引法の規制を原則として適用した。但し、商品デリバティブ取引のみを行う業者の財務基準は、商品先物取引法に基づく規制と同様とした。
・取引所における商品デリバティブ取引も、金融商品取引法上の不公正取引に関する規制を適用する。  等

 現在、総合取引所の実現に向けた検討は新たな進展はありませんし、今年6月に公表された日本再興戦略2016においても特別な目標設定はされていません。総合取引所の為の関係法令はある程度整備したので、投資家や市場関係者などの取組みを待つということなのでしょうが、日本取引所グループが3月に公表した新中期経営計画(2016~2018)では、“投資者の多様な投資ニーズを充たすとともに、 中長期的な資産形成を活性化する ”重点項目の一つとして、デリバティブ商品の多様化の中で、コモディティ分野への進出など総合取引所化の可能性の継続検討を行うことが示されています。但し、取引所としてはデリバティブ取引の代替機能を持つETFの多様化の中で実質的に同様の効果を上げることも出来ます。
日本取引所グループが、敢えて総合取引所化を目指すのであれば、市場全体の効率化とは別にシステム・清算機関・取引参加者への対応など新たなコストが想定されます。それを踏まえて総合取引所化を推進するのであれば、商品取引所機能を強化するという国策と、それに賛同して取引を行う主要な投資家が必要なのではないでしょうか。
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HFT(高頻度取引)規制は必要なのか (7月15日)
  取引の高速化が進む中、アルゴリズムを使って高速・高頻度で取引を行うHFT(High Frequency Trade)の存在感が増しています。市場取引に占める割合(約定ベース)は、米国では5割程度、欧州でも4割程度を占めていて、東証でも既に4割を超えた状況です。
HFTは、売買注文を細分化して売り買いを繰り返すので、通常の売買注文に比べ注文件数が格段に多くなり、また同時にその取消しも多くなります。HFTが利用するコロケーション・サービスによる東証全取引に占める注文件数ベースのシェアは、本年3月には75%に達したました。その為、HFTは取引の流動性向上に寄与してるのは間違いありません。但し、通常時はとの注釈がつくのは、2010年5月に米国で発生したフラッシュクラッシュで、HFTで利用しているアルゴリズムが、異常な値動きに過剰反応して、株価の急落やその後の急反発を助長したのではないかとの疑いが拭えない為です。
 一方、HFTが不公正取引に利用される可能性について、欧米では次の様な指摘がなされています。(金融審議会市場ワーキンググループ平成28年5月13日事務局資料より)
・高頻度なアルゴリズム取引技術は、他の形態の取引と同様、不公正取引に利用される可能性があり、HFTの技術的優位性が、より大規模な不公正取引を可能にしている懸念が払拭されない。〈EU〉
・複数の取引所に同時に出された注文でも取引所毎に到達時刻にわずかな差が生じることから、これを利用して、高速回線で先回りする(=ある取引所に出された注文から、他の取引所に出されている注文を予測して、ポジションを構築する)取引等があるとされる。〈米国〉
 日本においても相場操縦行為として摘発されたものが複数出てきていますが、他者のHFTのアルゴリズム取引が反応することを前提に、見せ玉行為や指値の変更を高頻度で繰り返すことで、自らの取引を優位に導こうとする相場操縦事案などがあります。また、米国の様な複数の取引所を前提とした取引はないものの、複数の証券会社のダークプールやDMA (Direct Memory Access )を利用して、他者の売買意向に先駆けて自らの売買を有利に行おうとするフロントランナー的行為や相場操縦行為の可能性も市場関係者より指摘されています。
 今までのHFT規制議論の背景には、ごく少数のHFTを使うものとHFTを使えないその他大勢の投資家の間の不平等感があって、ヘッジファンドと同じように何か市場の大きな障害が発生した場合、疑惑の対象とされることもありました。しかし、HFTのアルゴリズム取引と高速・高頻度取引は、市場におけるイノベーションであることに間違いありません。
2010年から導入された東証arrowheadやその後始まったコロケーション・サービスによって、日本市場の取引機能が世界水準に追いつき、海外投資家の資金を国内に呼び込むインフラとして市場取引機能が整備されてきました。HFTは、そのインフラの利用手法に過ぎませんが、今や取引量が大きくなったのでHFTとしての個別の管理・監視が必要だというのがグローバルマーケットの流れとなっています。
 市場運営に関するリスクや不公正取引監視はHFTだけの問題ではありませんが、HFTの特徴であるアルゴリズム取引や高速・高頻度取引に対する管理・監視は、現在、HFT業者から取引を受注する証券会社やコロケーションを運営する取引所側の各自の責務において、既存の規制を前提に行われています。但し、その内容は投資家や外部には分かりません。その為、HFT独自の規制を行うというのが世界的な流れになっていて、欧州では第二次金融商品市場指令によってHFT業者を登録制とし、新たに体制整備やリスク管理義務・当局への報告義務を課す規制(2014年交付)が2018年より実施予定されいます。同様の規制は米国でも昨年11月にSECによるパブコメが行われています。

☆ 米国HFT規制案(概要)
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確定拠出年金制度への加入条件拡大について (6月13日)
 個人型DC(確定拠出年金制度)など加入条件が大幅に緩和された改正確定拠出年金法が5月24日に成立しています。
昨年1月に閣議決定された平成27年度税制改正大綱で既に税制上の対応は決定していたものの、前通常国会において安保関連法案の影響で同法の審議が遅れていましたが、年度を超えて参議院での採決となったものです。同法の施行は概ね平成29年からとなっており、その内容は次の様なものです。

○個人型DCの利用拡大に向けて
 専業主婦(第3号被保険者)や企業年金加入者、公務員(共済年金加入者)なども、個人型DCに参加することが出来きます。つまり、今回の改正で全国民年金制度の加入者(約6,700万人)から現在の個人型DCの利用者(約25万人)を除いた保険者が対象となります。また、従業員100人以下の企業(以下、小規模企業)であれば、個人型DCに加入している従業員に対して、事業主が追加で掛金を拠出することが可能です(個人型DCへの小規模事業主掛金納付制度)。新たに加入者となるものの年額拠出限度額は、専業主婦が27.6万円、公務員や企業DB(確定給付年金制度)の参加者が14.4万円となっています。

○DCの普及・拡大のために
 DCの掛金が月額単位から年単位化される。例えば、現在の企業型DCの拠出限度額は月額5.5万円で、前月に4万円拠出した場合、前月の拠出限度額未使用分1.5万円と合わせて当月7万円を拠出することは出来ませんが、改正後はこれが可能となります。また、賞与時に纏めて拠出することも可能です。小規模企業がDC制度を利用しやすくする為に、「運営管理機関契約書」等の設立時書類を半分以下に省略し、行政手続を金融機関に委託することを可能とする簡易型DCも制度整備されます。

○年金資産のポータビリティ(企業間持ち運び等)の拡充
 企業DBで積み立てた資金を、転職時に転職先の企業年金(DCなど)に資産を移換し、これを合算させて企業年金で運用することを可能となります。この改正により各年金制度の加入期間も合算することで、DB分の支払いに必要な加入者期間の条件を満たして、DB分も年金として受け取ることが可能です。また、企業年金に係る諸手続きを、複数の制度に対して行う負担も軽減されます。

○DCでの年金資産運用の改善策として
 DCの運用は制度加入している個人に任されますが、自分で運用することに困難を感じる個人も多いようです。その為、DC制度加入者への投資教育が重要で、現在は約半数しか実施していない継続投資教育(制度導入後に繰り返し行うもの)を企業側の努力義務化して、加入者の運用意識向上を図ります。なお、企業側はDCの投資教育を知見のある企業年金連合会に委託することが出来ます。
 また、現在の企業型DCでは元本確保商品での運用が6割超と運用資産に偏り(DBの場合は3割弱)がありますが、これ改善し加入者の分散投資を促す目的で、あらかじめ複数の運用商品とその比率を定めた(所謂、デフォルト商品、米国での制度導入で分散投資の効果あり)指定運用方法に係る規定を整備します。

 以上の様に、DCは大きく改善されますが、特に個人型DCの利用拡大が今後注目されています。利用者が1000万人に迫ってきたNISA(少額非課税投資制度)と合わせて、長期投資による個人資産形成の為には必要な制度となることが期待されています。投資運用会社が良質な運用商品を供給すること、運営管理機関(金融機関)が利用者に負担の少ないオペレーションを行うこと、レコードキーピング組織が利用者の運用指示や運用状況が分かり易いサービスを提供することなど、利用者拡大の為には利便性の向上が必要です。加えて、各関係者による個人への投資教育の重要性が一層高まっているところです。
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リテール証券2015年度決算の動向 ~変わる金融商品販売 (5月27日)
 2015年度のリテール証券決算では、対面営業主体とネット証券で収益動向が2極化しました。証券会社の対面営業においては、元々投信などの金融商品販売に軸足が移っていましたが、1~3月のリスクオフ・ムードの高まりもあって、投資家ニーズが冷えて株式投信販売が大きく減少しました。
 一方、大手ネット証券においては、ETFやFX取引増加により二桁の増益になるところもありました。

☆ リテール証券2015年度決算の動向 ~変わる金融商品販売
・2015年度決算の特徴
・リテール営業を取り巻く環境
・リテール証券各社の動向
・事業戦略の方向性と変化
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未公開株への投資制度とその現状(5月12日)
 一般の個人が投資可能な未公開株について、以下に纏めてみました。
☆  未公開株への投資制度とその現状
 先ず証券会社が個別に取り扱う“株主コミュニティ制度”ですが、北陸の今村証券と島大証券が地元有力企業の取扱いを始めています。電鉄会社など株主優待を目的にした地元住民の買いニーズや持株会関係の売買ニーズを取り込んでいますが、これらの企業は元々株主数が多く、有価証券報告書を提出しているので、企業側の新たな開示負担等は少ないと見られます。この制度を使って、株主コミュニティ内で企業が資金調達することも可能で、その場合は株主コミュニティを運営する証券会社が株主コミュニティメンバーに対して勧誘活動をすることになります。但し、証券会社が株主コミュニティに入りことを個人などに勧誘することはできないので、コミュニティ参加への勧誘や誘導は企業自らが行う必要があります。
 一方、投資型クラウドファンディングは株式投資型とファンド投資型がありますが、現在まで実績があるのはファンド投資型です。これは、今まで第二種金融商品取引業者(ファンド業者)が行っていた事業ファンドの情報をWeb上で提供することが、金商法上の電子募集行為に該当する為、既ファンド業者が対応している分が、ファンド投資型クラウドファンディングとしてカウントされています。
ただし、法制度上整備された投資型クラウドファンディングは、小規模の業者も参入可能なように制度整備(少額電子募集取扱業、電子募集は第一種、第二種金融商品取引業ですが、登録基準が緩和されたもの)されていますが、これらの小規模業者の参入・実績はまだ見られていません。
 このことについて、以下の様な理由が考えられます。
◆少額の金額募集であれば、現在の寄付型(寄付行為に関する金融行政上の規制はない)か購入型(物品の購入を目的としている、eコマースと類似しているが、地域性や商品のコンセプト等に共感する仕組み)が機能しているので、あえて投資型を選択することが少ない。
◆投資型を選択した場合、株式型・ファンド型それぞれ自主規制に合わせた対象企業の審査が必要になるが、これは業者にとっても資金調達企業にとって負担がそれなりに大きい。
◆投資ということになると、クラウドファンディングの特徴である共感を呼ぶ以外に、企業を投資勧誘する必要があるが、ネット上でのこれらの投資勧誘手法は確立しているとは言い難い現状である。

インターネットを利用した資金集めとして期待されているクラウドファンディングですが、一般の個人の参加を前提とする投資型が広まるには、まだ工夫が必要なようです。

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銀行の証券業務について(4月27日)
 銀行や郵便局の店頭で、投資信託を販売することはもはや当たり前の風景となっていますが、銀行(金融機関)における証券業務について、改めて見直してみます。

先ず、金融機関による証券業務は、金融商品取引法第33条第1項によって有価証券関連業及び投資運用業は原則禁止されています。これは、旧証券取引法からの銀行業務と証券業務を分離した所謂銀証分離規定を引き継いだもので、次の趣旨がありました。
① 銀行の証券取引リスク増大の防止及び預金者保護
② 銀行業務による顧客情報を有する銀行が、同じ顧客の証券取引を行う場合の利益相反の防止
③ 銀行による過度の産業支配防止など。
しかし、我が国の経済環境や金融市場の変化によって、銀行が対応可能な証券業務が実際に順次拡大してきいます。

☆ 銀行の証券業務について
・法制度上の沿革
・個人投資家との関係
・法人関連ビジネスとファイアーウォール
・新たな方向性について
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証券税制の変遷とその方向性(3月15日)
  ☆ 証券税制の変遷とその方向性
税制の変更は、個人の投資行動に大きな影響を及ぼしています。譲渡益課税の軽減措置が終了する2014年の個人の日本株売買では、8.7兆円を超える金額が売り越されましたが、その直後から始まった非課税投資のNISA(少額非課税投資制度)では、昨年9月まで957万口座、5.8兆円(金融庁調べ)の投資資金が流入しています。
この個人の投資に関する税制がどの様に変わってきたか、主要な項目別に見直して見ますと、次の様なものです。
〈キャピタル・ゲイン課税の変遷〉
 戦後の所得税制の基点は1949年のシャウプ勧告に拠りますが、利子・配当・譲渡益も一旦全額総合課税とされました。しかし、資本が脆弱な当時の日本企業への投資を促す為に、1953年から原則有価証券譲渡益は非課税とされ、1961年に一定の大口取引が課税化されたものの、日本経済の高度成長期を経て、原則非課税は1988年まで続いていました。なお、この原則非課税制度に伴って、取引金額に課税する有価証券取引税制度が導入されていました。(1999年に廃止)
1988年度からは、原則譲渡益課税に変わりましたが、申告分離課税(税率26%)か源泉分離課税(売買代金の1.05%)が選択できる2者択一の制度が取り入れられ、この制度は2002年まで続きました。
2003年からは、源泉分離課税方式が廃止され申告分離に一本化されましたが、税率は20%に引き下げられました。なお、景気対策として同時にこの譲渡益課税に対する軽減措置が取られ、10%課税が昨年末まで続いていましたが、2014年から本則の税率20%に戻っています。
〈非課税投資制度の変遷〉
 「マル優」制度(少額貯蓄非課税制度、別途国債投資に限った特別マル優制度があり)が1963年に始まり1988年まで存続しており、公社債や公社債投信に加え1972年からは株式投信も投資残高300万円まで非課税の対象となっていました。この制度は、1988年に高齢者(65歳以上)・障害者・母子家庭向けに限られ、同制度は2005年を持って廃止されました。
一方、2001年10月には景気刺激策として一時的な投資の為の非課税措置が取られ、2002年中に購入した1000万円までの株式を2年間保有した場合(2007年末まで)、100万円までの株式を1年間保有した場合(2005年末まで)、それぞれに限り非課税とするものでした。また、目的が個人年金資産形成に限られますが、2001年10月から確定拠出年金制度(日本版401K)が始まっており、毎月の拠出額に上限があるものの残高の制限がない非課税投資制度とも言えました。なお、2014年から始まったNISAに関しては、取りあえず制度期限10年間の暫定的導入とされています。
〈配当課税について〉
 1965年に、1銘柄年5万円以下(1974年に10万円以下に引き上げ)の申告不要制度(税率10%)、1銘柄年50万円未満の源泉分離選択課税制度(税率15%)が創設され、その後、税率が段階的に引き上げられましたが、2003年に上場株式等の申告不要制度(税率が原則20%、但し軽減措置が昨年まで実施され10%)の導入に伴い、両制度は廃止されました。
 
また、貯蓄から投資へという政策テーマは、ここ20年来いわれ続けていますが、その政策的な目的は、次に上げるようなことがあります。
○投資による個人の資産形成=新規の投資家層の育成目的
 NISA(少額非課税貯蓄制度)の恒久化や利便性の拡大が、今後図られることが予想されます。また、確定拠出年金制度の利用者が、専業主婦や公務員・中小企業の従業員にも利用しやすい制度へ改善されていますが、個人の老後に必要な金融資産形成に役立つことが期待されています。
○金融所得一体課税への取組み=既存の投資家層の一層の投資促進
 2016年より、株式や公募投信と債券の売買損益が通算(配当金や利子も含めて)出来るようになりましたが、これにデリバティブ取引や預貯金の利子所得も合算して申告分離課税(税率20%)されるのが、金融所得一体化の取りあえずのゴールです。市場関係者からは、既存投資家の一層の投資拡大を促す為、損益通算期間(現在3年間)を延長したり、ベンチャー投資など特定の投資を促すエンジェル税制の拡充に期待する声も高まっています。
○世代間金融資産移転の促進=高齢者層から若年層への資産移転
 2016年4月から開始されるジュニアNISAは、親や祖父母などから年80万円(最大5年間で400万円)を上限として非課税(譲渡益等)で投資することが可能な口座です。対象者が18歳までは引き出せません。また、教育資金譲渡信託は、30歳未満の孫や子供の教育資金として、一括して1,500万円まで非課税で贈与することが可能な税制措置です。これらは、祖父母などの高齢者から、若年層や子育て世代に対して資産移転を促す目的をもっているといえます。
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虚偽記載・監査法人処分・課徴金~投資家・株主は企業の不正会計処理からどう守られるのか(2月3日)
 昨年6月末に公表された「日本再興戦略」改定2015において「攻め」のコーポレートガバナンスの更なる強化 が挙げられ、今年度から上場企業での導入が始まったコーポレートガバナンス・コード。日本企業が、国際的にみても高水準の企業統治を行うことで、内外投資家の信頼を高め、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指す動きに弾みがつくはずでしたが、東芝(6502)の不正会計問題(会社側は不適切会計処理と呼称)は、この動きに対して大きな傷跡を残しました。この問題から見える企業の不正会計動向と、監査法人の問題、課徴金などの牽制機能について、以下に纏めてみました。

☆ 虚偽記載・監査法人処分・課徴金~投資家・株主は企業の不正会計処理からどう守られるのか
・東芝の不正会計問題と関係者処分について
・企業の開示規制違反と課徴金について
・監査法人の処分事例と制度的課題
・投資家・株主からみた課題
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個人へ金融商品の募集・取引は、どの様に行われるか~金融商品取引業者が求められるもの(1月14日)
 個人への金融商品の募集(販売)や取引を行う金融商品取引業者が、求められていること(金融商品取引法上の行為規制)について、まとめてみました。

☆ 個人へ金融商品の募集・取引は、どの様に行われるか~金融商品取引業者が求められるもの

次の三つの側面からの対応を金融商品取引業者は求められています。

○募集・取引に当たっての原則
・投資家の資産内容や投資目的に沿って、金融商品を販売すべきこと→適合性の原則
 例えば、投資信託の募集を行う場合、デリバティブなどが組入れられた複雑商品や高齢者への勧誘行為は、日本証券業協会の自主規制ルールによって、この原則を厳格に遵守するための手続きが定められています。
・投資家が金融商品の内容を理解する為に必要な説明を行うこと→顧客に対する説明義務

○募集・取引に当たっての交付する書面
・投資家に対して、募集・取引を行う際、勧誘する業者の内容や手数料、投資リスクなどが記載した書面を、予め交付しておく必要があります。→契約締結前交付書面
 なお、公募の投資信託や株式・債券の募集においては、目論見書が投資家に配布されますが、この場合は、上記の書面交付の必要はありません。(目論見書の内容は、新たに発行される有価証券の内容や発行者に関する情報が記載された有価証券届出書がベースになっています。)
・実際に顧客が金融商品を購入したり取引した場合、その内容を確認する書面を交付する必要があります。(取引報告書 等)→契約締結時交付書面
 なお、継続投資やMRFなどの公社債投信で自動的に取引が継続されるものや、投資一任勘定の契約(ラップ口座など)を行っている場合は、上記の書面の交付が必要ありません。

○募集活動や顧客との取引において禁止されている行為
 実際に金融商品取引業者が顧客との取引に際して、禁止されている行為は、主に次に様なものがあります。
・顧客に対して虚偽を告げること、不確実な事につき、断定的判断を提供すること→虚偽告知、断定的判断等の提供の禁止
・元本を保証したり、損失補填を約束したり、損失発生後の財産の補填をすること→損失補填の禁止
・顧客が望んでいない場合の訪問や電話での勧誘(メールはOK)→不招請勧誘の禁止
 なお、この規制はFX取引など店頭デリバティブ取引が対象となっており、公募の投資信託や株式・債券取引などを、証券会社や金融機関が勧誘する行為は、対象ではありません。
・金融商品の募集や取引に際して、顧客に何らかの別の利益提供を行うこと→特別な利益提供の禁止
など
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個人投資家は、誰に何を頼むのか~金融商品取引業者について(1月7日)
 個人が投資を行う時、誰に何を頼むかについて、以下に纏めてみました。

☆  個人投資家は、誰に何を頼むのか~金融商品取引業者について

・株式の売買や、投資信託・債券の購入、FX取引などを行う時→第一種金融商品取引業者
個人なら誰でも行うことのできる金融商品については、その取扱いは第一種金融商品取引業者となりますが、多くの場合、証券会社の名称を使っています。証券会社名称の利用は必須ではありませんが、逆に第一種金融商品取引業者でなければ証券会社を名乗ることは出来ません。
なお、第一種金融商品取引業者と同じように金融商品を取り扱うことが出来る金融機関を登録金融機関としていますが、主に投資信託や社債の販売などを取り扱っています。

・ファンド(金商法第2条第2項に定める“みなし有価証券”)を購入する場合→第二種金融商品取引業者
 ソーラファンドなど再生可能エネルギー施設やヘルスケア施設の様に地域や社会にとって意味のある事業、ワインやビールなどの醸造、映画製作や大きなイベントの実行などの事業そのものに対して、多くの投資家から資金を集める方法としてファンドがあります。これを自分で組成して投資家に販売したり、以下に説明する投資運用会社等が組成したファンドを勧誘したりするのが第二種金融商品取引業者です。
 なお、第一種金融商品取引業者がファンドを投資家に販売する時には、別途第二種金融商品取引業者として登録(行政に対する)する必要があります。

