株式会社 資本市場研究所きずな
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―資本市場関連行政
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  →ファンド全般 
      ・第二種金融商品取引業について ~拡大を続けるファンド業務と行政・個人投資家との関係(3月5日)
      プロ向けファンドについて (11月26日)
     ・国内におけるファンドの販売動向~金融庁“ファンドモニタリング調査の集計結果について”より(10月21日)
      ・ラップ口座の現状について(8月12日)
      ・ファンドに関する規制緩和と投資家保護について(1月27日)
      ・私募ファンドについて (4月22日)
      ・ファンドの問題について (3月9日)
      ・ソーシャルビジネスと資本市場 (2月15日)
      ・2つのファンド (12月22日)
      ・言葉の使い方=投信の場合 (8月4日)
      ・運用会社とは何か (8月1日)
      ・“被災地応援ファンド”に見る事業ファンドの可能性と限界 (6月10日)
      ・復興ファンドの現状について (5月30日)
      ・個人投資家にとっての情報ベンダー (3月2日)
      ・SWF政府系投資ファンド)をちゃんと考えるべきでは (12月22日
      ・期待されるファンドの問題行為 (10月21日)
      ・所謂、私募ファンドについて (10月4日)
      ・ファンドへの期待 (5月22日)
      ・運用も海外頼みか (5月14日)

   →ヘッジファンド
      ・ヘッジファンドの概況とその影響について(10月15日)
      ・ヘッジファンドとデイトレーダー(10月24日)
      ・アブラハム問題で見直す投資助言業とヘッジファンド(10月8日)
      ・日本からみたヘッジファンド (10月6日)
      ・日本のヘッジファンド (10月8日)
      ・ヘッジファンド規制について (9月2日)
      ・ヘッジファンドについて (6月15日)
      ・ファンド規制強化について (4月28日)

   →投資信託(含むETF)
      ・ETFへの期待と課題~想定2020年のETFへ (10月31日)
      ・個人が資産形成の為に、投信をよりよく利用するには何が必要か=その2 (10月20日)
      ・個人が資産形成の為に、投信をよりよく利用するには何が必要か=その1 (10月9日)
      ・ETFへの期待 (9月24日)
      ・投資信託の概況~投信の販売方法は変化しているのか(2月10日)
      ・投資信託販売と資産管理型営業(11月20日)
      ・ライフサイクルに応じての投資信託の薦め方 (9月24日)
      ・NISAを契機に変わる投資信託の在り方 (3月5日)
      ・個人への投資信託販売ルールについて(12月12日)
      ・ネット証券の投資信託戦略(4月16日)
      ・最近の投資信託動向について、3月上旬時点(3月15日)
      ・最近の投資信託動向について、2月上旬時点(2月15日)
      ・個人の投資信託利用実態について(2月4日)
      ・最近の投資信託動向について、1月上旬時点 (1月15日)
      ・最近の投資信託動向について、12月上旬時点 (12月12日)
      ・投資信託の販売のあり方 (12月4日)
      ・最近の投資信託動向について、11月上旬時点 (11月12日)
      ・ボラティリティETFから見えるいくつかの問題点 (11月8日)
      ・投資信託の販売における分業体制について (11月1日)
      ・投資信託の販売は、何か問題になったのか (10月29日)
      ・最近の投資信託動向について、10月上旬時点 (10月11日)
      ・リテール証券の営業戦略としての投信販売について (9月12日)
      ・最近の投資信託動向について、9月上旬時点 (9月11日)
      ・投資信託販売におけるインターネット利用について (8月15日)
      ・最近の投資信託動向について、8月上旬時点 (8月13日)
      ・投資信託の制度は、どう変わるのか(7月13日)
      ・最近の投資信託動向について、7月上旬時点(7月12日)
      ・最近の投資信託動向と、それぞれのネット販売について(6月13日)
      ・投資信託へのそれぞれの期待について (5月22日)
      ・最近の投資信託動向について、5月上旬時点 (5月11日)
      ・投資信託の販売で何が問題なのか (4月16日)
      ・最近の投資信託動向について、4月上旬時点 (4月11日)
      ・最近の投資信託動向について、3月上旬時点 (3月12日)
      ・投資信託の販売環境の変化について (2月20日)
      ・最近の投資信託動向について、2月上旬時点 (2月13日)
      ・レバレッジETF上場について (2月9日)
      ・最近の投資信託動向について、1月上旬時点(1月13日)
      ・投信販売のあり方について(12月22日)
      ・最近の投資信託動向について、12月上旬時点(12月11日)
      ・投資信託の販売規制強化について (12月8日)
      ・投資信託の販売について (12月7日)
      ・最近の投資信託動向について、11月上旬時点(11月10日)
      ・最近の投資信託動向について、10月上旬時点 (10月11日)
      ・最近の投資信託動向について (9月8日)
      ・最近一ヵ月の投信の状況 (8月8日)
      ・投信ネット販売の現状 (7月14日)
      ・投信の運用と販売の状況 (7月8日)
      ・ネットで投信を売るということ、買うということ(6月27日)
      ・投信運用会社の直近の情報発信動向(3) (6月8日)
      ・ネットで投信を売る立場、買う立場、其々の期待 (5月31日)
      ・投信販売に対する期待―対面リテール証券会社の場合(5月27日)
      ・投資信託の課題とリテール証券会社 (5月22日)
      ・投信運用会社の直近の情報発信動向と運用方向 (5月9日)
      ・投信運用会社の最近の情報提供について (4月12日)
      ・ETFへの期待と不安 (3月31日)
      ・運用会社の情報発信力=リビア情勢などをどう伝えるか (2月25日)
      ・ETFの増加について (2月16日)
      ・ネットでの投信情報発信と投信ブログについて(2月14日)
      ・投資信託ブロガーについて (1月17日)
      ・ファンド運用会社が投資家に訴えたいこと (12月29日)
      ・毎月分配型ファンドのトレンド (10月29日)
      ・投資情報の伝え方 (10月20日)
      ・大証のETF活性化策 (9月27日)
      ・日本版ISAサポートセンター設立を支持する (9月13日)
      ・投信会社の情報発信について (8月17日)
      ・投信の乗換えについて (8月6日)
      ・世界の中の日本の投信 (7月23日)
      ・投信の情報のあり方について、少し考える (7月12日)
      ・ギリシャ格下げに関する投資家への情報伝達について (4月28日)
      ・公募投信という考え方 (4月5日)
      ・増加するETF (3月26日)
      ・投信販売というビジネス (3月9日)
      ・投信の目論見書改正の目的とは (2月17日)
      ・ETF市場拡大?=上場投信としての意味 (1月25日)
      ・投信の販売について  (12月4日)
      ・投信の目論見書 (11月24日)
      ・毎月分配型投信 (10月30日)
      ・REIT投信について (9月29日)
      ・ETFの実情  (7月31日)
      ・投資信託という機能=その2、ETFについて  (7月27日)
      ・投資信託という機能=その1  (7月24日)
      ・日本の投信そして世界の投信動向 (6月30日)

   →不動産ファンド(含むREIT)
      ・ヘルスケアリートについて(9月2日)
      ・病院リートについて(7月29日)
      ・ヘルスケアリートへの期待(7月13日)
      ・インフラファンドについて~上場市場の開設を控えて(4月1日)
      ・上場インフラファンドについて(2月27日)
      ・J-REITと個人投資家(2月14日)
      ・進化するREITとその課題~成長戦略と超低金利の中で個人投資の受け皿となるか (10月1日)
      ・不動産証券化~私募ファンドからJ-REIT、そしてインフラファンドへ(12月3日)
      ・証券化不動産への投資について(10月18日)
      ・ヘルスケア・ファンドからREITへ(3月6日)
      ・J-REITのインサイダー問題とは (1月7日)
      ・J-REITはどう変わるか (12月14日)
      ・見直されるJ-REIT(7月4日)
      ・Jリートの現状と改革への動き (3月30日)
      ・回復するJ-REIT (1月25日)
      ・REIT近況 (9月1日)
      ・機関投資家の不動産投資 (8月9日)
      ・個人のJ-REIT投資 (2月5日)
      ・不動産投資EXITとしてのREIT (12月8日)
      ・金融商品としての不動産証券化商品そしてREIT投信 (10月7日
      ・Jリートという金融商品 (7月8日)

   →ベンチャーファンド
      ・プロ向けファンドは、プロ投資家へ。但し、市民参加型ファンドは、地方金融機関や証券会社での
       一層の取扱いを(12月18日)

      ・プロ向けファンドの中のベンチャーファンド・市民ファンド(11月25日)
      ・プロ向けファンド規制議論とベンチャー投資について(11月10日)
      ・法人版エンジェル税制で、ベンチャー投資は活発化するか(12月26日)
      ・ベンチャー投資について (2月8日)
      ・望まれる正しい未公開株投資 (11月17日)
      ・あるベンチャー・キャピタリストの思い出 (9月7日)
      ・未公開株勧誘とベンチャーファンド (1月21日)
      ・ベンチャー・ファンドについて (8月18日)
      ・不動産証券化そしてJ-REIT (6月16日)
      ・ベンチャー企業と資本市場 (4月20日)




ETFへの期待と課題~想定2020年のETFへ (10月31日)
 個人投資家・市場関係者・行政のそれぞれの関心が高まっているETF(Exchange Traded Fund)について取り上げます。
ETFは取引所に上場された投資信託(信託受益権証券)若しくは海外ファンド等で、特定の市場指数に連動するように設計されています。日本では、1995年5月に日経300株価指数連動型ETFが初めて上場され、現在は東京証券取引所に204銘柄(他、ETN(指連動証券)で19銘柄)が取扱われています。

最近のETFに関する動向を見ますと、海外取引所に上場されているETF等が47銘柄に増えている一方、国内で組成されるETF残高も8月末には16兆38百億円と、アベノミクス相場が始まった2012年12月の4兆21百億円の約4倍弱まで急激に増加しています。

☆ETFへの期待と課題~想定2020年のETFへ
・ETFの現状と始まった見直し
・ETFは、どう変わるべきなのか
・リテール証券会社にとってのETF
・想定される2020年の利用 
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個人が資産形成の為に、投信をよりよく利用するには何が必要か=その2 (10月20日)
 前回は、フィデューシャリー・デューティーに関する現在の金融行政の考え方を示しましたが、投信など金融商品の販売者にも、この義務が及ぶというのが国際的な潮流となっているようです。
 投信の販売に関しては、ここ数年の改革で投資家のニーズや資産状況に一層応じた対応(所謂、適合性原則の遵守)が求められ、高齢者への販売も、より配慮を要するようになっています。また、販売時や運用後の情報提供(投信の目論見書、運用報告書)も平易化・簡略化され、個々の購入者の利益を分かり易く説明するトータル・リターン通知制度も2014年12月から導入されています。

 このフィデューシャリー・デューティーが投信の販売者に及ぶのは、個人投資家にとっても良いことに違いありませんが、金融審議会での議論が個人の資産形成という目的を意識するあまり、より分かり易く・比較し易い目論見書等の記載や安い投資家のコストといったことに議論が集中しがちなように思われます。

 一般の個人にはなかなか分かりにくい投信の情報について、法律上投資家に渡す必要がある目論見書・運用報告書において、商品内容・投資リスク・負担するコスト等に関し、個人に適切に説明する為には必要な情報があります。また、その情報の伝え方としてネット上で投資家自ら読むことが前提な場合、販売者の営業員が説明する場合、それぞれ個人の理解や受け取り方が違ってくるのではとも考えます。 
 つまり、ネット上で提供する場合と販売業者が口頭で投資家に説明する場合では、フィデューシャリー・デューティーは同じであっても説明プロセスが違うのですから、当然投資家が負担するコストも異なっています。
問題は、販売業者の説明内容が有効であるとそれぞれの投資家が感じることが出来ればフィデューシャリー・デューティーの考え方に沿っているので、投信の販売者というより、投信購入のための投資助言に近いものが求められている場合もあるかも知れません。

 金融行政上は、投信販売は第1種金融商品取引業者、個人で助言をするは投資助言業と別れますが、ラップ口座の様に運用残高に応じて投資一任契約を取り次ぐのではなくても、一般の投信販売において販売業者の営業員による投資助言的行為は、個人の投資家にとって大切だと考えます。

 一方、これから新たに投資を始めて、資産を形成しようとする若年層を想定しますと、一般的には少額継続投資と投資教育がセットになったサービスが必要ではないかと思います。これは、先ず個々の理解に合わせて投資に関する情報を段階的に提供し、実際の投資を始めてこれを継続させることですが、ネットを利用して情報提供を段階的に行う為に、この様な投資の為の新しい目論見書の考え方があっても良いのでないかと考えます。また、これらの投資教育にAIを利用して、低コストでかつ広範囲にサービスを提供する新たなフンテックが生まれるかも知れません。

 勿論、投信販売業者の営業員であってもネット証券業であっても、それぞれのフィデューシャリー・デューティーが必要ですが、投資家の投資目的やアドバイスニーズ・ネット社会の進化などを考慮した議論が進んでも良いのではないかと考えます。
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個人が資産形成の為に、投信をよりよく利用するには何が必要か=その1 (10月9日)
 現在、金融審議会では“国民の安定的な資産形成とフィデューシャリー・デューティー”が議論されていますが、このフィデューシャリー・デューティーとは、“本来資産運用の担い手が投資家に対する受託者として真に投資家の利益の最大化を目指した運用を行う責務”を意味しています。

 しかし、近年は運用者のみならず金融商品の販売者や投資助言を行うものにも及ぶと考えられるようになって来ており、OECD「金融消費者保護に関するハイレベル原則」(2011年10月) 及び同原則の適用に関する報告書(2013年9月)では、金融サービス提供者(市場において金融商品・サービスを提供する全ての者)は、以下の原則に従うべきとされています。(金融審議会事務局資料より抜粋)

◇顧客の公平・公正な取扱い=全ての金融消費者は、金融サービス提供者との関係の全ての段階において、公平、誠実、公正に取り扱われるべき
◇情報開示、透明性=顧客に対して、基本的な利益、リスク及び商品の条件に関する重要な情報を提供し、金融商品を販売する委任代理人に関する利益相反についての情報も提供すべき。またアドバイスの提供は、できる限り客観的であるべき。
◇金融サービス提供者及び委任代理人の責任ある業務活動=顧客のベスト・インタレストを図らねばならず、金融消費者保護を維持する責務を負うべき。金融サービス提供者及び委任代理人の従業者の給与体系は、責任ある業務活動、顧客の公正な取扱い及び利益相反の回避を促進するように設計されるべき。当該給与体系は、利益相反の可能性が管理又は回避できない場合等の適切な場合には、顧客に対して開示されるべき
◆上記の原則は、銀行取引、信用取引、投資、証券、保険及び年金を含む全ての金融サービス部門に及ぶ

 この拡大されたフィデューシャリー・デューティーをもとに、投資による個人の資産形成を進めるという目的で議論が進められています。

 投資による資産形成を今後個人が進めるものとして、制度整備や機能強化されているNISAや個人型確定拠出年金制度が挙げられますが、新たにこれらの制度を利用する個人の投資手法としては少額・継続投資が中心となると見られ、金融商品としては投資信託が中心になると予想されています。その為、金融審議会では現在、以下の点で議論されています。
〇過去実施してきた投信の目論見書や運用報告書などの個人への情報提供改革の現状と効果がどうなっているか
〇個人にとって本当に大切で重要なことの情報提供が分かり易く行われているか
〇投信などの販売業者は、適合性の原則に則った顧客本位の業務運営体制を確立しているか(真に顧客ファーストを目指すものになっているか)

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ETFへの期待 (9月24日)
 ETF(Exchange Traded Fund)は取引所に上場された投資信託(信託受益権証券)若しくは海外ファンドで、特定の市場指数に連動するように設計されています。日本では、1995年5月に日経300株価指数連動型ETFが初めて上場され、現在は東京証券取引所に204銘柄(内、47銘柄が外国ETF)が取扱われています。
 このETFに対して、現在金融審議会(金融庁:市場ワーキンググループ)において“ETFの商品設計、販売チャネル、流動性供給などについて、多様な投資家が参加する厚みの ある市場の形成に向けて、どのような取組みが求められるか”ということが検討されています。
 つまり、簡単に言えば日本の資本市場の中で、ETFをどう上手く使って行くべきかだが、現状は以下の様な関係者の期待と課題認識があると思われます。

【行政としての期待と課題認識】
○インデックス運用(指数に連動することを目的にした運用手法)の増加に伴いETFへの投資は増えることが予想されるが、個々の株価形成にどの様な影響を与えるのか。
○ETFは少額からの投資が可能で、また売買や保有コストも安いので、個人が長期・分散・継続投資を行うのに向いているが、現状は個人に良く利用あれているとは言い難い。以下面で検討が必要か。
・更に売買単位を引き下げることや、継続投資の為には売買手数料負担を軽減させることが可能か
・流動性が乏しい銘柄が存在しているが解消策は
・ETFは証券会社などで個人に余り薦められておらず、また個人の認知度も低いので、銀行においても取扱いを進めるか、何らかのラベリングで分かり易さを向上させるか
・国際分散投資やスマートベータ型ETFの拡充で多様化を図るべきか
○市場での急激な相場変動とETFの取引(主にHFT)の関連性を指摘する向きもあるが、相場変動を増幅すると指摘されている一部ETFに関してのどう考えるか
○レバレッジ型やインバーズ型ETFが高齢者などに販売されている事例があるが、個人へのETFの説明や適合性の原則対応はどうか

【東京証券取引所の課題認識と対応策(検討)】
○品揃えの強化についてか、以下の様な商品の拡充が望ましい
・海外債券(為替ヘッジ付き)、新興国株式は複数国を対象とした商品
・国内株式は高配当や低分散といったスマートベータ型
○日常のETF取引が一部の銘柄に集中しており、流動性がない銘柄も多い。その対策として以下を検討中
  ◇マーケットメイク制度の導入
  ◇設定・交換の円滑化=市場取引の決済日数を短縮化したり、機関投資家の現物株バスケットとのネッティングへの対応など
○個人投資家への認知度を上げる取組みを検討

確かに、証券会社においてETFを取り扱うインセンティブが少ないのは現実だと思われますが、最近ではロボアドバイザーによるETFを利用した個人向けラップ口座サービスが提供されています。また、拡大するNISAや個人型DC(確定拠出年金制度)での継続投資ではETF利用の有効性が期待されています。
 銀行の窓口でETFを取扱うより、ここは証券会社として個人へETF投資サービスの提供にいま一つ工夫が必要なのではないでしょうか。
  
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第二種金融商品取引業について ~拡大を続けるファンド業務と行政・個人投資家との関係(3月5日)
 第二種金融商品取引業は、2007年9月に施行された金融商品取引法で新たに取り入れた“集団投資スキーム”(金商法第2条 第2項に定義するもので、所謂ファンド)を主に取り扱う業として新たに取り入れられた制度で、証券会社などの第一種業に比べて、参入規制が緩く設計されています。第二種業の業務内容は次のようなものです。
① ファンドの自己募集=自らファンドを組成して募集することが出来るが、私募の定義の範囲で行われる。半分以上が金融商品に投資するものなら50名未満、事業に投資するものなら500名未満(所有者ベース)
② みなし有価証券の販売業務=他の第二種業者が組成したファンドの販売(私募の取扱い)や、投資運用業者が組成したファンドの販売(公募)
③ 金融商品市場以外の市場で上場されているデリバティブ取引=商品取引所市場(海外を含む)に上場されているデリバティブ取引で、商品、信用状況、排出権、天候など

☆ 第二種金融商品取引業について ~拡大を続けるファンド業務と行政・個人投資家との関係
・制度の概要と業者の現状
・第二種業の課題
・ファンド及び第二種業への期待
・個人投資家との関係の在り方

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プロ向けファンドについて (11月26日)
 所謂プロ向けファンド(適格機関投資家特例業務による少人数私募のファンド組成)は、不動産ファンドやベンチャーファンドに利用されていて、既に運用残高が8.6兆円もあり平成26年度には1.1兆円募集されています。
 この利用が増えていたのは、一般的なファンド組成が第二種金融商品取引業や投資運用業として行政への登録申請が必要なのに対して、適格機関投資家(プロ)が参加すれば少人数(49名以下)の一般投資家もファンド投資に参加でき、この業を行うには届出だけで済む為でした。
 一般の投資家からすれば、プロが参加するのである程度安心できるといった基本的な構図でしたが、このプロ向けファンドのごく一部において詐欺的行為に利用されたり、プロであるはずの適格機関投資家の投資実態が極端に小さかったり若しくは無かったりと問題点が指摘されるようになりました。
 この対策として、昨年の金融商品取引法改正で一般の個人が参加できないようにしたり、適格機関投資家の投資実態を明らかにしていくような規制が導入されようとしましたが、ベンチャーキャピタル関係者の一部から規制に反対するような要望が上がり、ベンチャーファンドに限り個人の参加要件を緩和する再改正が行われています。
 この概要については以下の通りです。

☆ プロ向けファンドについて
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国内におけるファンドの販売動向~金融庁“ファンドモニタリング調査の集計結果について”より(10月21日)
 国内で金融商品取引業者により販売されたファンドについて、金融庁が販売業者へのヒアリングを中心に集計した調査が、10月8日に公表されていますので、その概要を以下に纏めました。

☆ ファンドの国内販売動向の概要~公募ファンドからプロ向けファンドまで
・国内公募ファンドの動向
・国内リートの動向
・海外投信・海外リートの動向
・私募ファンドの動向
・プロ向けファンド販売推移
・ヘッジファンド販売推移

今年の調査においては、プロ向けファンドの調査内容がより詳細になっていますが、これは今年からプロ向けファンド(適格機関投資家特例業務)の組成要件がより厳格化したことを受けている為と思われます。なお、厳格化された主なポイントは、プロ(適格機関投資家)以外のプロ向けファンド出資可能な投資家の範囲を限定したことや、ファンド運営者の参入要件などを強化したことです。

一方、ヘッジファンドについては国内組成のヘッジファンド(公募型)が大きく増加しているのが今年の特徴となっています。
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ヘルスケアリートについて(9月2日)
 ヘルスケアリートへの期待が高まっています。政府の日本再興戦略-改定2015(平成27年6月30日)においても“ヘルスケアリートについて、関係省庁・業界団体等が連携し、ヘルスケア事業者向けの説明会を実施するなど、ヘルスケアリートの更なる普及・啓発に向けた取組を加速する“として、工程表にも今年度以降の取組み強化が挙げられています。その様に注目度の高いヘルスケアリートを以下に取り上げてみました。

☆ ヘルスケアリートについて
 ・ヘルスケアリートへの期待
 ・リートとの相違点と投資のポイント
 ・病院リートについて
 ・ヘルスケアリート推進で何が変わるのか

ヘルスケアリートは、一般のリートとことなり実際にヘルスケア事業を行うオペレーターの存在が大きく、また仕組みそのものを、ヘルスケア施設を利用する高齢者や病院利用者に理解していただく必要があります。一方、事業者(オペレーター)にとっては少ない資本で事業を拡大したり系列化していくことも可能となります。つまり、社会的期待のつよい事業を効果的に進めていく可能性が大きな仕組みでもあります。

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ラップ口座の現状について(8月12日)
大手証券を中心に、個人の富裕層を対象として資産管理型営業を進めようとする動きが強まっていますが、SMA(セパレートリー・マネージド・アカウント)やファンド・ラップなどラップ口座の現状について、以下に簡単に纏めました。

☆ ラップ口座の現状 

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病院リートについて(7月29日)
ヘルスケアリートの取引所における上場制度も始まって1年も経っていませんが、その中でも社会的関心の高い病院リートの状況について現状を述べます。

 先ず病院リートの医療機関側のニーズから言いますと、病院施設の耐震強化が全体として遅れており、耐震強化工事や建て替え需要の増加が予想されています。しかし、医療機関にとって新たな資金負担増のなる為、リートなどに病院不動産を売却することが出来ればこれらの負担増を回避でき、また不動産を現金化することで手元資金を厚くして経営の安定化を計ることが出来ます。

 一方投資家にとても景況感に左右されにくい病院リートは、リート投資における投資対象分散化からもポートフォリオ上で求められていますが、病院経営は医療法や地方公共団体などの行政指導が強く影響する面もあって、外部からはその実態の分かりにくさが指摘されていました。

 この為、病院リート推進の為に国土交通省を中心としてそのガイドラインの策定が行われていましたが、“病院不動産を対象とするリートに関するガイドライン”が平成27年6月26日に公表され、新規物件は7月1日より、既存リートが既に取得している分は10月1日より適用されます。

その大概なポイントは次の様になっています。
・対象は医療法上の病院(病床20床以上)
・リートに対しては、ヘルスケアリートと同様の体制整備(特に病院リートの場合は、重要な使用人が非営利性という病院の事業特性を理解してること)
・リートを利用する医療機関等に対しては以下の指針を示す。
① 当該土地及び建物について、賃貸借登記をすること(病院に限り、設備は除かれる)
② 借料や契約期間等の賃貸契約が適正な条件でなされていること
③ 借料が医療機関の収入の一定割合でないこと
・リートが病院関係者と信頼関係を構築すること 等

☆ 病院リートの概要

 
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ヘルスケアリートへの期待(7月13日)
 ヘルスケアリートが注目されています。政府の成長戦略の一環としてその推進が謳われていますが、昨年6月に国土交通省により“高齢者向け住宅等を対象とするヘルスケアリートの活用に係るガイドライン”が示され、また不動産証券化協会より”ヘルスケア施設供給促進のためのREITの活用に関するガイドライン“も昨年4月に公表されています。実際、東証に上場されたヘルスケアリートも、日本ヘルスケアリート(3308:昨年11月上場)、ヘルスケア&メディカルリート(3455:本年3月上場)、ジャパン・シニアリビングリート(3460:7月29日上場予定)などがあります。
 ヘルスケアリートは、その投資対象が
 サービス付き高齢者向け住宅
有料老人ホーム
 認知症高齢者グループホーム
ですが、7月1日より国土交通省の“高齢者向け住宅等を対象とするヘルスケアリートの活用に係るガイドライン”が施行されたことで、
 病院不動産(病院内の医療設備は除く)
もその対象となっています。その概要と投資家からみた現状のポイントを以下に纏めてみました。

☆ ヘルスケアリートの概要と投資家視点のポイント

(なお、筆者の率直な感想ですが、一般の個人投資家も参加する上場商品としては病院リートに関して、その病院事業を行う医療法人等の情報開示の部分をもう少し検討した方が良いのではと思います。現在のリート関係に関する情報開示では、投資法人(リート)の資産に関するものや、資産運用会社の情報開示に留まっていますが、ヘルスケアリート全体の収益性に大きな影響を及ぼすオペレーターの情報開示は、投資家にとって重要だと考えます。) 
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インフラファンドについて~上場市場の開設を控えて(4月1日)
 インフラファンドが東京証券取引所で開設される準備が進んでいます。既に本年2月24日インフラファンドの上場規則案が示され、4月にも市場が開設される予定ですが、基本的な仕組みは概ねJ-REITに近いものです。
 この制度では、J-REIT以上に実際のインフラを使って事業を行う“オペレーター”(取引所規則による定義)の役割が重要で、このオペレーターに関する重要な情報はインサイダー情報の対象(上場されたインフラファンド対象)にもなります。
 このインフラファンド制度とインフラファンド投資について、以下に纏めてみました。

☆ インフラファンドについて~上場市場の開設を控えて
・上場制度開設の背景とその概要
・その沿革と主な投資家ニーズ
・個人にとってのインフラファンド(利用者としての投資)
・インフラファンドのリスクと期待

 なお、個人投資家がインフラファンドに直接投資することは現状では余りありませんが、このインフラには再生可能エネルギー施設も含まれていますので、今後、上場・私募及び投資信託の形で、内外のインフラに投資することが増える可能性もあります。

 但し、インフラファンドは公共事業など長期の公共事業収益を前提としていますので、一方では政治的。』政策的リスクにも配慮していく必要があります。

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上場インフラファンドについて(2月27日)
2月24日に東京証券取引所がインフラファンド市場の開設に関して上場制度案を示し、本年4月に市場を開設することを公表しました。

 これは、アベノミクスの成長戦略(日本再興戦略)において、以下を推進することを受けたものです。
 インフラの整備・発展のために民間資金の活用をしていくこと
 民間にインフラ事業の運営を委ねる公共施設等運営権方式の拡大を図ること
 再生可能エネルギーの導入を積極的に推進すること

 一方、機関投資家にとっても低利回りの国債投資の代替投資として、インフラからの収益により長期間安定継続的な分配が期待できるインフラファンドは注目されていました。主に、年金基金や財団・保険会社など長期運用を目的とする機関投資家のニーズがあるようですが、個人投資家からみても再生可能エネルギー関連インフラへの投資に関しては、環境・社会貢献や地域貢献など社会的責任投資への参加を促すものとして利用されていく可能性があります。

 インフラファンドの上場制度は、概ねJ-REITの上場制度に準じたもので、実際の売買はJ-REITと同様に出資口で行うものですが、海外のインフラの資金調達や海外インフラファンドなどの上場も可能となっている上場制度です。世界の現状では、オーストラリアやトロント、シンガポールなどの取引所が先行していますが、アジアの中心マーケットを目指す東京証券取引所の今後の動向が注目されています。

☆ インフラファンドと上場制度

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J-REITと個人投資家(2月14日)
 アベノミクスによるデフレ脱却で、不動産取引の活性化が期待されていますが、日銀によるリスク資産買入れでも持続的な市場からの買付けが実行されています。個人資産形成においても、NISA利用などでのJ-REITに対する継続的な投資が望まれるところですが、実際の個人によるJ-REIT投資拡大までには、今少し時間がかかりそうです。

 不動産証券化協会が概ね1年毎に実施している「Jリートの個人投資家に対する認知度調査」では、既に何らかの金融商品への投資を実行している個人投資家のJ-REITに対する認知度は3割程度で余り大きな変化はありませんし、個人投資家のJ-REIT保有比率も1割程度にとどまっています。

 昨年1年間の個人投資家によるJ-REITの取引を見てみましても、月間ベースでは平均して200億円程度の売り越しが続いています。もっともこれは、J-REITのIPOや公募で個人に割当てられた新投資口の数割が売却されていることが主因と見られており、個人のJ-REIT保有比率は1割程度でこの部分も余り大きな変化がありません。

☆ J-REITの売買・保有動向(2014年)

 しかし、個人がJ-REITに興味なないかというと、そういった事でもないように思われます。投資信託の売れ筋には、米国や世界のリートに投資するファンドが上位を占めることも多くあり、利回りベースでも債券は元より株式よりも高い金融商品として関心が広まりつつあることも一方の事実です。
 

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投資信託の概況~投信の販売方法は変化しているのか(2月10日)
 証券会社や金融機関のリテール部門にとって、投資信託の販売は大きな収益源ですが、この一年でその販売の在り方が少し替わったかも知れません。

 例えば、新規の設定する投資信託(株式投信)販売から、既存の投資信託への投資勧誘の重点が移っているようです。2013年には、新規のファンド設定は約3.4兆円で、これに対して既存ファンドへの資金流入超過額は3.3兆円でしたが、昨年2014年は新規ファンド設定が約2.5兆円に対して、既存ファンドへの資金流入超過額は4.4兆円となっています。(※数値は、三菱アセットブレイン「速報版投信マーケット概況」より)

 毎月のファンド設定は確かにその時の投資テーマに沿ったものが設定され、個人投資家から資金を集めますので、証券会社や金融機関にとって販売戦略が立てやすいことと、営業現場において一定の募集期間に勧誘活動を注力出来るメリットがあります。しかし、毎月の様に投資テーマが変わるのかという疑問もあり、投資テーマをじっくり顧客に進めるという営業戦略に変化しているようで、その為、既に設定されているファンドに注力することが多くなっているようです。

☆ 最近の投資信託への資金流出入

 例えば、昨年央まではドイツ株やハイイールド債が、投資信託販売上のメインの投資テーマでしたが、昨年10月以降は新興国株へ投資が増えていることが覗えます。多少残念なのは、日本株に投資しているものが売却されており、株式の現物と同様に個人の投資資金が日本株市場から流出しています。


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ファンドに関する規制緩和と投資家保護について(1月27日)
プロ向けファンド(適格機関投資家特例業務)の規制強化案が概ね纏まったようです。ファンドで投資家からお金を集めるのは、第二種金融商品取引業(ファンドの自己募集)か投資運用業(ファンドの運用)で、当局への其々の登録(登録要件が整わなければ拒否される)が必要ですが、プロ(=適格機関投資家)が一人でも参加した場合、少人数49名以下であれば一般の投資家からもファンドで資金を集められるというのがこの適格機関投資家特例業務でした。この制度は、2007年9月に金融商品取引法が施行された際、集団投資スキーム(ファンド等)利用の規制緩和策として定められ、登録制ではなく届出制だった為に多くの業者に利用されてきました。現在では3千以上の業者が約2千以上のファンドを組成し、9兆円近い資金が、不動産事業や企業買収・再生、ベンチャー投資などに利用されて、ファンドを通じて資金が不動産や事業(投資事業も含む)などに回っていくのにある程度の役割を果たしています。

 しかし、第二種や投資運用業に比べ参入条件が緩いので、問題となるような事例もまた出始めています。

投資の実態がなかったり、業者がファンド資産を流用するようなケースでしたが、個人を巻き込んだ詐欺的行為に利用されたものもあり、個人の投資家保護などの措置をとることなど消費者委員会(内閣府)や証券取引等監視委員会などが求めていました。また、プロ向けファンドの名称のように、制度としては適格機関投資家が自ら投資する為に、投資のプロとしてファンド内容をチェックしているので、少人数の一般投資家も参加して良いとの仕組みになっていましたが、その適格機関投資の投資が少額の形式的なものだったりして、ファンド内容を自らの投資リスクの為にチェックしているかどうか疑わしいケースも指摘されています。

 このプロ向けファンドについて、一般の個人の参加を排除すべきだとの議論もありましたが、独立系ベンチャーキャピタルなどのこの制度を利用していることに配慮して、以下の様な規制案に概ねまとまったようです。

●プロ向けファンド業者の要件を厳格化すること。
・同業務を行う適格機関投資家として投資事業有限責任組合の要件を運用資産5億円以上とすること。
(※投資事業有限責任組合は、他の適格機関投資家に比べ、設立が比較的容易で、問題となる実態のないケースがあったため)
・同業務を行う運用者が支配する適格機関投資家だけの参加では、同業務は認められない。
●行為規制を新たに加える。(現状は、虚偽説明の禁止と損失補填の禁止)
・忠実義務、善管注意義務
・分別管理義務
・投資家利益を害する取引行為の禁止
・断定的判断の提供の禁止
≪以下は、特定投資家(金商法に定めるプロ投資家)には適用されない≫
・適合性の原則
・契約締結前・締結時交付書面の交付義務
・運用報告書の交付義務
●同業務の事業報告書の作成・当局への提出、帳簿作成・保存を、届出者にも義務付けること。また、同業務の性質やリスクの高さ、出資できる者が限定されていることの説明を義務付けること。

なお、ベンチャー・ファンドについては、プロ以外の少人数(49名以下=保有者ベース)のファンド参加も可能としますが、以下の要件が求められます。
・上場会社等の役員・元役員、ファンドの業務執行組合員・元業務執行組合員等
・有価証券届出書又は有価証券報告書を提出する上場会社等の上位50 名(有価証券届出書)又は10 名(有価証券報告書)程度の株主等として記載された個人・法人等
・ 経営革新等支援機関として認定されている公認会計士、弁護士、司法書士、行政書士、税理士等
・ 会社の役員・従業員・コンサルタント等として、会社の設立、増資、新株予約権の発行、新規事業の立上げ、経営戦略の作成、企業財務、投資業務、株主総会又は取締役会の運営、買収若しくは発行する株式の金融商品取引所への上場に関する実務に、一定期間(例えば1 年程度)直接携わった経験があり、当該実務について専門的な知識や能力を有する者

また、現在ベンチャー・ファンドに関して金商法上の特別な規程はありませんが、上記の様な特例措置を取るので次の様に規定されることが予定されています。
・非上場企業への株式投資等が、8割以上であること
・レバレッジがないこと
・途中償還がないこと
・ベンチャー・ファンドとしての投資戦略をとっていることを明確に説明していること

プロ向けファンドの制度目的は、プロ投資家間のファンド組成に関する規制緩和でしたが、少数の一般投資家が参加する場合の投資家保護は、制度本来の目的を守る為に必要な規制だと思われます。  

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プロ向けファンドは、プロ投資家へ。但し、市民参加型ファンドは、地方金融機関や証券会社での一層の取扱いを(12月18日)
 日経によると都内のプロ向けファンド業者(適格機関投資家特例業務)は、複数のプロ向けファンドで500人強から約15億円を集めていましたが、顧客からの出資金を自社の費用や他のファンドの償還金などに流用していたことが証券取引等監視委員会の検査で明らかになったとのことです。
 プロ向けファンドを利用した詐欺的行為も問題になっていますので、一般投資家への販売を規制しようと金融審議会で現在制度改正審議が行われていますが、現制度は1名以上のプロ(適格機関投資家)が参加すれば、少人数(49名以下)の一般投資家もファンドへの参加が可能となっています。これを、一般投資家はある程度の金融資産をもった投資家に制限する予定でしたが、独立系ベンチャーファンドの方々から現状のベンチャーファンド組成に差しさわりがあるとの要望が出され、以下の様に一般投資家の参加が制限されそうです。