・投資に関する助言を有料で受けたりする時→投資助言・代理業者
 個人が有価証券への投資を行う際、有料でアドバイス(投資顧問)を行う場合、投資助言業務としての登録を行う必要があります。無料で提供されるアドバイスは、この業務に該当しません。また、投資家がラップ口座などの投資一任契約を結ぶ時、仲介したりするケースは、この業務の代理・媒介業務として、当局への登録が必要です。なお、投資一任契約を結ぶのは、あくまで投資家と投資運用会社であって、アドバイスをしながら投資家の資金を運用する為には投資運用業の登録が必要です。逆のケースも同じですが、投資運用会社の約75%は、投資助言・代理業と兼業しています。

・投資信託やファンドを、直接運用者から購入する場合→投資運用業者
 投資家から資金を預かって、投資信託やファンドで運用するのが資産運用会社です。多くの場合は、証券会社や登録金融機関で投資家に販売されますが、投資運用業者が直接ネットやコールセンターを利用して販売するケースも出始めています。

 なお、上記の4つの業務は兼業することが可能ですが、現在(2015年11月末)全て兼業しているのは21業者に限られています。これは、例えばファンドの組成者と販売者の様に業務間で、投資家との利益相反の可能性が発生することがありますが、兼業に際して業務隔壁や利益相反を起こさない社内態勢整備が求められています。
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日銀によるリスク資産の買入れと補完措置について(12月30日)
 12月18日の日銀政策決定会合において、株式市場へのリスク資産買入れの新たな補完措置が発表されました。日銀は、新たなETF買入れ枠として年間約 3,000 億円の枠を設け、「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」の株式を対象とするETFを買入れるとしています。
市場の反応はいま一つでしたが、アベノミクスで企業側にコーポレートガバナンス改革、機関投資家にスチュワードシップコート導入と日本市場の変革を後押しする施策であることは明らかです。
市場に政策的な需要が入ることは、本来市場関係者の嫌うところですが、リーマンショックや東日本大震災の影響で日本市場が大きなダメージを受けていた中、2011年12月15日からETFやJ-REITに対する日銀の買入れが始まり、当初ETFが1兆円、J-REITが300億円という年間買入れ枠は、昨年10月の日銀政策決定会合でそれぞれ3兆円、900億円に増額され、来年買入れが継続されます。この政策についても、いつか出口(EXIT)があるでしょうが、現状は市場を支えていることも事実です。その状況と、補完措置について以下に纏めてみました。

 ☆ 日銀によるリスク資産買入れ状況
 ☆ 公的株式等買入れ状況と日銀補完措置
 
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平成28年度税制改正から、個人の投資に係るもの (12月23日
 自民党・公明党の消費税軽減税率問題も着地した12月16日に、平成28年度税制改正大綱が自民党・公明党から公表されましたが、その中から個人の投資に関係する部分について、以下に書き出しました。
なお、業界等の要望を金融庁が8月末に纏めた平成28年度税制改正要望と比較してみました。

☆ 平成28年度税制改正大綱~個人の投資に係るもの

 注目すべきは、金融所得課税の一体化が何処まで進むかでしたが、来年から始まる株式等(含む投信)と債券の売買損益通算に加えて、デリバティブ取引(FX取引やオプション取引など)も加わることでしたが、検討事項として先送りされています。また、NISA(少額非課税投資制度)については、制度の恒久化も期待されていましたが、まだ制度開始から2年しか経っていないことや来年からジュニアNISAも始まることもあって、口座開設面での利便性向上に留まった改正となっています。
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金融行政方針と個人投資家~市場や証券会社は何を求められているのか (12月3日)
「平成27事務年度金融行政方針」が9月18日に金融庁より公表されているが、その中から個人投資家に関連した部分を取り上げる一方、個人投資家の現状と今後の変化について、日本証券業協会が毎年実施してる「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」(平成27年度分は、10月16日公表。以下個人意識調査)などから、個人投資家の実像についても以下に纏めてみた。

☆ 金融行政方針と個人投資家~市場や証券会社は何を求められているのか
・金融行政方針での個人投資家関係分の全体像
・NISA推進について
・その他個人投資関連税制に関するものと行政方針
・証券会社等の課題
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投資助言・代理業について~資産管理型ビジネスの先導役として(11月4日)
 最近リテール証券会社が注力しているものとしてラップ口座がありますが、投資家との間で投資一任契約を結ぶ必要があり、これに対応するためには投資助言・代理業としての体制整備が必要です。元々は投資助言・代理業は投資顧問業として証券会社の業務から派生したものですが、顧客との利益相反を避ける為に証券業務から分離された経緯があります。この業務は、金融商品取引法第28条3項に定義され、かつ金融商品取引業者としての登録制が必要です。また、このライセンスだけではファンドの販売や運用は出来ません。例えば、2015年10月に、積極的に個人向けヘッジファンド投資の広告やCMなど行っていた業界大手のアブラハム・プライベートバンクに対して、投資助言・代理業の業務範囲を逸脱し、第1種若しくは第2種金融商品取引業の登録が必要な海外ファンドの販売を実質的に無登録で行ったとして、当局は行政処分を行っています。
 ただし、投資助言・代理業がこのラップ口座推進の為の先導役として重要なことも事実です。この投資助言・代理業の現状について以下に纏めました。

☆ 投資助言・代理業について~資産管理型ビジネスの先導役として
・投資助言・代理業の概要
・投資助言業務について
・業際問題における留意点について
・業者の分化と業としての成長性


始まった株主コミュニティ制度(10月28日)
 証券会社が取扱う未公開株制度はグリーンシート制度がありましたが、段々取り扱う証券会社が減少し、また銘柄に対する市場のメンテナンス・市場機能も十分でなかったことから、平成30年3月末をもって同制度が終了します。
 一方、新しい制度として株主コミュニティ制度が今年6月より始まっており、8月下旬には今村証券がYKKを始めとする地元(北陸地方)有力企業11社の株主コミュニティを組成しています。また、10月下旬には島大証券(富山)が5社(今村証券銘柄と重複)で同制度を始めます。
実際の売買が起きたのは、立山黒部貫光と北陸鉄道の2銘柄のみですが、同制度について簡単に現状を纏めます。
【利用する未公開企業側のメリット】
○既存株主の売却ニーズ(相続等)を証券会社に任せて処理することが出来る。
○地域に根差した企業の株主優待制度など、地元利用者にアピールすることが出来る。
○金融商品取引法開示に対応しなくてもよく、情報開示に伴うコスト負担が少なくて済む。

【株主コミュニティを組成する証券会社のメリット】
○地元大手未公開企業をサポートすることで、株主対策如いては資本政策等に関与する可能性が高まる。
○地元大手未公開企業の投資に関する職域ビジネス(職場NISA、確定拠出年金制度 等)に関与することが出来る。
○地域密着を顧客・地元企業双方にアピールすることが出来る。

【同制度定着の為のポイント】
○同制度を取り扱う証券会社にとって、社内の体制整備等に掛かるコストを、参加する企業側にフィーとして転化できるかどうかが制度拡大のポイント。

 この制度の主旨は大変良いと思いますが、グリーンシート制度の轍を踏まぬように、証券会社としてこの制度を行うことが証券ビジネスとして成りたつ必要があります。その為には、たまに発生する売買では証券会社にとっての収益確保には不十分なので、地元企業の株主構成の変化に伴う株式の売出しや、ファイナンスに利用していくことに、同制度の利用の重点を置いていくことが考えられます。

また、この制度は地域に密着した地方証券会社などが利用していくことが考えられますが、制度定着の為には、株式の決済を上場株式と同様に証券保管振替機構で取り扱ったり、情報提供のインフラを日本証券業協会が整備する等の支援策も必要ではないかと考えます。

☆ 株主コミュニティ制度の現状と可能性

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平成28年度税制改正要望について~投資に関係するもの(2)(9月17日)
 前回は、平成28年度の投資に関する税制改正要望(金融庁)で、主要な部分をお伝えしましたが、今回はその他の部分を纏めてみました。

【上場株式等の相続税評価の見直し】
○上場株式等の相続税評価の見直しを行うこと
≪背景≫
・現在の評価
課税時期(相続の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)の最終価格によって評価します。 ただし、課税時期の最終価格が、次の三つの価額のうち最も低い価額を超える場合は、その最も低い価額により評価します。
1 課税時期の月の毎日の最終価格の平均額
2 課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額
3 課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額
≪課題≫
 上記の様に相続時に評価されるが、上場株式や公募投資信託にとって、相続時から納付期限までの期間(10ヵ月)の価格変動リスクが考慮されていない。

【確定拠出年金制度の見直しに伴う所要の措置】
○確定年金制度(DB)について、安定的な財政運営ができる環境の整備
○運用リスクを事業主と加入者で柔軟に分け合う仕組み(所謂ハイブリット型制度)の実施
≪課題≫
確定給付企業年金の運営について、現行では負債の額を超える掛金の拠出 が認められていません。このため、結果として、景気が悪化し企業業績が悪い ときに追加拠出が求められることになり、企業経営に多大な影響を与えています。
≪対応策≫
-あらかじめ確定給付企業年金の財政悪化を想定した掛金の拠出 を可能とすること
-確定拠出型年金と確定給付型年金の特徴を併せ持ついわゆるハイブリッド型の企業年金の仕組みを実施可能とすること

【結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の拡充】
同制度は、平成27年4月から始まっているが、
○非課税の対象となる資金使途につき、以下の拡充を行う。
≪拡充する資金使途≫
・不妊治療費のうち、薬局に支払う医薬品代
・産前産後の母親の医療費、薬局に支払う医薬品代
・母親の産後健診費用
≪現行の資金使途≫
(結婚関係)・挙式等費用 ・新居の住居費 ・引越費用
(妊娠・出産・育児関係)・不妊治療費用 ・出産費用・産後ケア費用 ・子の医療費 ・子の保育費(ベビーシッター費用含む)
 
【投資信託等に係る二重課税調整措置の見直し】
○二重課税の調整を図ることにより、多様な資金運用方法の提供に向けた制度 の整備・定着を図ること
≪課題≫
現在、投資信託等が国外で支払った税金は、受益者に支払われる収益分配にかかる源泉徴収額から控除することで、国内外での二重課税を調整するという措置が取られています。 しかし、証券会社等が源泉徴収義務者となる場合については、二重課税が残存するという状況が続いています。従って、現行の二重課税調整措置を見直し、できる限り効率的・効果的に二重課税を排除できる仕組みを設けることで、投資家の多様な資金運用方法を確保することが必要です。

【「信託に関する受益者別調書」を不要とする措置】
○信託を利用した自社株活用型のインセンティブ・プラン(日本版 ESOP 信託)にかかる税務申告上の負担軽減の観点から、相続税法において提出が義務付けられている「信託に関する受益者別調書」の提出を不要とする措置を講じること
≪現状≫
日本版 ESOP 信託を導入する企業において、企業の従業員が受益者となる場合、信託財産の給付に対しては、給付の性質に応じて給与所得又は退職所得として導入企業(委託者)において源泉徴収を行い、「源泉徴収票」を税務署に提出しています。 一方、相続税法の規定により、受託者は別途税務署に従業員ごとの「信託に関する受益者別調書」を作成し提出することが必要とされています。

その他、
【上場株式等の口座間移管に要する「移管依頼書」等の記載事項の見直し】
【非居住者への相続に係る譲渡所得課税に関する所要の措置】
など、実務的なものも上げられています。
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平成28年度税制改正要望について~投資に関係するもの(1)(9月15日)
 8月末に、金融庁より「平成28年度 税制改正要望項目」が公表されていますが、投資に関係するものについて、その背景と要望内容を以下に纏めてみました。

【金融所得課税の一体化(金融商品に係る損益通算範囲の拡大)に向けた要望事項】
○投資家が多様な金融商品に投資しやすい環境を整備し、証券・金融、商品を一括して取扱う総合取引所の実現にも資する観点から、金融商品に係る損益通算範囲をデリバティブ取引・預貯金等 にまで拡大すること
≪背景≫
 過去の税制調査会などで、方向性としては個人の金融所得一体化は決まっていますが、今までは政府
(財務省側)の回答として、意図的な租税回避の防止に十分留意した上で、進めるとされていました。
例えば、株式や投信などと債券投資の損益通算は、平成28年から認められますが、デリバティブ取引を含めることが課題でした。
 現在は、株式投資や投資信託の損益が通算できますが、来年からは外債投資の損益も個人の投資損益として通算できます。要望事項が認められば、これにFX取引などの損益も通算できるということで、個人の金融商品選択の幅が拡がることが期待されます。
 
【NISAの利便性向上に向けた要望事項】
○ NISA口座開設時の重複口座の有無の確認方法として、平成30年以降一律に個人番号のみを用いること とし、 住民票の写し等の提出を不要とすること
○ 現在、NISA口座を保有している者が定期的に求められる重複口座の確認について、マイナンバー制度開 始以降、金融機関に対して個人番号の告知を行った場合には、次回以降の確認は不要とすること
≪背景≫
平成26年から開始されたNISAが、以下の様に制度が拡大されています。
・年間非課税投資枠の拡大(100万円→平成28年分より120万円)
・ジュニアNISAの開始(平成28年分より、年間80万円の非課税投資枠)
この様に拡大しているNISAですが、実際の口座開設には口座重複を避ける目的で住民票の写しが必要です。加えて、来年からのマイナンバー制度が始まれば、その個人番号の提出も求められます。この様な、口座開設の煩雑さを避ける目的の要望事項となっています。

【マイナンバーの導入に伴う手続きの簡素化に関する要望事項】
○ 顧客に交付する税務書類(特定口座年間取引報告書、配当の支払通知書等)の写し について、漏えいリスクの観点から個人番号の記載を不要とすること
○ 証券口座開設手続き等の際に個人番号の告知を行った者が、その後、同一の金 融機関において個人番号の告知を必要とする他の口座開設手続き等を行う際には、 再度の番号告知及び番号確認の書類の提示を不要とすること
≪背景≫
マイナンバー制度を活用し、投資に係る各種税務手続の簡素化を図ることは、同制度の基本理念にも適うとしています。

 
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新たに始まる未公開株取引制度について~「投資型」クラウドファンディングと株主コミュニティ制度(6月8日)
 何度か取り上げていますが、新たな未公開株取引制度が開始されましたので、以下に取りまとめました。
同制度は、金融商品取引業者の業務として規定されていますが、新たな業務の登録申請等(金融庁、財務局への)が必要な為、実際のスタートは数ヵ月先になるのではないかと思われます。

☆ 新たに始まる未公開株取引制度について~「投資型」クラウドファンディングと株主コミュニティ制度
・新たに始まる未公開株取引制度について
・クラウドファンディングへの懸念
・未公開株取引制度の概要
・「投資型」クラウドファンディング業務
・少額電子募集取扱業務(投資型クラウドファンディング)
・電子募集取扱業務
・投資型クラウドファンディング制度の概要
・投資型クラウドファンディングの実務上のポイント
・投資型クラウドファンディングにおける審査
・投資型クラウドファンディングにおける募集情報発信
・投資型クラウドファンディング推進のポイント
・株主コミュニティとは何か
・株主コミュニティ実施の主な課題
 
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いよいよ始まる電子募集取扱業務~投資型クラウドファンディング開始に向けて(5月26日)
 平成26年度金融商品取引法改正において、”投資型”クラウドファンディングの為に制度導入された【電子募集取扱業務】がいよいよ5月末より始まります。クラウドファンディングはマスコミに取り上げられることも多いのですが、このうち有価証券に投資する”投資型”は【電子募集取扱業務】の内の1投資家50万円以下、総額1億円未満を【少額電子募集取扱業務】とし、株式や債券などで募集するものを第1種少額電子募集取扱業者、ファンド形式で募集するものを第2種少額電子募集取扱業者としています。

 この新しい制度となる【電子募集取扱業務】について、その概要をなるべく簡単に説明します。
(関係法令や同法令に関するパブコメ回答より)

・募集する対象は、未上場の有価証券や通常の金商法開示(有価証券届出書制度など)の適用除外となる有価証券(金商法第3条)
・電子募集取扱業務とは、インターネットを利用する方法による上記の有価証券の募集の取扱いや募集後のメンテナンス(保管や投資家への情報提供)業務など
・この業務を行うものは、以下を義務付け
① 発行者に対する審査=財務状況や事業計画の内容、資金使途などの適切な審査を行うこと
② 発行者による投資家への情報提供の強化=ファイナンス後、事業の状況について発行者からの情報提供体制を確保し、この情報を投資家に提供すること
③ クーリングオフ=投資家の申し込みより8日間のクーリングオフ期間が確保されていることを投資家が確認できる措置
④ 目標募集額の取扱い=事業計画からみて適切な募集額なのか確認するとともに、目標募集額に達しなかった場合や超過した場合の措置を明示
⑤ 発行総額等の制限の実効性の確保=第1種・第2種少額電子募集取扱業務(投資型クラウドファンディング)では、1投資家50万円以下、総額1億円未満の制限があるが、短期間に同一の発行者が同様のファイナンスを繰り返さないなど、制限のしり抜け行為を防ぐ措置をとること
⑥ ウェブサイト上の情報提供=金融商品取引業者として、商号・業務の種別・登録番号・加入している協会等をウェブサイト上で表示すること
・電子募集取扱業務は、金融商品取引業者の業務として定められており、既存の金融商品取引業者が同業務を行う際、問い合わせを電話や店頭で受けてもよいが、投資家の申込み手続きが全てインターネット上で完結する当業務を行うことは、【電子申込型電子募集取扱業務】と定義され、以下のことが義務付けられる。
  ●同業務に関する社内規則の整備
   ●ウェブサイトや契約締結前書面において以下の情報提供を行うこと
 >発行者に対する審査の内容及び結果、クーリングオフ関連事項、目標募集額に達しなかった場合の応募代金の取扱い、募集代金の管理方法、リスク説明(電子申込型電子募集取扱業務に関するリスク、発行者の事業に関するリスク、市場リスク、信用リスク)、発行者に関する情報、事業内容・計画・資金使途、手数料や報酬その他の対価

 この新しい【電子募集取扱業務】が、6月から金融取引業者の業務として始まるのですが、投資型クラウドファンディングは別にしても、インターネット上で有価証券の募集を完結させることが既存の証券関連ビジネスにどう影響を与えていくのか、注目されるところでもあります。
 
 
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証券ビジネスの課題~証券検査の重点検査事項より(4月10日)
15年ぶりに2万円の大台回復となった日本市場ですが、市場に携わる証券ビジネス(金融商品取引業)の課題を、環境が好調な今、改めて見直していました。
 
☆ 証券ビジネスの課題

上記は、証券取引等監視委員会「平成27年度証券検査基本方針及び証券基本計画」より、証券検査における検証事項を纏めたものですが、以下の様な最近の問題が背景となっています。
・増資インサーダー事件の様に、証券会社や金融機関が情報を流したことで発生したインサイダー取引
・増加しているDMA(Direct Market Access=顧客が証券会社の発注システムから直接取引所へ発注する方法で主にHFT(高頻度取引)を行う海外投資家などが利用する)における証券会社の不公正取引チャック問題
・新規株式公開において、上場直後から業績下方修正を行う企業に対する主幹事証券の公開審査等の質の問題
・空売り規制に対する一部海外投資家の遵守についての疑義
・一部ファンド業者による顧客資産分別管理の不徹底や流用
・FX業者における自動売買システムでの顧客とのトラブル 等  
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投資型クラウドファンディング制度の概要(3月24日)
 先に投資型クラウドファンディング(少額電子募集取扱業務)に関する法制度の概要はお伝えしましたが、日本証券業協会による【株式】投資型クラウドファンディング業務に関する規則案(自主規制)が先月末に公表されましたので、この投資型クラウドファンディング制度の概要を以下の資料に纏めました。

☆ 投資型クラウドファンディング制度の概要
・投資型クラウドファンディング制度の概要
・投資型クラウドファンディングの実務上のポイント
・投資型クラウドファンディングにおける審査
・投資型クラウドファンディングにおける募集情報発信
・投資型クラウドファンディング推進のポイント

 協会の自主規制案も、先の法規制案と共に現在パブリック・コメントに付されており、5月末までの施行が予定されていますが、投資型クラウドファンディングを行う業者は、その後に少額電子募集取扱業者として登録申請しますので、実際の同業務開始は10月以降・年内目途かと予想されています。
 この業務は、Webやメールで募集活動を行う全く新しいファイナンス手段となりますが、クラウドファンディング独特の共感や支援を呼ぶプロモーション活動を行いながら、一方では投資家保護の対応を取っていくことが必要です。新規・成長企業へのリスクマネー供給手段(アベノミクスの成長戦略)として、今後、業界の取組みが注目されています。
 
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株主コミュニティ制度とは何か(3月14日)
一般の方々には分かり難い言葉かも知れません。これは、アベノミクス成長戦略において、新規・成長企業へのリスクマネー供給を促す施策として、投資型クラウドファンディングと共にあった新たな非上場株式取引制度をネーミングしたものです。
 個人も利用できる未公開株式を取引する制度で、証券会社が業界の自主規制ルールに基づいて運営する新たな制度です。現在、日本証券業協会による規制案がパブリック・コメントに付され、本年6月からの制度開始を目指しています。

☆ 株式コミュニティとは何か
・未公開株取引制度の概要
・株主コミュニティとは何か(制度案より)
・株主コミュニティ実施の主な課題

 当制度は現在あるグリーンシートに替わる制度ですが、グリーンシートと大きく異なるのは、取引可能な投資家を株主コミュニティとして1社の証券会社で纏めて管理する方法が取られています。それだけ株主コミュニティを運営する証券会社の責任が重くなったようです。グリーンシート制度の失敗理由の一つに、証券会社として取り扱う魅力(収益性)が無くなっていったので参加する証券会社が減少したことが上げられていますが、この新制度が定着するよう業界上げての努力が必要にも思えます。新規・成長企業へのリスクマネー供給に証券業界としての本気度を問われているということかも知れません。  
 

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「投資型」クラウドファンディングに関する規則案(証券会社、金融機関向け)(2月23日)
 「投資型」クラウドファンディングに関して実務的に検討されたり、準備されている方、若しくは証券会社や金融機関の方々向けに、実際の「投資型」クラウドファンディングがどの様なものなのか、改正金商法及び内閣府令案などから法規制の現状を2月13日に公表された“金融商品取引業等に関する内閣府令改正案”より以下に纏めてみました。

☆ 「投資型」クラウドファンディング業務

 上記では、「投資型」クラウドファンディングは少額電子募集取扱業者として定義されていますが、金融商品取引業者であることにかわりなく、求められる必要な態勢整備を考えていくとき、ある程度の組織規模は必要ではないかと考えます。(勿論、現状の「共感」を呼ぶクラウドファンディングから、投資に利用するように進化させていくのであれば、より一層の投資家保護がクラウドファンディング業者にも求められる事は当然と考えます。)  
 

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更なる個人の投資拡大へ~新たな税制改正とその背景(2月4日)
 税制は個人の貯蓄に大きく影響しますが、年初に閣議決定された平成27年度税制改正大綱より、個人の投資に関する部分を見ますと、次の政策意図を強く感じます。

◎非課税投資枠の拡大
◎世代間資産移転の推進
◎若年層の資産形成支援

「貯蓄から投資へ」の政策は、もう随分久しく掲げられていますが、国民全体の金融資産の在り方からみれば、それほど進んでいないのもまた現実です。しかし、上記の様な政策意図を実現する為に、今回の税制改革では、NISA(少額非課税投資制度)と確定拠出年金制度(日本版401K)が強化されています。
NISAは、英国の同様の制度。確定拠出年金制度は米国の401Kプランをお手本としたものですが、投資による個人資産形成を目指したもので、両国の制度はそれぞれ一定の役割を果たして成功しているとされています。

☆ 更なる個人の投資拡大へ~新たな税制改正とその背景
・新たな税制改正が目指すもの
・「貯蓄から投資」へは進んでいるのか
・個人の投資に対する意識と投資への窓口
・2020年に向けた更なる施策の可能性
 


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個人の投資に関する平成27年度税制改正〔速報版〕(1月13日)
昨年12月30日に与党の平成27年度税制改正大綱が公表されましたが、その中から個人の投資に関するものの概要を示します。(今後は、政府税制改正として今月中旬にも閣議決定される予定)

☆ 個人の投資に関する平成27年度税制改正
・NISA(少額投資非課税制度)の拡充として、ジュニアNISA制度創設やNISA年間投資上限の引上げ
・確定拠出年金制度の拡充として、主婦や公務員の制度参加を新たに認め、中小企業が参加しやすい仕組みを創設へ
・世代間の資産移転を促進する為、教育資金贈与信託を3年強延長し、新たに結婚・子育て資金の贈与税の非課税制度も創設
・エンジェル税制の充実の為、戦略特区政策での運用を特区目的に沿って一部認める。

など


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新規・成長企業へのリスクマネー供給拡大に向けた施策の現状(11月12日)
前回、長めの文章になりましたので、その背景について簡略図化しました。

☆ 新規・成長企業へのリスクマネー供給拡大に向けた施策の現状

 図にコマに示しました其々の施策が有効に機能していく為には、それぞれの施策の連携・連動が必要との指摘を前回しましたが、ベンチャー企業からIPOまでの投資の成長ストーリーも必要です。

 誰がその“投資の成長ストーリー”支援をビジネスとして行っていくかといた視点も、また必要ではないか考えます。


 
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日本市場の成長戦略を見直す~「金融・資本市場の活性化に向けて重点的に取り組むべき事項(提言)」はどこまで進んでいるか(11月3日)
 10月末日の日本銀行による追加緩和策に、多くの市場関係者はサプライイスしましたが、その目標実現には成長戦略の実行が不可欠なことは周知の事となっています。
 今まで、大きくは2度、その後は各施策に対する実行策が随時出されていますが、金融・資本市場の成長戦略は、株式市場上昇のみならず業界全体の成長戦略となる可能性もあり、業界全体でその成長戦略の成果を享受できるよう種々の施策への取組みを実現していって欲しいものです。

その期待を込めて、標記の現状を見直してみました。

☆日本市場の成長戦略を見直す~「金融・資本市場の活性化に向けて重点的に取り組むべき事項(提言)」はどこまで進んでいるか
・2020年の国際金融センター日本
・企業の競争力の強化・起業の促進
・豊富な家計資金と公的年金等が成長マネーに向かう循環の確立
・そして成長戦略は日本の投資をどう変えるか

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リスクマネー供給強化政策とその現状について(10月19日)
最近はアベノミクスの成長戦略に対する市場の見方も多少厳しさが増しているように思いますが、既に1年半以上相場に影響を及ぼしてきた政策も、次の展開や実務的な進展などが求める動きが強まっています。
 資本市場に関する政策の中心の一つは、“新規・成長企業へのリスクマネー供給を増やす”ということでしたが、これは次の3つの政策目標を掲げたものでした。
① “投資型”クラウドファンディングの制度整備
② 新しい非上場株式の取引制度を整備する
③ 新興企業などが株式新規上場(IPO)を実行しやすいよう制度的な負担を減らす

 現在は、各項目で以下の様な状況です。

① については、金融商品取引法で新規・成長企業の資金調達をインターネット上で行う行為を“電子募集取扱業務”として定め、特にクラウドファンディグを意識した1投資家50万円以下・総計1億円までのファイナンスを“少額電子募集取扱業務”として、同業務への参入を促す目的で業務への参入基準を引き下げています。但し、実際の業務を開始するのは来年4月以降とみられており、それまで業者の自主規制を実務的に定める検討が業界団体で行われている段階です。
なお、クラウドファンディングに関しては世間一般の関心が非常に高いのですが、現状の在り方は“寄付”や“商品購入”を目的としたもので、投資を目的にした“投資型”は将に制度度整備中(日米、共に)です。最近は、地方公共団体などが地元企業や産品育成の為、クラウドファンディクを利用しようとする動きが増えていますが、これはeコマース・マーケッティングに近いもので、地元企業にリスクマネー供給を促す“投資型”クラウドファンディングへの取組みは、これからの課題です。

② については、もともと現在の一般投資家が参加可能な未公開取引制度であるグリーンシート市場が、ごく限られて業者の特異な市場となって、今後の同市場発展が望めない状況となっていました。この制度に代わり、多くの証券会社が取扱い可能な未公開株取引制度を整えようとしています。そのイメージは、証券会社がその未公開企業の株式を取引可能な投資家リストを作成し、その限られて投資家の範囲で売買やファイナンスを行うというものです。投資家は、その企業の関係者・取引先やサービスや商品の利用者など企業内容や事業をよく知る者に限るとされていますが、この制度も実務的なことは業界団体で現在検討され、来年4月以降に制度が始まる予定です。

③ については、米国のJOBS 法でも同じような動きがあり、上場企業も含めて企業・上場企業の開示負担(企業開示に係るもの)を軽減しようとしています。具体的には、新規上場企業の内部統制報告書の監査義務を3年間免除したり、新規上場に伴う財務内容の監査年数を実質的に縮小するような取組みが行われています。また、成長企業が上場し易いように新興市場の株主基準を引き下げる取引所の緩和もなされています。

以上の新規・成長企業へのリスクマネー供給は、基本的な枠組みは出来上がったものの、実務上の詰めを現在行っているという段階ですが、効果が期待できる施策とする為、次のようなことがポイントとなるのではないかと考えます。

○各施策の繋がりが重要で、一環した成長ストーリーを語れる業者の取組みが必要です。
例えば、
”投資型”クラウドファンディングで資金調達→新未公開取引制度で売買、増資など→新興市場への上場
という成長ストーリーとそれを一環してサポートする証券会社や金融機関の取り組みなどが求められます。
○上記を証券会社や金融機関のビジネスとして行う為には、その業務の効率性が求められるますので、
・インターネット環境の利用
・対象企業を取り巻くコミュニティの活用
の重要性が増します。  
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金融商品仲介業の現状~改訂版2 (10月9日)
金融商品仲介業(証券仲介業)制度が出来てから今年で10年経ちました。投信などの金融商品の販売チャネルの拡大という政策目標の他に、米国型の顧客に密着した独立性の高い金融サービス提供者としての期待もありました。
 現在、仲介業者としての存在感は金融機関が大きいのですが、大手金融機関による系列証券の仲介、地域金融機関による大手証券からの外債販売仲介などが中心です。一方、期待されている独立系の仲介業者も増加傾向となっています。独立系仲介業者の証券外務員登録数は2010年には2,000名程度でしたが、最近は3.300名を超えてきています。この数字は、大手証券1社程度の営業員数程度ですが、より個人投資に密着した投資サービスを提供することが期待されています。
 その仲介業者の現状について約2年前にレポートしていますが、最近の状況を加え、以下の改定版を示します。

☆ 金融商品仲介業の現状~改訂版2
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電子募集取扱業務とは何か (9月27日)
前国会で成立しました改正金融商品取引法では、新たに“電子募集取扱業務”という金融商品取引業者(証券会社やファンド販売業者)の新たな業務が規定されました。(改正金商法第29条の2第1項第6号)
 これは、一言でいうとインターネットを利用して有価証券の募集・私募の取扱いを行うことですが、機能としては以下のものが中心になります。

○インターネット上でファイナンスの為に企業の情報を伝える
○インターネット上で投資ニーズを集める
○インターネット上でファイナンス手続きを完了させる

 この制度は、元々は“投資型”クラウドファンディングの解禁に向けて制度整備されるものですが、この部分は、調達額は1億円未満で1投資家50万円以下のファイナンスの場合、少額電子募集取扱業務とされ、実務的なことは自主規制として業界で以下の方向で今年度中に制度整備が予定されています。

☆  投資型クラウドファンディングの構成

 なお、少額でないものは通常の企業ファイナンスの手続き(有価証券届出書の提出等)を取る必要があります。但し、資金調達企業が有価証券届出書(その後の継続開示を含む)を行えば、従来の公募増資や第三者割当てとは異なるファイナンス方法として利用されていく可能性もあります。その為には、証券会社やファンド販売業者などが、引受行為の伴わないファイナンスとして、この電子募集取扱業務をどの様に取り扱っていくか議論が待たれます。
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個人を無理なく投資家にする方法 (9月17日)
 どうして個人が投資リスクを取らなければならないか、余り哲学的な論拠や政策的必要性を述べるつもりはありません。ただ、証券会社や金融機関にとって新たな個人投資家層獲得は常に変わらぬ経営課題なので、業界内の現在の考え方について、少し簡単に整理してみます。(※既に投資家の個人ではなく、新たに投資を始める個人を増やす為に)

◎会社を通じて
最も期待されているのは、確定拠出年金制度(DC)です。現在、既に500万人を超える方々が加入しており、8兆円を超える資金が個々人の指示で運用されています。しかし、この内約6割が貯蓄型商品となっており、この分は投資をしてるとは言い難い状況でもあります。
今、確定拠出年金制度改革の議論の中では、投資商品に慣れない個人の為、最初から投資信託のような投資商品を一定比率割当ててしまうことが検討されています。勿論、自分の意思で投資商品を売却して他の金融商品に替えることも可能ですが、最初に投資商品を持ってしまえば、投資家として投資活動を行わざる得ない状況となり、このことが会社を通じて個人投資家を増やす中核になるとの考え方です。
確定拠出年金制度は、会社が半分資金を出してくれて老後に備えた資産形成目的なので、個人が長期の投資リスクを取り易く、新たな個人投資家層出現で最も期待されている部分ではりますが、会社を通じてというところがポイントになります。

次に、業界の一部で期待されているのは、会社を通じたNISA口座獲得です。確定拠出年金が老後資金準備に限られているのに比べ、住宅資金や結婚資金などNISAの非課税投資口座で給与からの天引きで継続投資が出来れば、比較的年齢に若い層にも投資家になってもらえそうです。

会社を通じた資産形成手段は、他に財形貯蓄や持株会などありますが、財形貯蓄はあくまでの貯蓄であって投資とは言いにくいのと、持株会やストックオプションは自社株保有メリットを求めるものなので、個人投資家育成とは別の次元の話となります。

◎祖父母や両親からの資産移転で
  纏まった資金ということなら教育資金贈与信託がありますが、信託で投資商品を買い付けることは可能ですが、贈与を受ける子供や孫は教育関連資金の引き出ししかできないので、新たな個人投資家層育成にはなりそうもありません。しかし、現在検討(平成27年度税制改正要望金融庁)されているジュニアNISAなら、長い目でみると若い個人投資家育成に役立つかも知れません。

◎その他、個人投資家を増やす方法
 基本的には、NISAや確定年金制度を改良して、個人が持続して使いやすいものにすべきですが、業界としては次の様に工夫も必要ではないかと考えます。
・少額で継続して投資を行う投資環境を整える
・投資教育と投資商品が一体化して行われるサービスや投資イベントを実施する。
・投資情報を集約と整理を行い、単に金融商品情報を氾濫させるだけではなく、個々の特性とニーズにあった投資ナビケーション・サービスが生まれることに期待したい。
 
なお、個人投資家支援策としての海外事例や識者のコメントを集約した報告書が金融庁(株式会社野村資本市場研究所受託報告)から示されています。(詳細は以下をご覧ください)

※「家計の資産形成を支援する制度の在り方に関する調査」報告書


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個人投資家へのサポート強化について (9月12日)
個人の金融資産を、投資へ向かわせる施策として最も影響が大きいのは税制ですが、来年度の税制改正分は、“個人の投資に係る平成27年度税制改正要望について(9月4日)”で取り上げました。その個人投資家に対する税制の現状は、個人の投資目的別に以下の通りです。

☆ 個人投資家の投資目的別分類と税制対応

一応、個人投資家の分類は以下のようにしてみました。
○個人トレーダー層=所謂デイトレーダー層ですが、実際に毎日売買されている方々及びその可能性がある(一週間に複数回の売買)方々まで含めると30~40万人程度おられるのではないかと推計されます。(推計根拠は、証券業協会などの個人投資家売買状況などから)
○資産運用層=既存の個人投資家の大部分ではないかと思われますが、持ち株会で自社株だけ保有する方から、金融機関で投資信託や国債だけを保有する方まで多種多様な資産内容となっています。個人株主は約1700万人程度おられるので、何等かの投資を行っている個人投資家は2200万人程度と見られます。なお、証券会社的分け方では、富裕層・準富裕層・一般といった金融資産額に応じた分類をすることもあります。年齢的には60歳台が中心です。
○資産形成層=若年層・投資未経験層を含みますが、投資を通じて資産形成(住宅・老後資金など)を目指す方々です。最近は、資産運用層から教育資金などの資金譲渡を受ける未成年層も対象に加えています。

以上の個人投資家層に対して、証券会社のサポート強化の現状は以下の様なことがポイントとなっています。

・個人トレーダー層に対して⇒ネット証券の手数料競争は一段落していますが、トレーディング機能強化で証券各社の競争が行われています。例えば、自動売買システムや板情報提供の充実、空売り可能銘柄(貸株可能銘柄)の増加などです。
・資産運用層に対して⇒主にラップ口座など資産運用委託口座の充実が中心になっています。また、一部ネット証券では、資産全体を管理するサービスの提供が試みられています。
・資産形成層に対して⇒基本的には少額継続投資の商品や機能充実が中心になります。勿論、確定拠出年金制度充実は、個人の投資資産形成に大きな期待が寄せられていますが、年金制度改革全体の進展も待たれています。また、ジュニアNISA開始やや教育資金贈与信託継続への準備も証券・金融機関各社で取り組まれています。

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個人の投資に係る平成27年度税制改正要望について (9月4日)
各種金融関連団体などから寄せられた平成27年度税制改正要望が、8月29日に金融庁より公表されています。今後、政府・与党で調整された年末の税制改正大綱で決定される段取りとなりますが、その中で個人の投資に係るものについて簡単に取り上げてみました。
 先ず全体のイメージを言いますと、個人の投資に係る税制上の措置については世代間の資産移転を促すような印象が強くなりました。これは既存の個人投資家層が高齢化しているのと、市場から企業などへのリスクマネー供給の為には若年層の投資拡大が必須と考えられているからです。その税制措置要望内容については、以下の様になっています。

◎NISA(少額非課税投資制度)の拡充・利便性の向上
・ジュニアNISAの創設=未成年のNISA口座開設が認められましたが、投資上限額は年80万円でこれを5年間続けることが出来ますので投資元本は400万円まで、他はNISAに準じていますが、対象が未成年なので当然親や祖父母が資金を出すことになります。また、18歳までは途中の払い出しが出来ず20歳になると自動的にNISAに引き継がれます。
・NISA年間投資上限額の引き上げ=いろいろマスコミにも書かれましたが、今年始まったばかりの制度なので、現在100万円を120万円に引き上げられます。要望の根拠は毎月10万円×12ヵ月で若年層が毎月積み立てでのNISA活用ニーズが多いことに配慮したとしています。
・NISA利便性の向上=現在NISA口座開設に必要な住民票の写しを、マイナンバー制度利用前提に不要とすることと、税務当局における口座開設手続きの迅速化です。

※上記については金融庁の”平成27年度税制改正要望項目”に背景説明も含めて詳しく載っています。

◎金融所得課税の一体化(金融商品に係る損益通算範囲の拡大)=既に株式・投信などの損益と債券関連の損益通算は2016年から開始されますが、欧米並みにデリバティブ取引も早期に損益通算範囲に入れること。出来ればマイナンバー制度の利用状況を見ながら預金まで拡大を検討して欲しいことが説明されています。

◎家計の資産形成支援策(教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置の恒久化)=この制度は昨年4月より導入され本年6月末で7.6万口座5,193億円が信託設定されていますが、来年末までの贈与が対象です。これを恒久化するとともに信託より支出の対象となる「教育費」(交通費等を含める)や資金の出し手の「受贈者」(現在、直径卑属に限定)の範囲を拡大することを要望しています。

◎特定口座の利便性向上=本年6月末時点で特定口座は約2,500万口座ありますが、現在出来ない外国株式・外国籍公社債等について、特定口座間の移管が可能とする措置を要望しています。

◎確定拠出年金制度の見直しに伴う所要の措置=確定拠出年金制度は現在「日本再興戦略 改訂2014」に沿って社会保障審議会企業年金部会で制度が見直されていますが、より個人の長期投資を促す為の制度改正が待たれます。今までの要望から、マッチング拠出額の制限撤廃や、専業主婦や公務員などの利用拡大が考えられますが、中小企業が利用しやすいように中途脱退要件を緩和したり、中小企業の事務負担を軽減する仕組みの導入も期待されています。

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プロ投資家とは何なのか~プロ向けファンド規制動向から (8月26日)
最近話題になりましたプロ向けファンド規制の動向から、改めてプロ投資家というものを見直してみたいと思います。

 規制強化議論の対象となったのは「適格機関投資家特定業務」で、1名以上のプロである適格機関投資家が参加するファンドで、49名以下であれば一般投資家も参加することが可能なプロ向けファンドについてです。このプロ向けファンドは、普通のファンドより投資家に情報提供する開示規制が緩やかで、かつファンド販売者に対する行為規制も限られています。2007年9月に施行された金融商品取引法において、ファンド形式(集団投資スキーム)による企業や事業にたいするリスクマネー供給を一層活発化する目的で導入された制度ですが、最近は同業務を行う業者の中には業務執行(出資金の流用など)に問題がある事例も指摘されていました。

・適格機関投資家・・・715(8月1日現在)
・一般投資家・・・多数
・適格機関投資家特例業務業者・・・2,977業者(6月末)

【消費者委員会(内閣府)による提言概要】(2014年4月22日、詳細は提言をご覧ください。他に同様の提言は日弁連・国民生活センターなど)
 プロ向けファンドは、一般投資家(アマ)向けの投資勧誘において重要な、広告規制、契約締結前書面交付義務、契約締結時書面交付義務、断定的判断の提供の禁止、適合性原則等の行為規制が適用されないので次のことを提言。
●プロ向けファンドにおける投資家範囲の見直し
●悪徳業者の排除

これを受け、金融庁は適格機関投資家特例業務関係法令の改正を行い、プロ向けファンドの適格機関投資家以外の販売可能範囲を次の様に定めました。(主なもの)
・資本金5,000万円以上の法人
・有価証券など投資性金融資産が1億円以上の個人
・同、100億円以上の企業年金 など

上記の法令改正案は、この8月1日から施行予定でしたが、ベンヂャーキャピタル業界などからベンチャーファンドが集めにくくなるとの指摘が相次ぎ、現状では施行が見送られています。

 さて、上記の動きはプロ向けファンド規制への動きとしてマスコミで報じられることが多いのですが、この制度は一人以上のプロが投資家としてそのファンド内容をチェックして参加しているなら、少人数に限り一般投資家の参加も良いでしょうという制度なので、プロの投資家としての範囲をどこまで拡大すべきかという議論とは少し異なる議論が必要に思います。

ちなみに、現状では個人がプロ投資家になる為に、次の2つの制度があります。

・個人の特定投資家=金融資産3億円以上で、証券会社に取引口座を1年以上開設している個人は、取引先証券会社に申請し、認められれば特定投資家(プロ)になることが可能です。
(上場会社若しくは資本金5億円以上の企業は、原則特定投資家扱いですが、それ以外の一般企業は各証券会社毎の基準に拠ります。)

・個人の適格機関投資家=有価証券の保有残高が10億円以上あり、証券会社に取引口座を1年以上開設しているか、ファンド(匿名組合契約)の業務執行組合員である場合。
(ちなみに8月1日現在で、20名の個人が適格機関投資家として登録されています。)

 プロ投資家も、金融機関や運用会社・機関投資家だけではなく、ヘッジファンドや海外投資家、それに個人も加わり、プロ投資家としての多様性が確保されることが、市場全体の拡大や健全性に寄与するのではないでしょうか。
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証券税制の流れと課題~「貯蓄から投資へ」の進め方 (8月4日)
個人の投資に税制が影響することが非常に大きかったのは事実です。昨年約9兆円近く個人が日本株を売り越したのは、譲渡益課税の軽減措置が終了することが大きな要因でしたし、現在官民一体で拡張・拡大策を進めるNISAは、個人の非課税投資制度です。
 少し使い古された感もしますが“貯蓄から投資”に向けて個人の金融資産が動くため、NISAなどの非課税投資制度や金融所得一体化(各金融商品間の損益通算の進め方など)に向けた今後の取り組みが注目されています。
 
 その証券税制に関して、過去からの変遷と今後の予定を今一度なぞってみることで、今後の課題などについて見直してみました。

☆  証券税制の流れと課題~「貯蓄から投資へ」の進め方
・証券税制の変遷と課題
・金融所得一体課税の進め方
・非課税投資制度への期待
・業界の取組みと変化、そして可能性
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投資に関する税制の変遷と課題について (6月26日)
 税制は個人の投資に大きな影響を与えていますが、その課題を大まかに書きたくて、以下の資料を求めてみました。

☆  投資に関する税制の変遷と課題について

 投資を含めて金融に関するものは、金融庁が各業界団体からの要望を取りまとめ8月下旬にも平成27年度改正要望として纏められ、それが年末に向け与党や政府で検討され、平成27年度税制大綱として12月には決定されます。