・上場会社等の役員・元役員、ファンドの業務執行組合員とその経験者
・上場会社の上位株主として有価証券届出書や有価証券報告書に記載された個人・法人
・公認会計士・弁護士・司法書士・税理士
・ファイナンスやM&A・経営戦略などに1年以上携わった経験者
・上記のものが支配する法人

 なお、プロ向けファンドの実態としては以下の様な状況です

◇プロ向けファンド届出者(適格機関投資家特例業務者)・・・3,031業者(本年8月末)
◇プロ向けファンド数・・・2,046本(平成25年度)
◇プロ向けファンド運用資産・・・8兆8,097億円(平成25年度、投資対象の内訳は以下)
・不動産ファンド・・・74%
・バイアウト・・・6%
・ベンチャー・・・5%
その他、事業再生、メザニン、FoFs、ヘッジファンドなど
◇投資家の属性(運用資産ベース、平成25年度)
・事業法人等・・・63%
・金融機関・・・21%
・外国人・・・11%
・個人・・・1%

 なお、アベノミクスの成長戦略において、最近は地方からの取組みにも注力しようとする動きがありますが、再生可能エネルギー事業やヘルスケア施設など地域に密着した事業への資金供給において、一般の地元住民から資金を集める市民参加型事業ファンドの案件が増えてきました。これは第二種金融商品取引業に登録した業者が組成(投資家500名以内は私募扱い、それ以上は投資運用業がファンド組成)・販売するものです。この様な市民参加型で地元の事業に投資するファンドは、地域活性化の為にも望ましいのですが、対応できる証券会社や地域金融機関はまだ限られています。
 


 
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プロ向けファンドの中のベンチャーファンド・市民ファンド(11月25日)
現在、金融審議会の“投資運用等に関するワーキング・グループ”において、プロ向けファンドにおけるプロでない方々の参加を規制することが議論でされています。そもそも、プロ向けファンド(適格機関投資家特例業務によるファンド組成)は、プロ中のプロ投資家である適格機関投資家間の取引を活発化させることを主な目的とし、プロ(適格機関投資家)が運用するファンドなら少数のアマ(個人投資家)もファンドに参加して良いという仕組みでしたが、一部に一般個人への詐欺的行為や制度の目的を逸脱したものが指摘されるようになり、現在の制度見直しが行われているところです。筆者も、11月21日に行われた審議会を傍聴してきましたので、資本市場関係者として現状の論点と感想を述べたいと思います。

●プロ向けファンドにおいて、プロ以外の少人数の参加者を規制すべきか
 現在の49名以下なら一般の個人も参加可能なプロ向けファンド制度の在り方は変えるべきというのが、議論の大勢となっています。但し、独立系ベンチャーファンドや市民ファンド(投資対象は地元での再生ネルギー施設)の一部の方々から、現在の資金集めの実態を踏まえてこれらを規制の対象から除外もしくは緩和(規制する基準の特例措置など)してほしい旨の意見が出されています。
 ここで標題についてですが、本来プロ向けファンドはプロが主体となって投資活動を行うファンドであり、一般的なイメージでいうとそれがベンチャーファンドや市民ファンドであってもプロの運用者が責任を持って運用しているものといった印象が強いのではないかと思われます。現状は、独立系ベンチャーキャピタリストの方や再生エネルギーなどの事業者の方々が中心になって、このプロ向けファンドで資金を集めている実態が審議会資料などで明らかになっていますが、彼等はあくまでもベンチャー企業の育成者であり再生エネルギー営業者であってプロの投資家ではありません。従って、筆者はプロ向けファンドがベンチャーファンドや市民ファンドであっても投資家の立場にたった同一の規制がなされるべきと考えます。

 なお、独立系ベンチャーキャピタリストや市民ファンド関係者(NPO法人など)の方々の地道な活動には敬意を表しますが、それはあくまでも事業者の立場であって本来利益相反する可能性のある投資家の立場を配慮した自主規制ルールがない以上、金融・資本市場のルールに合わせた対応を検討されるべきではないでしょうか。また、目指される資金集めでは以下のことなども検討される余地があるのではと思います。
・今後整備される”投資型”クラウドファンディングの利用
・特定投資家制度(適格機関投資家より一段基準が緩いプロ基準)の利用
・市民ファンドの対象が地域事業であれば、地方公共団体や地域金融機関と一体となった事業及びそれに伴うファイナンスの進め方
・そもそものエンジェル投資家を増やす為、エンジェル税制の利用促進の為の政策・施策要望
・ベンチャーキャピタリストの金融面(ファイナンス、資金運用など)からの自主規制制定とその為の政策支援要請

●プロ向けファンド業務を現在の届出制から登録制へ規制強化すべきか
 現在の適格機関投資家特例業務(プロ向けファンド組成)は、行政への届出制ですが、これを登録制に強化しては如何かとの議論があります。しかし、これには反対します。元々の同制度の目的はプロ間の取引を活発化させ企業などへのリスクマネー供給増を促す目的で整備されたものです。一般の方々には分かり難いかもしれませんが、登録制度になると、その登録要件の確認の為に行政の方でも時間がかかり、プロ向けファンド組成の機動性が損なわれる可能性が高いのではないかと考えます。

 日本の資本市場は、ベンチャーファンドや市民ファンドの関係者の方々が指摘するように決して広いものではありませんが、成長戦略を支援する意味でも、比較的少額のリスクマネーを供給する仕組みが確立するよう金融審議会等での議論が進むことに期待しています。
 
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投資信託販売と資産管理型営業(11月20日)
投資信託の販売は、今や証券会社や金融機関にとって個人営業の中核になっています。収益への寄与はファンドの販売に伴う手数料(主要リテール証券20社の純営業収益に占める割合は、2014年度上期で約22%、この分だけでも株式委託手数料より多い)とファンド残高に応じて運用会社から支払われる信託報酬の戻し部分(同じく純営業収益に占める割合は、2014年度上期で約13%)ですが、2つ合わせるとリテール証券会社収益の三分の一以上となっています。

 この投信信託の販売に関して、平均的な投資家像は高齢者層が1つのファンドを数百万単位で購入し3~4銘柄程度と保有しているというものですが、NISAの開始などを契機に若年の投資未経験層にもファンド投資を促そうという動きもあります。その為、投資信託の内容をより分かり易く、運用状況や運用実態などについても、一般の個人が理解できるような努力が販売者側に求められていますが、以下の様な施策が実行されています。(順次、遡って)

◇ファンドの運用報告書に、分配金や元本の時価を合わせたトータルリターンを明示し、販売者は説明を行うこと⇒本年12月より

◇投資家が負担するコストを、販売者が分かりやく説明すること(ファンドを乗換えた場合のコストなども含む)。ファンドの運用実態を分かりやすく説明すること(特にファンド・オブ・ファンズ方式の運用について)。⇒本年9月より

◇ファンドを高齢者に販売する際に、投資家の投資判断に至るまで慎重に対応すること⇒2013年12月

◇通貨選択型などデリバティブを組み込んだファンドについては、個人には慎重にかつ丁寧に対応することが販売者に求められた。⇒2012年2月

◇ファンド販売の際に利用する目論見書に関して、分かり易くかつ平易な記載とすること⇒2010年7月

上記の様に、投信販売に伴う販売者は適合性の原則(金融商品取引法、投資勧誘に関する自主ルール)の徹底は年々強化されています。従ってファンドの販売に伴う作業やコストも販売者の負担増加となっています。その為、対面営業の証券会社では投信販売に偏らない営業収益の拡大を目指して、最近はラップ口座獲得などの資産管理型の営業に注力するところが増えています。既に、米国のリテール証券ではこの資産管理型営業からの収益が証券会社収入の中核になっていますが、個々の顧客資産の増加を目標として、例えば、投資家から預かった資産の2%を年間の管理手数料とし、別に成功報酬として資産の増加の20%を課す契約を顧客と結ぶものです。

 この為に販売者に最も求められるものは、顧客とのコミュニケーション力ですが、最近大手証券などが個人営業職の定年を70歳まで延長する動きが出始めたことの一因となっています。また、ネット証券による投信販売でも、如何に自社サイトにアクセスしてきた投資家とWeb上でコミュニケーションをとって、個々の投資目的に沿った商品に辿りつかせるかが課題です。 

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ヘッジファンドの概況とその影響について(10月15日)
ヘッジファンドとは何か、ここ10年近く問われていることですが、ウィキペディアによると次のような定義になっています。
“代替投資の一つ。通常は私募によって機関投資家や富裕層などから私的に大規模な資金を集め、金融派生商品などを活用した様々な手法で運用するファンドのこと。”
 代替投資とは、年金基金や生保などの機関投資家が行う投資において、株式や債券など通常の金融商品以外に行う投資で、その投資対象は不動産やインフラファンド、商品、プライベートエクイティファンドそしてヘッジファンドなどが挙げられます。何を代替しているかというと、株式や債券への投資を代替している訳ですが、年金基金などでは通常は資産全体の5~15%までの代替投資を考えるところが多いようです。
 ヘッジファンドの投資額は今年8月末で約2兆ドルを超えていますが、その投資家の約8割が機関投資家や企業などの基金(この内、約3割がファンド・オブ・ヘッジファンドを通した間接投資、約7割がヘッジファンドへの直接投資)などで、残りは個人の富裕層です。
 またヘッジファンドの収益は、平均約1.5%程度のファンド管理手数料と、平均約2割の成功報酬(運用益に対する)となっていますので、運用業者には大きなインセンティブです。この為、優秀なファンド運用者が集まったり育ちやすいということも言えます。
 そのヘッジファンドの概況と日本国内への投資概況は次の様になっています。

☆ ヘッジファンドの概況

 次にヘッジファンドの影響ですが、主に次のようなことが挙げられています。
◇市場変動への影響の大きさ=例えば、大きく株価変動がある場合(特に大きく下落する場合)、その主犯にヘッジファンドがあげられることが多いのですが、レバレッジや他の市場とのアビトラージ(鞘取り)を行いますので、通常の投資より一時的な取引の規模が大きくなりがちです。
◇運用手法などへの影響=ヘッジファンドの投資戦略は他の機関投資家にも注目されています。機関投資家はヘッジファンド投資を行いながら、ヘッジファンド的運用戦略を取って自ら運用を行うケースもあります。また、他の公募ファンドの運用者がヘッジファンド的運用戦略を取る場合も増えてきました。
◇期日的制約=いつでも解約できる公募ファンドとは異なり、ヘッジファンドは概ね年1、2回しか投資家に解約に応じません(決算期の45日前ルールなど)。従いましてヘッジファンドの決算期が近づく5月や11月には、ヘッジファンドの決算対策のような売買が起きやすいとも言われています。

 概況でも見ていただきましたが、ヘッジファンドの日本を対象とした投資は、全体の0.8%とまだ小さいのですが、逆に言いますとヘッジファンド投資の成長余地が日本にはあるとも言えます。また、優秀なヘッジファンド・マネージャーが日本で育つことも期待したいのですが、そのことが今金融審議会で議論が始まった日本の投資運用業強化にも、大きく影響すると考えます。
 
 
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進化するREITとその課題~成長戦略と超低金利の中で個人投資の受け皿となるか (10月1日)
昨年、13年ぶりに行われた投信法(投資信託及び投資法人に関する法律)改正で、J-REIT(投資法人)の資本政策関連の制度改正分が本年12月より施行されます。その為、
・新投資口予約権制度創設→ライツ・オファリングが可能となります。(但し、新投資口予約権付社債制度は見送られました。)
・自己投資口取得の解禁→上場企業の自社株取得の様に、自らの投資口を市場から買い入れることが出来ます。
・減資制度の導入→出資総額等から損失を控除して処理する制度も整えられます。
 以上のことがJ-REITの資本政策として可能となります。

既に、ガバナンス強化や海外資産購入、金商法でのインサイダー取引の対象化など、J-REITに対する制度改正が進んでいますが、個人投資家にとっての意味も見直してみました。

☆ 進化するREITとその課題~成長戦略と超低金利の中で個人投資の受け皿となるか
・J-REITを取り巻く環境
・投信法等改正のポイントと想定される影響
・ヘルスケアリート等への期待
・個人投資家からみた投資メリットと課題

 
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ライフサイクルに応じての投資信託の薦め方 (9月24日)
 6月に公表された“金融・資本市場活性化に向けて重点的に取り組むべき事項(提言)”(金融・資本市場活性化有識者会合:金融庁)において、投資信託を通じた個人の資産形成の促進が謳われており、【ライフサイクルに応じた資産形成に資する投資商品を提供するため推進すべき施策】として、次のようなことが投資信託の運用者や販売者に求められています。

① 運用者の運用経歴等も含めた運用態勢やパフォーマンス等の透明性向上
② 手数料等に関する説明の充実
③ 預り資産の増加等にインセンティブが働く営業員の評価体系への移行の推進
④ 投資家自らの属性(年齢・金融資産・リスク許容度・収入等)に適した商品を選択しやすくするためにリスク・リターンの定量的な比較の表示
⑤ 運用状況に関する情報開示の改善 等

 投資目的が個人の資産形成なので、当然長期投資で負担するコストも低下させる必要がありますが、投資信託の販売者である証券会社や金融機関は、具体的に次の様な新たな対応が必要になりました。(金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針で改定:9月17日より施行)

・投資信託の勧誘を行う際、販売手数料等の顧客が負担する費用について、次に掲げる事項を分かり
易く説明しているか。
イ.勧誘を行う投資信託の販売手数料の料率及び購入代金に応じた販売手数料の金額(販売時点で確定できない場合は概算額)
ロ.販売手数料は、投資信託の保有期間が長期に及ぶほど1年あたりの負担率が逓減していくこと(保有期間別(1年、3年、5年)の1年あたりの負担率の状況を例示する等)。
ハ.勧誘する投資信託の購入後、顧客が負担することになる費用(信託報酬、信託財産留保額等)

・顧客の投資意向や市場動向等に鑑み、投資信託の乗換えに合理性があると判断される場合であっても、顧客に対し、当該乗換えに係る投資信託の特性や当該乗換えのメリット・デメリット等を丁寧に説明し、顧客がこうした点を十分理解したうえで取引の必要性の有無を判断できるようにする必要がある。その為、投資信託の乗り換えに関しては、以下の説明を追加。
-解約手数料、販売手数料等については、各料率並びに解約代金及び購入代金に応じた各手数料の金額についても説明する必要があることに留意する。

・投資信託の運用体制の状況に関し、受益者等に対し、それぞれの投資信託の特性に応じて、例えば以下のような点について分かりやすい明示に努めているか。さらに、ファンド・オブ・ファンズ方式での運用を行う投資信託については、受益者等に対し投資先ファンドの概要(主な投資対象等)や投資先ファンドの運用管理費用を含めた実質的な負担率について分かりやすい明示に努めるとともに、販売する金融商品取引業者等に対して以下の様な運用管理費用を説明するための情報を提供しているか。
イ.運用担当者に係る事項(運用責任者の運用経験年数・経歴等、運用チームの概要等)
ロ.運用基本方針を踏まえた具体的な運用に当たっての投資判断の決定プロセス

 今回の投資信託販売に関する規制は、投資家が負担するコストを明確に認識すること、販売者として顧客との利益相反がないよう個人のライフサイクルに応じた商品を進めること、運用者の内容・仕組みを明確にすることで運用者自らのプロ意識を刺激して運用パフォーマンス向上に繋げることなどが目的のように思われますが、基本は顧客とのコミュニケーションはなければ、この目的は達せられません。また、販売上のリスク(金融トラブルなど)を避けるのにネット対応を強化するということだけでも提言目的には沿っていません。投資信託販売に関して、対面営業・ネット販売それぞれでの個人とのコミュニケーション・情報伝達の効率化が求められているのではないでしょうか。
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私募ファンドについて (4月22日)
 投資家から資金を集め、目的を持って投資するのはファンドですが、金融商品取引法(2007年施行)では集団投資スキームとして整備されました。比較的少人数から資金を集めるファンドは、私募ファンドとして2つに分けて整備され、

A=50%以上を有価証券やデリバティブで運用するファンドは、一人以上のプロ(適格機関投資家)かいれば49名の一般投資家から資金を集めることが可能

B=事業や商品・不動産に投資するものは、499名以下の一般投資家から資金を集めることが可能
とされていました。

(※A,Bの標記が、筆者による)

Aは私募のヘッジファンドやレバレッジが大きくかかったデリバティブ投資ファンドなど、Bは震災復興企業支援ファンドや地域インフラファンド・商品ファンドなどに利用されています。

これら、私募ファンドは有価証券届出書の提出や継続開示義務を負わない為にファンドの運用コストが安く済みますので、比較的少額(数億円から数十億円)のファンド組成に利用されてきました。
また、Aに関しては適格機関特例業務者により組成される事例が多くみられていましたが、財務局や証券取引等監視委員会による検査では、次の様な問題事例が明らかになっています。

•顧客に対する虚偽の告知
•適格機関投資家等特例業務の要件を満たさずに行った登録が必要となるファンドの販売・投資運用
•出資金の流用・使途不明 等

この為、情報量の少ない個人などの一般投資家の被害を防ぐ目的で、私募ファンドAに関する投資家の要件を厳格化(個人の場合は、プロ投資家要件となる金融資産3億円以上)する建議が証券取引等監視委員会から金融庁に行われました。(4月18日)

☆ 私募ファンドと証券取引等監視委員会の建議について

 集団投資スキームという考え方は、勿論個人投資家も含まれますが、私募ファンドの利便性を守る為に、取扱業者の自律的行動が望まれているのかも知れません。

 
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NISAを契機に変わる投資信託の在り方 (3月5日)
今年から始まったNISAは、既に500万口座を超え政府目標する1500万口座(2020年まで)を目指しています。当然のことですが、当初は既存の個人投資家が非課税投資枠として利用するケースが多いのですが、今後は新規に投資を始める投資家層(特に若年層)に拡がることが期待されています。一方、過去1年で信用取引の保証金制度や空売りでのアップティック・ルール(売り下がり禁止)が原則廃止されたことで、個人トレーダー層の信用取引利用頻度が増加(売買増加)しています。

 このNISAでの期待される新規個人投資家は、継続して投資を行うことが前提となりますので、その投資対象として投資信託の利用が、そして個人投資家層は信用取引も出来る株価指数ETF(最近は、レバレッジ・インバース型が売買増加)活用が目立っています。それぞれの投資目的は大きく違いますが、それでも個人投資家・トレーダー層が、投資信託制度をそれぞれ異なる投資手法で使い始めています。

☆ NISAを契機に変わる投資信託の在り方
・NISA開始前後での個人投資家動向
・投資信託の在り方の変化
・投信・ETFに関わる課題とその取組み
・個人投資家の多様化に合わせた商品・サービス供給のために 

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法人版エンジェル税制で、ベンチャー投資は活発化するか(12月26日)
 新規・成長企業にリスク・マネーを供給する個人投資家主体の新たな取組みが“投資型クラウドファンディング”だとすると、これらのベンチャー企業に対して大企業などがベンチャー投資を行い易くするのが“法人版エンジェル税制”です。この制度が、平成26年度税制改正大綱により来年4月以降の3年間の租税特別措置として始まる予定ですが、簡単に述べますと次の様な制度となっています。

☆ ベンチャー投資を促進するための税制措置の創設
※同制度は、以下の様に2段構えになっています。
◎企業や金融機関などのベンチャー企業への投資を推進する目的で、産業競争力強化法(平成25年12月13日公布)により経済産業大臣が認めたベンチャーファンド(投資事業有限責任組合)に出資した場合、その出資額の8割まで損金計上することが出来る損失準備金制度を、平成25年4月以降3年間の税制措置として設ける。
○同税制措置の対象となる企業は、適格機関投資家で、株式等の投資残高が20億円以上、ベンチャーファンドへの出資額が2億円以上(ただしファンドの有限責任組合員に限る)の基準となり、平成29年3月31日までの出資分がその対象となる。

○産業競争力強化法による対象ベンチャーファンドとして、次の要件を充たす必要がある。
【投資先の要件】=投資予定額の一定額以上は、新規性を有する事業を行う中小企業に投資すること。主な投資先が事業拡張期にある中小企業であること。 等
【ハンズオン要件】=ファンドの組合契約書に、投資先企業に経営又は技術指導等を行う旨が明記されていること。投資先に対して経営指導等を行うに足る知識・経験を有していること。 等
【ガバナンス要件】=毎事業年度、財務諸表及び事業報告書等を経済産業省に提出すること。(途中の認定取消しもある。) 等

今回の法人版エンジェル税制では、経済産業省からの税制改正要望時になかったベンチャーファンドへ出資する企業の基準が高くなっていることもあって、大企業や金融機関優遇の批判もありますが、逆に考えますと、資金の出しやすい大企業や金融機関に絞って租税特別措置が取られることなので、その効果としてベンチャー企業への投資絶対額が大きく増えることが期待されています。

先ずは、新しい制度は具体的に始めることからではないでしょうか
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個人への投資信託販売ルールについて(12月12日)
 証券会社などが75歳以上の高齢者に金融商品の勧誘をする際、説明などを丁寧に行い、投資意向の確認をより慎重に行う自主規制ルールが、12月16日より施行されます。上場株式や公社債などは対象から除かれるので、主に影響の大きいのは、投資信託などの販売活動(勧誘)ということになります。

 この個人などへの投資信託販売に関わる最近の一連の規制等の動きを簡単に振り返ってみますと、次のような流れとなっています。

【適正な勧誘行為について】
 2007年9月末からの金融商品取引法施行により、投資信託などの金融商品を個人投資家に勧誘する場合、勧誘者の行為規制がより厳格になっています。その金融商品が、投資家の特性やニーズに合っているかの適合性の原則や説明義務がより強化されています。この金商法上の行為規制によって、勧誘する立場の証券会社は勧誘の自主規制ルールを制定しており、金融庁(証券取引等監視委員会)が証券会社を検査する際、その対応などが確認されます。

【投信を分かり易く】
 投資信託などを勧誘する際、目論見書を利用しますが、100ページ前後の分量と記載されている文言が専門的すぎて、本当に個人投資家などが理解してるか疑問視されていました。これを改善するため、目論見書を平易化・簡素化しようという取組みが行われており、最近は随分改善されたと思います。更に、個人投資家などが実質的収益を把握しやすいよう、運用報告書にトータルリターンを記載し、それを説明することも来年12月以降、投資信託の販売者に求められるようになります。(自主規制ルール)

【投信のリスクをちゃんと認識させる】
 仕組債などデリバティブを組み込んだ商品は、個人にとって分かりにくいものですが、投資信託も同様の商品があり、また売れ筋の通貨選択型などは通貨オプションを組み込んだ投信とみなすこともできます。これらの投資信託の勧誘に関しても、個人には慎重にかつ丁寧に対応することが自主規制ルールで2011年4月より強化されています。

【高齢者へ勧誘することの配慮】
 更に、NISA開始を目前にして、高齢者への勧誘に対して、より慎重さをもって行うことが自主規制ルールで定められました。(規制内容は、既に本稿欄でお伝えしています。)

繰り返しになりますが、投資信託の個人への適正な勧誘を行うためには、投信を分かり易くして、リスクをきちんと認識してもらい、そして高齢者には特に配慮するということが今回加わっています。


☆ 個人への投資信託販売ルール強化の流れ

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不動産証券化~私募ファンドからJ-REIT、そしてインフラファンドへ(12月3日)
 最近は、投資に関する情報媒体でも不動産という言葉が目立ってきました。大型の商業不動産J-REITが上場されたり、海外金融機関などの日本に対する巨額の私募リート投資などが伝えられるようになってきました。成長戦略を支える日銀の異次元緩和策も、目指すところは20年以上に及ぶデフレ脱却ですが、その資産デフレの中心に不動産があったわけですから、この流れは期待したいところです。
 また、不動産に対する投資の在り方も、証券化が進んだことで、より多くの投資家が参加することが可能になっています。その不動産証券化の現状を以下にレポートしてみました。

☆ 不動産証券化~私募ファンドからJ-REIT、そしてインフラファンドへ
・投資資産としての不動産と最近の動向
・証券化スキームとそのポイント
・不動産証券化への支援
・個人投資家の投資拡大の可能性

取引所ではインフラファンド上場の検討もされていますが、個人にとってはまだまだ認知度が低い不動産証券化商品の情報が、正しく伝わって個人投資家の利用が増えること期待されます。

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ヘッジファンドとデイトレーダー(10月24日)
  ヘッジファンドとデイトレーダー。一般的には、両者とも普通の投資家と異なる投資行動を取るイメージが強く、特殊な存在感があります。例えば、予期せぬ株式の急落が有る時など、ヘッジファンドが先物で売りを仕掛けたと市場関係者から指摘されることがあります。また、デイトレーダーはネット証券にとっては重要な顧客でありますが、個人投資家の中では特異な存在として見なされる傾向が未だに残っています。それぞれ、市場における存在感は大きいのですが、大多数の投資家とは異なる投資行動をするとか、投資に対する考え方が違うとか見做されがちで、語感は一般にはネガティブな印象が強いように思います。

 しかし、ヘッジファンドの投資手法は運用業界に大きな影響を与えましたし、デイトレーダーは市場参加者の多様性を維持する為に必要な役割を演じるようになっています。その現状について、概況は以下のようなものです。

【ヘッジファンド】
・ヘッジファンド・リサーチ社(米)によると、9月末の世界中のヘッジファンド投資残高は、2.51兆ドルで、本年第3四半期中(6月~9月)に新規資金が230億ドル流入しています。

・一方、世界全体のファンドの運用資金は27.86兆ドル(本年3月末、国際投資信託協会調べ)となっています。

・従って、ファンド全体の中でヘッジファンドの占める割合は9%程度ということになります。
(※株式関連のファンドは11.51兆ドルなので、この比率は21.8%に上昇します。)

・また、日本で販売されたヘッジファンドの残高は金融庁の調査によると本年3月末で1.71兆円(305本)となっており、そのうち国内のヘッジファンドは1.02兆円(同時期の国内株式投信の4.4%)、海外のヘッジファンドは0.68兆円(同時期の債券型を除く海外ファンド残高の4.0%)

・上記の数値から、日本でのヘッジファンド投資の拡大余地は大きいと思われます。
(アブラハムが個人にヘッジファンド投資を薦めていたのも一理あります。)

・ヘッジファンドの市場での存在感がその規模以上に大きく感じるのは、レバレッジ投資と多頻度売買に因ります。
(レバレッジは、売買注文を受ける投資銀行が、資金や株式を貸付けたり特定のデリバティブ契約により信用リスクを供与します。多頻度売買はHFT(High-Frequency Trading)で行いますが、ヘッジファンドとは別に、HFTで超短期の鞘取りを行う業者もいます。なお、HFTに関しては別の機会に論じたいと思います。)

・ヘッジファンドの特徴について、IOSCO(証意見監督者国際機構)は以下の纏めています。
 通常の集団投資スキーム規制に含まれる借入やレバレッジに関する規制が適用されない。
 管理手数料に加えて、高い報酬手数料を(しばしば利益の何%という形で)徴収する。
 投資家は、四半期毎、半期毎、1 年毎等定期的に(定められた期間に)売却が認められる。
 投資マネージャーが、多額の自己資金によって投資することが多い。
 しばしば投機目的でデリバティブが活用され、空売りを行う能力も有する。
 多様なリスクや複雑な仕組みを持つ資産に投資を行う。
(従って、通常のファンド運用のように市場指数を上回るパフォーマンスの目標とするのではなく、全体的なプラス収益の追及と、多様な投資対象がその特徴になっています。)

【デイトレーダー】
・業界内の通説では、デイトレーダーは3~4万人いると言われています。
(※デイトレーダーは、一般的には毎日市場で何らかの売買することで生活する個人との意味もありますが、本稿では毎日売買する個人投資家を指します。)

・最新のMANEX個人投資家サーベイ(2013年10月公表分)では、顧客全体の5.5%がデイトレードを行うとされています。

・各社の決算説明資料などから、ネット証券大手7社のネットの個人投資家数は全体の2割程度と見られ個人投資家実数1,600万人から推計すると、7社の推計実数は320万人程度。その5.5%なら約18万人というデイトレーダー数が推計されます。

・日本証券業協会によると、証券会社での個人インターネット利用調査では、1ヵ月間(本年3月)に100回超売買する個人投資家の売買金額が、個人投資家全体の61.8%を占めている。

・つまり、市場でのデイトレーダーの存在感が大きくなっています。(個人の市場での売買シェアは、金額ベースで委託取引全体の28.1%[10月11日の週間])

・デイトレーダーに有利となる取引ルール改正も行われており、年初からの信用保証金の日中での複数回利用が可能となったことや、11月5日から予定されている信用取引での売り下がり禁止(アップテック・ルール)が原則廃止されています。

・デイトレーダーの出自として、最近は金融機関や証券会社の元トレーダーなどが上げられますが、個人による自分専用の運用会社とも見做す事が出来ます。現在、金融庁による登録を受けている投資運用業者は315社しかありませんが、20万人近く毎日売買する個人運用者がいることは、市場の構成要素として大きな意味があるのではないでしょうか。
 
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証券化不動産への投資について(10月18日)
 今年は上場企業のファイナンスが多い年ですが、その中でもJリートの公募増資が目立っています。
本年度(4月以降)では、既に18件約8,000億円超の出資口を調達していますが、最近ではイオンが自社のショッピング・モールをリート化したものの新規上場も話題になっています。
 アベノミクス効果で、長年続いていた資産デフレもようやく終焉するのではとの思いもあり、東京オリンピック決定も追い風になって、不動産投資は活発化するのではとの期待もあります。

 さて、不動産投資と資本市場の関係ですが、冒頭にあげたJリートのように今世紀に入って不動産の証券化スキームの利用が進み、比較的短期の運用を目指す投資家や個人などの小口投資家も、それぞれの投資目的に合わせてリートや私募不動産ファンドなどで不動産投資に参加することが容易になっています。最近の話題で言いますと、来年にも医療・介護施設を投資対象としたリートの上場が解禁されるとのことですし、現在取引所で準備が進んでいるインフラ・ファンドも、不動産証券化の一種ともいえます。
 また、個人の関心が高い太陽光や風力などの再生可能エネルギー施設に投資するエコエネルギー・ファンドなども、大きな括りでの不動産証券化ですし、ヘルスケア施設へ投資する私募ファンドも当然含まれます。

 実際の証券化による不動産投資の概況は、国土交通省が毎年まとめていますが、その資料によりますと証券化による不動産取得のピークは、リーマンショック前の2007年度の8.8兆円でした。危機により2009年度は1.8兆円まで落ち込みましたが、2012年度は3.3兆円まで回復しています
(証券化スキームからの不動産売却は、2012年度4兆円)。証券化スキームごとにみますと、Jリートによる不動産取得は1.5兆円(同、売却は580億円)ですが、反対に私募ファンドの方は2.2兆円(TMKやGK-TKスキーム)の売り越しとなっています。証券化の最終的な出口は、流動性のあるJリートということかも知れませが、不動産業界からみた期待もJリートに集まります。

以下、証券化不動産への投資の概要について、以下に示します。
☆ 証券化不動産への投資

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アブラハム問題で見直す投資助言業とヘッジファンド(10月8日)
  投資助言業のアブアハム・プライベートバンクが、実質的に海外ヘッジファンドなどを販売していたとして証券取引等監視委員会(SESC)より金融庁に対する処分勧告が出されました。処分対象となった行為についてSESCが上手くまとめていますので、以下の資料を参考にしてください。
●アブラハム・プライベートバンク㈱に対する検査結果の概要

ここで、改めて投資助言業とは何か見直してみますと、金融商品取引法(法第28条3項)には次の業務として規定してあります。

○投資助言業務=助言することで報酬を得る契約を締結している。その助言の対象となるのは次のようなもの。
・有価証券、金融商品の価値
・有価証券関連オプション、オプションの対価の額
・有価証券指標、金融指標の動向の分析に基づく投資判断
※有償で行うものに限り、無償の場合は助言業務ではない。

 アブラハムの営業手法に関しては、既に経済マスコミに取り上げられていますが、投資家向けにアピールしていることを纏めますと、海外の運用成績の良いヘッジファンドを日本の個人投資家が直接買いやすいようにサポートしますということです。勿論、個人投資家が日本の金融商品取引業者を通じて海外のヘッジファンドを購入することは可能です。しかし、アブラハムのアピールするところは、個人か直接ファンドを購入すれば販売を仲介する金融商品取引業者に渡す手数料などのコストを削減することができるので、個人投資家にとってメリットの大きなビジネスモデルということです。
 もう一つは、若者向けに今から老後資金としての1億円を、毎月5万円で海外ヘッジファンド投資することで達成しましょうとアピールしていることが挙げられます。
 これらは、海外ヘッジファンドの個人直接購入・若者による少額ヘッジファンド継続投資など新しい動きで、金融イノベーションに繋がるものと期待されていました。

 しかし、SESCの検査では同社が特定の海外ファンドを個人投資家に紹介することで、ファンド側から実質的な販売手数料を受け取っていた為、助言業の行為を逸脱していたということです。行政処分に対するコメントが出来る立場ではありませんが、もし同社の主張するビジネスモデルが正しければ、堂々と金融商品取引業の登録を行った上で、日本での新しいヘッジファンドの販売を試みて欲しいものです。

 なお、金融庁による業者への調査では日本でのヘッジファンド販売の概況は次のようなものです。
(当然ですが、アブラハムの販売分は含まれていません。)

☆ 日本でのヘッジファンド販売の概要 

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ネット証券の投資信託戦略(4月16日)
  3月の投資信託へ新たに投資された資金は1.2兆円と約6年振りの水準となりました。アベノミックス相場に乗り遅れた個人投資家でも、中長期投資を狙う投信なら、新たに参加する余地があるとの見方が大勢の様です。

 ところで、3月下旬から大手ネット証券では、来年から始まる(口座開設は、今年10月から)日本版ISA口座開設手続きを開始しています。これは、口座の囲い込みとともに、ISA口座で投資対象として有力視される投信販売強化を狙ったものです。大手ネット証券では、既に投信販売拡大の為、共同販売プロジェクト(“資産倍増計画”)を2年前から立上げ、専用ファンドの組成とともに、資産形成の為の投信キャンペーンを行っていますが、その戦略の方向性と背景について、以下の概略図にまとめました。

☆ネット証券の投信販売戦略

ネット証券の投信は、現在の残高ベースで全体の3%にも満たないものですが、今後資産形成を行う20~30歳代でのインターネット利用での購入比率は、半数を超えています。
投資による資産形成は、比較的少額で、かつ継続投資となりますので、インターネット利用が適していると思いますが、ネット証券のみならず、金融機関や店頭営業主体の証券会社であっても、ネット機能を利用した資産形成の為の投信販売が拡大していくことも、期待されます。
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最近の投資信託動向について、3月上旬時点(3月15日)
個人投資家の大勢も、投資信託を通じてリスクオンの流れに乗ったようです。2月は、約1兆2000億円近い資金が投資信託に流れました。

少し内訳を見てみますと、2月の投資信託の新規設定額は4,969億円と過去2年間では最大の金額となっています。新規ファンドでは、米国や日本、そして新興国の株式に投資するものが大きな資金を集めています。
一方、既存ファンドの方は、ソブリン物が売られ続けていますが、これも米国株や日本株に投資するものを中心に株式へ投資するファンドへの資金流入が続いています。

詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。

☆速報版、投信マーケット概況2月号(3月6日公表分)

 また、運用会社による個人投資家向け情報発信は、新興国の為替や株式市況を解説するものが増加する傾向が続いています。オーストラリアに加え、トルコ・メキシコ、そしてフィリピン・タイなどのアジア諸国に関する情報提供が増えています。

 3月新規設定予定の投資信託では、全般的に株式投資への注力姿勢が強まっていますが、世界的な景気回復を見込んで銀行の劣後債や優先株投資も新しい潮流になっているようです。再び日本株を見直すものが目立ち、新興国通貨投資もトレンドのようで、リスク・オンの傾向が強まっています。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(3月上旬時点) 
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ヘルスケア・ファンドからREITへ(3月6日)
 3月6日付の日経によると、2014年度にも高齢者向け住宅や病院などのヘルスケア施設専門のREIT創設を政府が認める方針とのことです。

今後、増加が予想されるヘルスケア施設に、民間の投資資金が流れやすくする目的とのことですが、現時点でもヘルスケア施設に個人が投資するファンドがあります。先ずは、その紹介からすると、私募ファンドの形態ですが、本年1月には以下のヘルスケア・インフラファンドが募集されています。詳細は、“ヘルスケア・インフラファンドの組成について”(1月16日新生銀行公表文)をご覧いただければと思いますが、
○ファンドへの劣後出資=上光証券・野畑証券(私募ファンドの販売者)
○ファンドへの優先出資=一般の個人投資家へ私募ファンドの形式で販売(私募の為、勧誘行為に対する人数制限あり)
○ファンドへのノンリコースローン=新生銀行がファンドへの特定社債の形式で行う
の3階層にファンドは分かれています。これは、最も返済順位の劣る劣後出資部分を私募ファンドの販売者である証券会社が担い、またファンドそのものの運用利回りを上昇させる為(私募ファンドの投資レバレッジを高める)に、銀行よりノンリコースローンを取り入れています。