 これは税制なので、相当実務的なことも含まれますが、個人の投資に関して何が課題になっているか見直した場合、大きく仕切っていうと以下の2点です。

◎個人の非課税投資をどの様に拡充していくか
◎個人の金融一体課税への取組みを進める

 個人の非課税投資については、NISAと確定拠出年金制度(日本版401K)それぞれの拡充がありますが、NISAは今年始まったばかり、確定拠出年金制度は年金制度そのものに影響するので、どこまで拡充するかは政治的判断になるのではないかと予想されます。
また、一体課税の方はマイナンバー制度実施などの環境が整ってきたようにも思えますが、損益通算をどこまで認めるか、損失繰り越しなどの年数延長などが注目されます。

少し先走っていますが、長年の”貯蓄から投資へ”の為にも、今までの流れを一度振り返ってみるべきではないでしょうか。
(※「金融所得課税の一体化についての基本的考え方」は、2004年6月政府税調金融小委員会報告で纏められています。)


 
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個人の金融資産と外貨投資について (6月19日)
18日に、日銀の資金循環統計による個人金融資産(2014年3月末)の概要が発表されました。
それによると個人の金融資産は、1,630兆円で昨年の12月末より14兆円程減少していますが、現金の減少と株式の下落がその主な要因です。株式については、アベノミクス相場が始まってから個人の売り越しが続いていますが、株価の値上がりで金融資産としては増加していました。また債券については、個人向け国債の大量償還が影響しており、前年比1割程度の減少が続いています。
 一方、外貨資産への投資ですが外国株式や外債投資が増加しているようで、この分で昨年末より2割以上の増加となっています。

☆ 個人の金融資産と外貨投資

 この外貨投資が拡大していることは、財務省が公表している国際収支統計(投資家部門別対外証券投資=金融商品取引業者経由部分)の5月までのデータでも確認出来ます。
 外国株式への投資は本年に入ってから拡大しており、月間で1000億円近い金額が買い越されていますし、外債も6000億円前後の買い越しが続いています。

 また、投資信託を通じた海外投資でも米国への投資(株、債券、REITとも)拡大が続いていますが、新興国株式への投資も復調ぎみの様です。

 一方、FX取引はドル・円の値動きが極端に小さくなっているので取引高が減少していますが、円売りポジションについては過去最高水準に近い金額です。

 個人の海外投資が拡大しているので良いことでしょうが、成長戦略により日本企業を見直した個人資産が本格的に日本株に向かうことにも期待したいと思います。
 
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資本市場の成長戦略について (6月17日)

市場では、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用資産見直しで日本株比率をアップさせることが大きな話題となっていますが、公的年金の運用の在り方(投資先への関与、組織内ガバナンス強化など)も新成長戦略ではテーマとして上げられています。その新成長戦略は6月下旬に公表されますが、素案は6月5日に産業競争力会議(首相官邸)で示されています。
 その中で、金融・資本市場の国際競争力を高めるため、金融庁・財務省・民間有識者による「金融・資本市場活性化WG」を設置し、金融特区のフィージビリティも含めた市場活性化策を検討し、本年中に概要を固める方針が示されています。一方、今国会で成立した改正金商法では、新規・成長企業へのリスクマネー供給拡大策として、“投資型”クラウドファンディングや新未公開株売買制度が来年4月にもスタートする予定です。
 金融・資本市場は、あくまでも企業や経済活動の血流部分ですが、今まで何が変わって、今後何を変えるべきか、その成長戦略上の議論が金融・資本市場活性化有識者会合(金融庁)で行われています。その概要について、分かり易い資料が公開されていますので、以下に紹介します。

☆今までの取組み(NISAの導入や改善、公的年金基金の運用体制、日本版スチュワードシップ・コードの導入など)

☆今後の取組み(投資信託改革の継続、コーポレート・バナンス改革への取組み、決済機能の高度化、金融教育の推進)

 資本市場に関する部分では、次の様な大きなテーマと今後の具体的取組みが示されています。

◎NISAや確定拠出年金制度の拡大などで個人の資金が投資信託を通じて資本市場に入ってくることが期待されていますが、その為にも投資信託から出される情報の分かり易さ、そもそものファンドとしての運用パフォーマンスの向上、個人の特性に応じた適切なファンド販売方法の改善などが取り組まれてきました。今後、これらの改革がより目的に沿った実効性を持つよう、以下の取組みが進められる予定です。
・2014年12月より、トータルリターン(分配の累積額+キャピタルゲイン・ロス)を把握できる書面等を投資家に提供することが証券業協会自主ルールとして決まっています。
・証券会社などの監督指針で、短期間の商品乗換えによる販売手数料収入重視の営業を見直し、運用に係る透明性向上とともに、投資家のライフステージを踏まえ、真に顧客の投資目的やニーズに合う、個人投資家の利益を第一に考えた商品の開発・普及促進に向けた取組みを強化させる為、次の留意事項が追加されました。(2014年3月)
○営業員の業務上の評価に係る留意事項=営業員に対する業務上の評価が投資信託の販売手数料等の収入面に偏重することなく、預り資産の増加等の顧客基盤の拡大面についても適正に評価するものとなっているか留意して監督する。

◎日本の上場企業が、個人や海外投資家からみて安心して投資できる対象とする為、コーポレート・ガバナンス改革が以下の様に進められています。
・日本版スチュワードシップ・コードが、実質的に本年6月から実施されています。
・上場する銀行及び銀行持ち株会社に対して、少なくとも1名以上の独立性が高い社外取締役設置を義務付けるように金融庁が監督指針を改正しています。
・収益性やコーポレート・ガバナンスに注目した指数JPX日経インデックス400の先物を11月までに大証に上場することを予定しています。

◎国内の必要な施設やインフラなどに投資資金が流れる仕組みとして、インフラ・ファンド上場制度整備やヘルスケアリートの組成や上場推進への取組みが進められています。

◎改正金商法により制度整備される“投資型”クラウドファンディングや新たな非上場株式の取引制度(現在のグリーンシート市場は廃止予定)は、今後関係法令や自主規制が整備され、来年の4月から新制度が始まる予定です。

以上、資本市場の成長戦略も見直すと結構あるものです。
 
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リテール証券2013年度決算の動向~それぞれの新しい動きが目指すもの (5月29日)
 少し遅くなりましたが、2013年度のリテール証券決算の動向を纏めましたので、資料を公開します。
リテール証券は個人投資家を市場に仲介するビジネスですが、一言で個人投資家といってもデイトレーダーからNISAで新たに投資を始めた方まで幅広く、また市場も国内のみならず海外・デリバティブと多様化しています。どこに重点を置くかで、各社の決算動向にも特徴が出てきているようですが、リテール営業戦略の共通項としては次のものがあります。
・ネット利用を進める。
・顧客とのコミュニケーションを効果的に行う。
・新規顧客獲得に注力する。
その上で、各社の顧客層特性に沿った重点施策が取られています。

☆ リテール証券2013年度決算の動向~それぞれの新しい動きが目指すもの

※なお、上場証券会社に関しては業績予想が公表されていませんが、単に市況の業績への影響が大きいから避けるのではなく、自らの会社の投資家に説明する為にも業績予想公表にトライして欲しいと思います。
日本取引所グループでも、業績予想を公表しているのですから。
 

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顧客はどうやって作るのか~証券会社の場合 (5月20日)
 どんなビジネスでも新規の顧客をつくることは営業戦略の第一でしょうが、証券業界もアベノミクス相場とNISA(少額非課税投資制度)で久しぶりに新規顧客開拓に力が入っています
 特に、NISAは取りあえず暫定的制度(今年、制度が始まりましたが、一応10年間の暫定的導入)なので、今後の国民の利用状況を見ながら恒久化など本格導入を決めるとされています。その為、業界全体を挙げて今まで投資を行ったことがない個人層の制度利用推進を行っていますので、大手もネットも地域証券も、それぞれの方法で新規顧客獲得に力を入れています。
 新規顧客開拓は当たり前のことですが、業界全体が取り組んでいるのに何か新鮮さを感じます。

☆ 新規顧客手段と主な証券会社の最近の口座数

顧客開拓手段に関して言いますと、主に次の様に分けられます。

◎紹介=対面営業の中堅や地方証券会社では、新規顧客獲得の中心は顧客からの紹介です。例えば、極東は新規顧客の5割、いちよしが4割程度顧客からの紹介となっています。一方、銀行系証券では親銀行からの紹介が多かったのですが、最近は親銀行でも投信や外債販売を行っていますので、この部分を証券への仲介ビジネスと考えて対応するところも目立ってきました。

◎開拓=対面営業の新規開拓の中心は訪問勧誘に思われがちですが、富裕層などにターゲッテングしなければ非効率です。また、最近はNISAや日本株など個人の関心が高そうなもののテーマでセミナーを実施することが各社で増えています。

◎来店・HP誘導=ネット証券では、自社ホームページへの誘導が必須なのでグループ内の企業のWeb画面から誘導や他社顧客の獲得目的で、手数料引き下げやキャッシュバックなどネット上のキャンペーンで顧客獲得を目指す動きが目立っています。

◎会社を通じて=会社の役社員などに対して、会社を通じて顧客化することを職域営業といいますが、持株会やストックオプションなどで企業をサポートすることで、効率よく顧客化することも可能です。また、確定拠出年金などで従業員の投資教育を支援する営業活動があっても良いと思われます。企業との関係作りには時間がかかりますが、逆に一度構築した関係は持続しやすいので、地方証券などでも地元企業の取り込むメリットは大きいはずです

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リスクマネーの供給と環境変化への対応~平成26年度金融商品取引法改正案の概要より (4月29日)
2年前に米国でJOBS法が成立した時には、日本の発行市場でも多少いい意味のショックがあったように思います。開示規制の厳しい米国で、企業へのリスクマネー供給を増加させる為に、売上高10億ドル未満の企業を対象に思い切った規制緩和策が取られることと、インターネットを利用して創業や事業拡大の為の資金を集めるクラウドファンディングを金融機能として認めるといった内容が中心でした。実際は投資家保護などの仕組みに関して、米国議会や金融当局での議論やルール作りに時間がかかり、これからの制度運用となります。
 成長の為の企業へのリスクマネー供給増加は、成長戦略を推進する日本にとっても課題です。
IPO希望企業の負担を減じたり、日本でも投資の為のクラウドファンディングを認める金融商品取引法改正案が、今国会に提出され成立が見込まれています。その概要が、次の様なものです。

【投資型クラウドファンディングの利用促進】
 現在の日本では、投資を目的にしたクラウドファンディグは未だ実施されていませんが、インターネットを通じてベンチャー企業への投資を可能とする目的で、制度整備されます。このクラウドファンディグを利用してネット上で勧誘する業者は、株式なら第一種、ファンドなら第二種の金融商品取引業への登録が必要ですが、新規参入を促す為に最低資本金規制を第一種なら5000万円から1000万円へ、第二種なら1000万円から500万円へ引き下げています。また、クラウドファンディング業者は、ネットを使った詐欺行為に悪用されることながないよう、対象となる企業情報(事業計画等)に関してネットを通じて適切に提供することや、対象企業の事業内容チェックを義務付けます。

【新たな非上場株式の取引制度】
 現在のグリーンシート市場は、上場企業ほどの開示負担はないものの、継続開示義務に準じた企業情報を公開している為、監査法人への負担が発生しています。しかし、同市場に参加する証券会社が少なく、流動性が十分でないのでファイナンスなどの市場機能をグルーンシート銘柄が十分利用できません。一方、証券会社においては、自主規制からその他未公開株を証券会社が勧誘することが原則禁止されています。
 新制度は、証券会社が限られた投資家の間(投資グループ=役社員や取引先、財・サービスの提供を受けている者など)で取引するなら、投資勧誘することを認めるものです。開示負担も、現行のグリーンシート市場より一層軽減されます。

【新規上場に伴う負担軽減】
 規模の小さい企業にとって負担が重いとされる内部統制報告書について、上場後3年間は監査免除を選択することが出来るようになります。(資本金100億円以上若しくは負債総額1,000億円以上の企業は免除の対象外です。)

一方、最近問題となった事件(AIJやMRI事件)や金融市場機能(LIBOR操作問題)に関しては、次の様な規制の見直しが行われます。
●現在でも、ファンドの販売者は分別管理されていないファンドの勧誘が禁止されていますが、ファンドの出資金を目的以外に流用されていることを知りながら募集することを禁止へ。
●海外ファンドの販売であっても、国内拠点及び国内における代表者の設置を義務付けること。
●ファンド販売者の協会(自主規制)への加入促進を図ること。
●金融取引の基礎として広範に利用されている特定の金融指標について、その算出者を指定し、行政上の検査・監督を行うこと。

また、開示制度などについては現状の取引や社会環境の変化を受けて、以下の見直しを行います。
【開示制度上の変更に関して】
○大量保有報告書の適用対象から自己株式を除外
○大量保有報告書の提出者の負担を軽減する為、変更報告書の同時提出義務廃止や、発行企業への送付義務免除などを行うこと
○発行登録書において、有価証券報告書等の提出による訂正発行登録書を不要とすること

【その他】
○虚偽開示書類を提出した会社の損害賠償責任を、流通市場では無過失責任から過失責任へ見直すこと
(但し、企業側に無過失の拳証責任を負わせ、請求者に取得者だけではなく処分者も加える)
○外国証券会社などの負担軽減を想定し、現行3月決算に限定されている事業年度を、規制なしに見直すこと
○電子化された株券等の没収手続の整備(ペーパレス化された株式が、不公正取引において現行法では没収不可の無体財産となっていた為)
○金融商品取引業者の登録拒否要件として、「登録取消処分前に廃止等の届出をした者について、5年を経過しないこと」を追加
○金融取引主体に世界共通の方式で付番する国際的な取組みが進展していることを鑑み、金融商品取引所の業務として付番業務を追加すること

※「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」に係る説明資料(金融庁)

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銀行と証券が一緒に・・~ファイアーウォール規制と緩和の背景について (4月8日)
 銀行と証券が一緒になったら便利・・・そう感じる個人や法人はいらっしゃるかも知れません。特に、証券会社の顧客で、銀行のサービスが一緒であればと感じる方は多いと思われます。例えば、以下のようなメリットが想定されます。

個人=金融負債と資産を一括で管理し、個人の選択が資産・負債全体からみて効果的に行えるような金融サービスが、銀行・証券一体となった金融グループから提供されること。など

法人=M&Aなどで、証券会社にフィナンシャル・アドバイザーを依頼したとしても、親銀行のネットワークを利用して効果的に相手を選別できたり、M&Aに必要な資金の提供が銀行より受けられること。など

 しかし、お金を貸すということは借り手にとって優先的な地位となることで、それを利用して本来は顧客の望まない有価証券取引などを強いる可能性も出てきます。従って、金融商品取引法では弊害防止措置として以下の行為が制限されています。
【その他業務に関する禁止行為】=金商法44条の2
貸付などを条件に、金融商品販売などを行う行為の禁止
【親法人等又は子法人等が関与する行為の制限】=金商法44条の3
 親法人若しくは子法人との取引を前提に有価証券取引等を行う行為を禁止
上記を遵守するため、銀行・証券間(親子の関係がある)では役職員の兼職規制・非公開情報の授受の禁止などのファイアーウォール規制が導入されています。

☆ ファイアーウォール規制と緩和の背景について

元々は、銀行と証券のビジネスは分離されていましたが、次の様に銀行の証券業務参入が認められています。
1993年 子会社方式で国債・社債を取り扱うことが認められる。≪ファイアーウォール規制導入≫
1998年 投信の窓販解禁、持株会社方式で証券会社保有を認める(銀行の兄弟会社)。
1999年 銀行の証券子会社に対して株式取次業務を認める。
2002年 銀行・証券の共同店舗を認める。
2004年 銀行による証券仲介業を解禁。
2009年 ファイアーウォール規制緩和(役職員の兼務・法人情報の共有⇔利益相反管理体制の整備)

このファイアーウォール規制緩和は、銀行・証券・保険などの金融グループが進んだこと、M&Aなどの企業の統合・分離活動が活発になったことなどが背景となっていますが、実質的な銀行・証券の役職員による兼職の状況は、規制緩和直後にリーマンショックもあったことから、現在進行中といったところです。

なお、本年4月から、次の様にファイアーウォール規制が更に緩和されています。

○外国法人が関係するM&Aなどで、親子間で非公開情報を共有するのは相手のメールなどでの承諾があればOK
(※通常は書面による情報共有の同意)
○金融グループ内で、グループ全体のリスク管理や業務チェックなどを目的とする非公開情報の共有は、顧客の同意書が必要でなかった。但し、顧客保護・公正競争維持の前提があった為に利用しにくい面もあったが、次のケースも親子間の情報共有が顧客の同意書なしでOKとされた。
・経営管理に関する業務のために親法人等に提供する場合
・有価証券の売買、デリバティブ取引などの決済に関係した業務のため、親子間で情報を共有する場合

金融サービスの為の利便性向上と、金融機関などの優先的地位の濫用を禁止することは同時に進めなければならないということだと思われます。

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株式取引における日本市場の課題 (4月1日)
 日本市場が成長戦略のとおりアジアの中核市場になるかどうかは別にして、日々市場は変化し、そして進化を遂げようとしています。取引のスピートは、ミリ秒単位からマイクロ秒単位になると言われていますし、HFT(高頻度取引)を支えるアルゴリズムは、常に効率的な目的の達成=取引を目指して改善されています。それを支える投資戦略の改善も市場に携わるプロ達の仕事です。

 さて、それらインフラを支えるソフト面では取引ルールが重要ですが、取引ルールはもともと取引参加者間で決めるものでした。取引に参加する全ての者にとって分かり易く、また参加する誰もが遵守するものです。しかし、一方では市場の進化によって参加者ことの取引手法に大きな差が出るのも事実です。その事実を踏まえ、多様な投資家たちが参加できる新しい時代にあった取引ルールは、どう議論していくべきなのでしょうか。

先ずは、日本市場の進化の方向性と課題について見直してみたいと思います。

☆ 株式取引における日本市場の課題
・投資家の動向とその変化の兆候
・取引機能整備の方向性
・取引ルールと行政の流れ
・残された課題と優先すべきことは何


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最近の“投資”に関する問題と、当局の対応について (3月26日)
 3月25日に公表された証券取引等監視委員会の平成26年度証券検査方針及び計画によりますと、証券会社を含む金融商品取引業者(その他、ファンド業者、投資運用業、投資助言業など)への証券検査重点ポイントが示されていますが、その背景としては次のことがあります。

○個人を含む投資家の海外証券・ファンド投資への増加で、クロスボーダー取引が増加している。
○ICTの進歩により、取引が瞬時にかつ大規模に行われたり、複数の商品間を連動して売買する取引自身の高度化が進んでいる。
○NISAが開始されたことで、投資に不慣れな個人投資家が増加する可能性がある。

この様な投資環境下で、新年度の証券検査について次の様なことが伝えられています。
・2~3年に1度だった大手証券への検査は、メガバンクと同様に毎年行う。
・大手ファンド販売会社を定期検査の対象とする。
・海外ファンドを扱う会社の資産査定や管理体制を重点的に検証する。 等

一応、公表された検査方針の重点ポイントと最近の投資に関する事件・事案を下記に纏めてみました。
ご参考までに。

☆ 最近の“投資”に関する問題と、当局の対応について
 

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相場操縦の伏流~2つの相場操縦事件について (2月20日)
 相場操縦は、時々経済マスコミの話題にもなりますが、インサイダー取引とは違って少し解釈が難しいところがあります。前回不公正取引で取り上げました行為などは、勿論対象となる訳ですが、例えば大きく下落すると分かっても大量に損切りしなければいけない場合は違うでしょうし、他の金融取引との間で行う裁定取引も微妙なケースがあると言われています。裁定取引そのものは、本来取引に流動性を与えるもので、歓迎すべき行為と見なされるのが一般的です。しかし、米国SECの摘発事例では、ヘッジファンドがA企業の株価を下落させる目的で、A企業の信用デリバティブ(CDS)を大量に売り、A企業があたかも信用不安があるが如く装った行為が問題視されました。

 一応、日本の司法判断や学識者の間では、他者の取引を誘因する目的をもって行う行為とされていますが、最近の証券取引等監視委員会(SESC)による相場操縦行為の摘発事例では、次のような海外投資家の行為が摘発(2月18日)さています。

・世界各国でデイ・トレーディング・ビジネスを展開するプロップ・ファームであるセレクト・バンテイジが、酉島製作所及びホシザキ電機各株式につき、その売買を誘引する目的をもって、売り最良気配値より上値の複数の価格帯に約定させる意思のない売り注文を発注したり、買い最良気配値より下値の複数の価格帯に約定させる意思のない買い注文を発注するなどの方法により、売買が繁盛であると誤解させ、かつ、変動ようとした行為(2012年4月12日から同月24日までの間、72の取引サイクル)

 この事件は、課徴金そのものが実際の取引にかかる為(大量に出した売買注文ではなく)6万円と過少ですが、マスコミ報道では、100銘柄近くに対して同社の相場操縦行為の可能性があり、同社からの委託注文を証券会社が受け難くする目的で摘発を急いだとされています。

 一方、大規模な相場操縦事件としては欧米主要金融機関によるLIBOR不正操作事件がありますが、2012年6月に米英の金融当局よりバークレイズが国際的な基準金利であるLIBORを恣意的に動かした行為が相場操縦行為として問題視され、その後、他の国際的な金融機関も多数関与していることが明らかになった事件です。一時は金融スキャンダル的にマスコミにも取り上げられ、不正操作に関与した各行に課せられた課徴金などの総額も1兆4000億円と言われ桁外れのものでした。

 しかし、この問題を日本の金融関係者が聞いた時、相場操縦行為というのに少し違和感を持たれた方も多かったのではないかと思われます。勿論、不正操作はいけないのですが、LIBORの決め方も銀行間で情報をやり取りして決める行為なので、銀行間でのカルテル的行為と情報交換のどこに線をひくのか分かり難いのではと感じました。ただし、この摘発は2003年に定められたEUの市場濫用指令により、規定される相場操縦行為に沿ったものでしたが、その規定内容は次の3つです。(訳は、日本証券経済研究所によります。)