 注目されるヘルスケアREIT(J-REITで、運用対象がヘルスケア)でも、基本的な仕組みは同様になりますが、次のことが私募ファンドとは大きく違います。
○J-REITの形式で、広く投資家へ公募・売出しされる
○投資法人口として上場されるので、流動性があり売買がいつでも可能となる
その為、大規模に資金を集め、ヘルスケア施設に投資することが可能となります。
但し、運営業者など運営実態を投資家が把握しやすいディスクロージャーの仕組みを整備していくことも、また重要だと考えます。

☆ヘルスケア・ファンドからREITへ
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最近の投資信託動向について、2月上旬時点(2月15日)
 リスクオンの流れにのって、個人の株式売買は急増していますが、投資信託の乗換えも活発に行われているようです。投信協会が公表した1月の株式投信の設定額(新規に限らず、既存ファンドも含む)は、3兆2,407億円と5年半ぶりの高水準です。一方、解約額も過去最高の3兆2,845億円になったとのことです。

少し内訳を見てみますと、1月の投資信託の新規設定額は1,023億円と前月に比べると大幅に減少しました。新規ファンドでは、オーストラリア株式に投資するものが約400億円を集めています。
一方、既存ファンドの方は、ハイイールド債やエマージング債・海外株式へ投資するファンドが買われ、グローバル・ソブリンの様な高格付けの外国債券に投資するものが売られている構図は、最近の傾向です。

詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。

☆速報版、投信マーケット概況1月号(2月7日公表分)

 また、運用会社による個人投資家向け情報発信は、為替や市況を解説するものが増加して、全体の情報発信量も3割強増えています。特にオーストラリアに関するものが、為替・株式・債券とも目立ちますが、トルコやメキシコも、新しい潮流のようです。

 2月新規設定予定の投資信託では、再び日本株を見直すものが目立ちますが、REITや新興国ハイイールド債投資というテーマは変わりません。ただし、新興国などへの株式投資も強化され、投信設定もリスクオンの様です。
また、新しい投資動向として、通貨や新興国株式投資にレバレッジを掛けるものも出ていますし、J-REITに投資するファンドも注目されそうです。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(2月上旬時点
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個人の投資信託利用実態について(2月4日)
 投資信託協会が、個人の投資信託利用について、毎年アンケート調査を実施しています。平成24年度の調査は、市場環境が今のリスクオン相場になる前の昨年11月に行われましたが、1月31日にその結果が公表されています。
その主な内容は、以下のようなものです。

◎個人の38.5%が、何らかの投資信託を保有している。(←2006年29.1%から大きく増加)
◎その平均保有金額は、447万円。(←2009年499万円、←2006年546万円、と減少を続けている。)
◎投資信託保有者の平均貯蓄額は、1,198万円
◎投資対象は、外国債券・外国株式・リートの順で金額が多い
◎金融取引全体でのインターネットの利用は進んでいるが、投信購入での利用はまだ1割には達していない。


☆個人の投資信託利用の実態

【アンケート調査の見方に関する筆者のコメント】
・投資信託といても、公社債投信と株式投信、リートとETFではその利用目的が大きく違います。
・また、年齢層別でもシニア層と若年層ではその利用内容が違います。
・その為、投資運用、資産形成、確定拠出などの制度利用、と投資の目的別に、利用内容を分けた切り口があった方が、個人の利用実態がより解り易いかもしれません。
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最近の投資信託動向について、1月上旬時点 (1月15日)
 12月の投資信託の新規設定額は3,627億円と4月以来の規模に増加しました。そのうち約2,000億円は南北アメリカ大陸を主な投資対象とするファンド(日興アセット)が占めていますが、高利回り債券や高配当株式・CBに投資するものも売れ筋でした。
一方、既存ファンドは、資金流入・流出とも6000億円台で2011年4月の大震災直後以来の大きな資金移動でしたが、差引きでは450億円の資金流出でした。外国株式や新興国債券・海外REITに投資するものが買われ、反対に主に米ドル・豪ドル債券などに投資する外国債ファンドが売られています。

詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。

☆速報版、投信マーケット概況12月号(1月11日公表分)

 また、運用会社による個人投資家向け情報発信では、ブラジル関連のレポートが増加し、中国関連も再び増加しています。現状の市況環境を反映して、日本の政策関連も増えており、日本株式・新興国投資とリスクオンのムードが投信の運用会社でも強まっていることが窺えます。

 1月新規設定予定の投資信託では、米国REITや新興国ハイイールド債投資というテーマは変わりませんが、豪ドル投資も投資テーマとして復活しているようです。
また、新しい投資動向として、分配金を段階的に増加させていくステップ・アップ型の運用や、メキシコ・ペソ投資といった新たなトレンドも出始めたようです。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(11月上旬時点)
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J-REITのインサイダー問題とは (1月7日)
 インサイダー取引というのが、未公開の重要な情報を使った売買という定義なら、上場されているJ-REITにおいても、インサイダー取引が行われる可能性があります。しかし、現行ルール(金融商品取引法)では、J-REITのインサーダー取引に関して、法的処罰の対象とはなっていません。
 これは、平たく言えばJ-REITは実質的にファンドで、株式会社ではないからです。また、J-REITが投資している不動産物件などの純資産価値が価格に反映されるはずだとの考え方から、特定の情報によって価格が大きく動くことなどはあまり意識されていませんでした。よって、インサイダー取引に関する規制の対象外とされていました。
しかし、上場商品である以上、公正な売買取引がされる必要があります。金商法でいうところの不公正取引の対象となり、相場操縦行為や情報の不正な利用は現在でも罰せられます。

 また、金融審議会では、次の様な事例でJ-REIT関係者によるインサーダー情報の管理の必要性が示され、J-REITもインサーダー取引規制の対象とすべきとの方向性が示されています。

●公募増資公表後に、市場価格が大きく下げた事例=公募増資が公表されてから、払込金額の公表までの5営業日の間、8%の下落をした例
(上場会社の公募増資と同様に、J-REITであっても投資家にとっては公募増資が短期的価格下落を想起させる売り材料となっています。)

●業績予想の修正を公表後、市場価格が大きく上げた事例=直前期の実績を上回る翌期の業績予想を発表した翌日、市場価格が15%上昇した例
(上場会社なら当然の動きですが、業績の先行きを市場でどの程度織り込んでいたか、またそれまでそのような開示が行われていたかも注目する必要があります。)

●大口テナントの退去を発表後に、市場価格が大きく下げた事例=その総賃貸面積の1割以上を賃貸しているテナントから、賃貸借契約の解約通知を受領したことを発表した翌日、市場価格が10%下落した例
(上場会社は、売上げの1割が変動するような情報は、インサイダー取引の対象となる重要事実に定義されます。)

●スポンサーの異動を発表後、市場価格が大きく上げた事例=破綻状態にあった旧スポンサーから新スポンサーへの交代と、その新スポンサーによる第三者割当増資を発表、その2日後には市場価格が5割上昇

●倒産手続申立てを発表後に、市場価格が大きく下げた事例=多額の売却損発生が公表され、2週間後倒産手続きの申立てが発表、翌日は値付かずで、翌々日に約9割下落して取引
(上記の2例は、J-REITとしての存続に係る情報なので、市場価格に対する影響も多きものです。)

なお、海外のREITでは通常インサイダー取引の対象となっているとのことです。

☆インサイダー取引規制の導入について(金融審議会資料)
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J-REITはどう変わるか (12月14日)
 投資信託やJ-REITの問題について、今年に入って10ヵ月ちかく金融審議会(金融庁)で議論されてきました。この程、最終報告案が纏められましたが、その中でJ-REITに関し、どう変わっていくかを簡単に書きたいと思います。

 J-REITをどの様に変るかを一言でいうなら、“普通の上場企業のようになる”ということです。
これは、資本市場での扱いがということに限られます。現状のJ-REITは、会社法で設立・運営されている上場企業とは異なります。設立根拠法は、投資信託及び投資法人に関する法律で、その中の投資法人制度に依ります。

 J-REITは上場投信ですので、当然、普通の株式と同様に売買することが出来ますが、資本調達に関しては株式に相当する出資口を公募増資するしかありません。現状では公募増資は、短期的に大きく売られることが多く、大規模(発行する出資口の総数に対して、高い比率)な資本調達が難しい状況です。
しかし、J-REITによる不動産投資の拡大が期待されてもいますので、大規模な出資口の調達ニーズは常にあります。

 そこで、J-REITが上場会社と同様に資本調達を行い易くすることが検討されました。
◎ライツ・オファリング=既存株主のダイリューションの影響が小さくて済むので、大規模な資本調達に適している。
◎転換社債(CB)=一旦、債券で発行され時価以上の転換価格を用いるので、短期的な需給への影響が公募増資より小さくて済む。
◎種類株(優先株)=上場されている普通株への影響が小さくて済む。
など、一般の上場企業と同様の資本調達方法を利用できるようにすることです。

また、上場企業の自社株取得と同様の仕組みも導入されます。

以上の制度導入の為には、次のことが整備されなければなりません。

① ガバナンスの強化
J-REITは、スポンサー企業との関係が密接です。しかし、J-REITとスポンサー企業の利益相反があるような重要な決定を行う場合、決定の独立性を担保するような仕組みが強化されます。また、購入資産の鑑定評価書などの開示部分を多くすることも検討されます。

② インサイダー取引の対象に
ファイナンスが上場企業なみに行え、自社の投資口も買取ることが可能になりますので、インサイダー情報管理も上場会社なみに規制されることは当然です。

以上のようなことが出来るように、選挙後の通常国会において、改正法が提出される予定ですので、早ければ来年度下期、遅くても2014年には、J-REITのファイナンスやガバナンスの仕組みが大きく変るようです。
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最近の投資信託動向について、12月上旬時点 (12月12日)
11月の投資信託の新規設定額は2,575億円と前月より増加しましたが、そのうち約半数以上が海外劣後債や優先証券・新興国ハイイールド債に投資するものでした。また、CBに投資するファンドも全体の1割強の資金を集めました。
既存ファンドは、資金流入・流出とも4000億円台で5月以来の資金移動規模になっていますが、外国債券や日本株に投資するファンドが売られ、新興国ハイイールド債・リート投資関連が買われています。差引きは約117億円の資金流出でした。

詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。

☆速報版、投信マーケット概況11月号(12月6日公表分)

 また、運用会社による個人投資家向け情報発信では、再び中国を始めとして新興国を注目する動きが強まっていますが、米国は財政の崖問題が注視されているため、恒例の米雇用統計の注目度は落ちているようです。

 12月新規設定予定の投資信託では、新興国ハイイールド債投資というテーマは変わりませんが、新興国通貨債券や米企業への貸付債券(バンクローン)に投資する新しい動きがあります。
また、運用という視点では批判される事も多い売れ筋の毎月分配型に対抗して、運用利回り重視の年1回分配金のファンドも運用会社は設定をアピールしています。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(11月上旬時点) 
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投資信託の販売のあり方 (12月4日)
投資信託は主力の金融商品ですから、販売を行う証券会社、窓販を行う金融機関、ネット販売を行うネット証券、それぞれにおいて適正な販売のあり方は常に考えられています。
 販売チャネルが拡がり、身近になった投資信託ではありますが、誰にどの様に販売するかという販売ルールと、販売促進の為の営業活動の両立が現場では求められています。その為、店頭での説明時間が長いという苦情が寄せられることもありますが、これは大事な纏まったお金を他人に預ける訳ですから、お客様の意向を確認し、ファンドの内容を理解してもらう為には悪い事ではありません。

 また、日本の投資信託に対する批判として、欧米の様にロングセラーのファンドが無い事が時として指摘されますが、営業現場で顧客ニーズをくみ取り、商品設計を行うというのも一つもファンドの作り方だと思います。毎月分配型の高分配金のファンドも、リスクの高さから批判されることがありますが、高齢者のニーズから生まれた商品です。

 ただしファンドというのは、いろいろなもの(金融商品だけではなく)が入る器のようなものですから、様々にニーズを取り込んだ結果、普通の人には分かり難くなるということもあります。投資信託の販売のあり方の基本的な問題は、一般の個人レベルでも解り易く、誤解ないようにということに帰結するように思います。その為には、専門家間で通用していても言葉でも、実態に合った解り易い言葉に置き換える事も必要なようです。
 現在、金融審議会で議論されている事を中心に、投資信託の販売のあり方に関する現状の動向を纏めてみました。

☆投資信託の販売のあり方
・“貯蓄から投資へ”の主役としての投資信託の現状
・投資信託の販売上の問題点とその変化
・投資家は何を知るべきか
・個人投資家拡大へ、それぞれの戦略

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最近の投資信託動向について、11月上旬時点 (11月12日)
10月の投資信託の新規設定額は2,207億円とほぼ前月と同水準の規模になりましたが、そのうち約半数が海外の高配当インフラ関連株式に投資するものでした。なお、販売会社は野村證券1社のみですが、大和は豪ドル建てエマージング債を500億円販売しており、大手2社の下期営業への注力姿勢が伺えます。
既存ファンドは、資金流入・流出とも3000億円台で5月以来の資金移動規模になっていますが、買われているファンドは新興国債や米国REITに投資するもの、反対に売られたファンドは豪ドル債投資のものでした。差引きは約330億円の資金流入でした。

詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。

☆速報版、投信マーケット概況10月号(11月6日公表分)

 また、運用会社による個人投資家向け情報発信では、新興国関連の月次レポートが増加し、市況関連の情報提供は週間ベースが定着しています。この運用会社のレポートは、証券や銀行などファンドの販売サイドか、個人投資家への説明を行う際に利用されており、これら販売会社の市場調査機能の代替を果たしているようにも思います。良く言えば、投資信託の営業現場における分業体制が、投資信託の運用会社(情報提供)と販売会社(情報説明)の間で出来上っているとも言えます。

 11月新規設定予定の投資信託では、新興国ハイイールド債投資というテーマは変わりませんが、株式投資も新興国など海外株式・J-REITなどの見直しなど循環してテーマ探しをしているようです。
また、毎月分配型は高配当ファンドの分配金引下げが相次いでいますが、これは運用益と元本の払い出しが個人投資家にとって混同されやすいとの批判があり、これに応えるため元本部分の払い出しを押えたファンドが増えているからです。
この様な動きとは逆に、毎月決まった金額を払い出すといったファンドが組成され始めています。資料では毎月払い出し型としましたが、これも高齢層などの投資家ニーズに沿ったものだと言うことでしょう。
(元本は減る可能性がありますが、毎月定額を分配しますと)
何れにせよ、投資に対して運用がどうなっているか解り易い表示が望まれます。現在、金融審議会で議論されているトータル・リターンの解り易い運用に期待します。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(11月上旬時点)

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ボラティリティETFから見えるいくつかの問題点 (11月8日)
 2010年12月、大証に日本で初のボラティリティ(市場の変動率)に投資するETFが上場されました。ETFの名称は“S&P500 VIX短期先物指数”で、国際投信投資顧問が同名の先物指数との連動を目指したファンドです。リーマン危機後、恐怖指数として有名になったVIX指数と連動するものではありません。

少し込み入って煩わしいですが、VIX指数、VIX短期先物指数、上記のETFの関係を少し説明します。

① 先ず(恐怖指数=通常の株価指数と逆相関関係にあるのでこのように呼ばれる)VIX指数は、CBOE(シカゴオプション取引所)が、S&P 500種指数のオプション取引の値動きを基に算出・公表しています。この数値が高いほど、投資者が相場の先行きに不確実性を感じているとされています。
② 次に、ETFの名称にもなっているVIX短期先物指数は、CBOEに上場されているVIX指数先物の第1限月の先物を売却し、第2限月の先物を買付ける取引を日次で行い、加重平均した残存日数を1ヵ月に維持する取引を行った場合のリターンを指数化したものです。
③ そして、大証に上場されているETFは、2番目の指数に連動することを目指した指数連動債(ETN)にほゞ100%投資されるファンドです。つまり、海外に上場されているボラティリティETN(ETFはファンドで、ETNは債券、指数に連動しようとする目的は同じだが、設立根拠法が異なる)を日本で円建てで取引する為、リパッケージしているようにも見えます。
 
このファンドを通して、ETFについていくつか見えてくる問題点があります。
●何に投資しているのか=投資家のイメージと合っているか開示上の問題は
このファンドの場合、名称となっているVIX指数に連動していないことが個人投資家にどの位理解されているかが問題です。目論見書の記載では上記の①と②の違いに関して説明が少し分かりに難いものでした。なお、販売用資料には両指数がグラフ化され表示され説明文も並列で記載されていますので、解り易くなっています。
●連動するとしている指数と実際のETFの価格差の問題
次に、このETFの市場での価格が、指数からみて割安なのか割高なのか分かり難いといった点が挙げられます。日本株関連のETFに関しては、日中リアルタイムで理論価格であるインディカティブNAV(推定一口当たり純資産価格)が公表されていますが、海外株価指数ETFに関してはこれらの公表がありません。
●指数に連動するスキーム上の問題
これらETFやETNの取引が急増したり急減したりした場合、実際の指数先物取引を行って資産を購入したり売却したりするオペレーションを多くする必要があります。例えば、上記のVIX短期先物指数に連動するETNが、急激に買われた場合、CBOEに上場されているVIX指数先物の第1限月の先物を大量に売却し、第2限月の先物を大量に買付ける取引を必要があります。普通はこの様なオペレーションを引け間際に行うことが多いのですが、ヘッジファンドなど他の取引者がこれを見込んで先に売買すれば、値幅が増大していく可能性もあります。
(この事に関しては、日本経済研究所志馬氏“米国ボラティリティ商品市場の拡大とトラブル~クレディ・スイス発行のETNを巡る問題”に詳しく書かれています。)

以上を簡単に書きますと、ETFは情報開示の問題、理論価格情報の問題、対象指数との価格連動の問題があると言えます。ETFは例え複雑な投資対象であっても、個人投資家が小口化・単純化して取引できる投資対象なので、取引所や運用会社などの皆様が改善を進めていくことを期待しています。

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投資信託の販売における分業体制について (11月1日)
投資信託を購入する個人の約6割が、証券会社や銀行などから薦められて買うということですが、公募の株式投信の約99%が、これら販売会社から購入されたもので、ファンドを組成する運用会社から直接購入する分は、現在1%もありません。
その為、新たにファンドを組成する場合は、投資家ニーズを把握する販売会社サイドの意向が強く働く仕組みとなっています。また、ファンドの販売時に運用会社が販売会社の営業活動支援を行うことも多くあります。ファンドにおける製造・販売双方が相互に機能を補完し合う分業体制が成り立っているとも言えます。
ただし、この分業体制が投資家にとってメリットがあるかどうかは議論のあるところです。
投資家の支払うコスト、情報提供の解り易さ、商品の選択のし易さ、などを投資家に示すことが可能なら、投資信託の販売における効率的な分業とも言えます。

☆公募株式投信の分業体制
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投資信託の販売は、何か問題になったのか (10月29日)
貯蓄から投資への政策で、最も期待されている金融商品が投資信託に間違いないが、その為、金融機関での窓口販売も解禁されて早くも14年が経過する。今や、郵便局の窓口でも投資信託を薦められ、インターネットも含めて販売チャネルが随分増えた。その裾野の拡大とともに、投資信託の販売現場での問題もまた増加しているようだ。

 (独)国民生活センターが7月下旬に公表した、全国の消費生活センターに寄せられた投資信託に関する相談は、次の様な状況となっている。

●2011年度の投資信託に関する相談件数は、1,792件で年々増加傾向にある。
(以下、2007年からの累計から)
●相談者の約半数以上が70歳以上で、60歳台も含めると約8割を占めており、高齢者の相談が多いのが特徴となっている。
●投資信託の購入金額の平均は約1,200万円と高額である。
●購入形態は、約6割が店頭、3割弱が金融機関や証券会社のセールス訪問によるもの、1割が電話での勧誘によるものとなっている。
●相談内容からの問題点を大別すると、次のような点が上げられる。
元本保証ではないこと等リスクについての説明が十分ではない。
投資信託の契約を元々の目的としていなかった消費者がトラブルに遭っている。(例えば銀行での預金目的)
しつこい勧誘や判断能力が不十分な者への勧誘など、勧誘対応そのものに問題がある。
商品内容が理解できず、解約に関する販売者の説明も不十分な場合もあった。

商品性に起因する問題については、主に次の2点が指摘されている。
・ノックイン型の様に、デリバティブが組み込まれある一定条件を満たせば元本が保証されるが、そうならないケースの説明が不十分な場合。
・毎月分配型で、分配金が運用益からではなく元本を取り崩して支払われることがあるが、この点の説明が不十分な場合。

一方、本年2 月には投資信託の販売に関する監督指針の改正が金融庁により行われており、投資信託の販売者は次の様な態勢整備が求められている。

①通貨選択型ファンドについては、投資対象資産の価格変動リスクに加えて複雑な為替変動リスクを伴うことから、通貨選択型ファンドへの投資経験が無い顧客への勧誘・販売時において、顧客から、商品特性・リスク特性を理解した旨の確認書を受け入れ、これを保存するなどの措置をとっているか。
②元本の安全性を重視するとしている顧客に対して、通貨選択型ファンドなどのリスクの高い商品を販売する場合には、管理職による承認制とするなどの慎重な販売管理を行っているか。
③投資信託の分配金に関して、分配金の一部又は全てが元本の一部払戻しに相当する場合があることを、顧客に分かり易く説明しているか。

この様に、金融機関や証券会社の店頭において、投資信託の販売活動は、顧客を知り、顧客の投資目的に合わせて、商品内容を説明し、リスクの説明も丁寧に行わなければならない。また、これら販売活動のプロセスも記録され管理されることとなるので、個人の投資家、販売者双方にとって、投資信託の購入は時間とコストのかかる作業となる。

 
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最近の投資信託動向について、10月上旬時点 (10月11日)
 9月の投資信託の新規設定額は2,325億円と前月より1割強減少しましたが、そのうち3割はアジア株式や1割強が米国住宅関連株に投資するものでした。
既存ファンドは、前月の資金流失から931億円の資金流入超過に反転しました。資金流入が多かったものは、ハイイールド債に投資するもので約850億円の資金流入がありましたが、豪ドル債短期債やグローバル・ソブリンに投資するものは約660億円の資金流出でした。

詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。

☆投信マーケット概況9月号(10月4日公表分)

 また、運用会社による個人投資家向け情報発信では、為替関連のレポートが減少し、海外REITに関する情報提供が増加していますが、ここ1年を通じ最もパフォーマンスが良いのは、平均で1割の投資利回りを超えている海外REITファンドです。また、最近の新興国・資源国通貨の軟調さを反映して、為替関連などの情報発信頻度は低下しているようです。
投信の運用会社からの情報提供は、その情報発信量の半数が日次・週次レポートですが、本来はファンドの決算に合わせて情報提供するのが役割のように思います。多少、販売サイド(証券会社や金融機関)の営業支援もあるのかも知れませんが、販売の店頭で行われる状況説明に使われるのでしょうか。(勧誘行為での利用は、目論見書のみ)
結局投資家の支払うコストに反映するので、本当に運用会社からの頻繁な情報提供が必要か、そろそろ検証してみることも必要かもしれません。

 10月新規設定予定の投資信託では、インフラ関連、金融機関といったように株式に関してはかなり投資テーマが絞られています。また、新しい動きとしては、中国本土への投資や穀物など商品投資も注目されます。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(10月上旬時点) 

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リテール証券の営業戦略としての投信販売について (9月12日)
 増資インサーダー問題に揺れ、CEOが替わったばかりの野村ホールディングスが、どの様な新たな事業戦略を打ち出すか注目されていましたが、9月6日の投資家向け説明会資料では、今後のリテール営業部門のアクション・プランはオーソドックスなものです。

☆リテール証券の営業戦略としての投信販売について

基本的なリテール営業部門の戦略は次の2点に集約されます。
○投信信託の残高を積み上げることを中心に顧客資産を増加させ、安定収益源を確保する。
○営業部門の収益性を高める為に、投資助言的機能を強化する。
オーソドックスと書きましたのは、上記2点のリテール戦略はもう10年以上まえから言われ続けていますが、基本に還るという捉え方で良いと思います。
この事は、野村に限らずリテール証券全般に言えることでしょう。その為、リテール営業においては投資信託販売を中心に置かざる得なくなっています。

投資信託の商品性に関していうと、投資対象のグローバル化や多様化によって、随分多彩な商品が設計されるようになっていますが、高分配金が注目を集める通貨選択型も、ある意味では投資のニーズに沿ったものと言えます。但し、販売や情報提供に仕方に問題があるのではとの意見もあって、高分配金を売りにするような投資信託の運用報告書の記載内容を、実態に沿って解り易く変えるべきとの指摘もされています。

一方、リテール営業部門での投資信託の販売とは直接関係ありませんが、ネット証券を利用した投資信託販売は全体の3%程度あります。リテール営業(対面営業)での投資信託販売は、個人投資家の資産運用という面が強いのですが、ネット証券の方は比較的小口の資金を継続して投資するような資産形成目的が多いようです。

資産形成というと、約450万人が参加する確定拠出年金制度(DC)では約3割が投資信託を購入しており、必然的に運用機関のネット環境をインフラとして利用しています。また、今後制度整備される日本版ISAにおいても、少し纏まった金額の資産形成として、投資信託販売が期待できます。

つまり、個人投資家による資産形成の為の投資信託購入は、ネット環境が強化されたり整備したり、投資信託の内容が解り易くなり、資産形成制度も整備されていく中で、それなりに成長していくと思われますが、資産運用の投資信託購入は、リテール営業も投資助言的機能が強化されていく必要があります。その為には、営業部員への社員教育とラップ口座や私募ファンド・仕組債などの商品サービス整備の両方が必要だと思われます。
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最近の投資信託動向について、9月上旬時点 (9月11日)
 8月の投資信託の新規設定額は2,892億円と前月より5割近く増加しましたが、その内約1,200億円は、野村中心に販売された日本株(投資通貨は豪ドル)に投資する単位型投信の設定でした。
既存ファンドは、6ヵ月ぶりに1,771億円の資金流出超過となりましたが、主にリート関係のファンドが売られ、ハイイールド債投資ものが買われています。

詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。

☆投信マーケット概況8月号(9月6日公表分)

 また、運用会社による個人投資家向け情報発信では、中国関連の情報提供が大きく減っているように思われますが、東南アジア諸国は注目度を高めています。ブラジルやインドの株式市場の冴えない動向もあり、新興国関連の情報提供は少し減り気味でもあります。
投信の運用会社からの情報提供頻度は、その情報発信量の4割以上が週次レポートですが、本来は決算に合わせて情報提供するのが役割のように思います。それを週間で情報発信しているということは、販売サイド(証券会社や金融機関)の投資家への情報提供の役割を代替しているとも考えられます。

 9月新規設定予定の投資信託のテーマでは、株式投資意欲が強まっているように思われますが、引き続き日本株見直し、アジア株、中国株、米国住宅関株などが投資対象です。一方、債券投資はハイイールド債投資が中心ですが、以前より毎月分配型への販売依存度は低下しているようです。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(8月上旬時点) 
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投資信託販売におけるインターネット利用について (8月15日)
 先ず結論から先に言いますと、投信販売におけるインターネットの利用は拡大しつつありますし、今後も利用比率が大きく高まっていくことが予想されます。この事は、ネットでの投信販売が増加するということと必ずしもイコールではありません。
勿論、ネットで投信を購入する個人投資家層は増えていきますが、対面営業においても投信購入前の手続きの一部を投資家がネットで対応したり、ネットとコールセンターで投信購入をサポートしたり、販売後の情報提供をネット中心で行ったりする証券会社や金融機関などの販売活動を部分的に担うようなネット利用が進んでいくことが予想されます。
この現状につきまして、簡単にイメージ図で纏めてみました。

・投資信託販売におけるインターネット利用の現状
・株式投信(追加型)の解約率(2011年)
・個人投資家による投資信託の選択
・ネット販売態勢の現状について
☆投資信託販売におけるインターネット利用について

今後、ネットでの投信販売の拡大のポイントは、資産形成層である30~40才台での投資参加が増えること、その為に確定拠出年金制度が拡充されたり、日本版ISAなどのように非課税の投資による資産形成制度が整備されることが重要だと考えます。
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最近の投資信託動向について、8月上旬時点 (8月13日)
 7月の投資信託の新規設定額は1,822億円と前月より5割増加したものの、既存ファンドへの資金流入額超過額は501億円と前月の約4分の1に減少、その結果、国内投資信託への資金流入は全体で前月から約3割減少となっています。投資対象は、海外大手金融機関の優先証券に投資するものやアジアの株式・債券に投資するものが中心ですが、割安な日本株投資も20%上昇したら早期償還するスキームで取り組まれています。

詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。

☆投信マーケット概況7月号(8月6日公表分)

 また、運用会社による個人投資家向け情報発信では、リスクオフの流れが続いている影響でしょうか、新興国に関する情報提供が減少する一方、市況解説的な週間レポートが増加しています。国別では、米国やオーストラリアに関する情報提供が増加しています。
 8月新規設定予定の投資信託のテーマでは、引き続き通貨・債券・株式ともオーストラリアへの投資が中心となっており、また金融株の見直しといった動きも続いています。今年前半は顕著だった日本株の見直し買い的なものは、金融株に限られるようですが、これも繰上償還条項がついており、長期投資というより短期的なリバウンド狙いのようです。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(8月上旬時点)  
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投資信託の制度は、どう変わるのか(7月13日)
金融審議会で行われていた投資信託制度の見直しについて、7月初めに中間論点整理が公表された。
国内の投資信託制度がどう変わりそうかといった点については、次の2点に集約される。

【投資信託同士の併合や投資対象の変更を容易にする】
実務上の其々の項目は、
・書面決議を要する約款変更範囲の見直し
・書面決議を要する併合手続きの見直し
・受益者要件の撤廃
・反対受益者の受益権買取請求制度の見直し
となっている。(詳細内容は、同公表文をご覧下さい)

この事の背景を少し説明すると、国内の投資信託は販売会社が投資家に働きかけやすいよう、市場の動向に応じた新しいテーマに基づくファンドを次々に設定してきた為、ファンド数が多く、運用規模の小さいものが増加している。最近の状況をみてみると、投資信託協会公表データで6月末の株式投信は、
・運用資産残高 47兆8612億円 ファンド数4,127本 
となっているが、この中で運用資産が25億円未満のものが3分の2を占める。野村総研によると、1ファンドの年間平均的コストは約4千万円だというが、運用資産が小さいと運用者が赤字となっている可能性もあり、そのコストがファンドの運用利回りにも影響する。
また、外国投信が直接販売されたり、国内投信に組み込まれたりしているが、次の様な現状も指摘されている。
・現在国内で普及している投信管理システムでは円建ての投信しか扱えず、外貨建ての投信を組成する場合は外国籍にならざるを得ない。
・投信の基準価格を毎営業日ごとに計算する必要があるが、海外ファンドは必ずしもそうでない。こうしたファンドを組み込む投信は外国投信の形態をとらざるを得ない。
・国内よりファンド運営に関係する専門業者が普及しており、ファンド組成が短期間で出来る。
国民の金融資産の受け皿、リスクマネーの供給元として、国内の投信運用機能の充実が求められているが、数多くある小規模ファンドの併合を進めるところから始めるようだ。

【個人投資家を念頭にした解りやすい情報の提供】
○運用報告書を解りやすくする為、目論見書のように要点部分を簡略化する2段階化、運用報告書記載事項の見直し・有価証券届出書や有価証券報告書との重複部分に関する内容の圧縮などが検討される。
○高分配型投信の元本毀損の問題が指摘されるが、資産運用での一定の役割も指摘されている。その為、個人投資家がトータルリターン把握を把握しやすいような定期的通知制度の導入が検討される。
○個人投資家が実際に負担しているコストが、運用会社・販売会社・受託会社にどう配分されるか、販売手数料・信託報酬等に関する説明の充実を検討する。
○個人投資家に対して販売時のリスク説明を単に行うだけではなく、そのリスク等を理解しやすいような情報提供の充実が検討される。例えば、収益額の過去5年の平均値からの変動率など。
○運用資産の内容について、現在も府令・協会規則では投資対象に一定の制限があるが、ファンドの複雑化を念頭に規制を深めるか如何か検討される。(この部分は、筆者もあまり方向性を理解できない)

上記の2点に関して、年内に予定されている最終報告に向け具体的緩和・規制策が検討されるということだが、今後個人金融資産の世代間の移転が投信などを通じて行われるべきとの考えも示されており、現状の個人資産運用の手段から、個人資産形成の手段に重点が移っていくことも期待されている。
その為、投信の販売者としては、積立型の投信投資のサービス提供の充実が必須だが、確定拠出型年金の対象拡大や本格的ISA(個人貯蓄非課税口座)などの導入といった政策拡充が待たれる。
 
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最近の投資信託動向について、7月上旬時点(7月12日)
 6月の投資信託の新規設定額は1,264億円、既存ファンドへの資金流入額は2,355億円と、ほぼ前月と同水準の国内投資信託の増加となっています。投資対象は、日本株やオーストラリア株式などエクイティものと、豪ドル債や米国REITなど高利回り期待の商品が中心です。

詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。

☆投信マーケット概況6月号(7月5日公表分)

 実際の投信販売では、オーストラリア投資(株式・債券・通貨)に関するものが増加していますが、それに合わせて、運用会社からの情報発信もオーストラリアに関するものが増えています。一方、利下げやそれに伴う通貨の下落が大きかったブラジルやインドに関するスポットの情報提供は減少傾向でもあります。リスクオフ・ムードを反映しているのでしょうか、新興国に関する定期的なレポートも減っています。
 また、7月新規設定予定の投資信託のテーマでは、引き続きオーストラリアへの投資は中心となっており、また高利回債券も多く取り入れられています。今年前半は顕著だった日本株の見直し買い的なものは、金融株に限られるようです。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(6月上旬時点) 
 

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直されるJ-REIT(7月4日)
 本年4月、ケネディクス・レジデンシャル投資法人がJ-REITとしては4年半ぶりに上場した。また6月にはアクティビア・プロパティーズ投資法人も上場され、これで銘柄数は35となる。更に、イオンのショッピングセンター売却による3000億円相当のREIT上場計画も報道されている。
そのJ-REITの最初の2銘柄が上場されたのは2001年9月だったが、既に10年以上が経っている。
その中で、不動産市場からも、投資家からも、デプレに歯止めをかけたい金融当局や行政からも、そして、販売する証券会社や運用する運用会社などからも、其々の期待を込めてREITが見直されている。

☆見直されるJ-REIT
・J-REITの果たした役割と変化
・投資家にとってのJ-REIT
・その基本構造とその問題点
・求められるJ-REITの拡大
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最近の投資信託動向と、それぞれのネット販売について(6月13日)
 5月の投資信託の新規設定額は、前月の4,000億円超に比べ大きく減少し1,486億円に留まりましたが、投資対象はCBや日本株のエクイティ投資が中心でした。
また、既存ファンドへの資金流入額は2,592億円でしたが、豪ドル債や米国REITに投資するものに資金が集まっています。
詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。

☆投信マーケット概況5月号(6月7日公表分)

 投信の運用会社が個人投資家向けに発信する情報(レポート)に関しては、ギリシャを始めとする欧州債務危機の深刻化から、市況解説的なもの・欧州各国を始めとするマクロ経済的に関するものが増加しています。その他、オーストラリアに関する情報提供やREITに関するものも目立つようになってきました。

 今後、投信の運用会社が何に注目しているかは、6月の新規設定ファンドの投資テーマから推測できますが、少し債券投資に比重が移っているように感じます。ただ、ハイイールド債や高配当株などへの投資トレンドなどはここ数か月変わっていません。これは、毎月分配型の投信で高配当ニーズが個人投資家サイドに強いことの影響でしょうか。また、情報発信に合わせるようにオーストラリアやREITといった
新しい投資対象のファンド設定が計画されています。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(6月上旬時点)

ところで、投信の運用会社がこれだけ頻度を上げて情報発信する意味を考えてみました。例えば、毎日市況分析情報を発信しているようなところもありますが、中長期運用の投信としては必ずしも投資家への頻繁なマーケットコメントは必要ないように思います。
また、個人投資家がこれをインターネット上で見るというのはケースとしては余り多くないかも知れません。昨年の投信協会の調査によると、インターネットで情報をとって投信を購入する個人投資家は、全体の7%で、3分の2以上の方々は証券会社や金融機関に薦められて買うとのことです。
それ故、運用会社の情報発信は、主に販売会社である証券会社などに向かって行われていると見なす事が出来ます。

 一方、投信販売においてもインターネット対応が進んでいますが、大手ネット証券4社の本年3月末時点の投信残高は次の様になっています。

☆投信販売における其々のネット利用
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投資信託へのそれぞれの期待について (5月22日)
 仕事柄、証券会社の決算資料や経営計画を読み込むことが多いが、今や営業収益の4割以上(上場証券会社ベース)を占める投資信託関連収益(募集手数料と信託報酬の販売者取り分)は、証券会社の中核ビジネスとなっている。また、金融機関の投信窓販においても、銀行が顧客から受け取る手数料の1割以上(メガバンクベース)が投信関係の手数料だ。どちらも、今後一層のリテール顧客からの収益拡大の中心に、投資信託を位置付けている。

一方、投資信託の運用会社(正確には運用を指図する投資信託委託会社)は、投資家から受け取る信託報酬の約半額分を販売する証券・金融機関に配分している。こう書くと、何か単純に販売上のキックバックのように感じるが、必ずしもそういう訳ではない。それぞれの役割分担というのが実態だ。それは、日本の公募投信の運用会社は、殆ど投資家との接点を持たない(運用会社が直接販売する公募投信は、残高ベースで約3%)からだが、投資家の投信は証券や金融機関の顧客口座において管理されていて、投資家への情報伝達は概ね販売した証券・金融機関から行われる。その部分のコストを負担しているとの考え方も成り立つ。また、主に証券会社の営業現場などから個人投資家の投資ニーズが運用会社に伝えられ、新たな公募投信の設定に繋がることもある。
少し開き直って言うなら、日本の投信ビジネスにおいて証券・金融機関などの販売会社と運用会社の協働関係は成り立っている。

 最も重要なことは、今の投資信託のあり方が、投資家の資産運用や投資目的に沿っているか如何かだが、これもある程度応えてきたと言える。例えば、運用効率といった面では批判されることが多い毎月分配型の投信は、現在残高ベースで全体の7割近くまで増加しているが、長期間続く低金利化にあって、シニア層のニーズが強い商品であることは事実だ。

 以上の様に、現状のままでも投信関連ビジネスは相応に発展していくと思われるが、個人の金融資産全体の中で投資信託の比率は2.6%に留まっていて、米国の11.6%、ユーロ圏の6.8%に遠く及ばない。投資信託に関する最大の問題は、誰しもが個人の投信保有をもっと拡大させるべきだと考えているのに、現実は2007年をピークに残高も比率も減少していることにある。

では、個人の投資信託利用を増やす為に、どの様なことが期待されているかというと、概ね次の様なことが上げられる。

【政策的な支援期待】
◎何らかの資産形成の為の仕組み作り。
・確定拠出年金制度の拡充と対象者の拡大
・日本版ISAなど少額非課税の継続投資を容易にする制度整備による、世代間の資産移転の後押し

【運用会社への期待】
◎運用能力の向上
・既に金融商品取引法によって運用会社の参入規制は緩和されているが、業界全体の運用成績を上げる為には、適正な運用競争が行われる必要がある。(現在、3分の2の公募投信が、海外ファンドを利用した運用を行っているので、その場合はファンドの選択力が重要)
◎ファンドの投資家への“分かり易さ”の向上
・既に投信目論見書の平易化は取り組まれているが、より投資家に分かり易いように運用報告書の表現方式の改善が検討されている。

【販売会社への期待】
◎新規の運用資金の取込み
・当たり前のことを書いて気が引けるが、その為には運用の目的にあった商品提供が必要で、運用会社との協働強化は欠かせない。また現在、投信の保有者比率は1割程度(野村総研調べ)と見られているが、投資家層の裾野は広い。
・資産形成層の取込みの為には、ネット利用での投信販売が重要になってくる。ネット証券の様にファンド数が多ければ選択のしやすさ、逆に確定拠出年金の現状にようにファンドが限られていれば品揃えの充実がポイントだろう。
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最近の投資信託動向について、5月上旬時点 (5月11日)
 4月の投資信託の新規設定は、海外REITやアジア株・日本株などに投資するファンド中心に資金を集め、久々に5,353億円と2010年4月以来の大規模な設定金額水準となっています。また、既存ファンドへの資金流入額も、米国や新興国へ投資するファンドに資金が集まり、3,948億円の資金流入超過で、これは昨年の8月以来の水準です。

詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。

☆投信マーケット概況4月号(5月8日公表分)

 また、投信の運用会社が個人投資家向けに発信する情報(レポート)に関して、米国経済動向やマクロ経済動向に関するレポートが増加、原油や金など商品投資に関するものも増えています。
レポートの公表形式としては、トピックス的な話題をコラム形式で適時に公表するものが増えていますが、これは投資家向けというよりは、証券会社や金融機関など販売会社の営業向けに運用会社としてのプレゼンスを強める為でしょうか。(運用会社としてのハウスオピニオンは必要ですが、市況解説的なことは本来販売会社が投資家に説明するべきことではないでしょうか)

 今後、投信の運用会社が何に注目しているかは、5月の新規設定ファンドの投資テーマから推測できますが、日本株投資に関しては前月・前々月に続き投資対象として関心が高い状況ですが、テーマが絞られてきているようです。
また、米国への投資はハイイールド債やREITに加えて、米国株式への関心も高まっているようです。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(5月上旬時点)

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投資信託の販売で何が問題なのか (4月16日)
金融業は行政による規制の影響が大きなビジネスですが、その規制も時代の変化によって緩められたり強化されたりしています。その方向性は、金融商品に関わる業者にとっても、投資家にとっても、影響が大きいものですが、現状では金融審議会の議論を経て決定されることが多く、また議論の為の資料や議事録が公開されているので、政策決定のプロセスの透明性が高いと思います。議事録の記載内容についても、誰がどの様な趣旨の発言をしたか示されているので、審議会に参加していなくとも問題点などが把握しやすくなっています。つまり、問題点とそれに対する議論の文脈が外部からも分かり易くなっているので、ここで日本の資本市場に関する重要な問題が取り上げられることを期待しています。

 現在、その金融審議会において「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」が3月から始まっていますが、公募投信やJ-REITなどの今後のあり方に関する問題が取り上げられています。その会議上で以下の投資信託に関する資料が公開されていますので、ご参考下さい。問題点の全体像を把握するのに良いと思います。

「金融自由化以降の投信マーケットの状況と今後の課題」(野村総研)
「ウェルスマネジメント事業の現状」(ドイツ証券)
「投資家目線でみた投資信託の現状と課題」(LIFE MAP LLC)

それで、標題の件に絞って少し考えてみたいと思います。
上記の3つの資料からは、投信販売上の問題として主に次のことが指摘されています。

先ず大きな命題として、
○投資信託は、個人の金融資産形成に大きく寄与しているか
ということがありますが、銀行など金融機関での販売解禁から10年以上しましたので、それなりに残高は増加しています。但し、個人の金融資産に占める割合が昨年末で2.6%と、米国(11.5%)やユーロ圏(6.7%)に及びません。
投信の窓販解禁以降、販売チャネルは大きく増えているし、昔から投資信託を販売している証券会社においては、今や収入の主要な部分を投資信託に頼るようになっているのに何故か。
2つのことが日本の投信販売の事情として考えられますが、一つ目は資産運用として投信の購入する主な年代層が高齢化しているのではないかということです。毎月分配型が投信販売の主流になっていることと、また、それらの投資家層は出来るだけ高い分配金を毎月受け取りたいというニーズが強いこと。その為、投資効果を上げる為の資産運用というより、月々の資金の確保が優先される年代層が投信販売の主要な顧客となっています。
もう一つは、本来は米国の401Kの様に、資産形成層に大きく利用されるべき投資信託ですが、日本における確定拠出年金制度(DC)は利用者が400万人を超えたとはいえ、まだ制度的に改善余地が大きく、また他の日本版ISAなど少額継続投資制度(税制優遇のある)が未整備です。さらにDCに関しては、対応するファンドが総合運用型などに限定されていて、投信信託としての魅力ある商品ラインナップが揃っているとは言い難い状況です。
以上を、投信の商品供給面から纏めてみると、個人投資家の特定の層の資産運用(というより実相はキャッシュ・マネージメントに近い場合もありです)に応えてはいるものの、資産形成の為に販売サイドが注力することがあまりなかった姿が浮かび上がります。

 次に2つ目の命題として、
○個人投資家にとって、利用しやすい投信販売の仕組みになっているか
ということがあげられます。確かに、ここ2年で投信目論見書の平易化・標準化が進みましたし、一部ではインターネットで選択して購入できる投信も増えています。投信内容の分かり易さと投資家の支払うコストの低減する仕組みという意味では、進んでいるようにも思います。しかし、多くの個人投資家が求めているのは分かり易さとコストの安さだけなのでしょうか。
投資するということは、自分の耐え得るリスクも考えること、コストを証券や銀行などに支払うということは、それに見合ったサービスを受けること。このことを個人投資家が判断できるように、他の金融商品は勿論、他の投信との比較が容易となることが重要だと考えます。その為には、外国投信まで含めて日本語で書かれた目論見書の言語使用を共通化していくことが必要です。

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最近の投資信託動向について、4月上旬時点 (4月11日)
 月は新規設定・追加募集とも投資信託への資金流入超過となっています。
既存ファンドの方は7カ月ぶりに233億円の資金流入超ですが、ソブリンものや国内株式ものから資金流出して米国REIT投資や海外株式もの資金が入りました。
また新規設定は1,541億円で、日本株投資ものや海外株式投資ものが中心となって資金を集めました。

詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。

☆投信マーケット概況3月号(4月5日公表分)

 また、投信の運用会社が個人投資家向けに発信する情報(レポート)に関して、REIT関連やオーストラリアに関する情報発信が増加しています。

 今後、投信の運用会社が何に注目しているかは、4月の新規設定ファンドの投資テーマから推測できますが、日本株投資に関しては前月に続き、期間や利益の上限を限定するファンド設定が一つの流れとなっています。また海外REITを中心にオルタナティブ投資というのも一つの流れです。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(2月上旬時点)
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Jリートの現状と改革への動き (3月30日)
 Jリートは2001年9月に2銘柄が上場して既に10年以上経つ。その間に、約7兆円の商業用不動産の受け皿となり、投資家には約10年間で年率3.7%の運用利回り(ニッセイ基礎研究所調べ)をもたらしている。このJリートの現状と改革への動きについて簡単に触れておきたい。

【投資家にとってのJリート】
不動産証券化協会が昨年実施した調査によると、個人投資家のJリートに対する認知度は32%でこの数字はFX取引の37%より低い。もっともリート先進国の米国では、約8割以上がファンドに保有されており、個人投資家保有は12%に留まる。投資家にとってリート投資の意味は、いくつかの商業用不動産に対して小口で投資でき、かつその投資口(企業の株式に相当)が上場されることで流動性も確保できる。
投資先の賃貸収入が分配金として投資家に支払われるが、上場されているJリート全体の利回りは2月末時点で5.3%と米国リートの3.7%に比べても高い水準を維持している。過去10年間をみても、分配金の水準は平均で5%を維持しており、問題はリート自体の市場での価格水準ということになる。こちらの方は、デフレ下の日本では致し方ないが平均で年率1.3%の下落となり、投資効率は差引きで3.7%となっている。(ニッセイ基礎研究所調べ)

【Jリートの基本構造とその問題点】
Jリートは株式やETFと同じ市場に上場されている。ETFは指数連動の上場ファンドだが、その指数を構成する株式や資産内容は毎日公表される。上場している企業は金融商品取引法に基づいたディスクロージャーを行わなければならないが、Jリートも同様の対応が必要だ。但し、Jリートはファンドなので、その設立根拠法は投信法となっているので以下の点が構造的問題となっている。

○ガバナンスの有効性
Jリートは投資法人だが、その組織は概ね株式会社を模して構成されている。ただファンドである以上、最小限の人員で構成されており、実務的なことは殆ど外部に委託する。その為、運用不動産を提供するスポンサー企業に相当の部分を頼ることになるが、反面、投資家や金融機関など資金の出し手に対してスポンサーはJリートの信用補完を行うメリットも上げられている。
問題となるのは、スポンサーと投資家が利益相反する可能性があることで、それをどう対処していくか金融審議会などではガバナンス体制の強化が指摘されている。

○資本政策の柔軟性
利益は殆ど分配金として配当するが、現行法だと利益を一定以上内部留保すると課税される。その為、上場企業の様に配当可能利益を使って自社株(リートの場合、自社投資口)取得することが出来ない。また社債は発行できるが、転換社債発行に関しては規定がない。株主割当増資となるライツ・イシューが出来ないのも同様だ。Jリートの今後の拡大や発展を考えた時、投資法人としてのこの様な資本政策の柔軟性があった方がベターだろうというのが行政や識者の考え方となっている。

○インサイダー取引規制の適用
現行法ではJリートはファンドであって企業ではないのでインサイダー取引規制の適用除外だ。しかし、前段で示した様にJリートとしての多様な資本政策が取れるなら、市場で流通している以上当然インサイダー情報を管理するべきだろう。

☆Jリートの基本的な仕組みと問題点
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最近の投資信託動向について、3月上旬時点 (3月12日)
2月は投資信託に関しても大きなトレンドの変化点となった可能性があります。
既存のファンドでは、相変わらずグローバル・ソブリンもの中心に資金流出が続いており、1,837億円の資金流出で、これで6ヵ月連続ですが、新規設定ファンドの方は3,380億円の設定となり、差し引きでは投資信託への資金流入超に変りました。なお、新規設定のファンドへの資金流入額の半数以上が豪ドル債ものです。

詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。

☆投信マーケット概況2月号(3月6日公表分)

 また、投信の運用会社が個人投資家向けに発信する情報(レポート)に関して、米国を中心にマクロ経済の先行きを予想したり現状を解説する月次のレポートが増加しています。米国経済、中国政策動向、新興国景気と、運用会社の現状の興味は大きく分けると3つの情報の固まりになっていますが、日本株見直しに関するものも増えています。

 今後、投信の運用会社が何に注目しているかは、3月の新規設定ファンドの投資テーマから推測できますが、日本株を高配当株・割安株中心に見直す動きが強まっています。また、日本株投資に15%・30%というターゲットを付け、設定時からその分上昇したら償還してしまうファンドも一つのトレンドになっています。 更に、通貨や金などの動きに2倍のレバレッジを掛けたファンドも、日本で設定されています。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(2月上旬時点)  
 
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ファンドの問題について (3月9日)
 10年余りの貯蓄から投資”での主役は勿論個人投資家だが、商品の中心はファンドであったことに間違いない。投資家から資金を集めて、多様な投資対象に対して効率よくプロのファンドマネージャーが運用を行う。その中核は投資信託だがそれは国内で組成されたもの以外に海外のファンド、不動産物件に対象を絞ったリート、私募のファンドなど多様なものがある。これらのファンドの問題とは何なのか。
現在金融審議会の「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」で行われている議論も含めて、なるべく易しく考えてみたい。

【ファンドの販売上の問題】(この問題は主に、販売する証券や金融機関の販売のあり方が中心だ)
 主に公募の投資信託に関して、簡単に言うと対面営業でもネットでも、ちゃんと説明して販売しているのかという事だ。
・その中心は目論見書が投資家にとって分かり易く記載されているが、ということから始まっている。投信目論見書の平易化だが、これは2年前の4月から始まっている。また、海外ファンドなどでデリバティブを組み込んだ投信などは、リスクの説明を厳格しなければならない。この分は、昨年の4月からだ。
・売れ筋の高い分配金が期待できる通貨選択型投資信託については、この2月から投資目的に沿っているか投資家と確認して販売者がその意向を記録しなければならない。
・毎月分配型の投資信託はグローバル・ソブリンが出てもう随分経つが、常に高分配金を維持する為にファンド元本の一部も充てている場合もあることに批判がある。確かに、分配金は利益配当金ではないが、投資家が誤解しないよう、分配するものがファンド運用の利益なのか、元本なのが明確にした方が良いだろう。この改革は今後なされるだろう。

 投資信託の乗換えに関する批判がある。あちらのファンドを売ってこちらを買う。これ自体は問題ないだろうが、投資家は投資信託の購入時に2~3%程度の手数料を支払う。その為、販売者はファンドの乗換が手数料稼ぎ目的ではなく、投資家の意思に基づき行っていることを証明する販売態勢が必要になっている。投資家が合意すれば、短期の乗換えは全てOKなのかという、乗換えの目的が投資目的に沿っていることを考えなければならないので、実際は難しい。しかし、当初設定から基準価格が15%上昇したら、自動的に償還するという条項があれば、今回の日本株式市場の上昇のように昨年12月に設定した投資信託が2カ月程度で償還し、また新たな投資信託を設定する資金に回ることも期待出来る。

【ファンドの仕組み上の問題】
 先ず公募投資信託で言うと数が多すぎる。昨年末では約4200本のファンドがあるが、この数だけプロの優れたファンドマネージャーがいる訳ではない。その為、ファンドの運用効率が悪化し、また管理コストも重荷となるようなファンドも出てくる。この公募投信を統合したり、強制的に償還する仕組みが必要との認識が、日本の運用会社にはある。別に運用効率の良い外国籍投信を買えば良いという投資家もいるだろうが、販売チャネルは限定されるし、何より国内の運用会社を育成すれば周辺の金融サービス業務も国内に拡がる効果がある。

 J-REITもファンドの一種(投資法人)だが、同じ様な問題がある。海外リートに出来て、J-REITに出来ないことがあるので改善して欲しいと業界から要望が上がっているが、簡単にいってしまえば、普通の上場会社のような資本政策が出来るようにして欲しいということだ。例えば以下の様なことがある。
・転換社債(転換投資法人債)の発行。(※債券は既に発行できる)
・ライツ・イシューの利用
・種類株(種類投資口)の発行
・自社株(自社投資口)の取得
これらの上場企業なみの資本政策の為には、J-REITに対するインサイダー規制対象の制度整備が必要になってくる。

【個人投資家のファンド利用を推進する為の取組み】
投資信託協会は、投資家増加策として次の要望を金融庁に行っている。
・確定拠出年金(日本版401K)の参加者個人の拠出限度額の更なる引上げ。例えば、主婦の実質的な利用が可能となるような仕組み。
・英国のチャイルド・トラスト・ファンドや米国の制度(529 プラン)等を参考として、資金拠出者の子供、又は孫の将来必要となる資金を事前に準備するための非課税の長期積立制度を創設すること。

金融庁は、平成25年度までに制度整備を行うとしている。

 
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投資信託の販売環境の変化について (2月20日)
 個人にとって最も身近な投資の為の金融商品が、投資信託であることは間違いない。何しろ販売チャネルが多様だ。証券会社は勿論、銀行や信金でも、郵便局でも、そしてインターネットでの金融サービスにおいても、投資信託を購入することが出来る。お金の運用方針を決めてしまえば、投資対象を選択して、実際の運用を運用会社に委ねてしまえば良いので、直接株式や債券を購入するより個人投資家の利便性は高いはずだ。だから、金融ビックバン後の“貯蓄から投資”の流れの中で、投資信託はその中心にある。
(この投資信託の中には、海外で組成されている外国籍投資信託やETFを含む)
日本の投資信託のあり方に関しては、業界の内外から様々な議論があるが、商品として毎月分配型でも通貨選択型でも、個人投資家サイドにそれなりのニーズがあったので、残高が相応に増加したはずだ。もし販売時点での問題があるとすると、その個人の投資目的と商品の内容が合わなかったり、商品のリスクが理解されてないことだ。

この件に関して、金融庁は2月15日より通貨選択型投信を念頭において、証券会社などの投資信託販売態勢の強化する監督指針の適用を開始した。主なことは、顧客カードに個人投資家の投資目的を記載して、それを投資家と販売者が共有(つまり書かれている自分の投資目的を、投資家が確認する)する。リスク説明に関しては、既に金融商品取引法施行時に厳格化されているが、デリバティブが組み入れられているような投信(主に海外ファンド)については、昨年4月より想定損失額の説明まで含めたリスク説明を行うこととなっている。

一方、投資信託の内容を分かり易く説明するのは販売者として当然のことだ。対面営業では、個々の販売員の説明の巧拙があるかも知れないが、話す内容は目論見書に限られるし、インターネットでは投資家自らが目論見書を理解しなければならない。つまり、目論見書を易しくし投資家に使いやすくすることが重要だが、その為に法規制の改正は3年前に行われており、一昨年の夏頃から投資信託の目論見書の平易化・簡素化が運用会社サイドでは取り組まれている。

以上の2点を考えた時、投資信託の販売現場において2つの変化が起きる可能性を指摘しておきたい。(現在は、それ程大きな変化とはなっていないが・・・)

一つ目は、投資信託販売でのインターネット利用が促進すること。投信協会の昨年度の調査によると、投資信託の購入者の約7%(人数ベース:金額ベースでは割合は低下)がインターネットから購入しているというが、単純にネット利用が増加するだけではなく、インターネットとコールセンターの併用、又はインターネット利用した対面営業の推進が取り組まれていくだろう。

二つ目は、今や証券会社の対面営業の中心は投信販売になっているが、この店頭での営業プロセス管理は、CRMなどと共に強化されていく可能性が高い。

ただし、投資はデジタルだけでは割り切れない。対面営業のアナログ対応を必要とする投資家も多くいる。

☆投資信託販売環境の変化(2012年2月時点)
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ソーシャルビジネスと資本市場 (2月15日)
本文は、“ソーシャルビジネスと証券市場”(日本証券経済研究所発行“証研レポート2月号”松尾氏)を読んでの感想から始まる。先ず、ソーシャルビジネスと聞いて真っ先に思い出すのが、有名なグラミン銀行などのマイクロ・ファイナンス、そして最近は、音楽ファンドなどの事業ファンドを手掛けていたミュージック・セキュリテーズが取り纏めた被災地応援ファンドがある。この2つは、マスコミや学会・金融審議会などでも取り上げられるが、現在の日本の資本市場とは相当な距離があるように思っていた。

そもそもソーシャルビジネスとは何かについて、確認しておきたい。
昨年3月に公表されたソーシャルビジネス推進研究会報告書(経済産業省:ソーシャルビジネス/コミュニティビジネス連携強化事業)によると、ソーシャルビジネスとは次の様に定義されている。
○様々な社会的課題(高齢化問題、環境問題、子育て・教育問題など)を市場として捉え、その解決を目的とする事業。「社会性」「事業性」「革新性」の3つを要件とする。
○推進の結果として、経済の活性化や新しい雇用の創出に寄与する効果が期待される。
言葉は易しいが、実際に関わったことがなければ普通の投資家がイメージするのは少し難しいかもしれない。行政や学者の方々がソーシャルビジネス/コミュニティビジネス(略してSBやCBと表記することもある)をそれぞれ定義されているとは思うが、筆者の受けた印象は、これらのビジネスと資本市場の関わりは、現状では概ね事業ファンドに集約されるのではないだろうか。

 この事業ファンドは、投資家が扱いなれている投資ファンドとは基本的な仕組みは同じ事が多い。所謂、匿名組合方式を使うのだが、金融商品取引法上の集団投資スキーム(金商法2条2項5号=みなし有価証券)として定義されており、これを扱うものは第2種金融商品取引業として登録する必要がある。その出資金の50%以上を株式や債券などの金融商品に充てられるなら、投資ファンドとして規制を受ける。つまり500名以上なら、特定のものからお金を集めるのではなく、そのファンドを公募しているのだから有価証券としての開示を求めるという考え方だ。一方、音楽CDの製作やワイン・お酒の醸造、農業法人などへの出資は事業ファンドと見做され、投資ファンドの様な開示規制を受けることはない。
投資ファンドと事業ファンドは、どちらも同じ様なスキームを使うが、投資(出資)対象が異なるのは勿論、その投資目的が違う。事業ファンドの方は、投資以外にその事業に何らかの形で参加するという目的が加わる。例えば、音楽ファンドならCDを購入したり、食品関連なら消費者として利用したりする。

 時々マスコミで取り上げられている復興支援ファンドに関しては、この事業ファンドの特性に加え、被災企業を支援する目的の寄付が加わる。つまり投資家的視点でみるなら、投資(出資)+事業参加+支援(寄付)の3つのパーツから、このファンドは成り立っている。

復興支援ファンドの概要は、次の様になっている。 
・投資(出資)目的=被災地企業の応援
・1社あたりのファンド募集額=700万~1億円
・ファンドスキーム=匿名組合方式
・投資単位=1口1万円、ただし5000円は寄付、残りの5000円が出資金
・投資期間=6年~10年
・募集方法=インターネットでの情報提供と募集申込み
・投資家の報酬対価=応援事業が食品関係である場合は、その食品などと利益が出た場合の分配金。事業によっては、現地見学会などを行い、出資部分に対する4~5%程度の金利相当部分を支払うケースもある。

なお、この復興支援ファンドの副次的な効果として、地元金融機関などがこのファンド出資部分を被災企業の資本と見做す事が出来る為、融資を行い易くする行政措置が取られているようだ。(ミュージック・セキュリテーズの金融審議会資料より:金融検査マニュアルの改訂(平成23年11月22日)『十分な資本的性質が認められる借入金」(「資本性借入金」の扱い)

現在、ファンドの募集状況は約9億円の募集総額に対して、17,231人より5.7億円が集まっているようだ。(ミュージック・セキュリテーズのホームページより)

企画者のミュージック・セキュリテーズは、このファンドも含めて自社の事業ファンドをマイクロ投資と呼んでいるが、グラミン銀行の様なマイクロ・ファイナンスがそれまでの金融とは全く違く機能を見せてくれたように、マイクロ投資がソーシャルビジネスと資本市場の新しい架け橋になることを期待している。
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最近の投資信託動向について、2月上旬時点 (2月13日)
1月の投資信託動向では、また個人投資家のリスク・オフの流れが止まっていないようです。
既存のファンドでは、REITやグローバル債券投資ものを中心に2,362億円の資金流出とのことです。これで5ヵ月連続の資金流失超になります。
一方、新規設定のファンドは1,782億円となり前月よりは増加しています。アジア債券投資ものに対して資金が集まったようです。
詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。

☆投信マーケット概況1月号

 また、投信の運用会社が個人投資家向けに発信する情報(レポート)に関して、引き続き欧州債務問題が中心ですが、米国を中心にマクロ経済の先行きを予想する月次のレポートが増加傾向です。また、新しい動きとして、市況をディリーで情報発信する運用会社がでましたが、情報頻度を上げプレゼンスを高めるということでしょうか。個人的には、ファンド運用会社が毎日市況を語る必然性は良く分かりませんが、販売会社サイド=証券会社等のニーズがあるのでしょうか。しかし、本来は販売サイドで投資家への市場解説を行うのが筋だと思うのですが・・・

 今後、投信の運用会社が何に注目しているかは、2月の新規設定ファンドの投資テーマから推測できますが、日本株を始めとして株式関連が投資テーマとしては増加しているようです。また、資産そのものは日本の短期債に投資しながら通貨の先物やオプションを利用して、通貨そのものに投資するスキームも出始めたようです。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(2月上旬時点)  
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レバレッジETF上場について (2月9日)
 変化が起きている時に、その事にいろいろ理屈をつけて対応することを避けるというのは人の常だが、出来ると言われる方々は、先ず変化に対応してから、問題点の方を考える。日本の金融機関も概ね個人の行動パターンと変わらないが、変化への前向きさと言う点では東証の取組みは少しばかり先行している。
 東証は1月末にレバレッジ型・インバース型ETFの上場を可能とする為、ETFの上場規則の変更を公表した。レバレッジ型・インバース型ETFとは、所謂ブル・ベア型のレバレッジが掛かったファンドの上場されたものだが、レバレッジ型は、連動する指数の変化率の2倍、3倍で変化する運用を、インバース型はその逆の変化率となる事を目指すが、その為に先物やオプションをファンド資産として組み込む。
イメージは、レバレッジの効いた指数先物が上場されて取引されるのに近いかも知れない。
現在、ニューヨーク証券取引所には約1300銘柄のETFが上場されているが、このレバレッジETFは、約240本と2割弱を占めている。
この商品は、少し前、ヘッジファンドや投資銀行のトレーダーが行っていた取引手法を、一般の個人投資家も利用出来る上場商品としたことで、金融の技術革新の1つだろう。しかし、その影響の大きさから様々な議論を呼んでいるのも、また事実だ。主な議論は、以下の二つに纏められるのではないだろうか。

●個人投資家が無防備に売買して良いのか。
勿論上場商品であれば個人投資家が売買することは可能なのだが、信用取引や先物取引をするつもりがなくとも投資経験の浅い投資家が参加してしまう事が懸念されている。また、日々の動きの連動するようにファンド資産が調整されてしまうので、長期的な騰落率とは乖離してしまう可能性も指摘されている。
米国SECは、以下の様に投資家に対して注意喚起を呼びかけている。(記載内容は、日本証券業協会HPより)
・レバレッジドおよびインバースETFに関するインベスター・アラート
レバレッジドETFとインバースETFは、日次ベースでリセットされるので、長期間保有した場合に、当該ファンドの投資リターンと、指標となる指数の騰落率の間に著しく差が生じるため、長期的な視野に立つ投資家に適さない可能性があると警告。

●この商品が相場変動を必要以上に大きくしているのではないかとの懸念。
昨年10月の日経ヴェリタスには、以下の様な事例が上げられている。(記載内容を簡略化)
100万ドルのファンド資産、S&P指数2倍に設定、200万ドル分のS&P指数先物を買い建て
・1日目、S&P指数10%上昇。先物が220万ドル分となり、ファンド資産は20万ドル増加(20%増加)
・2日目、S&P指数10%上昇。先物は220万×1.1で242万ドルとなり、ファンド資産は前日より22万ドル増加。しかしこの日のベースとなるのは前日増加したファンド資産120万ドルなので、これに対しては18.3%の増加に留まる。ファンド資産20%増加の為には、不足分を買い増さなければならない。
以上のようなファンド構造を、短期的な投機筋に付け込まれているのではないかとの疑念が上げられている。つまり、このファンドの特性から、上昇した場合、調整的な買い増しが出ることが分かっているので、先回りして投機筋が買う。この事が、引け間際の急激な動きや1日の変動幅が拡大する要因となっているのではないかとの懸念だ。

 いずれの議論にしろ、このレバレッジ型のETFが上場されることによって、その問題点が明確化された。もし、投資家にこの様なファンドへの潜在的な投資ニーズがあるのなら、ヘッジファンドや私募のファンドで利用され上記の様な議論は少し異なったものとなったかも知れない。
東証は、3月上旬にもレバレッジ型ETFの上場を可能とする態勢整備をするとしているが、議論を避けない対応を評価したい。
 
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最近の投資信託動向について、1月上旬時点(1月13日)
本来ならば12月はボーナス月で、投資信託への資金流入や新規設定が増加する傾向にありますが、現状は個人もリスク・オフの流れが続いているようです。前月からは資金流出は半減しましたが、それでも1,254億円の資金がグローバルソブリン物中心に流出しています。
一方、新規設定のファンドは1,510億円となり前月よりは増加していますが、12月という季節を考えれば少なめではないでしょうか。設定額の約半数は日本株投資にまわっているようです。

詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。
☆投信マーケット概況12月号

 また、投信の運用会社が個人投資家向けに発信する情報(レポート)に関して、引き続き欧州債務問題が中心ですが、アジアの新興国に目を向けようというトレンドも強まっています。全体の情報発信量はクリスマスや年末・年始休暇もあって減少していますが、2012年の予想に加えて、今年は主要各国でトップを選ぶ選挙(日本も?)があるので、こちらも話題としては注目されています。

 今後、投信の運用会社が何に注目しているかは、1月の新規設定ファンドの投資テーマから、日本株や東南アジア投資が中心になっていますが、CTA(Commodity Trading Advisor商品投資顧問業者)に運用を任せたり、超長期の運用を前提にするものも新しい流れとしてあるようです。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(1月上旬時点)
 
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2つのファンド (12月22日)
 嘗ての証券取引法が、今の金融商品取引法(2007年9月30日施行)に替わる時、ファンドの機能をもっと使いこなしましょうということで、このファンド(公募の投資信託や外国投信など除く)を“みなし有価証券”として金融商品取引法の第二条第二項に定めた。
 500人未満への販売なら私募となり通常の開示制度がかからない私募ファンドのことだが、このファンドを取り扱う業者を第二種金融商品取引業者とした。証券会社もFX業者も、不特定多数の投資家に勧誘行為をするものは、第一種金融商品取引業者だが、この私募ファンドの扱う業者のバーは少し低くして最低資本金を1000万円(証券会社・FX業者などは5000万円)とし、証券会社の様な自己資本規制は行わないこととされている。この様に私募ファンド業者の参入基準が低かったのは、私募ファンド(ファンドの機能)が、資本市場の活性化や企業の再生なのに役立つと考えられたからだ。
 現在、日本の金融機能を強化しようと行っている「我が国金融業の中長期的な在り方に関するワーキング」では、大きなファンドとすごく小さいファンドの2つが取り上げられている。一つは企業再生やMBOなどの際に顔を出すことが多いPE(プライベート・エクイティ)ファンド、もう一つは震災復興支援でマスコミなどにも取り上げられたマイクロファンド。それぞれのプレゼンの概要は、以下の様になっている。

【PEファンド】カーライル
・企業に50%以上投資しマジョリティーを握ることが多いが、投資先企業が成長することで資金を回収するので長期間の投資となる。(単なる投資とは異なるという事だろうが、...)
・2010年時点で、PEファンド投資資金は世界全体で140兆円だが、1兆円を超えるファンドは殆どが米国にある。
・投資家層をみると、もっとも多いのが全体の四分の一を超える個人の資産管理会社からの出資、次いで財団、大学基金、公的年金と続いている。
・日本では、金融機関や企業年金の一部が代替投資で出資しているようだが、ヘッジファンド投資ほど多くはなく限定的
・富裕層などの個人の直接・間接の利用は日本ではみられないが、最低投資額約5億円・コミットメント形式での払込・私募で中途解約は出来ないことがネックになっているようだ。
・しかし、長期で低迷する日本の株式市場にとっては、投資元として有効に機能していくのではないか。

【マイクロファンド】ミュージックセキュリティーズ
※音楽ファンドや復興支援ファンドは、事業型ファンドと言われ、例え多数から募集しても有価証券投資のファンドの様なディスクロージャーは不要(開示制度の適用除外)
・匿名組合方式のファンドで、個人などの出資者から集めた資金を事業に必要な原価・販売費として事業者に提供、対象となる事業が一区切りついたところで、事業の売上げの一部を分配する。
・期間は、3ヵ月程度(音楽CDの発行など)から10年に及びもの(林業や被災地事業支援)もある。
・出資者の動機としては、仕組みに共感や事業への応援が全体の4割以上となっており、利益を期待するのは、全体の1%未満となっている。
・出資者が希望する事業は、食の問題・環境問題・地域活性化といったものが上位を占めている。
・また、投資家が欲しい情報としては、ファンドの進捗状況・コミニティの活動状況などの関心が高く、この部分は普通の投資家と変わらないようだ。

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投信販売のあり方について(12月22日)
 投資信託は、投資家がファンドマネージャーに運用を任せるので相応の手数料(信託報酬)を支払う。また、販売時に時間をかけて丁寧に説明するのだから、販売手数料と言う対価を販売者(証券会社・銀行)が得る。これらの投資家が支払うコストが適正かどうか、業界内では常に議論があり、インターネット利用の場合は、販売手数料を課さなかったり、大きく割り引く傾向が強まっているし、運用対象商品が債券などに限定されるものは、信託報酬を引き下げる動きもある。しかし、投資家が投信を購入する際に支払うコストは年々上昇していて、本年度の平均取得コストは4.16%(10月末までに発行された投信の販売手数料と初年度信託報酬を合計した平均値:モーニングスター調べ)になっている。

 手数料が高いから問題だというのではなく、それに見合うサービスを投資家に提供しているかが販売者・運用会社の重要なテーマとなるべきだ。個人投資家が、纏まった資金をファンドマネージャーに預ける為には、単純に投信内容の説明だけで良いのだろうか。確かに昨年夏以降は、新規に発行される投信の目論見書内容は簡素化され、かつ平易で統一された記載内容になりつつある。しかし、目論見書など読んで分かるだけで投信を購入する層はインターネット利用の7.5%の個人投資家で、その他多くは販売員を含めた他者の薦めで投信を購入する。対面営業の現場では、販売員たちが投資家と様々な会話を続ける中で投信への投資の決断がなされている。

 但し、専門家から指摘されている対面営業での投信販売に関する不安や疑問は次の様なものがある。
○今や投信販売の主流となっている毎月分配型では、分配金のみの利回りが協調されていて、分配金+投信の基準価格=トータルリターン(運用成績)が軽視されているのではないか。
○短期的な投信の乗換えが起きている可能性があり、運用額が急減する投信も見られる。
○売れ筋の通貨選択型は、高分配金の仕組みを作る為、新興国通貨+投資対象の2階建て(場合によってはオプションも利用する3階建て)の投資リスクを取ることになるが、投資家の投資目的やリスクの理解は十分か。[この部分の販売管理規制強化は、来年から行われる予定:拙稿“投資信託の販売規制強化について”をご参考に]

以上の問題に関して、投信の販売者である証券会社や銀行は応えていかなければならないが、投信の本当の問題は、販売サイドというよりは、商品の供給サイドである運用会社にあるのではないだろうか。以下の問題が上げられる。
○投資家が負担するコストが高い=販売手数料も信託報酬も運用会社が決めるが、高コストが投資家の運用パフォーマンスを低下させ、投信の魅力を減じでいる懸念
○運用会社としての独立性とガバナンスのあり方=販売会社とではなく投資家と利害が一致するような商品供給・運用がなされているかの疑義