●金融商品の供給、需要若しくは価格に関する虚偽若しくは誤解を招くシグナルを与える若しくは与える可能性があるもの、又は単独若しくは共謀して行動する者たちによる、1つ以上の金融商品の価格を異常若しくは人為的な水準にもたらすもの
(※行動が正当であること、かつ当該規制市場の容認された市場慣行に従っていることが立証される場合を除く)
●仮想的な技巧、又は他の形態の偽計若しくは計略を用いた取引又は取引注文
●金融商品に関する虚偽又は誤解を招くシグナルを与え又は与える可能性のある情報の流布

 リーマンショック以降、大規模な金融取引に対する金融当局の監視が厳格化しているのも時代の流れでしょうが、一方取引手段の高度化により、相場操縦行為の議論も変わっていくのではと思われます。ただ、個人投資家も参加する株式市場においては、個人も分かり易い議論の進展が望まれます。

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不公正取引について (2月18日)
市場の健全性と多様な投資家の参加を維持するため、不公正な取引は禁止されています。標題の“不公正取引”とは証券取引等監視委員会(SESC)が使っている言葉で、金融商品取引法第157条に定められている有価証券(株式やデリバティブ)取引における不正行為の禁止全般を指していますが、具体的には次のようなこととなります。

【風説の流布、偽計、暴力又は脅迫の禁止】(法第158条)
事実でないことを公表したり、インターネット上の掲示板に虚偽情報を流すことも、風説の流布と考えられています。また、偽計は他人を錯誤に陥れるような詐欺的行為を指しますが、これらの具体的事案として次の事件が上げられます。

・ライブドア事件(平成19年東京地裁)=ライブドアの上場子会社であるライブドアマーケッティングとマネーライフ社(自社ファンド参加)の株式交換において、ライブドアマーケッティング株式の現金化を予定して、同社株式の交換比率を有利とする目的で、同社の業績や交換比率に関して虚偽の公表を行ったことが、ライブドアの代表者などの偽計及び風説の流布とされた。

【相場操縦行為の禁止】(法第159条)
 他人の取引を誘因させる目的をもって、取引が繁盛に行われると誤解させる次のような行為を指します。
●仮装取引=権利や金銭の移転を目的にしない売買行為
●馴合い取引=売り手・買い手がそれぞれ連絡を取り合った上で行う売買行為
●不実の表示=取引価格が自己または他人の操作によって変動する旨を流布することや、重要な事項について虚偽若しくは誤解を生じさせる表示を故意に行うこと。
●見せ玉=市場価格を誘導する為、約定する意図の無い売買注文を大量に発注し、取り消す行為。

 最近の事例としては、シンガポールのヘッジファンドがRISE(8836ジャスダック)株式の2012年3月から4月の売買で意図的に高値形成を図った取引が、SESCによって摘発(2013年7月)され、相場操縦としては過去最大となる4.3億円の課徴金勧告がなされています。また、目立った事例としては、米国のヘッジファンドであるタイガーファンドが、ヤフー株の取引において、直前約定値段より高値の上限価格を提示した買付けの計らい注文を、複数の証券会社に分散して発注する方法が相場操縦行為とされ、SESCより6571万円の課徴金勧告が行われています。

【会社関係者の禁止行為】(法第166条)
不正な取引としては、会社関係者が内部者情報(未公表の重要事実=インサイダー情報)を使ったインサイダー取引ですが、この会社関係者の中には、企業が業務を委託した者や士業などの専門家も含まれます。最近は、増資インサイダーが問題となりましたが、普通はファイナス業務を上場企業より委託される引受証券会社内において、情報がファンドや機関投資家を担当する営業体に漏えいしたことが問題となりました。この為、インサイダー情報を不正に流した証券会社及びインサイダー情報を不正に取得して売買を行った運用業者の処罰(課徴金増額等)を強化する施策が行われています。

【公開買付者等関係者の禁止行為】(法第167条)
TOB(公開買付)では、通常大きなプレミアムが付く場合が多く、事前にTOB情報を知ったものが行う典型的なインサイダー取引です。

最近はむしろ他の重要事実、例えば資本提携による増資・株式分割・業績修正などのインサイダー情報を利用した個人による比較的小口の取引もSESCによって摘発されるケースが目立ってきました。一方、相場操縦行為については、海外ファンドなどが摘発されており、SESCなどが海外監督機関との連携を強めている結果が出始めていると思われます。
 

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情報産業としての証券会社の縛り=法人関係情報について(2月12日)
  証券会社は上場企業の株式売買を仲介しますが、一方でその企業のファイナンスやM&Aなど株価に影響を及ぼす可能性の高い情報に接する場合も多く、これらの情報に接した場合は、“法人関係情報”として証券会社内で厳格に管理します。
 その厳格に管理することはどの様なことかといいますと、情報を取得したファイナンスやM&Aの部門と他の営業部門間の情報を遮断(チャイニーズ・ウォールを機能させて)し、その状況を管理部門がモニタリングするということになっています。また、法人関係情報は金融商品取引法で規定されるインサイダー情報(未公表の重要事実)より広い範囲で考えられています。

 例えば、現時点では重要事実ではなくとも、将来そうなる可能性の高い“蓋然性”がある情報、またそれ自体は重要事実でなくとも、他の情報と組み合わせて考えれば重要事実を“示唆”するような情報まで拡げて、証券会社内では法人情報関連情報として管理されます。言葉の定義を、証券業協会の自主ルールそのまま使ったので分かり難いかも知れませんが、増資インサイダー事件の例でいいますと、アナリストが通常の分析レポートを公表しなくなったり、引受部門の担当者などが頻繁に訪問する情報などを組み合わせ、直近の公募増資の可能性を示唆したり蓋然性を示したりすることが行われました。この様なケースを防ぐために 2012年8月より法人関係情報の範囲を一層拡大しています。
 
 一方、法人関係情報を得た証券会社は、取引の公正さ・投資家の保護・証券会社としての信用を守るために以下の行為が禁止されています。
●法人関係情報を提供した勧誘行為の禁止
●プレ・ヒアリングに関連した法人関係情報の提供の禁止
●法人関係情報に基づく自己売買の禁止

 また、協会の自主規制においても、若しファイナンスなどで情報が事前に漏えいしインサイダー取引などが発覚した場合、そのファイナンスの引受中止や延期を発行会社と相談することに自主ルールに定め直しています。(筆者の個人的意見として、この対応はファイアンス元である企業への配慮が少し不足しているようにも思えますが、・・・)

 投資というものは、様々の情報を元に判断される行為ですので、証券業務も情報産業の一環かもしれませんが、顧客である企業の情報管理が上記のように難しいのは、これらのファイナンスやM&Aを実行する部門と、投資家に対応する営業部門、自己の売買を行う部門、調査を行う部門などのそれぞれに利益相反することがあるからです。
この利益相反に配慮し、各部門の業務の健全性を守るためにチャイニーズ・ウォールが設けられる訳ですが、常にウォールの適正さを守る努力が証券会社には求められています。

 逆に言いますと、証券会社の法人関係情報の管理は、他の業態より一歩進んでいるとも言えます。

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投資型クラウドファンディングの可能性と課題(1月23日)
 いまあるクラウドファンディングと、今後制度整備される投資型クラウドファンディングは何が違うか、出資者であるクラウド(一般の投資家の方々)の立場で簡単に言いますと、イベントへの共感(主に寄付型)や商品コンセプト(主に購入型)から、ベンチャー企業や事業へ共感が成長していくかどうかではないかと思われます。
 その為に、ベンチャー企業や事業をネット上でどうプレゼンしていくかがクラウドな共感を集める主な方法になります。しかし、投資型である以上、投資リスクの方も相手に伝える必要があり、現状のクラウドファンディングとは大きく異なる点になると思われます。
 ネット上で伝えるのは、クラウドファンディング仲介者ですが、今国会での金商法改正において金融商品取引業の特例業務として規定され、実務的な規制に関しては業界団体の自主規制に委ねられる予定ですが、現状における課題のイメージについて以下に纏めてみました。

☆ 投資型クラウドファンディングの可能性と課題

現在のクラウドファンディングと資本市場の関係は、相当遠いところにありますが、投資型クラウドファンディングが制度整備されることで、ベンチャー投資のみならず資本市場の裾野拡大に繋がっていくことを、大きく期待しています。
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クラウドファンディングの最近の状況(1月21日)
前回お伝えしましたように、“投資型クラウドファンディング”が今後証券会社やファンド業者(金融商品取引業)の特例業務として制度整備されていきます。しかし、クラウドファンディングは、インターネットを使った資金集めとして既に多様な使われ方をしており、多くのクラウドファンディングを仲介する業者が既に活動しています。
 その使われ方は、概ね以下の二つに大別されます。

○寄付型=イベントなどに賛同を求め、寄付を募るもの。最近では、北極探検の費用を一部集めるものなどがありますが、NPOなどの地域・海外活動などを支援するものも目立っています。
○事業ファンド型=最近は購入型とも分類されますが、もともとは事業に対して資金を供給する資金をファンドや出資金・現物の一部持分などの形式で集めたもの。根拠法は、商品投資に係る事業の規制に関する法律(商品ファンド法)となりますが、その対象は以下のようなもの。
・現物=映画、競走馬、和牛、ワイン、日本酒など
・現物以外のもの=制作委員会方式の映画、音楽CDなど著作権に関するもの、ソフト(アプリ)開発など

また、東日本大震災の被災企業を支援する目的で、集めたお金の半分は寄付・残りを長期の貸付金とするような上記の2つを折衷するようなスキームも、復興支援ということで実施されています。なお、この貸付金に対して、地域金融機関などが対象となる企業に貸し付けを実施しやすいよう、資本性の資金とみなす特例措置か政策支援として行われています。

 クラウドファンディングに関して、最近目立ってきた動きとしては、地方自治体が利用するケースと、数千万から億円を超えるような比較的大型の資金調達も目立ってきたことです。

≪地方公共団体の利用例≫
・夕張市=クラウドファンディングを活用して地域の活性化等のために、自主的なプロジェクトを実施する市民及び市内の団体を応援(2013年3月)
・鎌倉市=観光施設の整備費を調達する取り組み(2013年8月)
・島根県=クラウドファンディング・ホータルサイト運営者と提携して、地域活性化へ(2013年9月)
・大阪府=クラウドファンディング活用サポート事業(緊急雇用創出基金事業として、新規雇用者にクラウドファンディング活用に必要な企画案・事業計画策定に必要なスキルの習得を目指すと大阪府は事業者募集要項に記載していますが、筆者の知見外です。)(2013年12月)
・その他、都道府県などが地元企業の特産品をアピールし、事業資金調達+製品のマーケッティング活用としてクラウドファンディング業者と組むケースが複数あり

≪比較的大型の調達≫
・日本のプロジェクトが、米国のクラウドファンディング「キックスターター」を利用して調達。アニメ「リトルウィッチアカデミア2」の制作費用として62万ドル、日本を中心にゲームクリエーターがチームを組んだ「プロジェクトフェニックス」は101万ドル(2013年9月)を調達。
・被災した水産会社の支援で、半額寄付・半額ファンドでの出資を行いサケ製品が出資者に送られるサケファンド。ミュージックセキュリティーズのアレンジにより、今回6,000万円を超える調達を目指す。
・サイバーエージェント系クラウドファンディングサービス「Makuake」でゲーム開発資金130万円を調達した株式会社ミラクルポジティブは、サイバーエージェント系ゲーム会社よりゲームの開発費及び宣伝費として総額7,000万円規模の別途資金調達。

以上は、ベンチャー企業など会社そのものに投資するというより、個別の事業やイベントに協力する個人の資金をインターネット上で募るものです。今なくて、今後期待される“投資型クラウドファンディング”ですが、その可能性と有効なリスクマネー供給源となるための課題については、次回に現在の業界や行政などの考え方を解説します。

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証券会社が仲介するベンチャー企業投資と未公開株売買~金融審議会“新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ報告書より(1月16日)
普通の個人の方が、株式を売買しようとすると証券会社を利用する訳ですが、上場株式は当然として、未公開企業の株式についても、売買の決済や株式の保管などの関係で利用が出来ればと思わずにいられません。昔はそうでした。しかし、証券会社の店頭で取り扱っていた株式がジャスダック市場として整備されたり、グリーンシート制度などが市場の裾野拡大としてルール化されていく中で、多くの非上場株式の取り扱いが証券会社では原則行われなくなっていました。
 ですから、正いい未公開株への投資を証券会社に聞いても、殆どは関与しませんということだったと思います。

 しかし、このような状況は今後変わるかも知れません。金融審議会“新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ”で議論されていました内容が、昨年末報告書に纏められ、今後必要な法制度整備が行われる予定です。これによると、証券会社などを通じてベンチャー企業や非上場の地域企業の株式売買が可能となります。

○個人のベンチャー企業などへの投資を可能とするもの⇒投資型クラウドファンディングの制度整備
○非上場の地域企業の株式売買を可能とするもの⇒新たな非上場株式の取引制度

いずれも、投資や売買の仲介者として証券会社(金融商品取引業)が対応することになります。想定されるそれぞれの制度は、同報告書より以下に纏めました。

☆ 想定される投資型クラウドファンディングと新たな非上場株式の取引制度

今後は、正しい未公開株式への投資や売買に関して、“証券会社に聞け”ということが定着していくことに期待しています。

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高齢者の投資はどうあるべきか~勧誘ルール強化とその背景(1月7日)
 NISA開始を控えた昨年の12月16日より、証券各社は高齢者への勧誘ルールを強化しています。これは、日本証券業協会による“高齢顧客への勧誘による販売に係るガイドライン”によるものですが、勧誘ルール強化の目的は、同協会によると「投資未経験者・投資初心者である高齢顧客も含めてNISA口座での取引が開始される為」(パブコメ回答)としています。
 そもそも金融商品取引法には“適合性の原則”がある訳ですが、各証券会社では既に高齢者を含めて投資家の適正や投資目的に合わせて勧誘基準を定めていました。これを徹底する訳ですが、高齢者に対する勧誘プロセスで管理職の関与や記録を徹底させることが中心です。
 一方、同ルール強化で寄せられたパブコメなどから、証券会社の既存顧客の高齢化も覗えます。
 以下、高齢者勧誘ルール強化と証券会社顧客の高齢化について纏めてみました。


☆ 高齢者の投資はどうあるべきか~勧誘ルール強化とその背景

・高齢顧客への勧誘ルールについて
・パブリックコメントの内容とその留意点
・投資家の高齢化とルール強化の背景
・証券業としての顧客高齢化への対策は何か
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今後変わる投資に関する税制~平成26年度与党税制改正大綱より(12月17日)
与党の平成26年度税制改正大綱が決定されましたので、その中から投資に関する部分について、今後どのように変わるのか、簡単に書き下してみました。

【NISA口座は、毎年口座開設金融機関を変更することが可能になる】
 年明けから始まるNISAですが、10月からの口座開設が可能となっており、証券会社や銀行などでの口座獲得競争の盛り上がりがマスコミなどに報じられていました。現状の制度は、来年から10年間維持ですが、その間、最初の4年間、次の4年間、最後の2年間と3度しかNISA口座を開設する金融機関の変更が出来ないこととなっていました。これを、毎年NISA口座を開設する金融機関を変更することが可能な制度にします。

【特定口座の受け入れ拡大】
 近年、自己株式を信託にパッケージして従業員に与えるインセンティブ・プランのESOP信託が増えています。このESOPで取得した上場株式を、特定口座に入れることが可能となり、他の株式や投信などと損益通算することが容易になります。

【公社債の売買損益・利子が、株式などと損益通算可能となる制度のスタートを前に】
 前年度の税制改正で、金融所得一体課税を進める為、株式・投信などと公社債の売買損益(含む配当・利子)の
損益通算が平成27年1月より始まりますが、その為、今まで原則非課税の公社債の譲渡益が課税対象となります。
今回の税制改正では、その対象外となる以下の特殊な債券を示しています。
・農林債
・同族会社が発行した社債

【日本版401Kの拡充】
 確定拠出年金(日本版401K)の拠出限度額が企業型に限り約8%引き上げられました。
・他の企業年金がない場合  月額5.1万円⇒5.5万円
・他の企業年金がある場合  月額2.55万円⇒2.75万円

【J-REITに関した課税特例措置の拡充】
 J-REIT(投資法人)の根拠法である投資信託及び投資法人に関する法律が大幅に改正され、ライツ・オファリングやCBでの資金調達が可能となったり、よりJ-REITどうしの合併が容易になります。また投資対象も拡大される予定です。J-REITは、配当可能利益を9割以上支払配当に回すことで税制上課税を免れる特例措置を受けていますが、このような法改正に合わせ、以下の特例措置が加えられます。
◎再生エネルギー施設への投資を促すため、平成29年3月31日までの間に再生エネルギー発電施設を取得したもので、資産の50%を超える場合を可能にします。(特例措置は、10年間。それ以外は、資産の50%以下の取得を可能としています。)
◎REITどうしの合併を容易とするため、正ののれん代がある場合、正ののれん代の償却額の70%を配当可能利益から控除することも可能としました。(改正投資信託及び投資法人に関する法律の施行を前提に)

むしろ、こちらの方が重要ではないかと思われますのは、今回の税制改正大綱の検討事項として挙げられた次のことです。

◎日本版401Kを含めて、年金制度に関わる拠出・運用・課税のあり方を総合的に検討すること。

◎NISAについては、措置の実績や効果の検証も踏まえて、引き続き検討すること。

◎デリバティブを含む金融所得の更なる一体化については、総合取引所の実現にも資する観点から、意図的な租税回避の防止に十分留意し、引き続き検討すること。

◎投資法人(REIT)等の課税については、税会不一致等による活動の制約の解消を図る観点から、平成27年度税制改正に向けて検討すること。(運用対象資産の範囲など)
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高齢者勧誘規制について(11月5日)
証券会社による高齢者に対する勧誘について、自主規制での制限が本年12月16日より始まる。
これは日本証券業協会により9月13日に示されていた“高齢顧客への勧誘による販売に係るガイドライン”(案)に対して、バブリックコメントを経て自主規制化されたものだが、金融庁の証券会社に対する監督指針においても、監督上の評価項目に新設され、同規制運用の個別証券会社へのチェックが行われる。

 証券会社を始めとして金融商品の勧誘・販売においては、既に金融商品取引法制定時に定められた行為規制があり、投資家各々に合った金融商品の勧誘を定めた“適合性の原則”がある。この為、各証券会社においてはリスクや変動率などを勘案して、顧客別勧誘商品の社内ルールを定めている。

 今回の高齢者勧誘規制も、この適合性の原則を徹底する一環ということも言える。しかし、実際に自主規制の対象となる勧誘行為を行う証券会社にとっては、詳細なガイドラインに対して多少違和感があったかも知れない。同ガイドライン案に寄せられた意見は290項目に及び、確認を重ねるようなものも多い。
この証券会社の反応の背景には、特に中堅以下の対面営業の証券会社の顧客層が高齢化しているという問題があるように思う。
一方、自主規制導入側としては1月から始まるNISAにおいて、より広範囲の国民に非課税の投資枠を利用してもらおうとした環境整備目的があるようだ。

 一般的な話題として、75歳以上の高齢者に対する勧誘規制と見做されているが、その内容については下図にガイドラインをなるべく簡略化してイメージしたものを示した。

☆ 証券会社の高齢者勧誘自主規制について

 一律の数値基準や詳細なガイドラインに多少の違和感はあるかも知れないが、適合性の原則をより進めていくとの認識で証券会社には態勢整備に努めていただきたい。
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NISAへのそれぞれの期待(10月1日)
NISA(少額投資非課税制度)が盛り上がっています。個人投資家による証券会社や銀行での口座開設が、本日10月1日からスタートしますが、実際の投資開始は年明けとなっています。しかし、この制度浸透の為のキャンペーンが官民一体で進められており、まるで成長戦略の一翼担って金融界で推進しているが如き観がしています。
証券会社にとっても、業界をあげて久々に新規顧客競争が活発化しており、とても好ましい状況です。
そのようなNISAの現状に関して、以下に纏めてみました、

☆ NISAへのそれぞれの期待
・金融業界の一大イベントとしてのNISA
・口座獲得等勧誘の留意点
・望まれる機能向上
・NISAの背景
 
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クラウドファンディングの可能性とリスク管理について(9月12日)
  現在、アベノミクス成長戦略の一環として、首相の諮問機関である金融審議会(金融庁)では、クラウドファンディングに関して制度整備の議論が行われているところですが、先ずその現状と考え方を纏めていただいていますので、以下に紹介します。

☆米国や英国の制度と、投資型クラウドファンディングの論点について(金融審議会資料)

 クラウドファンディングは、インターネットを使って不特定多数から資金を集めるものですが、その中には事業やイベントへの寄附が中心となる寄附型や、製品やソフトなどの開発にあたって購入予定者から前もって資金を集める購入型、そして事業者の株式などに投資する投資型の3つのパターンに分けられています。金融庁資料によると、2012年の世界全体のクラウドファンディングは26.7億ドルで、2013年は51億ドルを超えると推測されています。

 政府は成長戦略において、クラウドファンディングを創業や新興企業のファイナス手段として制度整備していこうとしていますが、投資としての成功の可能性は、株式市場に上場されている新興企業に比べて格段に低く、投資家としては失敗する可能性の非常に高い投資ということになります。従って、投資家のリスクを適正に管理することがクラウドファンディングのシステムにとって重要なポイントとなります。その為、米国では高額所得者でなければ、年収の5%未満の投資に制限されますし、英国においても富裕層以外への勧誘活動は厳格化(リスクに関する注意喚起、仲介者の自主規制など)されています。日本においても、次の要件は課せられるそうです。

◎クラウドファンディングでの個人投資家の投資上限を設け、50万円程度とすること。
(米英の様に収入に応じての投資制限より、一律の基準の方が管理容易)
◎クラウドファンディングで募集する総額は、1億円未満。
(現状の金融商品取引法に沿った募集では、1億円以上では有価証券届出書が必要となる為に、それ未満とすることで、企業側に継続開示義務を負わせない。)

また、次の仕組みも検討されています。
◎目標募集額に達しない場合には資金の提供をしない“目標募集額制度”
(一般的なクラウドファンディングでは取り入れられる場合が多く、詐欺的行為を防ぐとされる)

 クラウドファンディングの良さは、ネットを使って不特定多数の投資家から比較的低コストで資金を集めることですが、公募ファイナンスの1種であります。その為、一般の投資家がその企業の内容や事業計画などを理解できる情報と、その正確さは最低限求められることです。また、不特定多数の投資家から、投資ニーズを集めることが出来ること自体、一つの投資判断材料ともなります。

ただし、クラウドファンディグはあくまでもファイナンスの一手段ですので、ベンチャー投資や事業・資本提携など他のファイナンス手段と有機的に結びつくことが必要で、そうあってこそ新興企業の成長を助けるという本来の機能を果たすことが出来ます。その役割(仲介機能)は、証券や地域金融機関などが、投資家のリスク管理と共に行っていくのが制度定着の為に求められていくこと思います。
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証券関連税制の課題と平成26年度の改正要望(9月10日)
8月30日に、金融庁より平成26年度税制改正要望が財務省に提出されていますが、この中で証券関連(個人の投資に関連する部分)について、その背景となる課題と要望事項について、簡略化して書いてみました。

☆ 証券関連税制の課題と平成26年度の改正要望

証券関連税制の課題としては、次のようなことが挙げられます。

○NISAが国民に定着した制度となる為の、利便性の向上
○金融所得一体課税の推進
○特定口座の利便性向上
○ETFの新陳代謝推進
○インサイダー規制強化の為の措置
○J-REITなど不動産証券化市場の機能整備
○地域主導のインフラ・ファンド推進

前半部分は、10年来に渡る“貯蓄から投資へ”の政策推進の具体的実行が求められているように思いますし、後半部分は成長戦略のアベノミクス第4の矢と関係するところかも知れません。
オリンピックも東京に決定し、消費税も実施される中、長年の懸案であったことも大きく進めて欲しいものです。
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相場操縦行為について(8月29日)
7月末に、証券取引等監視委員会(SESC)よりシンガポールのヘッジファンドのジャガーノートに対して、RISE(8836ジャスダック)株式の売買に関する相場操縦行為について、同行為では最高額となる4億3,113万円の課徴金納付命令が勧告されました。対象となった売買行為(買付注文のみも含む)は以下の様なものです。

・2012年3月21日から同年4月25日までの、売買及び売買注文発注行為に対して。(26営業日間)
・この期間、同社株式は32円から76円まで上昇(期間中の高値76円、安値32円)
・ジャガーノートは、「マスターファンド」「フィーダー・ファンド」名義(いずれもケイマン籍ヘッジファンド)で売買注文を発注し、RISE株式の高値形成を図る。
・方法は次の様なもの
ü 最良買い気配値以下に大口の買い注文を発注するとともに、直前約定値段より高値に最小単位の買い注文を発注して株価を引き上げ
ü 大引け前に、大口の引成買い注文(買い指値が出来ない場合は、大引けの成り行きで買う)を発注し、終値を引き上げる など
・同期間中に、同社株式を1,349万株買付、1018万株を売却。買付注文の合計は、2億4,613万株。(同社株式発行総数は、4,704万株)

海外ファンドの摘発に関しては3件目(米ファーストニューヨーク証券=増資インサイダー。米タイガーアジアパートナーズ=相場操縦についで)になりますが、シンガポール通貨監督庁(MAS)の支援があったという事です。
また、過去5年間の相場操縦行為に対する課徴金勧告は31件ありますが、その9割はインターネット取引による個人投資家が関与したもので、見せ玉(取引成立の可能性のない大口の売買注文の発注とその取消し行為)や、複数の異なる名義の取引口座を使って売買を繰り返していく仮装売買や取引が頻繁であることを装うもので、その目的は他の投資家の取引を誘引するものです。

☆ 相場操縦行為等の禁止の概要

 上記の事案は、海外ファンドから注文を受ける証券会社側でチェックできなかった不明ですが、相場操縦行為の禁止は、売買注文の受託者にも及ぶ法律構成になっています。

 相場操縦行為は、企業規模が小さく取引量が通常は少ない銘柄で行われることが多いのですが、大型銘柄や取引量の多い銘柄での可能性が無い訳ではありません。例えば、HFT(高頻度取引)におけるアルゴリズムについては、売買執行する証券会社が投資家の利用するアルゴリズムについて相場操縦などの不公正取引に関して問題ないか確認しますし、コロケーションでサーバーを貸す取引所側でも、問題点の検証が行われるようです。
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11月から変わる“空売り規制”~関係者が考えた事とその背景(8月27日)
 既に何度か取り上げていますが、11月5日から“空売り規制”が変更されます。
法規制変更の概要は、拙稿
☆空売り規制の全体像について(3月11日公表)
で示していますが、改正に際してのパブリックコメントの募集とその回答が、8月21日に金融庁より公表されています。その概要は、以下の様なものに纏められると思います。

・海外ファンドや機関投資家などが、株式を売却する場合、注文をうける証券会社は“ネイキッド・ショート・セリングの禁止”規定により、株式の保有しているか若しくは借りているか確認する必要がありますが、この確認義務について今より厳格さが求められると証券会社が考えているようです。

・“空売り規制”がPTSでの取引にも及ぶようになるため、PTSでのアップティック・ルール(売り下がり禁止)対応がPTS側にも求められます。アップティック・ルールは原則廃止され、株価が10%以上下落した場合に適用されますので、問題がこのルール適用のトリガーがどう作動するか、注文を受ける証券会社・PTSにとって確認をする必要があります。また、HFTなどのアルゴリズムにも影響が出るはずです。

・株式を借りて売る空売りの報告は、現在の発行済み0.25%以上から0.2%に引き下げられます。但し、その公表は、0.5以上の空売り残高があった場合という2段階方式に変更されます。つまり、空売りの報告は厳格化されますが、この報告は証券会社を通して行われるので、空売り注文(株式を借りて売る売却注文)の際に証券会社サイドで、その投資家のその銘柄に対する空売り残高(他社で売っている分も含めて)を確認する必要があります。今までは、このような確認の煩雑さを避ける為、売り注文を受ける証券会社が店頭取引で相対し、自己の売りとしていたケースについては、より実態に即した厳格な報告が求められるようです。

・パブコメでは、空売り報告の公表に対して、一般の投資家が分かりやすい一覧性(現状は、個別報告書ベース)を求める意見もありましたが、これは公表を行う取引所側での集計が必要となります。今後、空売り報告を仲介する証券会社に対する報告書提出の義務化などを取引所ルールで整備した上で、一覧性のある空売り報告がなされるようです。

以上、証券会社にとっての実務負担増加などの煩雑さについて書きましたが、投資家にとっての影響について以下のようなことが考えられます。
【個人投資家にとっての影響】
・結論から言いますと、当初の影響は小さいかも知れません。アップティック・ルール原則廃止は、個人により個人の空売り(信用取引)は増やすはずですが、現在の信用取引制度では、個人投資家が空売りしたくなるような株式の調達は難しそうです。したがって、個人が空売りしやすくなりますが、当面はそれ程増えないのではないかと思われます。

【海外ファンドなどへの影響】
・原則は変わらないはずですが、当面は空売りが減少する可能性もあります。理由は、空売り報告が厳格化されるので、その準備に時間が必要なことと、アップティック・ルールの変更(原則廃止・PTS適用・トリガー制など)で、HFTのアルゴリズム変更が必要になると見られるからです。

金融危機後に始まったこのルールは、欧米市場と同じような方向で改正が進んでいますが、その背景について以下のような事ではないでしょうか。

【空売り規制強化の背景】
・株式取引の超高速化と、その取引を円滑化するために貸株市場は発達しましたが、これらの取引機能強化のメリットは、ファンドや機関投資家など大手投資家に限られているのが現状です。
・投資家によって、取引機能に差があるのは問題ありませんが、市場での投資家の多様性を維持する為、取引情報の差をできるだけ埋めていく努力が必要なのではないでしょうか。
・ファンドなどが利用する空売り情報と、個人投資家の利用可能な空売り情報の差を埋めるというのも、その一つです。
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独立系金融商品仲介業の現状 (8月8日)
 金融商品仲介業(2007年までは、証券仲介業)が始まって約10年経ちました。その間、仲介業というビジネスは拡大していますが、株式や投資信託の販売チャネルとして上手くいっているかというと評価が分かれるところです。仲介業に関する概況は、以下のようなものです。

① 大手証券などは、当初自社商品を仲介する仲介業者拡大を試みましたが、自社の営業推進のし易さから専属IFAとして自社内に取り込んでいます。また、金融機関などを仲介業者することでコンプライアンスなどの管理コストを低下させる戦略です。金融機関側も、外債販売などでは大手証券の商品供給に頼ることが多くなっています。
② ネット証券やファンド供給に特化した証券、中堅証券などが行う金融商品の販売拠点作りですが、この部分は、別途登録が必要な標題の独立系金融商品仲介業者となります。
③ 証券会社のリストラに利用されるケースは、支店などの営業拠点を仲介業に転換する場合でした。これは、証券営業に掛かるインフラ・管理コストを削減することが可能なので一時業界内で注目されましたが、それほど広まっていません。最近の商状から、仲介業を利用して実質的な証券会社の営業拠点づくりを試みる動きも出ています。

上記の①は金融機関の戦略に依りますが、②、③の最近の状況は次のようになっています。
☆金融商品仲介業者の状況

独立系の金融商品仲介業の人員は、合計でも3千人に充ちませんが、逆に8.3万人いる証券会社や19万人いるフィナンシャル・プランナーの受け皿となっても良いのではないかと思われます。
その為には、成功していると見られる仲介業者の業務展開に学ぶことが多くありそうです。

・湘南年金プランニングは、保険と金融商品の両面から顧客との接点を多く持つ戦略で、401Kのサポートも行っています。既に7営業拠点、社員数も40名を超え、小型の証券会社並みの規模となっています。

・マスコミにも取り上げられたGAIAは、個人投資家が保有する投信の見直しなどを提言するセミナーを繰り返し行うことで新規会員(投資相談)を獲得し、400名以上の顧客で投信の預り残高(正確には顧客の保有残高)が100億円を超えたことが報じられています。

 いずれも、新規顧客開拓の為の情報発信と社員のインセンティブ維持に工夫しているようですが、個人投資家との密着度の高い金融商品仲介業者が日本でも本格的に拡大することに期待しています。
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今後、変わる市場関係ルール~金融商品取引法改正(6月公布より)(8月1日)
本年度の金融商品取引法改正案が、6月12日国会で成立し、同月19日に公布されました。主な改正内容は、
① インサイダー取引規制に係る見直し
② 資産運用規制の見直し
③ 金融機関の秩序ある処理の枠組み
④ 銀行等による資本性資金の供給強化
⑤ 投資法人制度の見直し
⑥ 投資信託制度の見直し、
等となっています。

☆今後、変わる市場関係ルール~金融商品取引法改正(6月公布より)
   ・金商法改正の背景
   ・主な改正ポイント
   ・証券会社などへの影響について

ご参考までに
 
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グリーンシート市場の失敗から学ぶ教訓(7月11日)
 個人のレベルでは、失敗から学ぶことが大きいという事を誰しもが否定しませんが、企業や組織は現実的になかなか難しいことも多いようです。
 現在、今後の日本市場に関する法規制などの改正を議論する金融審議会(金融庁)では、アベノミクスの成長戦略に沿った“新規・成長企業へのリスクマネーの供給促進策”として、
◎インターネットを通じた資本調達の枠組み=クラウドファンディング
◎地域内での資本調達の枠組み=新グリーンシート市場
が、検討されています。これらの制度整備に期待したいのですが、新しくなるグリーンシート市場が、現在のグリーンシートから何を学ぶべきか考えていただく為、現在のグリーンシート市場の失敗について、一般的な視点から語りたいと思います。

 市場を構成する主な要素は、投資家・上場企業・売買を仲介する証券会社の3つですが、現在のグリーンシート市場は、彼らにとって次の点が問題となります。

【投資家】
・同市場に上場されている企業の情報を取得することは、TDネットや日本証券業協会が運営する専用サイトで、ある程度可能だが、普通の証券会社では売買出来ません。
・売買がなかなか成立しなく、また気配値の適正さも分かり難い。
【上場会社】
・一般の取引所上場企業ほどでないにしても、毎期の監査証明など上場費用が相応にかかるが、同市場を使ってのファイナスなどは殆ど困難となっています。
・現状では、同市場が次のステップアップ(取引所上場)を狙える成長市場といったイメージがありません。
【証券会社】
・ごく一部の証券会社を除いて、同市場への関与はメリットがないと思われています。その最大の理由は、証券会社として同市場関与でかかるコストと同市場から受けるメリットのアンバランスが大きいことです。
つまり、同市場銘柄を扱うには社内である程度の審査を行うことが求められ、更に一定期間内の売買呼値公表義務を負わされます(協会ルール)。

グリーンシートの問題については、同市場を運営する日本証券業協会において既に2度ほど検討され、報告書も作成されていますが、同議論に参加された関係者等のコメントからは、一から作り直した方が良いとのイメージを受けます。
もし、新しいグリーンシート市場をつくろうとするなら、前記の失敗(問題点)を活かして、以下の様な取組みがなされることを期待しています。

【投資家】
○普通の証券会社で売買が可能なように、証券会社の取扱ルールを変える。
○投資家が適正な株価を判断しやすいように、株価算定について、取引所側が一定の情報を提供する。
【上場会社】
○現在のグリーンシートより、上場企業が負う実質的な開示負担が少ないよう同市場の開示ルールを変える。
○ファイナスが可能なように、仲介する証券会社サイドの取扱いルールを変える。
○プロ市場や新興市場にステップアップしやすいよう、新しいグリーンシート市場を経由した場合の上場準備に対して何らかの軽減措置を与える。
【証券会社】
○現在のグリーンシート市場で求められる証券会社としての機能の一部を、市場運営側が負担することで証券会社の負担を減じる。
○ファイナス、M&A、ステップアップ上場に証券会社が対応しやすいよう業界ルールを変更する。

 以上を纏めますと、市場運営側で上場会社や証券会社が現在負っている負担の一部を代替し、証券会社の取扱いルールを緩和方向に変えるという事になると思います。
 
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強化されるインサイダー取引規制(6月27日)
 インサイダー取引規制が、強化されます。6月12日に国会で成立した改正金融商品取引法において、証券会社や運用会社などがインサイダー取引に関与した場合の罰則が強化されています。実際の施行は、公布後1年以内となりますが、昨年発覚した増資インサイダー事件では、次のようなことが問題となりました。

●インサイダー情報を提供したものを罰する規制は、現行のインサイダー取引規制にありませんでした。しかし、増資インサイダー事件で明らかになったように、インサイダー情報を伝えることで自らの取引を有利に行うことは、市場仲介者としての証券会社に許されることではありません。
●インサイダー取引をファンドの運用業者が行った場合、課徴金などの金額が一般の課徴金額に比べて著しく低く感じた方が多かったと思います。これは、一般のインサイダー取引による課徴金が実際の売買による最大限の利益を想定したものであるのに対し、運用業者がおこなった場合は、信託報酬の増加部分など運用者としての経済的メリットの増加を想定したものでした。(運用業者などによる“他人の計算”において行うインサイダー取引というような言い方をします。一般には、自分の資金で行うので“自己の計算”です。)

 その為、以下の規制強化が証券会社や運用業者に対して行われます。
●上場会社や証券会社の役職員が、他人に対してインサイダー取引を行わせる目的で、インサイダー情報を伝えたり取引推奨を行うことを禁じました。実際にインサイダー取引が行われた場合は、刑事罰や課徴金の対象となります。特に証券会社が関与した場合、関係した役社員の氏名が公表されます。
●運用業者が、“他人の計算”でインサイダー取引を行った場合、課徴金額は運用報酬の3月分に強化されます。また、インサイダー取引や相場操縦行為を繰り返しておこなった場合や、取引上の立場を利用してインサイダー情報を要求した場合、関係した役社員の氏名が公表されます。

証券会社や運用業者に対する規制強化は、増資インサイダー事件の発覚が契機になりましたが、最近は次のようなケースで、中堅以下の証券会社などが関与するケースも増えています。
・TOBの公開買付代理人を引き受ける場合
・第三者割当増資の発行価格算定や実際の受け渡しに、ファイナンシャル・アドバイザーとして関与する場合
・ライツ・オファリングのアドバイザーを務める場合
・自ら新株予約権の引き受けてとなる場合
・主要株主などの持分比率の変化の可能性のある貸株契約などの仲介を行う場合

いずれの場合も、取得した情報に対して、自己売買や営業部門との情報隔壁を厳格に守り、インサイダー情報として厳格に管理することが、証券会社として求められるのは、改正前の今でも当然のことです
 

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最近の個人投資家デリバティブ取引(6月25日)
 外為市場では、個人のFX取引の影響が大きいと言われていますが、昨年11月から始まった円高修正局面において取引が増加を続け、月間の取引金額が2カ月連続で史上最高を更新しています。

 ・5月の店頭FX取引金額は、457兆円でした。
 ・円を売って外貨を取得するポジション(外貨買いから外貨売りを差し引いたもの、所謂円キャリートレード)は、5月末の時点で3兆円を超え、これも最高額でした。
 ・豪ドルも、買いポジションが積み上がり続けているようです。
 ・ユーロは、2ヵ月連続で若干の売り越しとなっています。
(金融先物取引業協会、統計資料より)

 市場予想は専門家の方々にお任せするとして、最近はこの個人FX取引の円売りポジションの大きさが材料になっていて、100円以上のFX取引におけるドル買いポジションが、ドル円における重石になっているのではとの推測がなされています。

 一方、株式関係のデリバティブ取引における個人の動向は、基本的には余り変化(個人の取引ジェア等)はありません。しかし、最近の株式市場の調整局面においては、証拠金引上げ(市場の変動率拡大に伴う)などから若干取引シェアを落としています。

また、有価証券オプションにおけるプット取引において、個人がシェアを拡大していますが、アベノミクスによる上昇局面では、プットの売り(売る権利を売るので、強気のリスクテイクと見られます)ポジションが増えていました。加えて、調整色が強かった6月2週においては、昨年1年間のプットの買い(株価の下落に備える目的)に匹敵する取引がなさています。株価変動の大きい現在のような市場環境において、個人投資家もオプション利用が進むかも知れません。

☆最近の個人投資家デリバティブ取引

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IFRSは何が問題だったのか~ディスクロージャーのルールとして(6月19日)
気付いてみれば、IFRS(国際会計基準:国際財務報告基準とも言われていたが、経団連の最近の報告書ではこの名称)は一体なんだったのかという思いに囚われる上場企業関係者は多いのかも知れません。
 一般的なIFRSのイメージは、時価会計の徹底や企業の価値をフェアバリュー(公正価値)で測れるので、企業価値が解り易くなるというものでした。この基準の導入により、グローバルな投資家の投資判断を容易にし、クロスボーダーのM&Aを一層促すことが期待されましたが、結局、世界統一会計ルールIFRSというのは幻想だったかもしれません。

 このIFRSは、もともとは欧州発の会計基準で、グローバルの会計基準を統一しようと欧州が中心になって米国や日本に働きかけたところは、地球温暖化措置を目的とした排出量取引と、どうしてもダブってしまいます。真摯に議論されておられる関係者には、お叱りをうけるかも知れません。IFRSは、基本的な考え方に基づいて、その実務仕様を米国などが導入しやすいように議論と交渉を重ねながら進んできましたが、このプロセスも何やらTPP交渉と重なって見えます。適用除外項目を挙げて、各国との公表に望むという方法は、その国の企業などの立場を守るとうことでは正しいのでしょうが、導入目的からは如何なのでしょうか。もっとも、IFRS側でも仕様を変更したり、40以上もある検討項目の中で、各国の利害調整から実務検討が停滞しているものもあるようです。会計制度は、経済実態の変化に合わせて変わっていく可能性もあることは、リーマンショック後の経済環境の悪化の中では仕方ないことかも知れません。

 先
、市場(上場企業と投資家)からみたIFRS問題の概要を、企業のディスクロージャーという視点から簡単に見てみたいと思います。

◎日本の会計基準も、IFRSの要素を取り込んで、相当にIFRSに近いものに変更してきている。
(【コンバージェンス】=完全にIFRSと同一基準ではないが、IFRS側が認める範囲で日本基準がIFRSと共通化されている)
◎IFRSは、ディスクロージャーされるのが連結財務諸のみで、単体の個別財務諸表は各国会計基準による開示。
◎上場企業が任意でIFRS基準利用の決算を行うことを、2010年3月期から金融庁は認めているが、現在、今度の導入は予定も含めてJTや住友商事など22社(経団連調べ)で、その他に約60社が検討している。
◎日本の経済実態に合わない項目を除外した日本版IFRSの導入・強制適用を目指すことも検討されている。実際、IFRS導入83ヵ国において43ヵ国がこの方式。(経団連調べ)
◎米国基準を利用する上場企業もトヨタ自動車や野村など32社と増えている。(経済産業省調べ)2002年からは米国市場に上場していなくても、米国式連結財務諸表を日本での有価証券報告書に含めることが認められている。

つまり、上場企業の会計基準としては、日本基準・IFRS・米国基準に加え日本版IFRSと4つが併在していく可能性があります 会計基準の統一化の為のステップでしょうが、余り好ましい状況ではないようにも思います。

 また、IFRSはあくまでも過去の数値で企業実態を把握する目的ですが、今後どのような変化の可能性があるのか探る為には、誰とどの様な競争をしているのか、解り易い開示が求められるように思います。これは、会計制度ではなく開示制度の問題でしょうが、せめて企業が自発的に行う取引所開示などで利用する決算短信には、競争の目的や実態を積極的に開示して欲しいと思います。出来れば、業界内の同じような基準で。
 
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資本市場改革はアベノミクスに貢献できるのか(6月7日)
 アベノミクスの3本目の矢が出揃ってところで、市場はある程度調整するのではと市場関係者が予想していた事でしょうが、まさかこれほどの荒い値動きになるとは多くの方々の想定外の動きとなっています。
まるで新興国市場の値動きを見ているようで、つい比較的落ち着いている米国市場を羨望してしまいますが、日本が再生するための成長への期待とその反動と思えば、改めて足元の成長戦略を見直すという事ではないでしょうか。
 その成長戦略において、資本市場の役割は“新規・成長産業等へのリスクマネー供給を増加させる”ということですが、その為の新たな施策・既存制度の改正に関して、現在金融審議会において議論されており、来年の通常国会での改正金融商品取引法の成立を目指しています。
 簡単に言い切りますと、新規事業などの立上げや成長企業のファイナス(資金調達)を行い易くしようとの方向性です。以下、現在検討されている事項について簡単にコメントします。