なお、公募追加型の株式投信は2011年現在で2,383本ありその内毎月分配型の投信は943本(33%)
また、通貨選択型は459本で毎月分配型投信の約半数を占めるが、その中の55%が高金利通貨のブラジル・レアルとなっている。
※以上の数値は、モーニングスター作成の金融審議会資料より。なお、モーニングスターが示す投信問題への対応策と筆者の考え方は、必ずしも一致していない。但し、彼等が提起している問題点に関し、大手証券・金融機関・運用会社は其々の答えを示す必要があると思う。

 
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最近の投資信託動向について、12月上旬時点(12月11日)
11月も個人投資家のリスク・オフの流れが続いて、投資信託からの資金流出は2,593億円と前月よりも拡大、グローバルソブリン物やロート関連からの流出が目立ちます。新規設定の分については、やや回復して1,581億円となっていますが、そのうち半数は海外高配当関連となっています。
詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。
☆投信マーケット概況11月号

 また、投信の運用会社が個人投資家向けに発信する情報(レポート)に関して、引き続き欧州問題に翻弄されたつきでしたが、週間ベースの情報発信比率が増加している一方、全体的な情報発信量は低下しているように思います。 欧州問題以外では、中国の準備預金率引き下げやブラジルの金融取引税など市場の意外感があったものが取り上げられています。

 今後、投信の運用会社が何に注目しているかは、12月の新規設定ファンドの投資テーマから、日本株に加えアジア株やCB投資などエクイティ物の増加が注目されます。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(12月上旬時点)

一方、前回触れました通貨選択型投信販売への規制強化は、以下の様なイメージとなりますので、ご参考ください。

☆通貨選択型などの投資信託販売方法の変更
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投資信託の販売規制強化について (12月8日)
 投信協会が今年8月時点で実施したアンケート調査によると、個人投資家が投資信託を購入する契機は、「証券会社や銀行等の人から勧められて」が63.5%で、知人からのクチコミ20.7%、新聞や雑誌の8.3%、商品広告の7.9%、インターネットからの選択の7.5%など投資家自らの選択を大きく上回っている。投信販売おける対面販売チャネルの重要性が確認されたわけだが、毎年行う同アンケート調査からみて、今年は若干この傾向が強まっている。(過去2年間は、58%台)

 一方、個人投資家が抱く販売員への不満では、「説明が多すぎてポイントが理解できなかった」と48.3%の方々が感じることトップに上げられているが、反対に「商品の魅力の説明しかしなかった」も41.4%に達していて、販売現場での販売員の説明に対して、個人投資家が感じていることは両極に分かれている。現在の売れ筋である通貨選択型の投資信託は、高配当を狙う代わりに、新興国などの高金利通貨への投資リスクと、投資対象となる株式や外国債券・海外REITなどのリスクを重ねるので、投資魅力以外にリスクを説明しようとすると、どうしても長くなるということだろうか。

 金融庁は、この通貨選択型投信を念頭において、証券会社などの投資信託販売態勢の強化を行う予定である。その内容は次の様なものだ。(一般の理解の為に記載を簡略化しましたが、正確な規制内容は“金融商品取引業者向けの総合的な監督指針(抄)をご参照ください)
○顧客に合った商品を販売するのは当然の事だが、その為に顧客の投資意向をちゃんとヒアリングして顧客カードを整備することが定められている。今度は、この内容について顧客と共有=つまり記載内容について顧客の了承を受ける必要がある。
○例えば顧客カードで、元本の安全性を重視すると記載されていた場合、通貨選択型投信の販売は管理職による承認制とするようなリスクの高い投信に対する販売管理を行う必要がある。
○何か市場インパクトのある重大な事象が発生した場合、ちゃんと顧客が判断できるように情報を集め伝えるなどサポートすることが求められる。
○また投信の運用会社(運用を指図する投資信託委託会社)も上記の様な緊急時の対応には責任があり、証券会社などに運用状況等についての提供することが求められる。
○もし万か一に投資家とトラブルになった時には、金融ADR制度があることを顧客に事前に説明しておく必要がある。
○販売員の勧誘については次のことが求められる。
・分配金について、元本の一部が支払われる可能性があることを、分かり易く説明すること。
・通貨選択型投信では商品やリスク特性を理解した旨の確認書を顧客から受け入れること。
これらの通貨選択型を主な対象として投資信託の販売規制は、来年度からの実施が予定されている。

投資信託の販売現場での販売員の説明は、益々長くなりそうだ。
 今や証券会社の収益の中心になっている投資信託販売は強化していくのが共通した営業課題となっているので、今後の証券会社での投信販売については、上記に様な対面営業現場での対応を整備していくことと共に、投信販売におけるインターネットやコールセンター活用を強化していくことになるのではないだろうか 
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投資信託の販売について (12月7日)
投資信託の販売に関して、インターネットを利用しようとする動きが強まっている。流れは3つあって、一つ目は金融機関などがインターネットバンキング強化に合わせて投資信託の販売を強化する動き、二つ目は運用会社自らネットチャネルを使い直接投資家に販売する体制を拡大しようとする動き、そして三つ目は証券会社のネット販売態勢の整備となる。但し、投資信託の販売全体からみると、増加傾向にあるとは言え、まだ5%程度だ。(2010年度下期、野村総研推計)

また、別の調査ではネットで投資信託を購入する場合でも、対面でアドバイスを受けたいと思う投資家は49%もいる。(地銀ネット投信投資家に関するアンケート:MaDo2011年10月)
インターネットでの株式取引やFX取引の様に、個人投資家のネット投信購入が主流になるには相当の距離がありそうだ。何故か。この事の理由には以下の様な事が考えられる。(以下の数値は、投信協会の統計数値や調査より)

・投資信託への投資は、FXやネット株取引とは異なり、個人投資家にとって、ある程度の纏まった資金を運用者に預けることになる。1 人あたりの投資信託の合計購入額平均は390.2 万円。
・また投資信託の数が非常に多く、国内株式投信(追加型)だけで10月末時点で3633ファンド、外国投信は946ファンドもあり、自分が選択したもの、薦められたものと、他のファンドの比較をするには相当の労力を必要とする。
・投資信託の目論見書は、昨年夏あたりから記載内容の簡素化・統一化(交付目論見書)が進められているが、請求目論見書や運用報告書などを含めると100ページ以上の資料となる。
・投資信託を購入する年齢層は、60才以上が49.3%を占める。また保有比率は年代が上がるにつれて高くなり、70才以上では17.7%(全体の保有比率は9.4%)となっている。

 つまり個人投資家は、自分の投資目的に沿って投資信託を購入しなければならないが、上記に書いたことは、比較的年齢の高い層が、投資信託に関する情報の海の中で自らの行方を探しているようなイメージになる。だから磁石(投信選択ツール)やナビゲーダー(投信販売員)が必要な場合も多く、証券会社にとっては、対面営業やコールセンターでのサポートが、投信販売会社としての生き残り戦略の中核になっている。

※投信販売(特に通貨選択型)の規制強化については、次回
 
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最近の投資信託動向について、11月上旬時点(11月10日)
10月も個人投資家のリスク・オフの流れが続いて、投資信託からの資金流出は2,107億円と9月よりも拡大しています。新規設定の分については、50本925億円と4月や5月に2000億円を超えていた時から減少が続いています。また、既存の投資信託への資金流入では、日本国債ファンドの様にマーケットリスクの小さいものしか資金流入はありませんでした。
詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。
☆投信マーケット概況10月号

 また、投信の運用会社が個人投資家向けに発信する情報(レポート)に関して、ギリシャを始めとする欧州債務問題関連が急増し、情報量が増加しています。また、週間ベースで市況情報を発信する運用会社も増えていいます。運用会社による投資家への情報提供強化が窺えます。

 今後、投信の運用会社が何に注目しているかは、新規設定の新しい投信の投資テーマを見れば、ある程度推測することが出来ますが、11月以降の投資では、欧州関連への投資を避け、投資テーマが分散しているように思われます。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(11月上旬時点)
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最近の投資信託動向について、10月上旬時点 (10月11日)
 9月も世界的に市場変動が大きく、投信の残高もその影響を受けて、公募投信の残高は41.9兆円と前月比3.9兆円(8.5%)の減少となっています。また、ブラジルレアルや豪ドルの急落によって、今まで順調に資金流入していた通貨選択型でも、一部に資金流出がみられました。
詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。
☆投信マーケット概況 9月号

 また、投信の運用会社が発信する情報に関して、市況の動きが激しかったことから市場動向の解説的な情報発信が増加しています。特にブラジルレアルの動向や為替介入に関するものも目立ちます。情報の発信の仕方としては、ウィークリーのレポートの比率が増加しており、運用各社の情報発信体制の強化が窺えます。

 今後、投信の運用会社が何に注目しているかは、新規設定の新しい投信の投資テーマを見れば、ある程度推測することが出来ますが、10月以降の投資では、大きく下げた株式市場の世界的な見直しや高金利通貨選択の継続も、主な投資テーマになっています。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(10月上旬時点)
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日本からみたヘッジファンド (10月6日)
 ヘッジファンドという語感は、業界内にあっては洗練された運用技術、世間一般には何かの怪しさが付きまとっている。この相反するイメージは、ヘッジファンドが主張することが的を得ていること、その割には外部に発信する自らの情報が少ない事のギャップによるのだろうが、もともと特定の投資から資金を集め、それをごく限られた人数で運用し、その運用成果次第でファンドの報酬が決まる仕組みで、投資家以外への外部露出は限定されている。しかし、レバレッジ取引を大きく行うイメージがあり、市場価格が大きく変動した時の理由探しに、よくヘッジファンドが使われたりもする。

 そのヘッジファンドの日本における概況は次のようなものだ。(金融庁:ファンドモニタリング調査の集計結果について平成23年9月より)
○平成23年3月末で、ファンド数446本、運用資産額合計 3兆0350億円
○平成22年度(昨年度)の販売は、ファンド数239本、運用資産額合計 5387億円(この数字の大半は、公募投信で、私募の部分は96本、517億円)
以上の数字は、日本で運用されているヘッジファンド(つまり運用者が日本の金商法に基づいた業者)で、またこの中にはヘッジファンド的運用を行う公募の投資信託も含まれている。

 ただ、日本の投資家は日本のヘッジファンドだけを買っている訳ではない。少し古いが、経済産業省のヘッジファンド研究会資料(日銀作成)で2006年のヘッジファンドの国別運用資産残高では、米国が60%、英国が22.4%、ユーロ圏が8.3%、日本を除くアジアが5.7%、そして日本は0.5%に過ぎない。つまり、日本の投資家の投資するヘッジファンドのほとんどが、欧米の海外で運用されている。

 このヘッジファンドの特徴と問題点については、主に次の様な点が上げられている。

①レバレッジ運用=このレバレッジの与信を誰が与えているかと言えば、ヘッジファンドから注文を受ける投資銀行(この業務に関してプライム・ブローカーと呼ばれる)が対応。つまりヘッジファンドは、資金や株式などの投資対象資産を貸して、ヘッジファンドからの注文を受ける。ヘッジファンドは、年に1割強が運用失敗から清算になるものがあるが、与信を供給する投資銀行としては、市場変動のリスク管理だけではなく、異変発生時の流動性リスク管理の必要性も指摘されている。

②運用の自由度が高い=空売りを積極的に活用するので、基本は売り買い両方が可能な投資対象を選択。また資産の売買頻度が一般のファンドより格段に高い。投資対象も多岐に渡るが、中には時価評価が困難なものもある。

③ガバナンスの問題(誰がチェックするのか)=ファンドは運用に特化した簡素な組織で、必要な機能で運用関係以外は外部委託する。例えば、運用資産の管理と決済などはカストティ銀行に、リスク管理は発注先の投資銀行に、投資資産の時価評価などはアドミニストレーターに任せる。運用の指図に関してのチェックは、理事や監査役を含めた委員会で行うが、ファンドマネージャーの投資活動を監視するにはガバナンス権限が不十分という指摘もある。

また、金融危機とは直接関係ないとは思われるが、金融危機後のG20ではヘッジファンドに対する監視体制を強めようということで合意がなされており、比較的ファンドビジネスに寛容な米国でも、次のようなヘッジファンドの届出制度が導入されている。(以下、ドットフランク法)
・ファンドの運用資産が1億ドル以上の場合,ファンドはSECへの登録を義務づけられた。
・登録されたファンドは,そのヘッジファンドに関する情報をSECに報告義務あり
更に、投資銀行はボルカールールにより高リスク取引を規制されるため、
・自己のトレーディングやヘッジファンド・PEファンドへの出資などと原則禁止(但し、自己資本Tier1の3%以下の金額に限り許可)
と言うルールが決定しているが、この部分は現在の投資銀行の収益への影響が大きいので、2014年までに実施される予定となっている。

 ヘッジファンドの投資行動に関する制約は今のところないが、日・米・欧州の実態が異なることと行政の温度差があり、ヘッジファンドへの期待と不安が入り交った各国行政の対応となっている。
(日本に関しては、国内のヘッジファンドが育ちつつある状況で、既に投資運用業として登録義務がある。またレバレッジ取引による信用供与で国内の証券や銀行が問題となるような取引水準ではない。先ずは、遅れていたヘッジファンドの国内育成を行うべきと筆者は考える。)
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最近の投資信託動向について (9月8日)
 8月は世界的に株式市場が大きく下落し、また変動も大きなものだったので、投信の残高もその影響を受けて、公募投信の残高は45.8兆円と前月比2.4兆円(5%)の減少となっています。ただし、高分配金を狙ったハイイールド債投資中心に投信への資金流入は3700億円を超えています。
詳しくは、三菱アセット・ブレインが公表している下記資料をご参考ください。

☆投信マーケット概況 8月号

 また、投信の運用会社が発信する情報に関して、世界的な株式市場下落の影響で市況関連のスポット的情報提供が増えています。また、市場下落は欧米市場中心なので、米国経済動向や欧州債務問題に関するものも多く取り上げられています。

 今後、投信の運用会社が何に注目しているかは、新規設定の新しい投信の投資テーマを見れば、ある程度推測することが出来ますが、9月以降の投資では、意外と株式関連が多かったようです。また、ハイイールド債投資も相変わらず主要なテーマです。

☆最近の投信運用会社の情報提供の傾向と運用テーマ(9月上旬時点)

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最近一ヵ月の投信の状況 (8月8日)
 直近の欧米市場は金融危機以来の厳しい動きになっているが、ここ一ヵ月の投資信託の運用会社の情報発信について、市場が不安定なだけに、各国の金融政策に関するスポットものが増加している。特に、米国に関する情報発信量が増加していて、7月半ばのムーディーズによる1995年以来の米国債格付け見直しは、5日のS&Pによる実際の格下げの伏線となったようだ。弱い経済指標、格下問題、債務上限交渉など、米国関連の分析情報が投資家に多く提供されている。一方、高金利通貨の代表としてブラジル・レアルに関する利上げ・資本規制に関するものも多かった。
 また、8月の新規の募集を開始する投資信託の投資テーマとしては、債券投資関連のテーマが増えているが、高金利投資として米国ハイイールド債以外にインド債など新興国債券も上がってきている。新興国株式市場も不安定なことを思えば、高分配金を狙う為には高金利債券・新興国通貨連動などが中心に成らざるを得ない。

☆投信運用会社の最近の情報提供傾向と投資動向


 実際、何に資金が流入しているかについては、
【7月中投信への資金流入】
・ハイイールド債、新興国債券を中心とした海外高金利債券投資=約3000億円
・海外REIT関連=約3000億円
・海外株式関連=約600億円
・国内株式関連=約300億円
・国内債券関連=約100億円

詳細は、三菱アセット・ブレインズ株式会社が以下にレポートしている。

・速報版投信マーケット概況7月号
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言葉の使い方=投信の場合 (8月4日)
私達は大震災の後、言葉の大切さを学びました。ちょっとしたニアンスの違いでも、相手に伝わる事、相手から伝わる事がちがい、感動したり怒ったりしました。言葉はちゃんと使わなければとも思いました。
8月4日の日経コラム欄“春秋”は、そんな事を思い出させてくれます。前半は政治での言葉の使い方、後半は被災地での言葉。

 投資信託は、今や“貯蓄から投資”への中心に位置する金融商品となり、証券でも銀行でも郵便局でも、そしてネットでも買う事が出来るようになりました。その投資信託のそれぞれの内容を説明する言葉は、目論見書に入っており、その内容を説明するのは現場の販売員、そして目論見書は必ず投資家に渡されます。2007年の金融商品取引法施行以降、この投信の販売もちゃんと説明しないさい(契約締結前交付書面の交付義務)ということで、一時は販売員の投資信託の説明が1時間以上もかかると言われました。
しかし、親しい間でも一方的に話を1時間聞くのはつらいものです。また、たくさん説明するために100P以上もある目論見書を読ませることは、投資家に対して相当の忍耐と集中力を強いることです。

そこで投信の目論見書について、金商法改正によってその記載内容の標準化・平準化が図られ、昨年の7月あたりから易しい内容で今までの半分から三分の一程度の分量まで順次内容を減らし、また減らすためにも内容を定型化する努力が行われています。
説明は簡単・明瞭にと、いつもは会社で上司やお客様に言われることですが、説明が長いと時ほど仕事は余りうまく進んでいないのはビジネスマンとしての経験則です。

しかし、いくら説明を短くするためとは言え、イメージだけ先行するような文言を強調して、本質的なことがあやふやになっているのであれば、もっとちゃんと説明しなさいと言うことのようです。証券業協会が、人気の投信商品である「毎月分配型」や、更に高い分配金を狙う為、高金利通貨が選択できる「通貨選択型」(正確には毎月分配&通貨選択型)に対して、様式を統一したリスク説明を今秋から徹底させるとのことです。

問題となっているのは、高分配金が継続していることと元本が減るリスクを、投資家が誤解しているような場合があるということです。高分配が続いていて喜んでいたら、元本が大きく毀損してショックだったとの事でしょうか。問題は、分配金の名称にあるように思います。投資したもので、利益が出ているのが「普通分配金」、元本を取り崩して払うのが「特別分配金」、この特別分配金を元本返還金とでもすれば、誤解は小さくなるように思うのですが。

この様な当たり前の事を書いていると、投信ブロガーの方たちに笑われそうですが、投信に関しては、同じく「通貨選択型」での手数料が口数指定なのか金額指定なのか説明を徹底することを証券業協会が販売者に要請していますし、4月から始まっている店頭デリバティブ規制で投資レバレッジの高い物は例え投資信託との名称でもデリバティブ同様の行為規制やリスク説明義務があるとしています。

以上を含めて、投信の目論見書や運用報告書にある言葉を、実態にそって投資家に分かり易いものに替えることの方が、投資家の為になると思うのです。すくなくとも、長々とリスク説明を専門用語で言われるよりは。

 
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運用会社とは何か (8月1日)
もし中学生に投資信託は誰が作っているのかと聞かれれば、多くの大人は投信の運用会社だと答えるだろうが、言ってしまった後、金融関係者は少し戸惑うかも知れない。そもそも投信は作るものではなく、みんなからお金を集め運用するもので、集めたお金は信託銀行で管理し、そのお金の運用は運用会社が指図する。勿論、その投信を売るのは証券会社や金融機関などで、こちらは運用会社が販売先を決める。投信の概略を簡単に説明すれば以上のようになるが、そもそもこの運用会社とは何なのか。

日本の代表的な運用会社である野村アセットマネジメント(6月末時点での運用資産:14.3兆円)の沿革は、以下のようなものだ。(他の主要な運用会社も同様の経緯)
【野村證券投資信託委託】
・1959年:設立
・1960年:追加型株式投資信託設定
・1961年:公社債投信設定
・1980年:中期国債ファンド設定
・1984年:初めて複数の証券会社を指定して販売する公開販売専用ファンドを設定
・1992年:MMF設定
・1995年:投資一任業務認可
【野村投資顧問】
・1981年:設立、米国年金の運用開始
・1986年:投資顧問業法の公布・施行
・1987年:投資顧問業者として登録、投資一任業者として認可を取得、国内公的年金の運用開始
・1990年:国内私的年金の運用開始
【両社統合】
・1997年:両社統合し、野村アセット・マネジメント投信へ(2000年11月に野村アセットマネジメントに社名変更)
・1999年:国内私募投信運用開始

以上を纏めると、主要な投信の運用会社は、半世紀ほど前に証券会社から分離して投信の運用を行って来たが、投信の種類を増やしつつ他の証券会社へも販売先を拡げ、年金の運用を行う投資顧問業も取り込んできている。つまり現在の主な運用会社は、投信ビジネスと年金ビジネスから成り立っている。
これを金融商品取引法の定義に置き換えると、次の様になる。

○投資信託委託業務=投資信託の受益証券の権利者から拠出をうけた金銭等の財産を運用すること。(金商法第2条8項14号に係る業務)

○投資一任契約にかかる業務=投資一任契約を締結して、その金銭等の財産を運用すること。(金商法第2条8項12号ロに係る業務)

○投資助言業務=報酬を受け取ることを前提に投資顧問契約を締結し、有価証券等の価格や動向について助言を行うこと。(金商法第2条8項11号に係る業務)

主にこの3つが投信運用会社の主な業務となるが、この他に投資法人などの資産運用や投資顧問契約・投資一任契約の代理または媒介を行う場合もある。

 この投信の運用会社は年々存在感を増している。それは、団塊世代の退職金運用の本格化や国債・郵貯の大量償還から投信への資金流入が当面増加しそうで、その運用を行う投信運用会社は、金融業界内では数少ない成長産業として期待されているからだ。
実は、この投信運用会社への成長期待はここ10年ほどあるが、投信ビジネスに関しては、金融ビックバンでの金融機関の窓販解禁以降、予想通り伸びたものの、その運用を行う運用会社の成長力は期待ほどではなかったとの見方もある。その理由の一つに、運用会社の独立性の問題があるかも知れない。
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投信ネット販売の現状 (7月14日)
 証券会社による株式の大量推奨販売は禁止されたが、投信を新規設定して大量に販売促進しかけることは別にルール違反ではない。別に皮肉を言いたい訳ではなく、投信の一つの売り方(投資家にとっては買い方)に、投資テーマを決め、時期を見定めて集中的に販売するという事があって良い。勿論、多様な投資家の多様なニーズに応えることが前提だろう。
 ところで、投信がもっと投資家にとって分かり易い商品なら、ネットで買っても良い、と今なら誰もが思うだろ。しかし、現実のネット上での投信販売は余り多くない。何故なのか。その理由は、個人にとって投信が、やはり分かり難い商品と思われているからだろう。正確に言うなら、投信に関する情報の提供の在り方が分かり難い。
 確かに情報ベンダーが提供する投信サイトでは、自分が求める投信を選択しやすくなっているが、では選んだ後、どこで買えばいいのだろうか。その前に、もう少し選んだ投信の内容を詳しく知りたいと思っても目論見書がウェブ上で入手出来なかったり、あっても多量の目論見書内容を理解するのに誰かの手助けが必要だったりする場合もある。つまり、投信を選ぶまでは何とかなるが、実際にその投信を買うプロセスに入るところで、ネットはまだ十分なサポート体制が出来ていないように思われる。

☆投信ネット販売の現状

 しかし、このネット時代にあってインターネットを活用しない手はない。例えば最近以下の様な取組みが行われている。
・フィデリティ証券が、今年の4月からネット投信販売サイト“フィデリティ・ダイレクト”を本格的に運用し始めている。
・大手ネット4社(松井を除く)による投信の共同販売プロジェクトで、販売用投信の選択をイベント化して投資家の注目を集め、ファンドの運用会社を使って目論見書内容の説明を動画で配信させている。
・一部の金融機関において投信のネット販売を強化しようとする動きが強まっており、ゆうちょ銀行も、昨年9月からネットでの投信販売を始め、4月以降も強化しており、販売促進の為に手数料ゼロキャンペーンも始めている。

但し、ネットでの投信販売が進んでいくと、現在の投信販売の営業現場も変化していく可能性もある。その事は、しばらく先の話になりそうだ。
(日本版401Kも、ネットでの投信継続投資ではないかと思うが、せめてネット証券並みの機能を整備して欲しいと思うのは、筆者だけだろうか)
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投信の運用と販売の状況 (7月8日)
投資信託の運用会社による情報発信は、すっかり定着してきた。今までは、何か突発的な出来事や特定のイベントがあるとスポットで情報発信することが多かったが、最近は週次・月次の定期的レポート発信が多くなっている。特に新興国に関するものや為替動向は週次ベースのものが充実している。最近1ヵ月間の情報発信と新規設定投信の投資テーマは下図の様になっている。

☆最近一ヵ月の情報発信動向と7月設定テーマの状況


 情報発信の動向については、最近は中国関連の経済指標そのものに注目するものや、オーストラリアの金融政策に関連したものが増加している。またブラジルやインドなどは相変わらず人気がある。反対に不人気でも注目されるのは、ギリシャ・ポルトガルというところで、これも余り変わらない傾向となっている。
 一方、7月の投信新規設定状況は、翌月のボーナス販売を控えて多少控え気味にも思えるが、外債投資や高配当株・海外小型株投資といったテーマが復活しているようだ。なお、新規設定投信では募集手数料や信託報酬の一部を被災地に寄付するスキームのものが増えている。

 実際の6月投信の販売状況については、三菱アセット・ブレインズ の下記の資料がある。

☆2011年6月号投信マーケット概況

同レポートによると、6月の投信新規設定は1220億円で、既存投信への資金流入額は6268億円となっている。海外REITや外債もので毎月分配型の高配当が期待されるものへの投資が続いている。(詳細は同レポートへ)
 
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ネットで投信を売るということ、買うということ(6月27日)
 投資信託を販売することで、リテール対面の証券会社は投信を含む金融商品の販売業へ変わっていったが、嘗ての本業だった株式の売買について、個人投資家の取引の8割以上(ネット大手5社利用分では2010年の売買代金ベースで71.5%)がネット利用となっている。一方、投信のネット販売の方は、2010年の設定額ベースでネット大手4社(松井は投信販売を行わない)分1.6%(3713億円)となっていて、ネット証券側からすると、もっとネットで投信は売れるはずだということで、投信販売の為の共同プロジェクトが3月から始まっている。リテール対面の証券会社の立場は、投信の販売は個人のある程度まとまったお金を、投資信託という難しい商品に投資してもらうので、しっかり説明しなければということで、営業員が1時間近くかけ内容とリスクの説明を行う。その代り、3%程度の販売手数料を投資家からいただく。ネットで投信を売るという事は、このリテール対面営業で行っているプロセスを、投資家自らが行うように仕向けるという事だ。その為に、販売手数料は課せられない。(投資家が自ら選ぶので当然だが)

 難しい金融商品(株式や債券に比べて)と言われる投信は、その内容を説明する目論見書が100ページを超えるものもあり、これを本当に投資家がネット上で読んで理解し投資判断を行うことが可能なのかというのが対面営業側(証券・金融機関)の言い分となっている。

しかし、以下の様な販売環境の変化は、投信のネット販売を促進する可能性がある。
○昨年の7月から投信目論見書(交付目論見書)が簡素化され、記載内容も平易化が試みられている。
○ウェブ技術の発達で、営業員が今まで対面で行っていた投信内容の説明は、ウェブ画面上の動画を使って、運用会社自らが行うことが可能となっている。(但し、投資家がクリックする必要がある)

 ただ、これらは個人投資家がネット上で投信を選んでからの話で、実際に選ぶまでのプロセスが必要だ。このネット上での投信の選択については、情報ベンダー・ネット証券其々が工夫を凝らして対応しようとしており、投資目的や売れ筋、投資テーマ別に選択させ、目的の投信に辿り着く。そこで初めて目論見書を見て説明を聞こうかという事になるが、このネット上での投信選択の仕組みは、まだ目論見書等がネット上で全て開示されていないので、選択から実際の購入行動へ繋がる部分が未だ試行的に思える。

 また対面営業では、投資家や営業員自身が投信を選択して売るという事が少ないが、これは投資テーマを決めて、このファンドを新規設定し、一定期間に集中して販売活動を行うという方法が日本では定着している。

 この為、投信のネット上での販売で、どの様にマーケッティングを行っていくのかが課題となっていたが、ネット大手4社の共同プロジェクトでは次の様な試みがなされている。
・4社で共同の投信販売マーケティング活動を行う為に、共同ウェブ画面を立ち上げ、イベントや書籍出版・広告記載などを共同で行う。
・共同販売の投資信託を新たに設定し販売する為に、運用会社を集め新投信のコンテストを行う。
・このコンテストを行う過程で、各社の注力される運用テーマ明確化され、それに沿ったプレゼン資料も作成される。
・選択された運用会社によって、Web上での投信の運用方針が明らかにされ、その投信の内容等について詳細な説明の動画・資料(目論見書等)が提供される。また販売開始に当たり、関係各社共同の宣伝広告を行う。

 注目しているのは、このコンテストから投信共同販売広告までの動きがイベント化されて、個人投資家に対するプレマーケティング活動となっていることだ。ネットでの投信販売も、個人投資家の選択に頼らなければならないが、今まで主要な証券会社と運用会社の間で行われたいたような事を、イベント化しその選択過程を明らかにすることで、個人投資家の注目を集めていく販売手法に期待している。

但し、投信のネット販売で最もメリットを受けるのは、ネット証券ではなく、このネット販売に対応する運用会社の方ではないだろうか。
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“被災地応援ファンド”に見る事業ファンドの可能性と限界 (6月10日)
“みんなからお金を集め、○○の事業に投資を行う”という非常に広範囲で曖昧なファンドの定義の中には、国家が外貨準備などの運用を行うSWF(Sovereign Wealth Fund)から、町のラーメン屋さんに投資する事業ファンドまで様々なものがあるが、被災地企業の事業再開を支援する“被災地応援ファンド”を見ていて、改めてこの事業ファンドの役割を考えさせられる。証券や金融機関が扱うファンドは投信も含めて何らかの市場に関連するものが殆どだが、この事業ファンドは市場には殆ど関係しない。勿論、ファンドである以上は、投資を行う事業の成功を出資者たちが願うのだが、市場を相手としない以上、投資効率とか収益性がファンド出資者たちの第一の目的ではなく、○○の事業を応援するということに主題がありそうだ。それも限られた資金で行うマイクロファイナンス的ファンドが、事業ファンドの特性の様に思える。冒頭に上げたファンドの定義の中の“みんな”とは、○○事業に賛同した人達となり、この人たちを投資家と呼んでいいか、幾分の疑義が残る。
 例えば、“被災地応援ファンド”は、被災地の海産物店など8社の当面の運用資金を調達するものだが、1口一万円の半分は寄付、半分が出資となるもので、出資分については7~10年の契約期間で途中解約は出来ない。このファンドは、被災地企業支援というところに重点が置かれている。 また、当該ファンドを実質的に運営するミュージックセキュリティーズは、元々音楽ファンドでヒップホップ系の新人歌手を売り出すプロジェクトを行っているが、こちらの方はCDの売上げなどに応じてファンドの分配金が出資者に払い戻される。

 ただし、これらの事業ファンドを取り扱う者は金融商品取引法上で第二種金融取引業となり、地元財務局に登録する必要がある。2007年に金融商品取引法で投資信託以外のファンドを集団投資スキームとして定義し、この中に事業ファンドも含まれることになったが、このファンドの対象や定義が広範囲に及び様々なファンド勧誘行為が行われたので、金融庁や財務局には次の様な相談が寄せられている。
(注:事業ファンドを特定したものではない)

【相談事例】
*元本保証、高利回りとしてファンドに出資したが、返金に応じてもらえない。
*認知症の人に売っている。
*金融庁の認可を受けているがファンドに出資しないかと勧誘された。
*FX取引(外国為替証拠金取引)を使ったファンド。実際は運用せず自転車操業。
*被害者を増やしたくない。
*パンフレットには書けないが元本保証を口頭で約束すると勧誘された。
*母が未公開株の投資事業組合に投資したが5年間は解約できないといわれた。
*紹介者にもメリットがあり出資者も損はしないので乗らないかと誘われた。

 この為、証券取引等監視委員会は2009年以降ファンド業者=第二種金融商品取引業者に対して集中的に検査を行い、次の様な問題ある行為を指摘している。
●ファンドへの出資金の分別管理が不適切な状況(出資金の流用、使途不明等)
●顧客に対する虚偽の説明・告知や誤解を生ぜしめる表示等
●無登録業者に対する名義貸し等
●ファンド販売業者自らが登録業務を逸脱している状況等
●自己の利益を図るためファンド出資者の利益を害する運用を行う行為

 以上のことと、マイクロファイナンス的に出資目的を限定して賛同者を募る事業ファンドは、余り重なる部分がないようにも思われるが、行政上は同じ第二種金融商品取引業であることも事実だ。マイクロファイナンスもそうだが、事業ファンドも今までの金融の概念と異なるところにビジネスモデルがある。その事は、金融やファイナンスの新しい機能へと繋がるだろうが、今までの投資家保護とは違う概念が規制(自主規制も含めて)には必要になるのではないだろうか。
 
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投信運用会社の直近の情報発信動向(3) (6月8日)
 5月の追加型株式投信への資金流入額は、8587億円となり金融危機以降最高額となったとロイターは報じているが、その投信の運用会社による情報発信も増加している。楽天証券が、各運用会社のレポートを集約してネット上で公開しており、それによると5月の連休明け後の直近1ヵ月に公表されたものは219本あり、その前の一ヵ月間より7割以上、情報発信力は増している。為替・金利・株式市場などに関する定期的なレポートが全体の4割を占めるが、残り6割はスポット的なテーマに対して運用会社が情報発信するものだ。国内外で、市場の予想以外に起きた事象などに対して、運用会社として投資家向けに迅速に何らかの解説などを行おうということに努力が払われている。
 この直近の情報発信動向を見てみると、適時の情報発信であっても為替の変動やその理由に関するものが最も多く、次いで金利動向に反映する各国の経済指標の解説が次いでいる。国別に見ると、4月までは新興国関連が多かったが、最近は米国や日本に関するものは増えている。また、5月の連休中に原油などのコモディティ価格が大きく下落したことで、投信の基準価格が大幅に低下したものはあったが、この事を通知しようとする動きも多かった。その状況は、下図の様になっている。

☆投信運用会社の最近の情報提供(3)〈5月6日~6月7日〉

一方、6月はボーナス月とされ、証券・金融機関では投信等の募集ものの営業活動にピッチが掛かるが、6月の設定を予定している投信のテーマに於いては、日本株を見直すものや為替リスクのない円建債券への投資が目につく。また投資の新しいテーマとして、インフラ関連・農業というところもあるようだ。

これだけ、投信の運用会社による情報発信態勢が整ってきたのであれば、次の段階としては、ネットでの投信販売が増加(特にネット専業証券ということではない)してくることが考えられるが、更に進んで投信運用会社のネット利用の投資家への直接販売が進むような状況にでもなれば、投資家にとっては投資コストが下がりメリットを享受することが出来る。ただし、その時証券会社は次の投信販売モデルが必要になる。
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ネットで投信を売る立場、買う立場、其々の期待 (5月31日)
 今や対面リテール証券の収益の中心となっている投資信託だが、同じ様な投信をネットで買えるかというと、殆ど買い揃えることが出来そうだ。主要なネット証券4社(松井は取り扱わず)の投信取扱い銘柄数は、5月末時点で次の様になっている。

SBI証券=1088銘柄(平成22年度の投信関収益34億円、純営業収益の4.3%)
楽天証券=1061銘柄(同投信関収益8億円、純営業収益の1.9%)
マネックス証券=461銘柄(同投信関収益18億円、純営業収益の2.6%)
カブドットコム証券=450銘柄(同投信関収益5億円、純営業収益の1.1%)

これだけの銘柄数を、投資家はネット画面から選択することになるが、ネット証券は投資家が投信銘柄を選択する為の情報として、主に次の方法を使う。
○売れ筋や高配当などの何らかのランキングの提示
○投資家が投資目的を確認しながら銘柄を絞り込む為にQ&A式選択画面の提供
○投資戦略(自社のハウス・オピニオン)を提供した上で、自社の薦める投信を薦める

これで、投信銘柄を選択した投資家は、選択した投信の過去のパフォーマンスや投資に係るコストを調べる為に目論見書や運用報告書の内容を更に検討する。同じオンライン取引での株やFX取引とは異なり、利用する投資家も投信購入決断まではネット上で相当の労力を費やすことになり、ネット証券はそれに対応する為、上記3つの選択方法に対して、相当の情報の整理や分析を行う必要がある。つまり、ネット証券の投信販売に関しては、販売時に係る投資家の負担から対面リテール証券の様な販売手数料は望わりには投資家に提供する投信情報整理のコストが掛かる。

 ネット証券は収益の7~9割を株式取引(信用取引を含む)に頼っているが、投信販売に対しては上記カッコ内に示したようにまだまだ収益寄与度が小さい。但し、残高が積み上がってきており、販売手数料(投信のネット販売では、当初の手数料を取らないノーロードも増加している為)の数倍ある投信残高に対する報酬は、安定的な収益に見える。その為、コストを抑え投信残高を増加する目的で、投信共同販売の為の試行的プロジェクト“資産倍増プロジェクト”を始めているが、共同のウェブサイトを立ち上げ、投信による資産運用の普及啓蒙活動を行いながら共同の販売プロモーションも行い、5月には3本の専用ファンドを選定している。

 一方、ネット上で投信を買う意味を投資家の立場で考えてみると、投信に関する情報については投信目論見書の簡素化や、QUICK・モーニングスターなど情報ベンダーが提供する投信関連情報で、ネット上での投信選択が容易になってきているので、投資家の投信に関するコストを下げるというのが重要な関心事になっている。ネット上での投信販売は今後も増加していくだろうが、この事が進んでいくと、少し言い方が雑だが、同じ様な投信なら、ネット証券であろうが、ネット銀行であろうが、運用会社の直販であろうがコストの安いところが良いという、需要サイドに重心の移っていくように思える。

 ネット証券での投信販売が、ネット銀行や直販より競争優位を保たなければ事業戦略として投信販売に本気で取り組む意味がないと考えるが、投資家がネット証券で投信を購入したことで生じる付加的なサービス、例えば投信を保証金・証拠金に活用できるとか、保有する投信に関連した情報がツイッターやメールなどで自動的提供されるなど、ネット証券独自のサービスが期待される。

なお加えて、ネット上ではネット証券だけが扱えるETFが投信(残高に応じて預かっている残高に応じて報酬が支払われる)であることも、ネット証券・投資家双方に思い出していただきと思う。
 
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復興ファンドの現状について (5月30日)
大震災に対して、今何が出来るが、個人も企業や団体も其々の立場で考えさせられる現状ですが、被災地の復旧や復興の為に義援金や保証金とは異なる仕組み=“支援と投資”として、復興ファンドは期待されています。市場が出来ること、その一つが復興ファンドに取り組むことでしょうが、それは今までと異なる投資の意味が必要かも知れません。また、復興地が必要とするお金の内容・ファンドへ出資される方々のそれぞれが取れるリスクも異なりますが、その“復興ファンド”の5月末時点の現状について、どの様な取組みがなされているかを見てみます。

 復興ファンドの目的は、復興地に必要な資金が回ることだが、国策の様な大きな構想から、現場の事業主の早急な資金ニーズに応えようとするものまで、“ファンド”の定義と同じ様に、多様な取組みがなされ始めている。

 大きな構想の代表的なものは、復興資金を官民ファンドで賄うというものだが、米政府から4月に提案された日米企業が出資する復興ファンド構想は、米側のシンクタンクや主要企業で立ち上げた復興支援プロジェクトに、日米政府や経団連も参加し、復興事業に対する日米協力のあり方を検討しながら、被災地の復興資金ニーズに応えるものだ。
 また、従来の政策・施策(政策金融)の延長線上で取り組まれる復興ファンドとしては、次のものがある。
・被災した中小自動車部品メーカーの復興を支援するため、日本政策投資銀行が最大500億円規模のファンドを6月に設立する。ファンドへの出資は大手銀行も参加する予定だが、必要とする資金を一旦大手部品メーカーに融資し、その大手部品メーカーから中小メーカーへ出資・融資が実行される“ドミノ方式”が取られる予定だ。この方式で、被災地企業への迅速な資金提供が可能になるとしている。
・みずほ銀行は、大震災により直接的(事業用資産)または間接的(原材料調達難・風評など)に被害を被った企業に対して、特別融資を行う“事業復興アシストファンド”を5月中旬に2000億円創設し、9月末まで申し込みを受ける。

 次に、投資というカタチを取りながら、被災地若しくは被災企業支援を試みるものとしては、次のものがある。

・5月17日に野村証券などで募集を終了した「東日本復興支援債券ファンド1105」は、518億円の資金を集めた。この投信は、被災地に資金が回るように関係する公共体や企業の債券に投資するもので、期間5年、募集手数料はなく信託報酬の0.2%が被災地に寄付される。約4万名の投資家が同投信を購入し、5億円の購入した紀陽銀行も被災地支援策として表明している。

・また日本株に投資する「ダイワ・ニッポン応援ファンドVol.3 -フェニックスジャパン-」(追加型投信)も、信託報酬の半分にあたる0.36%を寄付するとしているが、こちらは大和証券などが募集を行い27日時点で273億円(5月26日設定)の資金を集めている。

・伊藤忠は中小企業基盤整備機構・みずほコーポレート銀行などと共同出資で、先端技術を使って日本の震災復興を支援するベンチャー向け投資ファンドを設立した。同ファンドは、総額70億円を運用し、防災や復旧に役立つロボット技術や、次世代型の電力管理システムといった先進分野に重点投資する。運用期間は2020年までの10年間で、40社程度に投資する計画だ。

・音楽事業などの事業ファンドを手掛けるミュージックセキュリティーズ株式会社(第二種金融商品取引業者)は、事業ファンドスキームを使って被災地企業の事業再開を支援する“被災地応援ファンド”を創設した。4月から対象企業・投資家とも募集を始めていて、現在は8企業に対して支援を行う。ファンドの支援スキームは、5千円の出資金と5千円の寄付金・ファンド運営会社への手数料500円の計1万500円を1口として個人が口出資するものだ。

また東証は、震災復興に向けた資金調達に寄与する金融商品の上場を促進するとして、以下の施策を4月に表明している。
・被災したインフラの復興などに貢献する上場企業を構成銘柄とする株価指数に連動するETFなどの組成を働きかけ、上場を支援
・被災者向け賃貸住宅等を組み入れた不動産投資法人など復興関連REITの組成を働きかけ、上場を支援
・復興事業や被災企業の資金調達を支援する事業型ファンドのための制度整備を進めるなど、復興事業等への中長期の資金調達に寄与する上場商品の開発を支援。

 今後も復興ファンドに向けた様々な取組みが出てくると予想されるが、支援と投資の両立という投資手法が、日本においても定着し、広く個人投資家が参加できる市場になるよう期待されている。
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投信販売に対する期待―対面リテール証券会社の場合(5月27日)
証券会社の業務の中心は、株式の取扱いということは今でも変わらない。しかし収益面でみると、投資信託に支えられている部分が大きくなっている。主要リテール証券20社の平成22年度決算(リテール部門若しくは単体)における純営業収益の42.5%が投信に係るもので、その4分の3が投信販売の手数料、残りの4分の1が投信残高に対する運用会社からの報酬になる。
 市況に大きく影響される証券会社の収益にとって、安定収益の確保は悲願とも言えるが、ここ10年来証券会社の安定収益作りへの取組みは、投信の残高を増やすことだった。今月公表された大和証券グループの経営戦略においても、投信の残高を4.1兆円から6兆円まで増加させることリテール営業の戦略の中心としている。オーソドックスな安定収益源だが、具体的増加策としては次の取組みを上げている。

①毎月分配型ファンドへの注力
②特徴のあるテーマ型ファンドの投入
③個人向け国債償還への対応
・個人向け国債、郵貯の大量償還・満期に対する運用提案の強化
・日本国債ファンド等を活用した、低リスク運用ニーズに対する対応
④社内評価制度の改定
・投信残高拡大をより評価する体系への変更

これを一覧しての率直な感想は、リテール証券における投信販売態勢はあまり変わっていないように思われる。別に大和のリテール営業戦略を古いといって批判する目的ではないが、他社のリテール営業戦略(対面営業)もほぼ同様のものなので、変わらない理由を考えてみたい。

 先ず高配当の実績のある毎月分配型投信は安定的に売れている。例えば、東海東京が昨年度販売した投信の72%が毎月分配型だったが、これは前の年度の54%から大きく割合が伸びている(同社決算説明資料より)。高配当の毎月分配型投信に対する様々な批判はあるものの、売れ筋商品に注力することは販売戦略の基本だろう。2番目のテーマ型ファンドは、証券会社としてこれからは○○だという投資戦略がなければならない。少し意地悪な言い方をすると、個人投資家の買いたい投信ではなくて、証券会社(若しくは投信運用会社)の売りたい投信ということになるが、営業現場で○○テーマを販売イベントとして実行していきやすい。以上の2つについては、どの投信を個人投資家に薦めるかという問題を、営業現場での営業員の説明・コミュニケーション能力に委ねることになる。

 3つ目については、問題となるような投信の短期的な乗換えよりは、貯蓄などから新規資金で投資を促すことがリテール営業現場での基本になる。大量の国債や郵貯の償還・満期はそのチャンスとして需要な時期なのだが、実はこの部分の資金はあまり投信には流入していなようだ。“貯蓄から投資へ”の政策が取られて久しいし、投信の販売チャネルも随分増加したが、日本の投信の世帯普及率は7.9%で、米国の43.9%とは大きな差があるし、個人金融資産に占める割合も3.5%と先進国では低いままだ。反対にリスクを嫌う預貯金の割合が増加しているのが現状だ。

 4つ目の営業員の評価制度変更への取組みも10年来のテーマだが、今でもリテール営業の戦略として上がっていることは、営業現場において、投信販売・投信乗換え・新規資金導入による販売のバランスある投信販売態勢が確立していないようにも思われる。結果、リテール証券としては、投信販売に期待する部分が大きいものの、残高増加への戦略的手法が未だ整っていないのではないだろうか。
 
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投資信託の課題とリテール証券会社 (5月22日)
 最近の証券会社の収益は、投資信託(以下投信)によって支えられている部分が多い。グループ化して、参加の投信の運用会社を持つところは、その収益がグループ全体に寄与する部分が大きくなっているし、本体の証券会社の純営業収益でも、投信の販売手数料と残高に対する報酬部分は全体の4割(主要リテール証券会社20社平成22年度)を占めるまでになっている。投信自体も、大震災後の直近2ヵ月こそ資金が流出しているものの、その成長は続いていて、証券業界の収益の柱となっている。

 一方、投信そのもの有り様はどうかというと、来月で日本において60年を迎える投信について、日本証券経済研究所杉田氏によるレポート(発足から満60周年を迎える日本の投資信託~その軌跡・現状と今後の課題~)が先週公表されていて、業界の人間として時に懐かしくもあり、また考えさせられる内容でもあった。
先ず、投信の実態として改めて認識させられたのは、失われた20年の影響である。同レポートによると、日本の投信の世帯普及率は、1988年の16.7%をピークに2009年の7.9%と半減しているのに、米国はその間に倍増し2010年では43.9%の世帯が投信を保有するようになった。この間、米国株式市場が堅調だったこともあるが、401Kなどの退職準備貯蓄制度整備による影響が大きく影響している。日本のリテール証券会社の収益を支える投信は、まだまだ拡大していく余地が大きいのだが、杉田氏は、今後の投信の課題として以下の点をあげている。
①運用パフォーマンスを更にレベルアップするため、グローバル投資の推進とともに機関投資家として日本企業の株式価値の向上に貢献すること
②投資家利回り向上のために積立て投資を促進すること
③確定拠出年金の拡充を推進し、その市場で地位を確立すること
④投資家の商品理解を徹底するとともに分かり易い商品へ脱皮すること
⑤新商品開発だけではなく既存商品の育成に注力すること

 筆者も全く同感に思うが、このことと投信を収益の柱にする販売者の証券会社の立場から見てみると、次の様なことも感じる。
・投信の販売者として、証券会社は運用者を選ぶことは出来るが、全ての投信を扱うことが出来ないので、投資家に提供しようとする投信が限られる場合がある。
・対面リテール証券では、収益予算があるため、営業イベントとしてある投信に集中して販売活動を行いがち。
・結果として、ある投信を他の投信と比べて販売するという事は余りなされず、特定の運用会社の主張する運用方針に対して、投資家の賛同を得ようとするスタイルの販売活動が中心となる。
・一方、ネットでの取引で投信を販売することについて、昨年の7月から投信目論見書の簡素化が実質的に始まっているものの、その内容について、一般の投資家が充分に理解できると多くのリテール証券は考えていない。また、ネットでの投信販売では、投信間の商品比較が必要だが、現時点ではその様な仕組みは整備されていない。

 つまり、投信を米国並みに個人投資家に浸透させて行く為には、ネットでも対面でも今のリテール証券で行っている投信の販売方法とは異なる取組みが求められるのではないかと思われる。その為に、日本ではまだ試行的に行われている確定拠出年金制度(日本版401K)や、今後導入が予定される日本版ISA(少額投資非課税口座)、ファイナンシャル・アドバイザーなどの投資助言業務などに対応していくことが、リテール証券にとって必要な変化になると考える。
 
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投信運用会社の直近の情報発信動向と運用方向 (5月9日)
リテール証券会社の決算をみると、既に4割以上が投信に関連した収益になってきている。(但し、ネット証券は、営業収益の1~4%程度)一般の個人投資家にとって、株式や債券に直接投資するより、むしろ投信を通じた投資の方が、普通のカタチなのかも知れない。その為、投信の運用会社からの情報発信は増加していて、単に運用方針や相場観を示すだけではなく、定期的な市況解説、そして突発的な出来事に対しても、即時にコメントや個人投資家向け解説を公表する運用会社が増加している。
前回は、本稿欄において4月12日、大震災後一ヵ月経過した時点の運用会社の情報発信を取り上げたが、今回は、その後の連休までの情報発信動向について取り上げた。

☆投信会社の最近の情報提供と大震災後の投資動向

 この間の適時の情報発信としては、各国の金融政策に関するものが増加しているが、特に多かったのはブラジルの利上げに関するもので、ロシア・中国と続く。日本の連休中には、アジアの新興国の利上げも多かったようだ。為替に関するものは、特定の通貨よりは新興国通貨中心に為替動向全般を解説するものが増えている。また、株式に関するものは相対的に比率が低下しているが、その中で日本株に関すものは2(132件中)となっており、少し寂しい気もする。

 一方、日本の運用会社が毎月新規設定する投信のテーマを、多い順に並べてみたが、大震災後変わった傾向を読むならば、新興国への株・債券投資や円建債券投資と言うテーマが増加している。
5月分は、まだ日も浅いのでこれから新規に設定される投信が増えると思われるが、是非に復興をテーマにした日本株投資が増えることを期待したい。何も、投信に日本株を買えという訳ではないが、投信の運用会社には、復興をテーマに日本企業を見直すことと、その情報発信ぐらいは、日本の運用会社が“今出来る事”としてお願したい。

なお、個人の日本株シェアも2割程度を低下していて、海外投資家の買いだけに頼る現在の市場センチメントも寂しい。市場の仲介者として証券会社の“今出来る事”は、日本企業に関する情報発信力を高めることからではないだろうか。

 

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投信運用会社の最近の情報提供について (4月12日)
大震災後すでに一ヵ月が経過したが、日本市場は原発問題や電力不足が重石となってムードは余り明るくない。その様な中で、投信の運用会社は投資家に対して何を発信しているか、その内容を取り上げてみると、殆どが海外の金融政策や為替動向に関したもので、海外金利の引き上げ・新興国の格上げなどが主な内容となっている。

投信運用会社の最近の情報提供について

最近の内容に関しては、次の様なものを取り上げている。
○欧州中央銀行の利上げ(4月7日)(3月3日ECB理事会で総裁が示唆済み)
・3年振りに政策金利引き上げ:1.0%→1.25%
○ポルトガルの金融支援要請(4月6日)
・ギリシャ、アイルランドに続いてEUへ金融支援要請
○ブラジルレアル高抑制措置(4月6日)
・国外の借入、債券発行にかかる税率6%の対象期間を360日→720日に拡大
○ポルトガル格下げ(4月5日)
・ポルトガル国債の格付けを、「A3」から「Baa1」へ1 段階引き下げ
○中国の政策金利の引き上げ(4月5日)
中国人民銀行による政策金利引き上げ
・貸出金利:6.06%→6.31%
・預金金利:3.0%→3.25%
○ブラジル格上げ(4月4日)
・フィッチがブラジル国債等の格付けをBBB-からBBBへ一段階引上げ

など
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ETFへの期待と不安 (3月31日)
ETF(Exchange Traded Funds=上場されている何らかの指数に基づいて運用される投資信託。同様の金融商品としてはETNがあるが、本稿で指摘する問題点は重なる部分がある)への期待は大きい。

3月24日に上場されたSPDR® S&P®500 ETF(1557:NYSEアーカ取引所及びシンガポール取引所との重複上場)で東証に上場しているETFは101銘柄になり、ここ1年間で15銘柄の増加となっている。1年間に増加したETFの内容は、海外株指数やコモディティ指数に連動したものが殆どだが、投資家にとっては株式だけではなく、債券・コモディティ・海外株と、投資の尺度となる指数さえ整備されていれば、投資することが出来るので、投資の利便性はETFによって向上している。同じように何らかの指数に連動した投資ということではCFD(Contract for Difference)取引があるが、CFDはレバレッジ投資の為に利用されるのに比べ、ETFは現物への転換も可能で、長期的な投資や小口分散投資に向いているとされている。

 この様に、取引所にとっても投資家にとっても期待の大きなETFではあるが、東証でのETF売買は、銘柄数の急増ほど拡大しているわけではなく、銘柄によっては殆ど取引されていない。つまり、極端に流動性のない銘柄もあり、投資家にとっては売買の際に不安を感じる可能性がある。ETFは上場投信とも呼ばれているが、同様の内容の投資信託があってその売買(投信の場合は、募集・解約)を比較するなら、買い(募集時)のコストは株式並みに安いものの、売り(解約時)は本当に売りたい時に売却可能なのか不安となる出来高の銘柄が多くある。つまり投信なら本来に気にしなくてよい流動性の問題がある。加えて、本当に対象とする指数に連動しているかという不安も投資家にはある。例えば、指数の方は上場しているのに、ETFの方が下落していていれば連動するという仕組みへの個人投資家の不信感は避けられない。実際、A(仮名)というETFは、先週指数が上場していたにも係らず、若干の下落をした結果、指数からみた理論価格(NAV)とETFの価格差は4%以上乖離していた。

 このETFの流動性と指数連動との乖離の2つ問題の解消策として、“裁定取引”の仕組みがある。つまり、もしETFの価格がNAVより割安に乖離してしまえば、機関投資家や金融機関などがETFを買って、対象とする指数の方を売却(先物や指数を構成する株式で)するという連動スキームだ。しかし、日本のETFについて言えば、この裁定取引は取引所から強制的に求められるマーケート・メーカーではなく、機関投資家の自発的行動に委ねられている。

☆裁定取引の活性化=流動性の確保+連動性の確保(理論価格との乖離の縮小)→ETF取引の活発化⇒市場全体の活性化

 投資家のETFに対する不安の解消は、証券会社や機関投資家などの裁定取引を、如何に廉価にかつリアルタイムで行わせるかと言う事に集約されると考える。その為、大証は、2010年10月より実行している“ETF流動性向上プログラム”でETFの売買代金の上位5社の証券会社に対して、売買代金に応じた報奨金を与える制度を創設している。

また個人投資家にとって、ETFに関するリアルタイムな理論価格などの情報格差を未だ大きい。その為、東証は次のような施策を行っている。
○3月28日より、全銘柄に関するウィークリーレポートの公表(レポート作成者株式会社マルコポーロXTF Japan)=投信としての基本的な情報の他、理論価格との乖離状況なども。
○4月11日より、日本株もののETF(対象34銘柄)について一口あたり推定純資産額(インディカティブNAV)のリアルタイム(15秒間隔)での算出・配信を行う予定。

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個人投資家にとっての情報ベンダー (3月2日)
 情報ベンダーは普段個人投資家にとってあまり意識されない。しかし、少し前までは取引所が個人投資家までは直接市場の情報を伝えてはくれなかったので、金融情報ベンダーに直接若しくは間接的に頼っていた。その代表的な企業として、QUIUKとモーニングスターを取り上げたいが、金融情報ベンダーが個人の投資に果たす役割についても考えてみたい。

 先ず、株式投資家なら誰でも知っているQUICKだが、一昔前の証券会社の店頭には同社製の株価ボードや端末があって懐かしく思い出される業界の方も多いだろうか、その事業の沿革は次の様なものだ。
・1971年:日本経済新聞社を中心に証券、銀行、日立製作所など33社の出資で設立。
・1974年:オンラインリアルタイム証券情報システムのサービス開始
・1984年:金融指標の一覧表示システムのサービス開始
・1986年:総合金融情報システムのサービス開始
・1997年:機関投資家と証券会社を結び、発注・約定業務を支援するービス開始
・1997年:インターネット時代に先駆け、オンライントレード向けサービスなどを開始。資産運用支援サービスを展開。
・2000年:機関投資家の運用ガイドラインチェックやSTPなど定型業務を支援するシステムが本格稼働
・2004年:中国株営業をサポートする「中国情報Web」サービス開始
・2006年:個人向け資産運用コンサルティング営業のトータルソリューションサービス開始
・2007年:マーケット分析とポートフォリオ運用のための資産運用ソリューションサービス開始
・2009年:債券為替トレーディングやデリバティブ・仕組債投資にフォーカスしたサービスをリリース
同社の主要な顧客は証券会社や銀行だが、以上の様な変遷から彼らの顧客である投資家が何を求めていたかが分かる。また金融情報ベンダーとして、金融機関や機関投資家向け情報やその加工が主力ではあるが、個人投資家向けにも金融商品やマーケットニュースなどの情報を提供する資産運用応援サイト「QUICK Money Life」を運営している。そのコンセプトは「個人投資家と運用会社・販売会社を結ぶ」であり、証券会社や銀行、事業会社に提供してきた証券金融情報の中から、個人向けに内容を整理・簡易にして提供している。

 一方、モーニングスターは投信評価から始まった情報ベンダーだが、同社も個人投資家向け投資情報サイトを運営しており、個人投資家が目的に合わせて投信を選択しやすいようファンド中心に投資関連情報を提供している。その直近の収益構造は次の様なものだ。(単体:本年度第3四半期決算説明資料より)
・ファンドの評価やデータなどによる売上げ・・・28%
・株式新聞などの購読(ウェブ版を含む)による売上げ・・・24%
・株式関連のデータ分析やアナリストレポートなどの情報配信による売上げ・・・22%
・投信の運用会社などからのウェブ広告による売上げ・・・10%
・資産運用セミナーなど運用コンサルティング関係による売上げ・・・8%
・その他、新聞広告や確定拠出年金関連・IR説明会などにより売上げ・・・8%
なお、今後の事業展開としては次の様な戦略が示されている。
○個人向け有料サービスのトータルソリューション=本年5月にウェブやスマートフォーンなどで提供開始
○金融機関向けデータ提供サービスの拡充=証券(現在の顧客数16社)や銀行(同19社)、運用会社
○確定拠出年金サービスの更なる推進=現在企業型約360万人、個人型11.8万人の大幅な増加を見込んで
○投資助言サービスの拡大=ファンドオブファンズや投信ラップ口座への助言の拡大や、日本版401Kや日本版ISAへの投資助言需要増加を期待

ICTの発達や個人のウェブ利用拡大によって、金融情報ベンダーの提供するコンテンツを、個人投資家が直接利用できる範囲も広がっており、ネット上に溢れる膨大な投資関連情報を、個人投資家のニーズに沿って整理して提供する機能が期待されている。

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運用会社の情報発信力=リビア情勢などをどう伝えるか (2月25日)
この2週間位で、グローバルな投資環境は随分変化している。原油の高騰も、長期金利の低下も、株価の下落も、その中心はあるのは現在のリビア情勢だが、投信の運用会社は、プロとしてこの情勢をどの様に伝えているのだろうか。勿論、彼らは国際情勢の専門家ではないので、不透明なリビア情勢の先行きについて予想する訳ではないのだが、リビア情勢の及ぼす影響から、投資家に何を伝えたかということの概要を見てみたい。(マスコミに報道されているような情勢の説明は除き、投資家目線の内容を伝えたいが、本稿の目的は、あくまでも運用会社の投資家に対する情報伝達スタンスを考える目的で、投資を助言するようなものではない。)主な運用会社の情報発信は次の様なものだ。

○“リビア情勢の株式市場への影響について”大和投信委託(2月23日)
・国内株への影響は、今までの株価上昇が米国景気の持ち直しに支えられたものなので、このポイントが変わらなければ、調整は一時的か>
・リビアと関係の深いイタリア市場の下落が大きい。リビアと関係のあるのは、石油生産を行っている欧米企業や、貸出を行っている欧州銀行、建設を行っている韓国企業、鉄道受注を請け負っている中国やイタリア企業だが、いずれも割合は小さく、影響は限定的。
ただし、原油動向には注視。

○“足元のグローバル市場の動向について”ゴールドマン・アセット(2月23日)
・北アフリカ地域の政情不安の高まりで金・先進国債券・日本円などの安全資産へ投資資金が避難。
・この背景には食糧価格の高騰があり、直近のG20(2月18、19日)でも対応策が話し合われたが、今後もこの問題は世界的に重要なトピックス。

○“中東・北アフリカ情勢について”日興アセット(2月24日)
・政情不安が石油供給に大きな危険を及ぼすことは無いものの、テロへの警戒は必要。
・リビアの石油生産活動の停滞は今後少なくとも2~3週間続く可能性はある。
・今後半年程度のシナリオは次の二つ。(実現する可能性は同程度)
シナリオA=先進国が金融緩和を強化、OPECがリビアの石油生産の落ち込みをカバー出来ない場合、インフレ懸念の強まりから債券下落、株式は資源関連以外大きくは上がらず、為替は円安傾向へ。
シナリオB=OPECがリビアの石油生産の落ち込みをカバー出来る場合、先進国は他の商品市況の上昇からやや引き締め気味の金融政策へ。一時的には株式の調整局面。商品価格は調整する一方、債券価格は上昇。

○“中東・北アプリカの混乱が世界的に及ぼす影響について”三菱UFJ投信(2月24日)
・原油価格への影響は、リビアそのものは世界生産量の2%なので、他の産油国の増産で補えるが、イランへ波及した場合は更に高騰する可能性もあり、世界経済の腰を折る懸念も。
・同地域の各国は原油輸出に頼らざるを得ないので、長期に渡り供給が逼迫する可能性は無いと思われるので、徐々に落ちつきを取り戻すのではないか。

○“リビアの政情不安拡大の影響”国際投信(2月25日)
・リビアにおける石油関連施設の操業停止などで、1日当たりの原油生産量が25~50%減少していると言われ、更なる操業停止が拡大すう懸念。
・民主化要求は中東・北アフリカ全域に広がりつつあり、サウジの動向が焦点。

証券会社であれば、グローバル投資のアナリストがいて、この様な混乱に対してはハウスオピニオンを顧客に示すのが普通だが、今や投信は郵便局や銀行の窓口でも販売している。またネットでの投信販売も増加しつつある。投信の運用会社が投資に影響のある事象(特にマイナスの影響があると思われるもの)に対して、適時コメントするのは、投信の販売現場での投資家の不安に応えようとするもので、今後もこの様な対応が強化されると予想される。

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ETFの増加について (2月16日)
 X-JAPANではなくて、EX-JAPANとは3月に上場を予定されているETFの名称の一部だが、日本を除く世界の先進国23カ国と新興国21カ国の株式市場のパフォーマンスを総合的に指数化したものに連動する。日本を除くというところが、何か寂しくも思われるが、既に日本株ポートフォリオを持つ年金基金や機関投資家に利用されている指数だ。このETFで、東証に上場されるものは99銘柄になり、上場数はアジアトップで、一年前は71銘柄なので4割近い増加だ。また、昨年10月からの日銀による包括的な金融緩和策において、日本株指数に連動するETFの4500億円の買入れ枠が設けられ、昨年12月から既に288億円(1月末まで)取得されている。

しかし、これだけ注目が集まるETFなのだが、東証におけるETF全体の出来高は、年間ベースでみると余り変わらない。何故か考えるのが本稿の目的であるが、その前にETFの概況を見ておくと、世界の主要なETF取引は次の様になっている。(上場数は1月末、東証の昨年の出来高はドルベースで249億ドル)

・ニューヨーク取引所:銘柄数1143、年間売買代金4兆1644億ドル(東証の167倍)
・ロンドン取引所:銘柄数1273、年間売買代金2431億ドル(東証の9.7倍)
・ドイツ取引所:銘柄数764、年間売買代金2047億ドル(東証の8.2倍)
・香港取引所:銘柄数72、年間売買代金778億ドル(東証の3.1倍)
・上海取引所:銘柄数14、年間売買代金621億ドル(東証の2.5倍)

つまり、日本のETFは銘柄数こそアジア1位になっているが、取引量では中国勢に大きく劣っているし、欧米勢には遠く及ばない状況だ。実際の東証におけるETF売買の約3分の1は証券会社の自己取引(マーケットメークに類した行為を含む)だが、委託された分の投資家別売買高(口数ベース)の昨年のシェアは、
海外投資家=51.2%
個人投資家=29.9%
国内機関投資家=9.3%
事業法人等=6.1%
となっており、期待された個人投資家は東証の株式市場のシェア並みだし、機関投資家の内の投信会社分に至っては0.3%という状況だ。

ETFは、何等かの指数に連動する投信なのだから、インデックス投資を重視する機関投資家の売買がもっと活発であるべきだし、まして投資会社は自らの同種のインデックスファンドとの裁定取引を行っていくぐらいの売買活動があっても良いように思われる。流動性が低いから売買しないのか、売買しないから流動性が低いのかの鶏・卵議論を避ける為に、次の3つの視点から考えてみたい。

○仕組みの問題=簡単に言えば、指数に連動する投信として、ちゃんと連動した市場価格で売買できるが問題になる。例えば、中国株指数連動ETFがあるとすると、ほぼ東京市場の時間と重なる中国市場の変化が、このETF価格にリアルタイムに反映されているか如何か。もし投資家が反映されていないと考えるなら、同様のETFを上場している香港市場に投資ニーズが流れる可能性がある。投資家にとって、対象とする指数と連動した売買が希望する金額で出来ることが重要だが、その為には市場価格と指数の乖離をリアルで把握したいというニーズがある。このニーズに応える為、東証は3月よりETFの一口あたり推定純資産額(インディカティブNAV)を、ほぼリアルタイムである15秒間隔で算出・配信を行うこと決めている。

○市場取引者のインセンティブ=市場価格と指数で示される理論価格(上記のインディカティブNAVに相当)の投資家による裁定取引が行われることが流動性の増加の為には望ましいが、先ず直接市場参加する証券会社のETF裁定取引行為に対し、一定期間取引所コストを軽減するようなインセンティブを与え、裁定取引を活性化すべきではないだろうか。

○市場仲介者のインセンティブ=個人投資家のETF投資を推進する為には、この部分が重要だと考えるが、証券会社にとっては少し難しい問題かも知れない。つまりETFは上場された投信なので、もし証券会社にとって新規に販売しようとする投信と同様の投資効果があるETFがあっても、投資家を導くインセンティブが少ない。投信と上場投信(ETF)。証券会社にとって収益性が現状は大きく異なるが、もしETFの方のメリットがあるとすれば、投資家の(短期)売買が自主規制ルールなどで規制されないことだ。このメリットを生かす為には、個人営業現場における投資助言態勢が必要になるが、現在のSMAやラップ口座と異なるインデック投資に対する投資助言サービスが生まれることを期待したい。
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ットでの投信情報発信と投信ブログについて(2月14日)
 投資信託は難しい商品だから、お客様にちゃんと説明して売りましょうと教えられた証券を含める金融集機関の人間にとって、投信をインターネットを使って販売促進をかけるというのは、いささか困難に思える。あの100ページ前後もある目論見書(交付分と請求分含めて)や運用報告書を、投資家が自ら読むのかといった疑問と、そこに至るまで、投信をどうやって選択するのかというプロセスがイメージできない。だから、投資テーマを決め、それに沿った新規設定の投信を販売促進(集中的に投資勧誘)する方法を多くの証券が取るのだけれども、本当にこれで投資家のニーズをカバーできるだろうか。
当然のことだが、理想は投資家が買いたい時に希望する運用方針にそったものが買えるということだ。その為、十分な情報提供がされているかが問題となるが、現実にネット上に溢れている投資信託に関する情報について、それが投資家の選択を容易にするほど十分かどうか考えてみたい。

 先ず投資家が必要とする情報を、簡略化して分類すると下記の様なものだろう。
○運用方針=何に投資するか(何らかの指数連動を目指すインデックス投信以外は、運用者に任せる訳だから、どの様な運用方針であるか、また運用目標はどうあって、かつ修正されていくか)
○取るべきリスク=どの様なリスクをどう考え、そしてどうコントロールしていくか
○投資家の払うべきコスト=買った時、保有している時、運用期間中途中で売却する時
○運用する会社・運用者の信頼性=最終的な運用者、運用方針に沿った運用実績などの信頼性。
 そして、これらの情報を正確に把握する為には、目論見書での確認が必要となる。(運用者が情報を開示する目論見書は、記載内容に関して法的責任を負う)

 現在、ネット上で提供されている投信情報の主なものは、情報ベンダー系のQUICKマネーライフやモーニング・スターがあり、何らかのランキングから投信を選択することが出来る。また投信協会ホームページでも、商品分類別か運用会社別で投信の概略を調べることが可能だ。もし、新規の投資家が、ネット上で、自らの運用目的に沿った投信を選択しようとするなら、これらのネット上の機能を使い、目的とする投信に辿り着くことは可能だが、目論見書のネット上での入手については運用会社によっては提供していないところがある。また、ETFは上場された投信だが、これを同種の公募投信を比較するような情報の提供は為されていない。

 一方、投信ブログは投資家目線に立った投信関連情報を提供している。提供されるブログ内容は、投信などの自らの投資実績や、目論見書・運用報告書などの解説、運用者の評判など多様だが、投資をあと一押ししてくれるクチコミ情報として、機能し始めているのではないだろうか。取り上げられるテーマでは、インデックス型投信・ETF・運用会社への評価(独立系の運用会社を取り上げる場合が多い)などで、あくまでも自ら投資するスタンスで書かれるケースが多い。またテーマによっては、ブログ間で情報や意見の遣り取りが行われる場合もあって、投資家が投信で何を注目しているかの分かり易い。
ただし、ブログの特性として各ブログは匿名の個人によって運営されているので、提供される情報が体系だっていないこと、テーマとすることが投信や投資以外にも拡散しがちになり“情報の海”を作ってしまうこともある。調べていて筆者が思ったことは、投信ブログに対する検索機能があれば、普通の投資家も販売する証券会社も、もっとこのブログ情報を有効に活用できるかも知れないという事だ。

 情報ベンダーや投信協会が提供する投信情報に、投信ブログの様な投資家の意見が体系的に加われば、一般の投資家にとって新たな情報の価値を生むと考えるが、これはフェースブックやSNSなどでの次の段階の投信関連情報共有に依るのかも知れない。
 
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ベンチャー投資について (2月8日)
 未公開株詐欺に気をつけましょうというキャンペーンは、行政・業界をあげて行っているが、詐欺的行為は何であっても行われるので、むしろ世間が持っている未公開株への成長期待や、IPOに対する興味が悪用されていることが、業界の人間としては悔しい。正しい未公開株投資とは、どうゆうものなの、ベンチャー投資の状況を、個人投資家に正しく伝えていくことから始めるべきではないだろうか。

一応、大阪証券取引所には、ベンチャーファンド市場があって、基本的には個人もファンドを通じてベンチャー投資をすることが可能になっている。上場されているのは2銘柄あるが、いずれも900円台の株価で、日々の出来高は、2つ合わせても10万円に満たない日が多い。このファンドの中身について少し見てみたい。(※本稿はベンチャー企業への投資の現状を考える目的で書かれており、投資を薦めるものではない。)
上場ルールでは、ファンドの資産内容が制限されているが、未公開株及び上場5年以内の株式は資産の7割以上、現金及び現金同等物は3割未満とされている。

実際の上場ベンチャーファンド“A”の直近(2月4日時点)の資産内容は次の様になっている。
・未公開株等(簿価ベース)=4億49百万円(ファンド資産の37.5%)
・上場株券等(時価ベース)=4億42百万円(ファンド資産の36.7%)
・現金等同等物(負債を差し引き)=3億8百万円(ファンド資産の36.7%)
これに対して、この“A”ファンドそのものの市場評価は、時価総額3億16百万円となっていてPBRは0.3程度、つまり市場は未公開株部分を全く評価しておらず、将来のファンド自身の損失(運用コスト等)を見込んで、現金等同等物部分の評価しかしていないことになる。
なお上場ルールでは、未公開株投資部分について、週次で未公開株等評価機関に時価評価を委託して、その数値を公表することになっているが、“A”ファンドの未公開の時価評価は、同時点で6億25百万円と公表されていて、この数値を入れた修正PBRは0.23まで低下する。また、実際にどのようなベンチャー企業に投資しているかは、月次でその会社の概要・主な財務内容とともに公表されていて、この“A”ファンドは、現在12社の未公開企業に投資している。

 一方、ベンチャー投資がそれ程甘いものではないという事は、プロのベンチャー・キャピタリストが行う投資でも、実際にIPOに至る企業が1~2割程度と言われることでも解る。先月、(財)ベンチャーエンタープライズセンターから公表された“2010年ベンチャーキャピタル等投資動向調査”によると、2009年度(昨年3月末まで)のベンチャー企業への投融資状況は、87ファンド合計で11,931社となり、前期比10.6%の減少だ。同期間の、新規投資は585社、追加投資は231社、合計990社に対して行われているが、反対の資金回収(EXIT)は、合計823社となっており、その内訳は次の様な比率になっている。(注:社数は、各ファンド毎の合計なので延べ数とみられる)
・IPO(株式公開、日本に限らない)=106社(12.9%)
・償却、清算(つまり投資の失敗分)=197社(23.9%)
・売却、経営者への売渡し=486社(56.6%)M&Aの増加もあろうが、近年はこの部分が増加傾向
・その他=54社(6.6%)