【金融仲介業者の活用(クラウド・ファンディング)】
 現状でもインターネットを利用した資金集めとしてクラウド・ファンディングは行われています。しかし、それは投資ではなく寄附行為に近いものです。例えば、音楽のイベント、スマフォのアプリ作り、地域特産食品の製造支援などでしたが、一時的には東日本大震災後の被災企業支援などにも使われました。
 この仕組みを、新規事業や成長企業への投資にどう結びつけるかが問題となります。現在、個人の投資は、証券会社などの金融商品取引業者を通じて行われますが、この現行制度の枠組みを利用して個人投資家の投資リスクを制限しながら、成長性の高い成長企業への投資に結びつけていく事が課題となります。

【地域における資本調達を促す仕組み】
 現在、一般の個人投資家が投資可能な未公開市場としてグリーンシート市場がありますが、この市場は日本証券業協会ルールのもとに運営されているものの、資本市場として機能しているとは言い難い状況です。つまり、この市場の銘柄を取り扱う証券会社数が極端(実質的に2社程度)に少なく、取引も少ない状況なので、市場の価格発見機能に疑問符がつきます。その為、上場している企業のファイナンスなども実質的に難しい状況です。
この市場改革を兼ねて、新たに地方証券会社や地域金融機関などを市場仲介者とし、彼らの地元にある企業の株式の換金の場や、地元投資家を前提としたファイナンスを可能とする市場に、グリーンシート市場を変えていくことが検討されます。簡単に言いますと、地域証券を使って、地域の未公開企業の株式売買や資金調達を可能とする仕組み作りです。

 以上の2つが資本市場のアベノミクス対策としては重要なのですが、以下のことも改正していくべきこととしています。(※筆者の感想は、現行制度の技術的な手直し)

【新規株式公開における事務負担の軽減】
 現在では最低2年間の監査済み財務諸表が必要ですが、これを新興企業に限り1年分としたり、内部統制報告書提出義務を上場後も一定期間免除することが検討されており、これにより監査法人にかかるコストや開示負担が軽くなることが予想されます。

【新規株式公開時の株主規準の見直し】
 例えばマザーズなら上場時に300名以上の株主となることとされていますが、現在は同基準に合わせて上場時公募増資などで株主作りを行っています。この基準が下がることで、より小型の成長企業も上場することが可能となることが想定されています。

【上場企業の資金調達に係る期間の短縮】
 現行は、ファイナンスの決議を行い、募集するために有価証券届出書を提出しますが、7日経過後から投資家からへの勧誘行為が可能となります。これを短縮することついて、筆者としては個人投資家を相手に募集するのであれば、ファイナンス内容の周知徹底が必要なので余り意味を感じません。むしろ、発行登録制度の利用基準を下げて、多くの上場企業が正式なファイナス内容決定以前に、募集活動を行い易くする方が公募ファイナンスの利用拡大につながるように思います。

【有価証券届出書提出前の勧誘的な活動に係る整理】
 現行制度は有価証券届出書提出前には勧誘行為が出来ない仕組みになっています。しかし、引き受ける証券会社からみると、この公募株はいったいいくら販売可能か市場ニーズの調査を行いたいと要望があるようです。これに対しては、前文節で説明しましたのと同様に発行登録制度を活用すべきではないかというのが筆者の考えです。

【大量保有報告制度の見直し】
 例えば現行制度では対象となる自社株取得を除外することや、個人の場合の記載情報の見直しが検討されそうです。

【虚偽記載等に係る賠償責任】
 無過失責任議論は、東電の原子力事故を背景に盛んになっていますが、ちょっとした(?)虚偽記載(例えば子会社の時価評価ミスや課税処理忘れなど)で、市場で売買している投資家などから損害賠償責任(無過失責任として)を負うべきかという企業側の論点があります。企業としては、内部統制報告など開示負担に耐えているのに、投資家保護名目としても厳しすぎるのではというところでしょうか。

 何れにせよ、成長戦略に相応しい市場の成長や変革を促す改正がなされることを期待しています。
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11月から変わる“空売り規制”は、株式の取引にどう影響するか(5月28日)
 空売り規制につきましては、3月に金融庁より改正の概要が示され、4月末に関係法令の改正案が公表されています。
 既に、本稿でもこのルールの全体像と改革の方向性の海外について、以下の図を示させていただきました。

☆空売り規制の全体像について(3月11日公表)

 また、改正案がしめされたことで、その内容や背景について大和総研の横山氏が以下の資料で解説されています。

☆空売り規制見直しの政・府令案(5月23日公表)

 それで今後の株式取引に関して、どの様な影響があるのか、今一度考えてみたいと思います。

【個人の株式取引への影響】
○売り下がり禁止のアップティック・ルールが原則撤廃(10%以上下落した場合は、再び適用)される為、つなぎ売りを含めて個人の信用売りが行い易くなります。
・例えば、寄付きや引けなどでの成行き注文など

○既に本年1月から実施されている信用取引の保証金利用に関する緩和策と併せて考えれば、個人投資家が利用する信用取引の利便性が向上するはずです。しかし、現在の制度信用での株式調達の仕組み、一般信用での現状のリテール証券各社の株式調達力などから、海外投資家のように貸株市場から株式を借りて空売りを行うのとは相当の差がありそうです。

○可能性としては、今後PTSにおいても信用取引の利用が可能となることも考えられます。

【ヘッジファンドなど空売りを多く利用する海外・機関投資家への影響】
○大口の空売り報告義務が恒久化され、かつ報告対象が現在の取引所取引から全体のポジションに及ぶことになります。例えば、海外ヘッジファンドが海外金融機関と空売り契約したもの、PTSで空売りしているものも含まれるようになります。
現状の報告は、彼等の注文を取次ぐ外国証券や大手証券を通して取引所に報告されるという形になっていますが、同報告が恒常化し全体に及ぶことになれば、実質的報告は外国証券などが報告をサポートしていくのではと見られます。

○大口の空売り報告の問題は、むしろ取引所での公表の仕方にあるように思います。現状は、記載方法や様式にバラつきがある個別報告書のPDFを閲覧可能とする方法ですが、もし、大口空売りに関する投資家間の情報格差を縮小する目的でこれを行うなら、個人投資家にも解り易くする集計方法や開示方式が検討されるべきではないでしょうか。

【PTSの取引拡大に伴い、同規制の対象とする影響について】
○今回の改正は、空売り規制(アップティック・ルール、株式を手当てしないネーキド・ショートの禁止など)全般がPTS取引にも及ぶということですから、これらをチェックするPTS側の売買管理機能の充実が求められます。つまり、PTSにとってはコスト増要因となりそうです。

○ただし、将来的にPTSでの信用取引の可能性出できました。証券会社が、空売り株式を手当てする一般信用なのか、証券金融会社が株式を貸し出す一 
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本年度の資本市場に関する金融商品取引法改正について(4月22日)
 4月16日に、本年度の金融商品取引法改正案が国会に提出されましたが、資本市場に関連した主な改正点につき、その概要を以下に纏めました。

☆平成25年度金融商品取引法改正について

今年度の改正に至るまでの問題点としては、
・公募増資インサイダー問題
・AIJ問題
などあり、この対策が取られましたが、インサイダー取引規制に関しては、資本提携やTOB買付者の競争者による買付行為が円滑に進むような適用除外措置も盛り込まれました。

 また、投資信託に関する改革として
・運用効率が低下している小規模投信の合併を行い易くする改正
・投信の運用報告書を解り易くするため、交付と請求の2段階化にすること
・MRFの安定運用の為に、運用会社が緊急時に資金支援を行うことを容認
の措置も入れられています。

 一方、J-REITに対する改革も進んでいて、普通の上場企業の様に資本政策が認められ海外不動産の間接取得も可能となりますが、その為にガバナンス部分の一部強化やインサイダー取引の対象となっています。
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空売りはどう変わるか?多分11月から(3月13日)
 前回示したような空売り規制が見直されると、何がどう変わるのかという事について述べたいと思います。
 空売り規制の4つ課題の内、ネイキッド・シュート・セリングの禁止と自社株取得規制の緩和措置については、これが恒久化されるという事ですから、現状とはあまり変化がありません。

 最も影響が大きいと思われますのは、アップティック・ルールの実質的な撤廃ではないかと思われます。
特に“個人の空売り=信用取引での売り”が行いやすくなりますので、現物株を保有して配当や株主優待などの権利を得て、リスクを限定するために信用取引で売る“つなぎ売り”などの利用が増えることが予想されます。また、個人投資家であっても手数料の安い信用取引での売買を利用することで、保有株式の単価を引き下げる目的で売買を繰り返すことも考えられます。
一方、機関投資家の売買においては、アルゴリズム取引などのシステム売買が行いやすくなるのではとの指摘がありますが、この部分は余り変化ないのではないでしょうか。既にアルゴリズムとして現行のアップティック・ルールが組み込まれているのを外すだけでは、大きく取引量が増加することには繋がらないと考えます。
規制の見直し案において、PTSでの取引もアップティック・ルールの対象とするとありますが、現行では認められていない信用取引を、PTS側の体制が整えば認めるのではないかと推量します。

 結果としては、個人投資家の信用取引利用が増えると予想されますが、このニーズに対応する為に、信用取引での売りに必要となる“貸せる株式”の調達力の差が証券会社によって大きくなりそうです。証券会社が個人投資家に貸す為の株式の調達方法は、次の2つです。
・証券金融会社から借りる(制度信用取引)
・自社内の顧客、貸株市場(金融機関内のOTC取引)から株式を調達する(一般信用取引)
このうち2つ目の部分が、証券会社によって対応が大きく違ってきますし、結果、個人投資家に貸せる株式の違いとなります。リテール証券会社での信用取引対応力の差は、貸株市場での株式調達力の差とも言えます。

 2つ目の空売り報告(大口の空売りポジション)の問題は、一般の個人投資家は余り関係なさそうに思われますが、“空売り=いずれ株式を買戻し、借りた株式を返済する”と見做せば、空売りさせている株式は仮需用といった見方もあります。現在は、空売りされたものは以下の様な公表が行われています。
・信用取引の売り残高として、銘柄ごとに取引所が公表(前週末の状況を、火曜夕刻に公表)
・証券会社が係った株式の貸し借りを、銘柄ごとに証券業協会が公表(前週末の状況を、木曜夕刻に公表)
・発行済みの0.25%以上の空売りポジションを持った者は、取引所に報告する義務があり、現状ではこの個別報告書を取引所が日々公衆縦覧(銘柄ごとの集計は行われない)

 これらの報告を勘案して、空売りから想定される仮需要をどう判断し投資家に示していくかは、証券会社の仕事かも知れません。ただし、ネット取引が進んでいる現状では、特に3つ目の空売り報告が個人投資家の投資判断にとって解り易い方法で公表されることも、また必要ではないかと考えます。  
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空売り規制の全体像について(3月11日)
 3月7日に金融庁より「空売り規制の総合的な見直しについて(案)」が公表され、本年11月を目途に現行の“空売り規制”を見直す方針が示されました。
 そもそも“空売り”そのものは、金融商品取引法第162条(空売り及び逆指値注文の禁止)により禁止されていますが、個人投資家が利用する信用取引や特定の借株契約で借りられた株式をもって売却する行為は、市場に流動性を与えることから例外的に認めるという構成になっています。

この空売り規制の全体像と見直しの方向性について、簡単に図式化してみました。

☆空売り規制の全体像について

この問題は4つの部分に分かれています。
・アップティック・ルール(認められている空売りで、禁止されている売り下がり禁止)
・空売り報告(0.25%以上の空売りポジションを保有した場合の報告義務)
・ネイキッド・シュート・セリング(空売りを実施してから、株式を借る)
・自社株取得規制の緩和(空売りとは直接関係ないが、リーマンショック後、緩和される状況が続いている)

個人投資家に対してどの様な影響があるかは、次回以降に取り上げたいと思います。  
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平成25年度税制改正で個人の投資はどう変わるか(3月4日)
 昨年末の政権交代で、例年より1ヵ月以上遅れていた平成25年度税制改正が、1月下旬に閣議決定されましたが、個人の投資に関する部分を簡単に纏めました。

☆平成25年度税制改正で個人の投資はどう変わるか

○個人の投資に関する改正の主要テーマ
ü 金融取得課税の一体化に向けた動き
ü 資産形成へのサポート
ü 世代間における資産移転の推進
ü そして、譲渡益課税軽減措置の終了
○日本版ISAの導入と英国制度との比較
○更なる個人の投資拡大の為には、何を期待するのか

共通番号制度(2016年から実施予定)が3月1日に閣議決定されましたが、いよいよ金融所得一体課税に向けて動きそうです。今回の税制改正では、債券に関すものが少し進展していますが、それでも2年後が目途です。また、デリバティブまで含めることに関して、財務省サイドの壁が高そうですが、株式・投信と債券に加えてディリバティブまで譲渡損益や配当・利子などが損益通算できるという事になると、証券会社などによる個人投資家への運用に対する助言余地が大きくなることが予想されます。
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これから変わる証券税制(速報版)について(1月29日)
 1月24日に、与党の平成25年度税制改正大綱が公表されましたが、個人投資家に影響のある部分について、その影響などを踏まえ、内容を簡単に見ていきたいと思います。制度改正は、平成26年以降となりますが、影響は今年後半の個人投資家動向に影響を及ぼすかもしれません。
 先ず、主なポイントは3つ程あります。
  有価証券の譲渡益課税の軽減措置が撤廃、少額非課税投資口座(日本版ISA)制度の開始、金融一体課税に向けた動き、以上3点が個人投資家に影響の大きいと思われる改正内容です。

【譲渡益課税の軽減措置が撤廃】
 株式や投資信託の譲渡益は、原則20%課税ですが、2003年より半減して10%課税とする軽減措置が続いてきました。この軽減措置が、年内で終了します。
何か、本則戻るイメージですが、実務的にはそうも言い切れないと思います。
事実、個人投資家にとって譲渡益課税が20%とだけなるのは、初めての経験となります。
といいますのは、それ以前は税率26%の申告分離か、源泉分離課税(売却代金の1.05%)の選択でしたし、更にその前(1989年以前)は、原則非課税でした。

(“証券税制変遷の概略”(2012年9月時点作成)については、弊社作成資料をご参考ください。)


この軽減措置撤廃の影響は、市場環境次第でしょうか本年第4四半期に顕在化してくる可能性もありますが、詳細な分析はストラテジストの方々にお任せします。

【日本版ISA制度の開始】
 この制度は、譲渡益課税の軽減措置撤廃見合いで来年1月から始まりますが、取りあえず以下の様な制度内容でスタートします。

・2014年からの年間ベースで、株式や投資信託への投資額100万円までの配当金や譲渡益などについて非課税。
・この非課税口座を開設してから5年間、毎年100万までの投資額に関して、非課税となります。
(累積した非課税投資額500万円まで)
・但し現状では、年間の非課税投資枠未使用分の翌年以降への繰越しや、非課税口座で投資したものの売却後の非課税枠再投資利用は認められていません。
・対象となる個人は、20歳以上の居住者
・この制度は、恒久化が業界から望まれていましたが、取りあえず旧案の3年から10年に制度適用期間が大きく延長されています。

今後、恒久化や累積投資額の拡大・非課税投資枠の再利用などは、この制度の定着などを見極めながら、議論されていくと思われます。また、大和総研がこの日本版ISAに重点をおいた税制改正大綱速報版のレポートを書いていますので、ご参考ください。

速報版 日本版ISA 拡充、教育資金贈与非課税、公社債税制抜本改革(大和総研)

なお、実務的にはこの制度は本年10月から投資家サイドでも準備が始まります。
・非課税口座を開設する為に、証券や銀行を通して税務署に前の年の10月から当年の9月末までの間に非課税適用確認書を申請します。住民票を添付することも求められています。

【金融一体課税に向けての動き】
 こちらの方は、正直に言いますと余り大きな進展はありませんでした。前政権下で既に決定されていた、債券関連の利息と譲渡益の損益通算に向け、2016年から債券の譲渡益も課税されることが決定されています。
 個人投資家とすれば、投資対象が多様化していますので、株式や投資信託、債券、デリバティブのそれぞれの損益が通算され、課税が一体化されることは大きなメリットでしょうが、与党税制大綱では今後の検討事項とされています。
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世界の中の日本市場 (1月17日)
 世界の株式市場から日本市場を見直してみることも、この相場の行方を占う意味で重要なことかも知れません。海外の機関投資家などから見るドルベースでの見方が主流だと思いますが、果たして日本市場はまだ買えるのでしょうか。市場アナリストでもない立場で恐縮ですが、昨年の世界市場の動向をご参考にされては。

 
世界全体での株式の2012年売買高は、前年に比べドルベースで22.4%減少しています。やはり、昨年央にかけての欧州債務危機の影響からリスクオフの流れが強まった影響でしょうか、欧州債務懸念が薄らいだ後も、米国や中国などが売買高を前年比3割近くも減少させています。

日本も、年間で12%強取引を減少させましたが、そんな中で以下の新興国が取引を増加させています。
・フィリピン(+25.3%)、タイ(+5.6%)、メキシコ(+3.7%)、サウジ(75.4%)、アイルランド(+4.1%)

☆2012年世界の株式市場動向

 
一方、市場の時価総額は、全体で15.1%(ドルベース)増加しています。
NY市場が年間で約2割、東証は4.6%、上海は8.1%、そして欧州では以外にもドイツが25.5%の増加となっています。やはり、日欧の市場は為替動向次第といった部分が大きいのでしょうか。
 実際の現地通貨別の市場パフォーマンスに関して、日興アセットが以下の資料を公表していますので、ご参考下さい。

☆2012年の株式市場の回顧と2013年の展望 
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金融商品仲介業の現状について~改定版 (12月20日)
 金融商品仲介業は、専業者だけみますと約700業者、販売員ベースで約2,800名の小さな金融ビジネスですが、大手証券が展開するIFA(専属の歩合セールス)や金融機関で行う仲介業務を考えれば、金融商品販売に必要な証券外務員登録を行っている約53万人に影響のあるビジネスに拡大する可能性があります。その現状について纏めましてので、ご参考ください。

【金融商品仲介業の現状について~改定版】
・金融商品仲介業制度の概要
・金融商品の販売者数と仲介業
・仲介業の仕組み
・仲介業者への3つパターン
・金融商品仲介業者の現状
・金融商品仲介業者仲介元の状況
・独立系仲介業者の実像
・大手証券の戦略
・ネット証券の戦略
・中堅証券会社等の対応と問題
・証券会社からみた仲介業ビジネスのポイント
・今後の独立系仲介業者拡大の可能性
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証券会社の戦略としての仲介業 (12月18日)
 この一月で大分雰囲気も変わりましたが、2008年以降証券業界は非常に厳しい環境にありました。
例えば、2008年3月期には証券会社の営業収益は4.28兆円(東証参加者107社ベース)でしたが、
・金融危機直後:2009年3月期 2.77兆円(前年比▼35%減少)
・直近決算:2012年3月期 2.47兆円(2008年3月期比▼42%減少)
と厳しい経営状況が続いています。その為、リストラ圧力が継続していますし、中小証券などの一部では廃業や他社との統合なども目立っている現状です。
 しかし、その様な証券業界の環境下にあっても、証券仲介業(金融証券仲介業)は増加し続けています。仲介業は、証券関連ビジネスを証券会社に仲介するもので、主に個人投資家の株式や投信・外債などの売買を取り次ぎますが、証券会社からみて仲介業をどの様に使おうとしているか、それぞれの現状を纏めてみました。

【大手証券の戦略】
野村や大和の仲介業戦略は、結論から言いますと余り積極的な展開を考えていません。彼等も、個々の売上げに応じた報酬制度のIFA(Independent Financial Advisor)制度を導入していますが、これば他社でいうところの仲介業とは少し違います。どちらかといいますと、彼らのIFAは、専属の歩合セールスといった特徴が強くでていますが、他社のIFAはイコール仲介業者です。この理由は、証券会社専属のIFAなら、全社的な営業戦略(簡単に言い切りますと、何を売っていこうか)に組み込めますが、仲介業者は他社の仲介をすることもあるので、彼等の自主的な動きに委ねるしかありません。
しかし、野村や大和は証券仲介業を全く使わないかというと、制度として次のような利用を試みています。
地方銀行など地域の金融機関が彼等の仲介業者となり、野村や大和が仕入れた外債やファンドなどの販売を行う方法です。仲介業のあり方としては、次に述べます銀行などの仲介業と同じ形態になります。

【銀行系証券会社の戦略】
メガバンクの証券子会社は、グループ内の銀行と相互に仲介業を兼ねる方向です。取りあえずは、銀行の店頭で外債などの販売を行う為、銀行が証券の仲介業になるケースが先行します。投資信託に関しては、銀行でも窓販を実施しているので、銀行にとって仲介するメリットは限られていますが、地銀の一部では証券子会社に比較的リスクの高い投資信託販売を、取り次ぐ仲介を実行しているところもあります。この節の標題を銀行系証券会社の戦略としましたが、証券仲介業としての銀行の、証券子会社利用戦略に実態は近いようです。

以上の2つの戦略は、仲介業ビジネスの視点からみれば、仲介元の証券会社に対する専属制が高いものです。しかし、本来の仲介業者は複数の証券会社の仲介も可能な仕組みです。その仲介業者を、ネットや中堅証券会社などがどう使おうとしているかは、次の様に状況になっています。

【ネット証券の戦略】
1部の大手ネット証券では、自社のインフラを有効に利用する為、仲介業網の整備を行っています。日本株のみならず、外国株・外債・投信・デリバティブなどの金融商品全般に渡るインフラは大手ネットといえどもコスト負担の重いものです。仲介業を通じて、このインフラの利用率を向上させようとの戦略です。
但し、ビジネスモデル上の問題として、仲介業は対面営業なので、仲介元としてコンプライアンス対応や事務処理対応に別のコストが、ネット証券側の負担になるという面もあります。

【中堅以下の証券会社の戦略】
・積極的活用派
自社の営業網を整備していくのに、支店や営業所を設けていくより、仲介業者を増やした方は効率的に思えます。その為、中堅証券の一部では、積極的に仲介業者網を整備していこうとの動きがあります。ただし、現状はある程度売上げのある仲介業者に対して、各証券のアプローチが集中する傾向があり、重複して複数の証券会社の仲介を行うところも増えています。
・消極的利用派
業況の悪化から、リストラ策や業態転換策として証券会社自ら、他証券の仲介業となる動きも出ています。例えば、本体からリテール営業部門や特定の支店だけを切り離し、仲介業者とする動きがあります。また、自らが証券業を廃業し、残った営業部門の人員を中心に仲介業を設立することを始まりました。