 昨年12月に金融庁より示された新興市場等の活性化策では、検討項目として未公開の新興企業のIPOを促進する為、一定の質が確保された上場前企業のリスト化として、ベンチャーキャピタルが出資している企業のリストの公表を検討する項目があった。ベンチャー投資額は米国の20分の1程度だが、少しでもベンチャー投資拡大の為には、せめてプロ投資家でベンチャー投資に関するリアルな情報を、共有する仕組みがあった方が良いのではないだろうか。
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回復するJ-REIT (1月25日)
 昨年10月5日に、日銀の包括的な金融緩和政策で、予想外のETFやJ-REITの買入れが公表されたが、J-REITを見直す契機として、その効果は大きいものだった。東証REIT指数は、昨日24日終値で1108.86と、政策公表前より13%の上昇で、同期間のTOPIX指数の上昇率(12%)とさほど変わらないが、売買高が急増している。月間売買高ベースでみると、それ以前は2000億円を切るような状況だったが、昨年10月は2397億円、11月3242億円、12月4112億円と増加のペースを速めていて、地銀などの資金が入り、他の機関投資家も売買を増加させているようだ。
ただし、実際の日銀によるJ-REITの買入れ(買入れの実行は住友信託)は、12月中旬から始まっていて、500億円の取得枠に対して12月末時点では22億円の買入れに過ぎない。しかし、金融危機後、不動産市況や資金繰りへの不安から軟調(つまり高利回り)だったJ-REITを、後押しする政策として評価の高いものだろう。もう少し影響の詳細を見てみると、東証は昨年の3月からJ-REITの不動産投資対象別に指数(同年2末を1000として)を公表し始めたが、日銀の包括的な金融緩和政策公表以降、それらの指数上昇率は次の様になっている。(2010年10月5日から2011年1月21日まで)

・東証REITオフィス指数=1023.1→1148.29、2.2%の上昇
・東証REIT住宅指数=1149.59→1413.61、22.9%の上昇
・東証REIT商業・物流指数=1151.38→1332.25、15.7%の上昇

 現在3兆6300億円余りの時価総額・利回り4.53%のJ-REITだが、不動産業界からは、資産の流動化の推進、私募ファンドのEXITなど、拡大期待が強い。今月、野村総研より公表されたレポート“日本の不動産投資市場2011”によると、J-REITに対しては流通市場として次の様に期待している。
○東証REIT指数はTOPIXと同様の動きを示し、不動産業指数よりも安定的に推移している。
○リーマンショックを除けば、利回りは3~6%前後で推移している。
○年金基金や金融法人など、現在は割安と考える機関投資家が約50%に達している。(※大和ファンド・コンサルティングの調査より)
○J-REITによる資産売買は、2009年第3四半期に大きく低迷したが、2010年に入ってからは回復基調にある。

 一方、J-REITもファンドなので、利回りを上昇させるためには借入などで投資レバレッジが掛かっていた方が良いし、物件取得資金の為に資金も必要なのだが、リーマンショック後は信用力の低下から、資金調達力の低下を懸念する時期もあった。しかし、このJ-REITのファイナンス環境も、官民ファンド創設の影響やREIT間の統合も進み、随分改善しているようだ。不動産証券化協会が、四半期毎に実施しているJ-REIT(35銘柄)の資金調達に関するアンケート調査も、
・リファイナンス環境は落ち着きを見せて、6ヵ月後の見通しについても、全ファンドが容易若しくは普通としている。
・借入コストについても、全ファンドが変わらずか、下落していて、借入期間も3分の1程度は、長期化している。
・債券(投資法人債)の発行については、困難とするものが10ファンドと残っているが、全体としては2010年中に大きく改善し、容易とするものが6ファンドに増加、その他19ファンドは普通に戻っている。
となっていて、調達環境は落ち着いている。

 回復著しいJ-REITだが、個人投資家は投信を通しての投資が主力で、直接の売買はまだ限られているようだ。

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投資信託ブロガーについて (1月17日)
 所謂投信ブロガーについて、2日間程調べ、そして考えてみたが、まだ十分に消化できていないと感じている。しかし、その様なことを、敢えて書くのは何故かと問われれば、多分期待するところが大きいと思うからだ。投信=投資信託は、今や証券会社の収益の主軸になっているが、低金利を背景に個人マネーの流入が続き、昨年は6兆円の新規資金が入っている。公募投信の平均分配金利回りは昨年末時点で7.4%(日経)だそうだが、公募投信の半数は、銀行や郵便局など証券以外の金融機関で販売され、今や販売の裾野も十分拡がっている。そのように一般化している投信だが、やはり個人投資家には解り難い。その解り難い投信について、投資家の視点で、一部を解説してくれたり、情報を整理して解り易く伝えてくれるのが、投信ブロガーかも知れない。
 投信ブロガーを注目する一部投信の運用会社や証券会社動きも、昨年から目立ちはじめているように思うが、有名投信ブログだと月間に数万人規模のアクセスもあるようだ。この有名ブログというネット上の集客力に、業界が注目し始めているが、筆者が幾つかの投信ブログを拝見させていただいた感想は次のようなものだ。

○ブログの文章は、概ね一般的な読者を意識して優しい文体になっている。株やFX投資のブログに比べ、どちらかと言えば人に読ませるよう意識した書き方が多い。
○ブロガー達は個人投資家ということだが、元、もしくは現在金融機関に勤められている方々が多いように思われる。
○ブログの内容は様々だが、ファンドの評価などは目論見書や運用報告書を丹念に読まなければ分からないことにも注目して書かれているものもある。また、運用や投資リスクに関する専門的な解説(分かり易い文章で)を試みているものもある。
○有名ブロガーと呼ばれる方々は、ある種のコミュニティを形成していると思われ、相互にリンクし合うのは当然として、自らの見解や情報を交換しあっている。
○ブログ内容の方向性としては、投資については、長期・国際分散・継続・インデックスがトレンドのように思われるが、運用会社に関しては、比較的独立系に好意的に扱っているように思う。

 この様な投信ブロガー達は、投信の口コミ情報の伝達者以上の機能を見せ始めている。ブロガー達のオフ会をかねて、セミナーを開催したり、ベスト投信の選択を行っていて、この記事がロイターで“投信ブロガーが選ぶファンド、○○AMのグロ株インデックスオープンが1位”と伝えられている。

 一方、QUICKマネーライフやモーニング・スターなど情報ベンダーの投信関連情報もこの一年で随分充実してきている。大きな変化を上げるとすると、ファンドを比較したり、選択する機能が、強化されている様に思われる。約4000近くある国内の公募投信や海外ファンド・ETFをデータベース化して、投資家が選択しやすいよう、分類したり整理するテクニックが向上している。ただし、データー比較と運用者サイドの分析が中心なので、個人投資家が実際の投資行動を取るためには、投信ブロガーのコメントのような一押しがあったほう良いだろう。

 投信ブロガーを分からないなりに書いたのは、この様な既存の情報ベンダーの投資情報サービスとブロガーの情報が結びつくことで、自ら判断して投資する個人投資家の増加を期待したいからだ。その為には、投信ブロガーのせっかくのコメントも、また読む個人のニーズに対応するよう整理した方が、投資家が活用できると思う。これらはコストのかかる事なので、投信ブロガーの自発的行為に任せるのではなく、情報ベンダーの投資家拡大への取組みに期待したい。
(※実質的には、昨年7月から始まっている投信目論見書改革については、別の機会に取り上げたい。)

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ファンド運用会社が投資家に訴えたいこと (12月29日)
 今年は欧州の格下げ問題や新興国の利上げ・資本規制など投資家の注目する材料は海外関係が多かったが、個人の投資が投信などを通じて海外シフトしていることもあって、投信を運用するファンド運用会社=アセットマネジメントor投信委託会社の情報発信力は格段に向上している。海外市場で何かイベントが発生したら、翌日は主要な運用会社から何らかのレポートが公表される。例えば、直近の中国の利上げなどは市場が休みの土曜日に実施されたにも係らず、多くの解説レポートが月曜には公表されていた。その事はある意味では当然かも知れない。海外に調査機関を持つ大手の金融機関ならいざ知らず、ネット証券や地域証券・地域金融機関など、同じ様な投信が多くのチャネルで販売されるようになっていて、運用会社には販売後のメンテナンスとして、関係情報を適時提供することを求めている。しかし、運用会社としてはこの部分はどちらかと言えば守りの情報提供なので、新たにファンドを集めるために攻めの情報提供を行わなければならない。2011年・・最近は次の十年の始まりの年と前向きにいう事が多いが・・を迎えるにあたり、主要な運用会社が発しているメッセージを取り上げてみる。
(注:概要を記載するが、ご興味があればレポートをお読みいただきたい。その為、レポートにリンクさせておくが、運用会社の都合や考えで削除されることもある。なお、記載順位は、筆者の興味を持った順)

○日興アセット
「改めて今、日本株式について日興アセットマネジメントがお伝えしたいこと」(12月27日)
今までは、債券運用の投資戦略が有効だったが、日本株を“そろり”と買っていく戦略が優位になる可能性があるとの考え。
○ゴールドマン・アセット
BRICsとN-11の個人消費の台頭(12月28日)
BRICSという言葉を作ったジム・オニールのレポート。N‐11とは、具体的に、バングラディッシュ、エジプト、インドネシア、イラン、韓国、メキシコ、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、トルコ、ベトナムを指す。今後米国の消費低迷があったとしても、BRICSとN‐11がそれを補う以上の成長を遂げるとの見解。
○フィデリティ
2011年の市場展望(12月9日)
国内需要拡大により、アジアでは内需関連株(消費テーマ)のパフォーマンスに期待が持てる。日本株はアジア株と比べて割安な水準、市場反転のカタリストは配当政策と、M&Aに注目。
○野村アセット
投資の視点:2010年の為替市場と今後の注目点(12月13日)
内容は、為替変動要因とその注目点の解説
○ニッセイアセット
今後一年間の見通し(11月末時点)
○三菱UFJ投信
2011年為替の投資環境
中期見通しでは年後半穏やかな円安を予想:1年後の為替レート、ドル=90円、ユーロ=113円
○JPモルガンアセット
世界投資適格債券 市場環境と見通し(12月27日)
新興国現地通貨建債券 市場環境と見通し(12月27日)
新興国展望 各国株式市場の見通し(12月16日)
○大和投資信託
※インドのアセットマネジメントを買収、アジア諸国中心に各国のマーケットレターは充実しているが、投資戦略に関するオピニオンは公表なし

各社、やはり新興国投資と為替での円安傾向を見ているようだが、外資系の一部を中心に日本株の個別見直しのような戦略もあるようだ。だた、投資戦略をハウス・オピニオンの様に公表するのは、外資系に一日の長があるように思う。


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SWF(政府系投資ファンド)をちゃんと考えるべきでは (12月22日)
 欧州の債務問題に対して、中国が支援する為の具体的行動をとった事が中国副首相から公にされた。SWF(政府系投資ファンド)を使って、アイルランドやスペインの国債でも購入するのだろうか。そういえば金融危機直前の時期に、中東や中国のSWFが相当な規模で欧米金融機関の増資要請に応じていた。ちょうと同時期に、日本では前自民党政権下で、外貨準備(今ではごく一部が埋蔵金扱いされることもある)を使って国家ファンドを立ち上げてはどうかいう日本版SWF議論が盛り上がっていた。最近、政府関係者で議論(緊急経済対策:10月)されたようだが、総合取引所の様に国家戦略に入るわけでもなく、詳細は余り伝わってきていない。しかし、それで良いのだろうか。日本経済研究所発行の証券レビュー12月号“SWF(政府系投資ファンド)の国家持ち株会社化―現状と展望”(青山学院大学中川教授の講演録)を読んで、そう感じた。

 先ずSWFの規模だが、SWF関係国に助言を行うIFSL(International Financial Services London)によると昨年時点で3.8兆ドルの運用資産残高になり、プライベート・エクイティの2.6兆ドルやヘッジファンドの1.6兆ドルの規模を凌いでいる。その国別内訳は、国家為替局投資公司や中国投資公司を抱える中国が24%、アブダビ投資庁などのアラブ首長国連邦が18%、政府年金基金のノルウェーが12%、SAMAなどのアウジアラビアが11%、ジンガポール政府投資公司やテマセクのシンガポールが10%となっている。元々は原油の代金か輸出で稼いだ外貨を国の資産(あるいは国民の年金資産)として運用しようということだが、その投資内容は、相応の投資収益を狙う為に、時としては積極的運用に見えるし、投資先のマジョリティを握るケースが多く、投資先国から警戒されることもある。
SWFの分野別国際投資残高の構成は次の様になっている。
・金融---42%、・製造業---14%、・サービス---13%、・不動産---11%、・商品---10%、その他---10%
また、投資先の出資比率は、50%以上の出資が39%、20%以上の出資が23%となっており、合計すると3分の2近くが企業の支配権に影響を及ぼすような投資になっている。その為、米国などの警戒感は強く、次の様なSWF投資のルール化を求める動きが国際間のコンセンサスになっている。(中国などの投資を歓迎しながらも、業種によっては規制したいとの先進国側の思惑が強い)
①安全保障にかかわる企業への投資を行わない。
②通貨を対象とする投機的な取引は行わない。
③政治的意図を持った投資は行わない。
④SWFの資産運用上の透明性を向上するように努める。
 しかし、SWFの投資行動に規制を嵌めることは出来ないので、SWFの透明性とガバナンス評価を行いながら、新興国・資源国の先進国への政治的投資の思惑を牽制していくというのが、現状のようだ。

 最近、新興国などのインフラ投資で、政府を巻き込んだグローバルな受注競争が一般化しているが、グローバルな経済活動においても、中国などの政治・政策的思惑は、それがSWFなどを使った経済戦略と言われれば、完全に排除など出来ない。日本版SWF議論を再び活発に行うべきと考えるのは、単に国民資産のグローバル投資による増大を目指すだけでなく、中国を含めた各国のSWF運営の対抗上も必要なのではないだろうか。グローバルな経済活動は、政府も含めた総力戦になりつつあるように思われるが、総合取引所など金融インフラ整備に注力するだけで、日本の金融資本市場はアジアのメイン・マーケットの地位を維持できるのだろうか。日本版SWF議論は、金融を含めた新成長戦略で骨太な議論をすべきと考える。
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望まれる正しい未公開株投資 (11月17日)
未公開株勧誘に注意を促す政府広報や証券会社の注意文を見るたびに、少し寂しい気持ちになる。というのは、未公開株投資は、資本市場の入り口に立とうとする企業へ、リスクマネーを供給する重要な機能を果たす。ベンチャー企業への投資の事だが、ただし、専門家であるベンチャーキャピタルが行う投資も2~3割の成功率(途中での売却を含む。IPO[株式公開]は更にその半分以下)なのだから、個人投資家が企業をよく知らずに行おうとすると、更に投資成功の確率は低くなる。しかし、未公開株式を使った詐欺的行為は増加しているという。この10月に、政府広報オンラインに未公開株勧誘(投資ではない)に対する注意記事が記載されているので、その中の事例概要を紹介する。

【複数の業者が登場する事例】
A社から電話があり「C社の株を持っていれば高値で買い取る」と言われたが、持っていなかったので断った。その後、B社から「C社の未公開株を1株100万円で買わないか」と電話があった。そこで、A社に相談したところ、「ぜひ買ってほしい。300万円で買い取る」と言われたので、B社に連絡し、値切って90万円で購入した。買い取りをしてもらおうとA社に電話しているが、連絡が取れなくなっていた。

【金融庁などの公的機関をかたる事例】
金融庁等から認可を受けて未公開株の将来性を評価しているという団体から連絡があり、保有している未公開株は上場の準備で金融庁へ届け出がされており、上場確実であると言われ、買い増しするよう勧誘を受けている。

【被害の回復をうたう事例】
金融庁等からの指示を受けて、未公開株の購入代金を取り返しているという団体から連絡があった。購入代金を取り返す条件として、その団体から別の未公開株やファンドを購入する必要があると言われた。

 また、殆どの証券会社は、そのホームページで未公開株式の勧誘に対して注意を呼びかけており、相談窓口として、金融庁・警察庁・弁護士連合会・全国各地の消費生活センター・日本証券業協会を紹介している。上記の様な詐欺行為は、お金にまつわるものなら何でも同じようにその対象とするのだろうが、未公開株=ベンチャー企業への投資を材料に使われている事が、業界の人間として悔しい。それならば、正しい未公開株投資(勧誘ではない)というものを業界でキチンと作って、未公開株勧誘への注意喚起とともに一緒に個人投資家に示すべきではないだろうか。

 では個人投資家が、未公開株売買を行うのはどの様なケースになるのか。譲渡制限が付された株式でなければ、価格さえ合意されれば当事者間において相対で売買することが出来る。第三者が間に入り、勧誘行為などを行うことは、次の様な場合にある。

①証券会社(第1種金融商品取引業者)は、グリーンシートに登録された銘柄なら未公開株でも勧誘できる。しかし、この制度にベンチャー企業は21社(その他地方銘柄39銘柄)しか対応しておらず、証券会社は一度取り扱うと定期的に売値・買値を開示する義務を負う為、グリーンシート銘柄を取り扱うのは一部に限られる。つまり、証券会社は殆ど未公開株を勧誘しないし、ペーパレス化した上場株式と異なり株券の取扱いにはコストがかかるので、M&Aでも関与しない限り、媒介なので取り扱うのも限られる。

②匿名組合投資で未公開株式を購入することは結果として可能である。これは、金商法上で集団投資スキーム(=ファンド、第二項有価証券(みなし有価証券))となり、第2種金融取引業者(登録制)なら、株式の持分(ファンド)に投資を勧誘することは可能。証券業と異なり、現在自主規制団体はないが、設立に向けて準備中。

若し、正しい未公開株投資に関する個人投資家向け資料を作成しようとすると、次のことが最低限記載される必要がある。
・未公開株投資の実態(ベンチャーキャピタルなので投資実態と投資成功率などの分析等)
・未公開株投資に関する税制(エンジェル税制や投資対象を含む)
・未公開株投資を対応可能な金融機関
・未公開株投資で留意すべき事項 等
これらは業界団体の仕事かもしれないが、詐欺行為に使われる程、世間の興味が日本のベンチャー企業に対してある内に、詐欺的行為の注意喚起とともに、正しい未公開株投資情報を提供するのは、誰の責任だろう。
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毎月分配型ファンドのトレンド (10月29日)
日本だけでの特徴と言われる毎月分配型ファンドの拡大は、2003年から続いており、現在、販売される投信の8割以上を占めていて、同型ファンドは最早日本におけるスタンダードな投信となっている。同型ファンドに対する批判としては、長期投資を目的にしたものなら、毎月分配せずに累積投資をして運用パフォーマンスを向上させるべきだとか、本来運用残高とする部分をタコ配しているのではないか等の批判はあるが、同型ファンドがシニア層の預金等から資金をシフトさせたように、従来の投資家層から、投信の購入者層を拡大した功績は大きい。最近の状況をみても、1年以内に複数回定期的に分配を行うファンドは、9月末で984本・運用残高が35.9兆円あるが、そのうち毎月分配型は711本・運用残高は32.2兆円と9割を占めていて、日本の投資家の毎月分配型への志向は衰える気配がない。

その毎月分配型ファンドでも、いくつか流行るトレンドがあるようだ。
最近のキーワードは、“高配当”“新興国”“海外REIT”“通貨選択”など上げられる。
国内で設定されている投信への資金流入順位(1月~9月:モーニングスター調べ)をファンド分類で見てみると、次のようになっている。
・純流入額1位:国際債券エマージング型(新興国債券投資:為替ヘッジなし=通貨選択型等)資金純流入額1兆5548億円
・純流入額2位:国際株式REIT型(海外REIT投資:為替ヘッジなし=通貨選択型等)資金純流入額9548億円
・純流入額3位:国際債券オセアニア型(豪ドル債など投資:為替ヘッジなし=通貨選択型等)資金純流入額6218億円
・純流入額4位:国際債券低格付型(海外ハイイールド債投資:為替ヘッジなし=通貨選択型等)資金純流入額4897億円
・純流入額5位:国際債券短期型(豪ドルなど高金利短期債投資:為替ヘッジなし=通貨選択型等)資金純流入額4417億円

一方、同期間の資金流出が大きかったファンド分類は、
・純流出額1位:国際債券グローバル型(グロソブなど欧米の債券投資を中心にしたもの:為替ヘッジなし=但し通貨選択型ではない)資金純流出額1兆2005億円
・純流出額2位:国際ハイブリット型(株式や債券、REITに分散投資したもの:為替ヘッジなし=但し通貨選択型ではない)資金純流出額9348億円
となっていて、新興国や資源国の債券投資に投資資金が向かったことが分かる。

 また最近の状況みると、新規に設定された毎月分配型ファンドにおいて、実際に分配が始まった状況を投資家が見極めながら、更に資金流入が拡大していくような高分配金ファンドへの集中化傾向がみられる。9月資金流入額1位で約1182億円資金流入のあった“野村グローバル・ハイ・イールド債券投信”(2009年1月設定)のブラジルレアルコースは、6月から分配金を200円から250円に引き上げ、また同2位で約1056億円資金流入のあった“日興アシュモア新興国財産3分法ファンド”(2010年2月設定) のブラジルレアルコースも、7月から190円を分配開始、それぞれ年率ベースで2割を超えるような分配金のファンドへの資金流入が、最近のトレンドとなっている。

 但し、投資家も販売者も、この高収益の分配金原資が新興国債券投資リスクと新興国通貨リスクをとることで成り立っていることを十分に認識していると信じたい。
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期待されるファンドの問題行為 (10月21日)
ファンドは、過度に銀行などの間接金融に過度に依存した日本の金融システムの構造を転換させるものとして、“経済成長に向けたファンドの役割と発展に関する研究会報告書”(経済産業省2005年12月)では次の様に期待されている。
「多様な主体から資金を集め、新しいリスクの担い手として様々なノウハウを駆使する、ファンドの展開がめざましい。ファンドは、最先端の技術を有するベンチャー企業に対してリスクマネーを供給し、あるいは資金調達が困難であった高リスクの事業分野での資金調達を支え、さらに事業再生のメインプレーヤーとして活躍する等、従来の金融主体が十分に担うことのできなかった重要な役割を果たしている。」

 このファンドへの資金の流れを明確化しかつ拡大させる為に、2007年の金商法ではビークル(契約形態)に係らず包括的みなし有価証券として集団投資スキーム=ファンドが定義(金商法2条2項5号、6号)され、このファンドを販売するものは第二種金融商品取引業として定義されている(登録制)。また、このファンドをプロ(適格機関投資家)や49人未満の一般投資家に販売することは私募として定義され、その私募ファンドの運用業務とともに適格機関投資家等特例業務として届出するだけでよい。
この第二種金融商品取引業者は、9月末で1,318社、適格機関投資家等特例業務の方は3,700社以上ある。ファンドの投資対象は、株や債券は勿論、不動産や馬・ワインなど何でも良いが、出資金の半数以上を有価証券に投資するものは投資型ファンド、それ以外は事業型ファンドとして区分している。

 この事業型ファンドの販売者(第二種金融商品取引業者)に対して、証券取引等監視委員会は、投資者保護の一層の徹底を図るため、
・出資金の分別管理の徹底
・事業型ファンド販売の契約締結前交付書面における分別管理に関する記載事項を拡充すること
を金融庁に10月19日に建議している。
 
同建議の背景になっているのは、ここ1年で35社に行ったファンドを販売する第二種金融商品取引業者への証券取引等監視委員会による検査結果から、約7割が法令違反の事実があり、そのうち6割の違反行為が重大なものだった。主な問題事例は以下の様なものだ。

●事業型ファンドに多数あったこととして、出資金の分別管理が確保されておらず、販売者が出資金を自らの借入金の返済に充当した事例、ファンドの運用も行うファンド販売業者に関し、出資金を自社の運転資金等に流用した事例及び多額の出資金の使途が不明となっていた事例等、顧客の出資金がファンドの運用以外の使途に費消されている。

●顧客に対する虚偽の説明・告知や誤解を生ぜしめる表示として、ファンド持分を保有していないにもかかわらず、これを保有しているように装って販売契約を締結して資金を集めた事例及び出資対象事業の運用実績の裏付けがないにもかかわらず自社のホームページに虚偽の利回りを表示した事例等があった。

●ファンド販売業者が、自社の名義で無登録の者に対してファンドの販売を行わせたり、無登録の者に販売をさせている。

●投資助言・代理業者が第二種金融商品取引業の登録を受ける前にファンドの販売を行ったり、業務範囲が限定されている適格機関投資家等特例業務届出者が、同特例業務の要件を満たさず、登録が必要となるファンドの販売や運用を行ったりした。

●未公開株式を、既存株主から高値で取得してファンドに組み入れ、譲渡代金の一部を、当該株主から自社に還流させる等、ファンドに不要な負担をさせることにより自社が利益を得ている。

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投資情報の伝え方 (10月20日)
 今はどうか分からないが、証券マンとして新人教育の時には、悪い情報の時ほどお客様(投資家)に真っ先に伝えなければならないと教えられた。当たり前の事かもしれないが、お客様の不安感を解消するために、きちんと情報を伝えるということは業界の基本だ。お伝えする情報は、証券会社の営業支援部門が、調査部門からの情報分析を、顧客向け・営業部門向けに提供していたように思うが、最近は投信の供給元である運用会社から何か悪いイベントがあった際、一斉に情報提供されている。このことは、一度8月18日の本稿で取り上げたが、今月2度目になるブラジルの金融取引税の引き上げに関する事例も取り上げてみたい。

【19日朝のロイター記事のポイント】
・ブラジル当局はレアル上昇を阻止するため一段の強い措置に踏み切った。
・10月4日にレアル高抑制策として、国内の債券市場に投資する海外投資家に対する金融取引税を2%から4%に引き上げていたが、18日には6%に再び引き上げた。
・短期的な投機行動の抑制を狙い、海外投資家に対する通貨デリバティブ取引の税率を0.38%から6%に引き上げた。
・ブラジルの債券市場には高利回りを追求する資金が大量に流入しており、レアルは6月末以降、対米ドルで約8%上昇している。

【19日の投信運用各社の同件に関する情報提供ポイント】(カッコ内は筆者の受けた印象)
≪野村アセット≫
・ブラジルの財務省が22日のG20に出席しない。
・ブラジルの政策金利が10.75%まで引き上げられている。
・2008年からの、レアルの対米ドル・対円のグラフ(このグラフからのイメージだと、対円でのレアル上昇余地はありそうだ)
≪大和投信≫
・株式に係る為替取引については、従来どおり2%に据え置き。
・IOF税(外国人投資家による債券投資にかかるブラジル現地への為替送金時の金融取引税)引き上げの背景。
・ブラジルにおける2008年3月からの金融取引税制に関する経緯。
・来年の再利上げ観測など今後の見通し。
・野村の場合と同じく2008年からのレアルの対円相場グラフ。
≪日興アセット≫
・状況の説明は、ほぼロイター内容と同様。
・今後の予想については、引き続きブラジル投資は中長期的に魅力あるものの、通貨高制御の動きには注意を要する。
・通貨のグラフはレアルの対米ドルでの10月以降の推移。(2週間前の金融取引税引き上げ以降も、レアル高が続いていたのでという注釈はあるが、・・・)
≪大和住銀投信≫
・為替の反応について、0.5%のレアル安が対米ドルで進んでいる。
・今後の見通しでは、今回の税引き上げの影響は一時的にとどまり、基調としてのレアル高は変わらない。ただし追加措置が講じられる懸念もあり、レアル高のスピードは緩やかになる可能性。
・2009年以降のレアルの通貨推移と政策金利動向を合成した、対米ドルと対円其々のグラフ。

 ちなみにこの件に関する一般投資家向け情報提供について、主な証券会社のホームページをざっと見てみたが、殆どなかった。SBI証券一社のみが“当社取扱商品に関するブラジル金融取引税について ”ということで、次の様な対応をしている。(FX専業者は調べていない)

・取り扱ったレアル建て債券がユーロ市場で発行された債券なので、海外投資家によるブラジル国内債券購入時の課税(金融取引税)の対象外となる事
・取り扱ったブラジル関連投信の運用会社のレポートを閲覧可能なようにホームページに添付。
・調査部によるコメントの公表
 ✓状況の説明と、オフショア市場の債券が対象外
 ✓今後、追加的な措置には注意を要すること
 ✓国内債券への税率上昇を受けて、オフショア市場に資金が流入しており、オフショア金利の低下が見込まれる
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日本のヘッジファンド (10月8日)
運用の専門家でないものがヘッジファンドを語るのは少し面映ゆいが、資本市場からみた視点として捉えてみたい。まず、日本におけるヘッジファンド(ヘッジファンド的運用をしている投信も含む)は、金融庁のファンド調査によると、昨年度、144本のファンドで2945億円が販売されており、本年3月末時点での運用残高はファンド数357本、運用財産額合計3兆3071億円となっている。この数字は国内のヘッジファンド運用者によるものだが、別の金融庁による投資家サイドに行った調査では、投資家が購入するヘッジファンドの半数強は海外籍となっているので、日本の投資家は前述の数字の倍以上の8兆円近くのヘッジファンドを保有している。世界のヘッジファンド数は、ヘッジファンド調査会社によると本年6月時点で約9000本、運用資産1.5兆ドルに達しているので、日本のヘッジファンド産業は世界全体の2%強ということになり、株式時価総額が7.7%(8月末時点)あることを思えば、まだまだ成長余力はありそうだ。また日本における販売状況は、2006年に行われた調査では、金融機関(48%)、信託銀行(10%)、保険会社(9%)、事業法人(6%)、個人(23%)、その他(4%)となっており、個人向け販売の割合が増加しているが、都市部の高額所得者や地方の事業オーナー会社などの富裕層が比較的纏まった金額で購入するようだ。

なお、一般の個人も買えるヘッジファンド的運用をしている公募投信もあるが、最近の日本の株式市況を横目に、日本株下落を運用方針とするものの運用成績は良いようで、4月末から8月末までの僅か4か月間で4割から7割の運用パフォーマンスを上げている。ただし、これらのファンドはレバレッジを2~3倍かけたもので、旧来の投信のイメージよりはデリバティブに近いヘッジファンドである。

 ところで、ヘッジファンドの名称の由来は、1949年に米国で立ち上げられたファンドにあると言われている。ファンド設立者 は、ロングとショートを適切に組み合わせれば、市場の下落局面において損失を回避でき、結果的にリターンを向上させることができるという仮説を立て、ロングを中心としつつもショートを積極的に活用した株式運用を行った。所謂、ヘッジファンドの代表的なロングショート戦略だが、何かをヘッジ(回避)しながら、レバレッジをかけて絶対収益を狙うわけだから、対象は通貨でも原油でも農産物でも、デリバティブなど取引のヘッジ手段があれば良い。つまり様々な運用形態があるのだが、金融庁は次の様なことをヘッジファンドとしている。
○オルタナティブ戦略を採用。
○レバレッジの利用。
○大きなリスク・エクスポージャー。
○実績報酬を徴収。

 なお、6月に実施された投資家側の本年度の金融商品への投資に対する意識調査(大和総研)では、金融機関はヘッジファンドや国内外のREITへの投資を減らし、不動産私募ファンドを選ぶ傾向を強めているが、年金基金のうち約4分の1は割安なのでヘッジファンド投資を増額するとしている。年金資産のヘッジファンド投資は年々増加しているが、2008年度末では資産全体の5.7%を占めており、またヘッジファンドへの期待は次の様になっている。
・分散投資効果(年金基金の8割)
・絶対収益の獲得(同、6割)
・市場リスクの制御(同、4割)
・低いリスクによる投資(同、2割)

 一般的にヘッジファンドの投資動向は市場の歪み・場合によっては政策の歪みを是正する方向で動くことが多いでの、通常の市場参加者や行政からの風当たりが強くなることがある。今回の金融危機に際しても、危機問題の本質とは関係ないところでヘッジファンド規制の動きがでたが、ヘッジファンドそのものを規制するのは何か為政者の“ついでに”という感がする。今夏に成立した米金融規制改革法案では、ボルカー・ルールとして、金融機関がヘッジファンドやプライベート・エクイティ・ファンドに出資することを原則禁止している。(実施するのは詳細を決定してからだが、例外的にファンドの出資金の3%以内かつ銀行のTeir1資本の3%以内なら許容される。)
 
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所謂、私募ファンドについて (10月4日)
 一口にファンドといっても投資信託から私募ファンドに海外ファンド・ヘッジファンドの類まであるが、実際は複数の人がお金を出し合って投資をするのがファンドと定義すると簡単だ。その運用資産の保有形態も、海外ならファンドと言い切ってしまえるが、国内だと信託受益権や匿名組合形式の契約など分かれていて、投資家からみて少し分かりにくいこともある。勿論一般の公募されている投資信託は信託受益権で、これは追加設定や解約若しくは売買することも可能だ。投信の売買というと少しピンとこないかも知れないが、上場している投信=ETFはこの信託受益権を売買する。一方組合形式の契約だとファンド毎にその内容が異なり、解約にも時間がかかり、また売買もほゞ行われない。

 標題に上げた私募ファンドに関してだが、その形態が信託受益権であろうが組合方式であろうが金融商品取引法上は集団投資スキームとして定義されている(金商法第二条第二項に定義される)。この集団投資スキームは、株式や投信・債券など一般の投資家に広く販売可能な金商法第二条第一項に定義される有価証券(普通の証券会社で取り扱うもの)とは異なるので、みなし有価証券と呼称されることもある。この集団投資スキーム(私募ファンド)の販売は、第二種金融商品取引業として登録が必要だが、必ずしも証券会社(第一種金融商品取引業)である必要はない。更にこの私募ファンドを適格機関投資家というプロにだけ販売するのは、適格機関投資家特例業務として届け出るだけいい。簡単に言ってしまえば、私募ファンドは第二種金融商品業者が販売するが、プロに販売を限定した場合は金融商品取引業者の様に登録要件で参入規制されないで届け出ることで済む。

 その私募ファンドの販売実態調査を、本年度から金融庁が、ファンドの販売業者及び運用業者4,250社(内プロ向けは2,662社)に対して実施、“ファンドモニタリング調査の集計結果”として9月末に公表されている。その調査結果は次のようなものだ。

【私募ファンドの販売状況】
平成21年度・・・販売額合計1兆2,244億円、ファンド延べ数2,285本(このうち1億円未満のファンド数が8割、10億円以上のファンドは219本)。私募ファンドの内容は、52%が不動産ファンド、競馬やワインなどの現物ファンドが7%、事業再生ファンドが4%、バイアウトファンドが4%、メザニンファンドが3%、ファンド・オブ・ファンズが2%、ベンチャーファンドが1%。
なお、販売額の61%がプロ向けの販売(適格機関投資家特例業務者)

【私募ファンドの運用状況】
 平成22年3月末で、運用財産額23兆5,713億円、ファンド数5,189本。10億円未満のファンドが約6割を占めるが、100億円以上のファンドも全体の10%ある。
[運用財産別の状況]
・全体の67%を占める不動産ファンド・・・平均レバレッジ2.9倍、損益率6.9%
・全体の5%を占めるファンド・オブ・ファンズ・・・平均レバレッジ1.0倍、損益率48.4%
・全体の4%を占めるベンチャーファンド・・・平均レバレッジ1.1倍、損益率▼14.7%
・全体の3%を占めるバイアウトファンド・・・平均レバレッジ1.0倍、損益率▼6.2%
・全体の3%を占めるメザニンファンド・・・平均レバレッジ1.0倍、損益率2.4%
・全体の2%を占める事業再生ファンド・・・平均レバレッジ1.0倍、損益率1.4%
・全体の1%を占める現物ファンド・・・平均レバレッジ1.0倍、損益率▼5.1%
 なお運用財産額の53%がプロ向けの運用分(適格機関投資家特例業務者)
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大証のETF活性化策 (9月27日)
 先週21日、大証はETF取引活性化の為に、“ETF流動性向上プログラム”を10月から導入することを公表している。その内容は次の様にシンプルなものだ。
・既上場での新規上場でも、同プログラムの適用を申請することが出来る。
・同プログラムを申請した場合、ETFの運用会社は年賦課金(=年間の上場維持料に相当、新規上場の手数料は別)を半年毎にETF純資産の万分の8納入する。
・上記の対象となったETFについて、ETF純資産の万分の7を原資にして、半年毎に証券会社など取引参加者に報奨金を支払う。
・報奨金の支払対象は、当該ETFの指定参加者(主幹事証券会社)を除く売買代金上位5社。支払は売買代金に比例案分する。
※なお、通常の年賦課金は半年毎に純資産の万分の0.75
 スキームや実効性の評価は別にして、取引所自らが上場商品であるETFの流動性向上対策として、取引参加者である証券会社に報奨金支払うという取組みは注目される。しかし、反問してみれば、流動性対応を行わなければならない程、ETFの売買高は低迷しているのかということになる。