なお、金融機関以外の仲介業(個人及び法人)の外務員数は、本年6月末時点で2,800余りですので、ネット及び中堅証券の仲介業戦略は、これらの囲い込みにとどまっているようです。
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金融商品の販売者は、53万人もいる (12月6日)
 投信や外債などを販売する者は、53万人もいる。証券会社などは、業況が悪くは、最近は事実上撤退するところも目立ち始めているのに、やや意外感のある数字だ。

種明かしをすれば、この数字は金融商品を販売するのに必要な外務員登録の数字で、窓販を行う銀行など金融機関の35.8万人、郵便局員などの9.6万人も含まれる。金融商品の販売活動だけ行う証券会社の外務員は7.2万人で10年前と殆ど変らない。

 撤退する証券会社の外務員や金融機関をリタイアした外務員の受け皿になっているのが独立系の仲介業だが、法人・個人合わせて約2,800名しかいないので、まだ金融商品仲介業の存在感は小さい。また、現在の仲介業の主流は、銀行が自社系列を含めた証券会社の代理として行うものが中心となっている。つまり、銀行にいる外務員が、証券会社から供給される投信や外債などを仲介して販売している。

 但し、独立系の仲介業者は2つの意味で注目されている。一つは前述したように証券マン・銀行マンの受け皿として、もう一つは証券会社の営業拠点のネットワーク化の方法としてだ。

現在、53万人の0.5%にしか過ぎない独立系仲介業者だが、今後、証券会社や銀行から大きく人員がシフトしてくることも考えられる。米国のように、営業力のある営業マンの仲介業者化が進むには、現在の独立系仲介業者のビジネスモデルを変える必要があるかも知れない。例えば、私募ファンドやラップ口座の仲介など成功報酬を得る商品販売の仲介、営業推進的な勧誘行動を取り易くする組織上の仕組み、などが考えられる。

☆金融商品の販売者数・仲介業者の実像

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金融証券仲介業者には、どうしたらなれるのか (11月30日)
個人の方から、標題のような問い合わせを受けて、少し面食らったことがある。
時々、証券会社ビジネスの視点から金融商品仲介業(証券仲介業)を取り上げているので、何らかの媒体でご覧になった方が、問い合せられたのだろう。どうしたらなれるのか、簡単に書いておきたい。

 先ず金融商品仲介業は、証券会社の代理ではない。証券会社やFX業者など第一種金融商品取引業者、投資信託などの運用業者から委託を受けて行う金融商品などの売買の取次ぎなどに限られる。

 この業務を行う為には、金融商品取引業者として管轄の財務局に登録しなければならない。同じように登録を必要とする金融商品取引業などと違って、最低でも資本金がいくらといった資本規制はないので、個人でもなることは可能だ。ただし、次のような場合は、明らかに登録が認められない。

・過去、関連法律違反など犯して5年以上経っていないものなど、公益上相応しくないと見做されるもの
・他に行っている事業が公益に反すると認められるもの
・仲介業を行うに相応しい知識や経験がないと思われるもの
・仲介する証券会社などが、何らかの金融商品取引業者の協会に加入していない場合

以上をクリアしているなら問題はないはずだ。3番目は、具体的には過去証券会社などに勤務していて、証券外務員資格あれば良いだろうが、フィナンシャル・フランナー資格はどうか、弁護士や会計士の資格だけではどうか、税理士なら・・・。これを判断するのは、業務の一部を委託する証券会社の判断となる。
後は、登録の届出書に業務方法書など決められた書類を添付して、財務局に申請する。

 現在、金融商品取引業者として登録しているのは、この10月末時点で708業者となるが、274社の証券会社よりは多く、毎年増加しているものの、個人(約200名)も含めた数値なので、ビジネスとして拡大・成長しているというイメージでもない。現状は以下のようなものだ。

☆金融商品仲介業者の現状

この仕事は、2004年5月から証券仲介業として始まったが、国策の“貯蓄から投資へ”で投資チャネルの拡大として多いに期待されていた。思った程拡大していないのは、業務を委託する証券会社サイドのビジネスモデルが定まらないからなのだろか。

但し、最近の動向では、ネットや中堅以下の証券会社による仲介業強化戦略が目立っている。その成長と変化はこれからだろうか。

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証券会社が求めるもの (11月16日)
証券会社の業務コンサルティングが筆者の仕事ですので、常に彼等が求めるものは何か考えています。
ビジネスで顧客の求めることを考えるのは、しごく基本的なことですが、一般の方にも分かるように書くと、次のようなものだと考えます。

“証券会社は新しいビジネスモデルを求めている。”

何か、当たり前のことでお叱りをうけそうですが、今一番必要なことは何かと証券会社の経営者に聞くと、上記のような答えが返ってくるだろうと思います。
このことを考える前提として、次のような証券会社を取り巻く環境の変化があります。

◎取引システムの高速化・高度化・グローバル化
証券会社が投資家の為に行う取引がどんどん進化しています。株式やデリバティブ取引の高速化はもちろん、アルゴリズム取引など取引手法も高度化しています。また、海外市場での取引も取り次ぐ大手ネット証券・中堅証券が増えています。証券会社にとっても問題は、多様な取引サービスを投資家に提供することが可能になった反面、これら取引機能をどこまで揃えるかといたコスト・パフォーマンスの問題が大きく認識されるようになっています。

◎決済機能の集約化と電子化対応
最後に株式が完全ペーパレス化して既に4年近くが経とうとしています。株式も投信も債券も、完全に電子化されたことで、決済・保管が証券保管振替機構(ホフリ)に集約されています。従って、証券会社において今まで人手がかかっていた部分は、システム対応が進みコスト削減に大きく寄与したはずです。考え方としては、各証券会社で其々取引きしたとしても、最終的には各々の取引処理は同じはずなので、事務対応は共通化し、共同で処理するようなことまで進んで良いはずです。しかし、証券会社間の共同事務センター的な構想はあっても、そこまで進んでいないのが現状です。

◎ICTの進化の恩恵
インターネットの利用が進み、かつそれを使った情報発信体制も整ってきたので、投資家が入手する投資関連情報のリアルタイム化が大きな恩恵と考えられます。但し、投資に関する情報の非対称性に頼るような証券会社の営業は成り立たなくなってきました。それ故、投資家と新たなコミュニケーションのあり方が、証券会社に求められています。SNSの利用やスマートフォン対応は、ネット証券だけの課題ではなくなりつつあります。

以上の3つ大きな環境変化に対応する為、証券会社は新たなビジネスモデルを模索しています。

その基本的な考え方は、顧客ニーズの把握の為、顧客とのコミュニケーション力の向上ですが、大資本の証券会社でなければ全ての顧客をカバーすることは不可能ですので、先ずは顧客層をセグメーンテションして、自社の注力する顧客層に的を絞って顧客とのコミュニケーションを増加させていくという事ではないかと考えます。

☆証券会社が求めるもの

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改めて、証券会社とは何か (11月14日)
投資信託は、銀行や郵便局でも販売しています。外国債券も、銀行などで取扱いが始まりました。しかし、株式は証券会社でなければ取り扱っていません。では、株式を取り扱うのが証券会社の特徴なのか、と定義してしまうと中には株式を取り扱わない業者がいたり、海外市場の株式まで取り扱う者もいます。

 そもそも証券会社とは何なのか、改めて見直したいと思います。
金融に関係した業務は、何らかの国の規制を受けますが、その行為を規制する所謂業法というものは、証券会社にとっては、金融証券取引法になります。この法律は2007年9月末から施行されていますが、それ以前は証券取引法です。この証券取引法では、証券会社について基準と業務内容の定義がありましたが、新しくなった金融商品取引法では、証券会社に関する定義がありません。代わりに次の様な定義のされ方になっています。

○第一種金融商品取引業(有価証券やデリバティブの取り扱い、引受業務、PTS業務など)
○第二種金融商品取引業(私募ファンドなどの組成と取扱いなど)
○助言・代理業(投資助言業など)
○投資運用業(投資一任契約、公募ファンドの運用、私募ファンドの運用)

なお、第一種金融商品取引業に限り、証券会社という呼称を使用しても良いという構成になっています。

但し、第一種の中にはFX業者も含まれていますので、第一種=証券会社ではないが、証券会社である以上第一種に該当するということになります。

また、証券会社が私募ファンドの取り扱いを行う場合には第二種のライセンス、ラップやSMAなどで投資助言を行い成功報酬を得ようとすると助言業のライセンス、投資家との間で投資一任契約を結ぼうとすると投資運用業のライセンスが必要となります。

もともとこれらのビジネスは、証券会社の業務から派生したものでしたが、証券会社内のビジネスの多様化や専門家が進んだので分けられたものです。また、金融商品取引法では、上記4つの業務を纏めて金融商品業者として定義し、かつこれらの業務への参入を促進する為、ライセンスを与える基準を下げています。特に公募・私募を問わずファンドを通じた投資の推進に大きな期待がかけられていました。

金融商品取引法の施行から5年経過しますが、リーマンショック後のリスクオフの影響が大きく、残念ながら証券会社数は減少しています。また、中小証券会社の統合や、業務撤退も伝えられています。

しかし、証券業務が構造的な不況業種になってしまったというと、必ずしもそうは言えないと思いますが、現状は今の経済状況や時代の流れに合うようなビジネスモデルの転換に苦しんでいるもの事実です。
そのビジネスモデルのあり方から、証券会社を見直してみると次の様なビジネスモデル上の問題点が浮かびあがります。(概略図を示します)

☆証券会社のビジネスモデル上の問題点

図の内容を纏めますと、リテールは個人投資家層をセグメント化して、それに合わせた対応が必要ですし、ホールセールは引受やM&Aなどの機能別に証券会社同士の共同利用化が必要なほど業容の集約化を求められそうです。また、トレーディングは裁定取引の焦点をどの分野(投資対象、時間など)に当てて競争力を磨く努力が必要にも思います。詳しくは又の機会に。

ただし、証券会社は市場での直接取引を行う者でもありますので、日本の市場活性化は結局日本の証券会社に依るとも言えます。
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空売りの仕方について (10月25日)
リーマンショック以降、市場対策の時限措置として空売り規制が強化され、半年に1回延長措置が取られています。強化されている内容は、株式を手当てしないで空売りするNaked Short Sellingの禁止と、発行済株式総数の原則0.25%以上の空売りポジションの保有者に対する報告義務(証券会社と通じて取引所へ)ですが、どの様な効果と機能を果たしているか個人には分かり難いので、空売りの仕組みを簡略化して示したいと思います。

 ☆空売りの仕組みと規制

株式市場において、空売りを行う場合は株式を借りて売らなければなりません。

例えば、個人投資家なら取引の口座を持つ証券会社から、空売りしたい株式を借りる訳ですが、証券会社の株式調達方法によって次の2つに分かれます。

①証券金融会社から借りる制度信用
②貸株市場から借りる一般信用
また、機関投資家や海外投資家は、基本的には以下の方法を用います。
③貸株市場から調達する

①につきましては、証券金融会社内で信用取引の買い残がある程度ないと株式を借りることは出来ませんが、株式を借りる場合は、利用する証券会社がどこであっても同じ条件となります。また、頻繁に貸し借りされる銘柄は毎日、全銘柄は1週間に一度、その銘柄毎の貸借状況が公表されます。

②と③は、貸株市場から証券会社や金融機関が借りる訳ですが、相対取引の市場なので、株式の調達力や調達条件も各参加者によって異なります。また、②に関しては1週間に1度銘柄毎に証券会社から集計した取引状況が証券業協会より公表されますが、③の関する公表数値はありません。但し、大量に空売りしたものは現在、報告義務があるので、空売りしたものの報告ベース(銘柄毎の集計はされない)である程度の状況は推測することも可能です。

つまり、現在の状況では、個人投資家は空売りの状況の一部しか知り得ないという訳です。もし、個人投資家が、海外の金融機関と同じように銘柄毎の空売りの状況を知りたいと欲すれば、貸株市場の取引をしる必要があります。この情報は、個人投資家にとって有効な情報か如何か分かりませんが、少なくとも空売りを欲する個人トレーダーにとっては、把握したい情報でしょう。
 
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改めて、市場対策を見直す (10月15日)
もう20年も資産デフレに晒されているのにと、多少泣き言が洩れそうなる日本の株式市場ですが、最近の動きも、世界経済の停滞を一身に背負っている感が拭えません。
そこで、改めて日本の市場対策の現状を見直してみました。

【公的資金による株式などの買入れ】
◎日銀によるETF、J-REITの市場からの買入れ(買入れ実務は、信託銀行が代行)
2010年12月から実施されたこの対策は、日銀が市場から直接買入れるという画期的なものでしたが、10月15日現在で既に、ETFは1兆4,493億円(取得枠の90.6%)、J-REITは1,043億円(取得枠の86.9%)取得されており、残っている枠が少なくなっている事とこの残存枠の有効期限が年内となっていることから、今月30日の日銀政策決定会合での取得枠の増額及び期限の延長などが期待されそうです。
◎日銀による金融機関からの株式取得
 これは既に取得が終わっていますが、金融危機以前で取得したものの内、未処分のものが1兆2,737億円(簿価ベース)、金融危機後買い入れたものが3,878億円(取得金額)となっており、2014年4月以降に売却が可能となります。

※つまり、現時点で日銀は合計3兆2千億円を超える株式等のリスク資産を保有している事になります。

◎銀行等保有株式取得機構による株式取得
 こちらは、金融機関からの株式買取りに加え、上場企業が保有する金融機関株式の買入れも行っていましたが、一旦取得した株式の処分を終えた後、金融危機後2009年3月より再び金融機関などから株式を買い取っています。9月末現在では、7,312億円に達しています。(取得期間は3ヵ月毎延長、現在は10月末までの買取りスケジュール)

※以上を合計すると、約4兆円の公的資金が株式を購入していることになります。

【空売り規制等の行政措置】
金融当局は、株価の下落を加速するような空売りを時限措置として禁止しました。
○売付けの際に株の手当てがなされていない空売り(Naked Short Selling)の禁止。
○発行済株式総数の原則0.25%以上の空売りポジションの保有者に対する、証券会社を通じた取引所への報告の義務付け。取引所による当該情報の公表。
これらの措置が、海外ヘッジファンドなどの個別銘柄の空売りに対して、その位効果があるか分かり難いものですが、少なくとも注文を仲介する証券会社に報告義務があることで、空売りの際の株式の手当ても確認しなければならないという構造になっています。

一方、上場会社が市場から株式を取得する際のルールを緩和しています。
○自己株取得の1日当たりの市場からの買付数量の上限は無しに(旧来は25%まで)、また終了30分前も買付可能に

※以上の措置は10月までですが、金融危機後は半年毎延長されています。空売り報告の恒久化などの議論もありますが、どの様な延長措置になるか、少しは強化を期待したいところです。

【税制による投資支援について】
○譲渡益課税の軽減措置
もともとは日本株の低迷に対する支援措置として始まったものですが、2014年からの少額投資非課税制度(日本版ISA)導入との引き換えで、撤廃が予定されています。この措置が、個人の日本株投資にどの位役立ったかという議論はありますが、税制面で日本の株式市場をサポートする今後の政策に期待したところです。

【日本株のプロモーション活動】
これらは、証券会社の仕事にも思えますが、東証が以下のキャンペーンを積極的に行っています。
○+YOU一人ひとりが日本経済(以下、東証HPより)
日本経済とは、何か特別な存在ではなく、一人ひとりが支えているもの。
いわば、"一人ひとりがニッポン経済"であると言っても過言ではありません。
だからこそ"あなた"にもっと主体的に"関わって"もらいたい。
あなたはもっと主体的に日本経済に関わることができるはず。
あなたは企業支援を通じてもっと日本経済を応援できるはず。
何故なら、あなたは日本経済を支えるかけがえのない一人なのだから。

以上の施策は、本来は目的が同じ日本市場の活性化にあるのですから、うまく連動して効果を発揮することに期待しています。
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来年から機能強化される信用取引制度 (9月26日)
来年の年明けより信用取引では、1日に同じ担保(保証金)を使って何度でも売買できる。損益も反対売買した時点で担保から加減され、新たな取引に反映される。金融商品取引法に係る内閣府令で、信用取引の保証金に対する以下の改正が行われ、2013年1月1日から施行されるからだ。
 
【信用取引に係る保証金の引出し等】
信用取引について反対売買を行った場合には、その約定時点において、顧客が証券会社に預託している当該信用取引に係る保証金(当該反対売買による損失等を除く。)を引き出し、又は新たに行う信用取引に係る保証金として利用すること等を可能とすることとする。

【反対売買による利益の取扱い】
信用取引について反対売買による利益が生じた場合には、その約定時点において、当該利益を、信用取引に係る保証金の額に加算し、新たに行う信用取引に係る保証金として利用することを可能とすることとする。

信用取引保証金に関するこれだけの変更だが、信用取引を頻繁に行うデイトレーダーなどには影響が大きい。個人投資家の取引の6割を占める信用取引において、今は日に1度しか利用できない担保が、何度でも利用可能となる。現在、主要なネット証券においては、大口の信用取引に対する委託手数料を部分的でゼロとするところまで手数料引下げ競争が激しくなっているが、この改正により短期的な値鞘取りを狙った個人の信用取引が増加することが予想される。

一方、個人投資家の信用取引を市場に取り次ぐ証券会社への影響は更に大きい。現行の信用取引に関するシステムを、次の点で早急に変更する必要がある為だ。
○顧客の資産及び信用取引をリアルタイムで値洗いし、新たな取引に対応可能な担保余力(保証金)をリアルタイムで投資家に示す必要がある。
○保証金の担保価値をリアルタイムで把握する為、株式などの代用有価証券をリアルタイムで値洗いする必要がある。
つまり、信用取引と資産管理のリアルタイム化に対応することが証券会社に求められる。
勿論、信用取引は各証券会社が投資家に購入代金や株式そのものを貸すサービスなので、各々サービスの違う信用取引があっても良いのだが、例え対面営業での信用取引であっても、現在の前日の終値で顧客資産を判断する仕組みから、ある程度リアルタイム化への対応が求められそうだ。(※一部のネット証券では上記の対応は既に行われている。)

そもそも、信用取引制度は米国のマージン取引をモデルに1951年にスタートしたが、1998年に貸株市場が証券会社に解禁されたことで可能になった“一般信用取引”も、旧来からある“制度信用取引”も、基本的な仕組みは変わっていない。この間、株券はペーパレス化されたし、ネット環境の整備で、個人でも容易にリアルタイムな市場情報を入手できるようになった。また、取引システムの高速化と、それに伴うシステム売買のアルゴリズム取引も大きなシェア(東証の約4割)を占める様になっている。

 信用取引を含めた株式売買のあり方も、又時代の進化に合わせて変化するべき時かも知れない。例えは、以下の様な点が取引改善の論点としてある。

◎PTSでの信用取引の解禁
東証と大証の市場統合により、代替市場としてPTSは注目されている。しかし、現在は取引所取引でしか出来ない信用取引を取り込む為には、PTS側での売買管理機能(不公正取引などの監視)が求められている。

◎現物売買での資金の効率性(差金決済の禁止規定の一部解除)
金融商品取引法では、購入資金もないのに反対売買した差額だけ受け渡す差金決済が禁止されている。しかし、元々の購入資金があって、同一銘柄を日に何度も売買する行為も差金決済取引と見做され、現状では同一資金による同一銘柄の売買は、買い・売り・買いの1.5回転までだ。(証券会社によっては1回転まで)信用取引で、複数回の売買が可能であれば、この点も元々の規制の主旨を活かして改善する余地があると考える。

◎信用の保証金と言う考え方と、デリバティブ取引の証拠金の扱い方の改善
これは法改正を求めるというより、むしろ証券会社の顧客口座管理上の問題かもしれない。投資家の視点で言えば、信用取引の保証金も、FX取引やCFD取引の証拠金も、同じ資金なら効率良く利用したいというニーズがあるだろう。しかし、信用取引の方はあくまでも現物市場での投資家の売買に対して、証券会社が信用を供与する仕組みで、これ対してデリバティブは証拠金を基にレバレッジをかける為、強制的なロスカット・ルールの適用が義務付けられている。制度が異なる中で、投資家が如何にスムーズに取引できるかは、顧客口座管理の工夫によるのではないだろうか。

以上、信用取引に絡んで、現在の取引システムの進化に合わせた取引制度の改革が待たれる。
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個人の金融資産・海外投資~強まらぬリスク選好 (9月21日)
 貯蓄から投資への流れが何故政策的に必要か考える時に出て来る資料が、日銀の資金循環統計による個人金融資産の図表ですが、この統計は3ヵ月毎に日銀より速報値が公表されます。本年6月末の状況が20日に公表されていますが、ここ数年余り大きな変化はありません。市況などの影響もあると思いますが、貯蓄は年率で2%程度の増加傾向にあり、個人金融資産に占める割合も6月末時点で55.7%と増え気味です。反対に株式や債券・投資信託などリスク資産の占める割合は、ここ数年12~14%程度で増減は主に市場環境による影響が大きく、とでも貯蓄から投資といえる変化は起きていません。
 個人がリスクを選好しないのは、世代間の資産の偏りなどもあって個人金融資産そのものが老齢化しているといった見方が大勢ですが、それ故に税制や政策面で、個人の投資を促す政策を強化していただく必要があると思います。
 例えば、成長ファイナンス推進会議(国家戦略室)では、世代間の資産移転の為の仕組みが検討されたようですが、子や孫世代の住宅・教育資金を目的にした非課税の移転スキームがあっても良いのではないでしょうか。

☆個人の金融資産・外貨建資産

また、個人の外貨資産については、同じく資金循環統計の家計の外貨建資産より、6月末の数値は36.2兆円(日銀による試算値)とされていますが、内訳は、
・外貨預金5.7兆円(3月末より0.1兆円減少)
・外貨建投資信託22.1兆円(3月末より2兆円減少)
・外貨建対外証券投資8.4兆円(1年前より0.3兆円減少)
となっています。
なお、個人が多く利用する投資信託による海外投資は、直近の投信協会の数値(本年8月末時点)では22.5兆円で、5月末時点と比べると5兆円の減少です。この内訳は、
・株式が3.5兆円で全体の16%
・債券(含む転換社債)が12.6兆円で全体の56%
・REITなどの投資証券が6.4円で全体の28%
となっています。

☆投資信託の海外投資国別(8月末)
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