 結論からいえば、そのとおりで、日本のETFは上場数が増加するものの、受益権(投信なので)残高は余り増えず、そして売買高は減少している。

 先ずETF増加の背景は、投資ニーズの多様化に対応する為だが、政策的な後押しもあった。もうすぐ3年経つ市場強化プラン(金融・資本市場競争力強化プラン2007.12)では、信頼と活力のある市場の構築の為に、取引所における取引商品の多様化で、ETFの多様化が真っ先に上げられ、
○株価指数連動型ETFの多様化(関係政府令による対象指数の個別列挙方式の廃止)
○株式以外の上場有価証券を投資対象とするETFの解禁
○商品先物等を投資対象とするETFの解禁
が政策的に取り組まれた結果、東証上場は93銘柄、大証上場は12銘柄に増加している。この数字には海外で組成されたものや既に海外で上場されているETFも含まれるが、国内で組成された分は “ほふり”残高ベースで83銘柄ETF残高は23億100万口が8月末時点の数字である。市場強化プランの始まる2007年3月末では14銘柄だから国内ETF数は約6倍になった。しかし、残高は同時期19億2700万口だったので、約2割の増加に留まる。

 一方、東証におけるETF売買は、下記の様な状況だ。
●売買高ベースの推移
2007年18億8341万口→2008年22億2227万口→2009年19億4017万口→2010年19億1068万口(8月までの数字を年間ベース化)
●売買高ベースの推移
2007年2兆6308億円→2008年2兆4017億円→2009年1兆8675億円→2010年1兆5879億円(8月までの数字を年間ベース化)
●直近8月の売買シェア(売付けベース)
法人=14.8%、証券会社=2.9%、個人=33.0%、海外投資家=49.3%

 本来はETFの流動性を確保する為、裁定取引等を行う証券会社の売買への関与が、異常に小さきことが分かる。これなら取引所が証券会社の売買に報奨金を付けたくなるのも、わかる気がする。東証は今期中に100銘柄のETF上場を目指すというが、ETF売買を証券会社に促す仕組みが必要ではないだろうか。(例えば、ETFの証券会社自己売買の売買手数料や、裁定取引に係る株式の売買手数料を、免除する等)
 
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日本版ISAサポートセンター設立を支持する (9月13日)
 米オバマ政権は、歴史的な政策を相次いで実行しても支持率が低迷していると言われるが、我が国の政権は、嘗て示した歴史的な政策目標の、その実現のメドが立たなくとも、政権政党内の代表選のお蔭で内閣支持率は上昇しているという。環境問題、財政再建、そして年金問題。特に年金問題は、未払い問題の解消も大事だろうが、少子高齢化が本格化するこの先、制度そのものの見直しが必要なことは周知のことだ。その年金制度改革も、今までの企業や組合組織に頼ったものから、個人が貯蓄から投資を通じて、老後の必要資金を形成できる制度設計が業界としても望ましい。

 その意味で、2012年初から始まる予定の日本版ISA(Individual Savings Accounts:個人貯蓄口座)に期待したいが、どうもこの制度の現状は、株式等の譲渡益課税軽減措置の人質となっているようだ。つまり、8月末に金融庁から平成23年度税制改正要望で、市況環境の悪化を理由に出されている2012年以降の軽減措置継続要望が認められれば、この制度の導入は見送られる可能性が高い。日本版ISA制度導入を認めた財務省も、譲渡益課税の軽減措置廃止を前提にした経緯がある。また、この制度に対する行政の在り方も、お手本とした英国とは異なり、投資を通じた資産形成というよりは、投資の非課税措置の一つとして扱われているようで、非課税投資総枠は英国の3割程度で、売却後の非課税枠の再利用や年次を超えた繰越しが出来ない制度になっている。日本版ISA制度は、試験的な導入で始めるということかもしれないが、国民資産形成は財務省の管轄でないので仕方ない。

 そのような中で、日興アセットは9月10日に日本版ISAサポートセンターを設立した。日興アセットはこの組織を通じて、証券や銀行に以下のサービスを提供するという。
・ISAに関する独自の調査・研究に関する情報発信
・証券や銀行を対象とした日本版ISA勉強会の開催
・日本版ISA時代を見据えた商品・サービスの開発
日本版ISAにおいても、非課税期間の恒久化など一定の措置が取られれば、国民資産の7%を占めるまで成長した英国のISA同様に普及が期待出来るし、また高齢者だけではなく若い世代を含む幅広い年代の投資需要を生み出す契機になると期待できるとしている。このことを筆者としては全面的に支持したい。また願わくは、商品・サービスの提供において、オープン・アーキテクトな対応をされることを望みたい。

 ちなみに、8月に金融庁で開催された金融税制調査会において、中央大学法科大学院の森信教授より日本版IRA(Individual Retirement Arrangement:個人年金貯蓄優遇税制)の導入が提言されているが、英国のISA制度(※現在の日本版ISAではない)を、日本の年金制度の3階部分に適用しようとの試みにみえる。その提言概要は次の様になっている。
【目的】個人の自助努力で資産形成することを税制面から支援。企業間・世代間の不公平問題を解消し、雇用の多様化(非正規も含む)にも対応。年金制度の3階部分の将来的受け皿に。
【適用対象者】20歳以上65歳未満の個人
【運用方法】金融機関に専用の口座を開設。
【運用要件】5年以上の運用。
【課税方法】運用時非課税、年金として給付する部分の金融資産も非課税
【拠出限度額】年間120万円程度を想定。使い残しは翌年以降に繰越し可能
【導入時期】2012年度以降(金融機関におけるシステム開発機関次第)

日本版ISAでも日本版IRAでも、そして日本版401K(確定拠出年金=年金制度の2階の部分)拡充でもよいが、個人の資産形成を支援する税制を含めた骨太の制度論議が待たれる。
 
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あるベンチャー・キャピタリストの思い出 (9月7日)
 もう5年ほど昔になるだろうか、アメリカ(確かワシントン)からベンチャー企業の経営者(日本人)が来られ、日本で資金調達をしたいと仰るので、段ボールひと箱に収まりきらないような資料を一旦お預かりして、系列のベンチャーファンドに紹介した。当時は企画のような仕事していて、ベンチャーは専門外だったが、自己投資部門の同僚に相談したら、ビジネスモデルが面白いというので持ち込んだものだ。担当のベンチャー・キャピタリストに事前に預かった資料を渡し、そのベンチャー企業の経営者を伴い2時間程のインタビューに挑んだ。しかし、結果は投資せずで、それも比較的早い時期に返答を受けたと思う。紹介した立場なので、一応理由を聞いたが、日本人経営者の政治家との関係を示唆する発言が気に入らなかったようだった。
この事を思いだしたのは、先のベンチャー企業が最近よくマスコミに取り上げられるようになったからだ。この経営者のインタビューから、事業は7年前から始めて2年前から軌道にのったようで、最近は米行政の関与もあって更に飛躍しそうとのことだ。5年前、ベンチャー投資を実行しなかったことを悔いているのではない。唯、ベンチャー・キャピタリストの断った理由が妙に思い出される。海のものとも山のものともつかぬベンチャー企業を判断するのに、経営者の資質を見るのは当然だが、出来ればビジネスモデルを評価若しくは批判して欲しかったという思い出だ。

実際のベンチャーファンドの投資結果はどうなっているか見てみると、(財)ベンチャーエンタープライズセンターの調査では、ファンドの投資結果(EXIT)について次に様な結果になっている。(2008年度)
・株式公開=9.9%
・償却、清算=30.1%
・売却、経営者への売戻し=48.2%
・その他=11.8%
もともとベンチャー投資は成功1~2割、失敗2~3割と言われているが、分散投資の結果が極端に表れる自らのビジネスモデルでもある。だから、ベンチャー・キャピタリストが一つ一つのベンチャー企業をその投資対象として精査するとともに、ファンドマネージャーがファンド自体の成長ポートフォリオを仕組むマネージメントも必要あると思う。専門家の方々には恐縮だが、外野の声援として受け止めてもらいたい。
 ちなみにベンチャー投資の当事者になるベンチャー・キャピタリストに必要なものについて、経済産業省の報告書“ベンチャー・キャピタリストの能力開発に資するプログラム開発・実証事業 最終報告”(2004年)では次の要件を上げている。

【求められる基本的スキル】
・投資契約書の作成・締結、知的所有権に係る法務、取締役・監査役の権限・責任、IPOに係る法務・税務、倒産・廃業等に伴う清算に係る手続きなど
・ベンチャーファイナンス(企業価値評価、キャピタルゲインの予測、資本政策の策定、第三者割当増資・バイアウト投資等の選択・実行、収益計画・増資計画等の立案、株主構成の調整など)
・企業経営の支援、企業戦略・事業計画の立案・支援、マーケティング戦略の立案・実行、人事管理・人材確保など
・技術力・競争力評価のための専門的知見、テクノロジーマネジメントの実行・支援、市場環境・業界動向・競合他社の事業戦略等に関する見識など

【シニアマネージャーの要件】
・投資対象となり得る案件を早期段階で発掘し、投資計画を見据えた起業・スタートアップを計画・支援・実行できること
・潜在的なリスクを探知・算定し、バリュエーションに反映させることができること
・ビジネスプランや成長可能正当を見極め、適正な投資の可否判断が下せること
・企業価値の向上とIPO等の実現に向けて、投資先企業の成長過程をプランニングし、適切且つ時期を得たアドバイス・支援を実行できること
・常にリスクとリターン、投資期間内のマイルストーン、想定されるExit等を認識した上で、投資先企業をモニタリングし、経営状況にあわせて適切な資本政策やコンサルティング支援を実行できること
・IPO以外の多様なExit戦略の手法を熟知し、投資期間内にリターンの最大化を図り得るExit手法を選択・実行できること
・実態が顕在化する前に、リビングデッドの状態を察知し、リスクを極小化させ得るExit手法(清算手続き等)を選択・実行できること

 相当に大変な仕事であることは事実で、欧米でのベンチャー・キャピタリストの地位は高く、またベンチャー・キャピタリストを養成するビジネススクール(MBA)なども整備されているという。日本でのこの分野の人材育成の現状は如何だろうか。

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REIT近況 (9月1日)
※以下の内容は、あくまでもREITの概要を把握する目的で作成されており、投資勧誘を目的としたものではありません。

 2001年9月12日に最初の2銘柄上場されてから、まもなく10年目に入ろうとするJ-REIT市場。株式市場全体は、金融危機後の2番底を模索するような展開だが、東証REIT指数の方は軟調ではあるものの、過去2年間では下値を切り上げているようにみえる。
・2008年10月28日:704.46
・2009年11月27日:814.88
・そして現在(8月末)は、906.27

このREIT指数も、9月13日からは、各REITが保有する投資物件の利用用途別に分類され、
「東証REITオフィス指数」=構成銘柄数18
「東証REIT住宅指数」=構成銘柄数10
「東証REIT商業・物流等指数」=構成銘柄数9
が、東証相場報道システムを通じてリアルタイム配信(15秒間隔)で証券会社、情報ベンダー等に新たに配信される。(※上記の各指数は、本年2月26日を1000ポイントとして計算)
現在REIT指数に関するETFは2銘柄上場されているが、これらの新しいREIT指数のETFが加わり、J-REIT投資の層が厚くなることが期待されている。

一方、一時は懸念されていたJ-REITのファイナンスの方も回復しており、年初から8月末まででは投資口(資本相当)の約1160億円、社債での1175億円、合計2335億円の資金調達が実施されている。J-REIT全体の負債:資本の比率は、概ね1対1なので、それに沿った調達と言え、またこの比率はここ1年間で余り変わらないが、グローバルでみると増資や借入金返済・資産売却などで資本の比率を高める動きが強まっているようだ。

 東証が自らのHP上で示すJ-REITの特徴が次のようになっている。[カッコ内は、筆者による近況の記載]

○取引所に上場して、通常の証券会社のインフラから売買可能。
[現在37銘柄が上場、時価総額の合計は約2.5兆円で、世界のREITシェアの6.1%を占める。なお、東証上場のクレッシェンド投資法人とジャパン・シングルレジデンス投資法人は、10月をメドに合併する。]

○リスク分散、専門家が不動産を運用。
[投資物件の具体的内容は、各REITのHP上若しくは取引所の適時開示ルールにより公表されている。J-REITの保有物件内訳は、7月末で、オフィス57%、商業施設19%、住宅18%。なお、シンガポールの不動産会社などが出資するアジア系ファンド「リキャップ2」が、日本ホテルファンド投資法人を買収することが6月下旬に公表されている。]

○安定した分配金、相対的に高い利回り。
[J-REIT全体の分配金利回りは、7月末で5.5%、日本国債利回りの0.9%台、東証1部銘柄の単純平均1.88%と比べてもかなり高い。グローバルに見ても、世界のREIT平均利回り4.3%により高いが、その数字は全体の57%を占める米国REITの分配金利回り3.6%が大きく影響している。]

○比較的手の届く金額で不動産投資が出来る。
[銘柄によっては1万円台から投資できるものもあるが、概ね一口30万~70万円台。ETFだと、1投資単位は9万円台]

※上記のREITに関する数字は、日興アセット「グローバルREITの投資再考」(8月作成)を参考にさせていただきました。
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投信会社の情報発信について (8月17日)
 保有する株式や投信が大きく変動したとき、どうなっているかつい誰かに問うてみたくなる。特に投信が下落している時は、もともと運用を投信会社(投資信託委託会社)に任せているので、投資家の心配度は高まり、問い合わせは多くなる。投資家は誰に問うかというと、販売した証券や金融機関の営業現場が答えるのが一般的だ。投信を販売した証券や金融機関の販売員は、個別の投信に関する情報なら投信会社からの情報を投資家に伝えるが、一般的な市況の変化や突発的な出来事の説明は営業現場に任されていた。
 最近の投信会社の情報発信態勢を見ていると、この今まで証券等の営業現場で対応していた突発的な市場の出来事に対する情報発信について、大手の国内投信会社では自ら行うことが一般化してきたようだ。5月のギリシャ危機の時もそうだったが、今回の15年振りの円高と年初来の株価の安値について、先週後半に大手投信は一斉に緊急レポートを公表している。その主な内容は次の様なものだ。(順番は運用資産残高順)

【野村アセット】世界の株式市場および為替市場の変動について
・11日の日米市場がともに2%以上下落したこと
・日米、英国、中国の経済指標等及び日米の金融政策に対するコメント
・主要国、新興国、ギリシャの年初来からの株価下落の比較図(日本の下落は8%強だが、中国とギリシャが2割以上)及び為替レートの対円下落比較図(ユーロや東欧通貨の下落が2割近い)

【大和アセット】最近の為替市場における円高傾向について
・円高の契機になったFOMCの解説
・今後の為替相場の見通し=米ドルや、ユーロなどに対する円高圧力は、今後も時折強まる可能性は否定できないが、資源国通貨や、新興国通貨は相対的に堅調に推移する傾向は維持されるとの見方
・昨年からのドルとユーロの対円レートのグラフ

【日興アセット】世界経済と円相場について
・FOMC後の日米の金融政策についてコメント
・主要国経済は2番底をつけるに至らないものの鈍化を様相。2011年の米国GDPは前年比+1.5~2%を予想
・当面は円高傾向を予想
・1995年からの円相場と日米金利差のグラフ

【国際投信】海外市場での円高について
・直近の為替変動の解説
・円高が進みやすい環境だが、政府や日銀の政策に期待
・3年間のドル円レートの推移グラフと直近2日間の主要国通貨レート表

【三菱UFJ投信】昨今の円上昇について
・米国および中国の直近の経済指標に対するコメントと為替市場の解説
・今後の動向としては、米国景気の回復基調は変わらず、日本では円高をけん制
・円の上昇圧力は徐々に緩和を予想
・米国2年国債利回りとドル円相場の1年間のグラフ

【大和住銀投信】足元の円高ドル安について
・為替市場に対するコメント
・今後の予想は、米景気の回復基調は保たれ、円は年末に向けて下落を予想。
・2008年からのドル円推移のグラフ

 以上は8月12日に一斉に公表されているが、これらは日本の証券系といわれる投信会社の動きに限られているのが投信会社の情報発信の特徴になっている。

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機関投資家の不動産投資 (8月9日)
自分たちの親の時代は多くの個人が不動産価格上昇の恩恵を受けたが、日本のバブル崩壊の20年近く間、一般論ではそんな話は無かったように思う。稀にかかってくる不動産投資の勧誘も、自分で住んでいる住宅のローンが残っているのに、新たに借金までして不動産に投資するなど思いもよらない。そういう感覚が普通のサラリーマンのものだったのではないだろうか。但し、不動産の持ち分を細分化することを可能にした証券化商品やJリートが出来てからは、低金利が続く貯蓄商品と比較して、値上がり益というよりは利回りで不動産関連投資を見直し易くなり、個人にとっても比較的少額から不動産関連投資をすることが可能になっていた。

 では資金量が豊富なプロの投資家の不動産関連投資の現状はどうなのだろうか。8月6日に(社)不動産証券化協会が公表した“機関投資家の不動産投資に関するアンケート調査”集計結果から見てみたい。
(ここでは、生損保や金融機関などの一般機関投資家について取り上げる。)
先ず平成22年度の全体の資産配分状況については、
○債券=54.3%、貸付=28.3%、株式=6.5%、現金及び短期金融資産=5.3%、不動産=1.4%と不動産投資は意外に少ない。前年に比べ株式が2.7%減少し、貸付が6.7%増加している。
(投資家によっては、証券化商品での不動産投資を株式やその他投資に分類しているところもあるようだ。)
 次に、実際の不動産投資について次の様に分けているが、

(A)実物不動産若しくは不動産信託受益権への直接投資
主な投資目的:安定的キャッシュフローの獲得、投資期間:5年以上若しくは年限を定めないが100%
平成22年度期待投資収益率:5.0%

(B)Jリートへの投資
主な投資目的:安定的キャッシュフローの獲得、投資期間:5年以内と5年以上が半々、平成22年度期待投資収益率:5.8%

(C)海外リートへの投資
主な投資目的:ポートフォリオのリスク分散、投資期間:5年以内が3分の1、平成22年度期待投資収益率:9.3%
(D)不動産私募ファンド等への出資
主な投資目的:収益性向上、投資期間:5年以内が3分の2、平成22年度期待投資収益率:9.1%

(E)不動産または不動産担保ローンを裏付けとする債券型不動産証券化商品への投資
主な投資目的:安定的キャッシュフローの獲得と収益性向上、投資期間:5年以内が7割、平成22年度期待投資収益率:2.5%

いずれかの投資を行っている比率は、82%となっている。

また、不動産投資を行うために必要なこととして、次の理由が上位にあげられている。
・市場規模の拡大(銘柄増加を含む)
・不動産評価の信頼性の向上
・不動産に精通した運用担当者の育成
今後の一般機関投資家の市場見通しについては、株価や長期金利の上昇は見込むものの、地価・オフイス賃料・不動産の期待利回り等について低下を予想する向きが多い。Jリートの分配利回りと長期金利の現状のスプレッドについては、一般機関投資家の約半数が大きすぎるとしている(Jリートが割安)。

不動産投資への一般機関投資家の姿勢で多少余計なことを申し上げるが、
・市場が大きくなければ、投資しても不安だから
・ファエバリュー(公正価値)がわからないから
・専門の技術者がいないから
と、もし日本の企業が海外投資や新規投資に手を拱いていれば、日本の経済は成り立たないし、一般の企業社会ではありえない。機関投資家がもし個人から資金を預かり運用する専門家であるなら、そろそろこの投資しない理由から抜け出し、運用の専門家として自立する時期に来ているのではないだろうか。

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投信の乗換えについて (8月6日)
日本株は余り見込みがないから売って中国株を買う。中国株は少し調整しそうだから、これを売ってインド株を買う。これを個人が行おうとすると、各国株の指数に連動して運用される投信の乗換えを行うということになる。しかし、一般的には投信は販売時の手数料が高く、投信の乗換えは投信の売却・販売を行う証券会社の手数料稼ぎと見做されかねないので、証券会社が投信乗換えを薦める場合には、ちゃんと投資家に説明して、証拠をきちんと残しておかなければならない。また、社内のチェックがちゃんと働くように態勢を整備しておく事も求められる。

 この事について証券取引等監視委員会(SESC=証券会社に対する業務検査も行う)は、最近の証券検査における指摘事項に係る留意点として、投信の乗換勧誘に際し重要な事項について証券会社が投資家への説明を行っていない状況があるとして、次の事を上げている。
○毎月分配型から他の投信への乗換勧誘に際し、売却する投信の大幅な分配金引上げの事実のように、顧客の投資判断に影響を及ぼす重要な事項について、投資家に十分説明する必要がある。
○証券会社の内部管理部門において、営業員による勧誘状況のモニタリング態勢を整備し、不適切な勧誘行為に対する牽制機能を発揮することが求められる。
 勿論、投資家自身が乗換えを求めている場合は、証券会社が勧誘していないという証拠や記録残せば、SESCが留意事項で求める対応は必要ない。

 具体的事例としては、今年3月に処分勧告されたコスモ証券の事案があるが、これは営業本部長による投信販売の営業推進において、ブルベア型の投信販売を推進するにあたり、それ以前に販売注力していた毎月分配型4投信からの乗換え勧誘を組織的に行った時に、次の法令違反行為があった。
・同社では、6か月未満の乗換え提案禁止(投資家が自ら依頼する場合は、乗換えは問題ない)や高齢者に対する勧誘制限があったが、これに対して非勧誘を偽装していた。
・乗換え勧誘に際して、証券会社は投資家に重要な事項を説明しなければならないが、これを実行していない取引が多数あった。
・業務監査部のモニタリング制度はあったが、これが機能していなかった。
この件で同社は行政より業務改善命令を受けるとともに、証券業協会への過怠金の支払い、不当な投信の乗換えで得た手数料の投資家への返還や利益の社会還元措置の実行を求められた。

 ここで再度繰り返すが、証券会社が投資家に対して投信の乗換えを勧誘することが問題な訳ではない。要は、社内ルールに則り、ちゃんと大事なことは説明すれば、問題ないのだ。そのちゃんと説明することが出来ていないとSESCが問題視するケースが本当に増えているのだろうか。

 ちゃんと説明することは、日本証券業協会が証券会社に対して通知した“投信信託等の乗換え勧誘時の説明義務に関するガイドライン”があるので、それを順守していれば問題ないはずだ。証券会社が投資家に説明すべき重要な事項は概ね次のようなものがある。
・売る投信と買う投信のファンドの性格
・時価や分配金などの売却する投信の状況
・手数料や課税関係など、実際売買した場合の投資家の経済的利益に関係するもの 等
又、当然だが、乗換えを勧誘したか、していないかの記録は残す必要がある。

 これらのルールがあるのに、SESCから問題視されるのは、証券会社サイドで乗換えを勧誘する目的に間違いがあったり、乗換えそのものに対する何らかの後ろめたさがあって、ちゃんとした乗換えの手順を順守されていないのではないか、と筆者は懸念する。投資には難しい時代なのだから、投信の売却若しくは乗換え勧誘は、当然あって言いと考えるが、証券会社は堂々と正規の手順を踏んで、投信の乗換え勧誘をすべきではないだろうか。

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世界の中の日本の投信 (7月23日)
投資信託関連の手数料が、証券会社の主要な収益源になって、もう4~5年経つが、今後もやはり主力の商品としてありつづけるのだろうか。そして、今の投信販売の在り方はどの様に変わっていくのだろうか。

 このことを考えるに、(財)日本証券経済研究所杉田氏による“世界の投信信託の潮流”は、ここ10年間の世界の投信の動向を俯瞰的かつ簡潔に纏めてあり、参考になったので、その概要を紹介しておきたい。
 まず、昨年末の世界の投信残高は22.8兆ドルとなっているが、ここ10年間で11・1兆ドル増加しており1.9倍に成長している。増加分のうち、資金純増分が7.2兆ドル、値上がり分などが3・9兆ドルとなっているが、国別残高では、米国が1位で11.1兆ドルのシェア48%、2位はオフショーのファンド集積地であるルクセンブルグで2・3兆ドルのシャア10%、3位フランスの1.8兆ドル、4位オーストラリアの1.2兆ドルと続き、日本は8位の6600億ドルでシェア2.9%にとどまる。
日本の投信は、金融機関の窓販で約半数が販売されるようになっており、証券会社もそれに対抗して投信販売を積極化しているが、残高でみると10年間で31%しか増加していない。逆に言うと、まだまだ成長余力があると言えるかもしれない。

 次に10年間で起きた変化をみると、次の5項目が上げられている。

①ETFが大きく伸びた
 ETFは10年間で26倍に急伸しており、そのうち7割が米国で組成されているが、増加した内容は、業種別・規模別・投資テーマ別の指数や、新興国など外国株指数、債券関連指数、最近はアクティブ運用型のファンドをETFとして上場する動きもある。

②10年間で5倍に拡大した新興国投資
 何といっても、最大のトレンドは新興国投資だが、国別にみると10年間の投資残高増加額では中国が61倍、ポーランドが33倍、ハンガリーが11倍、インドが10倍と新興国が急拡大している。

③確定拠出年金(DC)からの資金流入が顕著:米国の株式投信
 米国株式投信の10年間の資金純増額の99%は、DC(企業型・個人型の合計)からで約9000億ドル。日本のDC専用ファンドの残高は、昨年末で1兆3600億円。

④日本の投信においても、投資先のグルーバル化が進展
 日本の投信の運用先として、ここ10年間一貫して海外投資が増加している。2000年では海外投資比率が10%程度だったが、昨年末には57%に達しており、6割前後の米英の投信海外投資比率に近づいている。

⑤ディスクロージャー関連の改革が進む
 3つあって、一つ目は目論見書の簡素化、二つ目は投信保有株の議決権行使の明確化、三つ目は投信販売会社の投資家との利益相反問題の開示だが、この内目論見書改革は投資家が呼んで理解出来る、若しくは比較できるという目的で行われていて、米国は昨年、日本でも今年7月から取り組まれている。

 一番目のETFは、世界の投信における大きな潮流になっているが、日本では東証上場物が93銘柄と増加しているものの、ETF売買高は逆に減少している。世界的にみると、過去10年間、ETF投資が新興国投資や商品投資を促してきが、日本ではそれが新規設定の公募投信になる。また、海外ETFに関しては、売買を取り次ぐインフラ整備が証券・金融機関サイドで遅れているようにも思う。また、3番目のDCの拡大の恩恵を投信市場が米英の様に受けているかというと、国会審議の関係でマッチング拠出もなかなか進まない日本では、DC制度そのものの拡大への政策(自助努力による老後資金確保として)が待たれる状況だ。

  
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投信の情報のあり方について、少し考える (7月12日)

金融機関で長くスタッフとして働いていた経験からいうと、偉い方々から、この数字調べておいてくれと依頼されても、他の事で忙しいと、身近な代用する数字で答える、また数字の調べ方は過去のやり方とあまり変えない。その様なスタッフとしての習い性の様なことがあり、指示した役員の本当の意図に沿っていなかったのではと、後で冷や汗をかく事もあった。幸い、この証券業界では正確性(適格性?)よりスピードが重視される風潮も強く、指示された方の苦笑いで終わっていた。この事を思い出したのは、投資信託に関する多くの情報と、そのあり方について思いを巡らしたからだ。
 実際、投信に関する情報は非常に多くあり、新聞でも毎日の時価情報から、一面を使った個別商品の広告まで、ネットでも、投信の様々なランキング、金融知識やライフパターンに合わせた選択方法など、金融商品に関する情報の3分の1以上は投信関連ではないだろうか。だから、投信に関する情報はと問われると、こんなに沢山ありますが、ということになる。しかし、これは本当に投資家若しくは投資家に直接対応している販売者の目的に沿ったものなのだろか。
 例えば、国内で公募された投信の時価情報は毎日の新聞欄に載るが、設定時期も違えば運用内容も異なるものを、何故運用会社毎に表示しておく必要があるのだろうか。株式と異なり毎日売買する訳でもなさそうだが、追加の設定(投資家の購入)と解約に備えものだとしても、その投信が購入できる証券会社が限定されている(指定証券会社)。一般の投資家が知りたいと思う投信関連情報に関して、この業界は本当に応えているのだろうか。

●購入する時
 普通の商品では、何かを買おうと思った時、その商品と類似するものを比較して購入しようとする行為は当たり前だが、投信という商品は少し違うのかもしれない。6月末で3689銘柄ある国内公募投信は、投資家が選択しやすいように分類されていなければ、選択することは至難の業さだが、その分類も投信協会によると、投資対象資産から投資対象地域・配当回数・為替ヘッジ等などの属性区分があり、組み合わせると2万通り以上もある(投信協会の分類は商品性の確認の為で、投資家の選択目的ではない)。次にある程度絞ったとしても、内容を比較するためには目論見書を読まなければならない。全部で100ページ近い目論見書を類似商品毎に読んで比較するのは個人投資家には出来ないが、投信目論見書に関する開示府令により、交付目論見書ベースの簡素化・標準化(比較検討するための)がこの7月から始まっている。全部で10P以内の目論見書内容になるが、比較しやすいように標準化する努力も行われた。

●保有する時
 投信としては運用報告書が保有者に対する正式な情報提供になるが、この運用報告書以外にも、最近は大きなイベントがあると、その影響について運用会社サイドから適時な情報提供が行われるようになってきた。例えば、ギリシャの格下げ情報など外債組入れのファンドを保有する投資家向けレポートを適時出す努力が運用会社により行われている。

●売却する時
 目標設定型ファンドでなければ、満期までの保有が前提になる。当然かも知れないが、運用者サイドからは投信の売却に参考となる情報提供は投資家には行われない。つまり、個別の投信に関して売り時情報というものは公表されない。しかし、投信というものも市況商品なのだから、満期とは別に売り時にかんする情報は必要だろう。これは、投信を個人投資家から預かる金融機関の投資助言によることなのだろう。

 以上のことを合わせて考えると、投信に関する情報を整理して提供するのは、結局、証券や金融機関の重要な仕事なのかも知れない。ただし、対面の販売者の個々の能力に頼るのだけではなく、ネット証券等インターネットを利用することでも、投資家ニーズに応え易い仕組みが出来るのではないだろうか。最近利用しているネット版日経のお勧め記事の提供サービスを見て思うことである。

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ギリシャ格下げに関する投資家への情報伝達について (4月28日)
もう昔話になりそうだが、米SOX法や内部統制強化の契機になったエンロン事件・ワールドコム事件の日本の個人投資家への影響としては、両社の社債を組み入れたMMF(マネー・マネジメント・ファンド)で、初の元本割れがあった。個人投資家の概ねの理解は、MMFは高格付けの社債で運用されているといったもので、虚偽決算があったとしても、その債券の格付け情報や価格情報がどう扱われているか、その当時は分かり難いものだった。その為、営業現場からは相当の不満があって、商品部門のスタッフが右往左往していたのを思いだした。今回のギリシャ格下げと、その直後の投信の運用会社からの情報提供を見てである。
今回のギリシャ格下げは、S&Pが4月27日公表したものだが、
・長期ソブリン(政府や政府機関が発行する債券の総称)は、BBB+からBB+へ
・短期ソブリンは、A-からBへ
・アウトルックは、ネガティブへ
となっており、格付けの3段階の引き下げと、投資不適格と言われる格付水準になったことに、多少の衝撃が市場にはしった。ギリシャ危機は昨年の10月から表面化していたが、S&Pは3月16日に同国の格付けに対し“引下げの方向で見直し”を解除していた(アウトルックは、ネガティブ)。今回の格下げで、4月27日のギリシャ国債利回りは9.67%(ドイツ国債とのスプレッドは6.75%)に急上昇しているが、国内の主要投信会社は、28日にギリシャ格下げに対する金融レポートを公表している。

以下に、今後の見通しなど各社レポートの特徴を簡単に紹介しておく。
【国際投信】
格下げ内容と、国債市場や外為市場への影響、ギリシャ危機の推移を記載。
・格下げの原因:欧州各国の足並みの乱れ
・今後の注目点:欧州版IMF創設の動き、EU加盟各国の財政悪化への踏み込んだ対応策
【大和住銀投信】
格下げ内容と、国債市場や外為市場への影響、ギリシャ支援の動向とその背景を記載。
・格下げの原因:ドイツの消極的な姿勢
・今後の注目点:ドイツの支援に関するEU各国との合意。ドイツ地方選挙の影響(5月9日)と5月10日前後といわれるEU首脳会議
【野村アセット】
格下げ内容と、国債市場や外為市場への影響、ギリシャ危機の背景を記載。
・今後の注目点:ギリシャ国内景気の悪化、財政緊縮策実施への困難さから、危機の収束には時間がかかる見通し。
【日興アセット】
格下げ内容と、国債市場や外為市場への影響、問題各国のGDP比財政赤字の状況、S&Pレポートの簡単な内容を記載。
・今後の注目点:債務不履行やEUからの脱退の可能性は極めて低いとの見通し。但し、EU各国の財政再建計画が、短期的には景気回復・拡大の制約になる可能性なり。
【大和投信】
ギリシャ国債の利回り推移、本年2月以降の格付け各社の動向、
・今後の注目点:市場の関心は、ギリシャの短期的な資金繰りから長期的な債務残高水準に移行。当面は混乱が続く可能性。但し、IMFやEUによる支援策が強化される可能性は高い。

 以上のレポートのベースになっているS&Pの格下げ情報に関しては、28日17時過ぎに日本語での格下げ情報を公表している。(原文は27日マドリッドから発信されたもの。)主なポイントは以下。
●経済成長の見通しが弱まっていることから、政府の選択肢は限られている。政府が既に財政再建策を打ち出しているにもかかわらず、高水準の公的債務負担に起因する財政リスクは強まっている。
●ギリシャの財政再建策は政府次第だが、労組等の抵抗が予想される。4月に税制改革法案を可決し、5月に年金改革法案が提出される予定。
●ギリシャの一般政府債務のGDP比は2010年124%、2011年131%に達する見通し
●S&Pの予想では、実質成長率が2009年~2016年までほぼ横ばい、名目GDPも2017年まで2008年水準に回復しない。
等など。

 日本でも格付機関規制が4月から実施され、格付情報の公表には相当配慮されていると思う。ただし、8年前のエンロン事件当時と比較し判断するのは、投資家自身による。

 
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公募投信という考え方 (4月5日)
公募投信とは、投信協会の定義によると、多数の投資家に取得させることを目的とした投資信託ということになっている。決して、誰でも買えるということではない。しかし、普通の感覚では、公募とは公に募集することで、公けとは投資家なら誰でもと考える方が一般的だ。
 何故、公募投信が誰でも買えないのだろうか。例えば、Aという公募のファンドがあって、そのファンドを運用する会社Bによって、Aファンドを募集したり取り扱ってもいい証券会社や金融機関を決めており、それ以外ではAファンドは取り扱えない。このことを投信の指定証券(販売)会社制度という。
何故この様な制度が出来たかというと、B運用会社の販売方針に沿って販売してもらう為には、B社自らが販売者を指定するというのが運用会社側の答えで、その事自体は理解できる。(指定証券会社制度は、販売会社と運用会社の系列関係を示すものではない。)

 しかし、運用会社が求める販売会社サイドの販売方針とは何だろう。

もっとも重要な問題は、Aファンドの内容をきっちと投資家に説明して販売することだが、証券会社(金融機関)の販売員は、金融商品販売のプロであっても運用のプロではないので、ファンド内容の説明は目論見書に限られる。確かに投信の説明は難しい。また、投資家には目論見書に書かれた内容でしか説明できない。
そうすると、運用会社が販売会社を選択する一の理由は、投信の目論見書内容をきちっと投資家に説明出来る販売員がいる会社ということになるのだろうか。
目論見書は運用会社自ら作成するものだが、その内容の理解・説明に関して、ある水準以上の能力が必要だという事ではないだろう。そもそも、目論見書は投資家が理解できる範囲で書かれるべきものなので、理解に特別な能力を求めてはならない。また、4月からは投信目論見書の簡素化も推進され、投資家に理解し易く投信間で比較も可能なように開示省令が改正されている。(運用会社による実際の対応は、7月からのようだ。)

 では販売会社を選別する理由は、ちゃんと売る事が出来る能力が必要で、その基準をクリアしなければダメということだろうか。投信を含め金融商品を一般の投資家に販売する際、第一種金融商品取引業者として金融商品取引法上の行為規制がかかるが、投信は説明が難しいので、何かそれ以上の制約が必要なのだろうか。本当にそうであれば、公募ではなく私募にするべきとも思うのだが。

 残った理由として考えられるのは、運用会社側の販売戦略の問題で、Cという証券会社やDという金融機関の販売専用のファンドを作って、CやDに対する運用会社としての商品供給を通じた営業支援したということなら企業としての意味はある。しかし、これは投資家には関係ないことだ。

 何故、この様な公募投信の事を長々書いたかというと、公募投信もそろそろ公募である事の意味を考えて、投信販売の改革に繋げる時期に差し掛かっているのではないか、と考えるからだ。
公募投信は、この2月末で3634銘柄あり、残高金額も78.5兆円に達していて順調に増加が続きている。これが、上記の様な運用会社サイドの指定証券会社制度を続ければ、投資家の利便性を著しく損なっていく可能性がある。つまり、投資したい投信を買う為に、自ら口座を持つ証券会社や販売会社が、そのファンドの指定証券会社でなければ、新たな口座開設を求められる。若しくは、証券会社に保有するファンドを別の証券会社に移管することが出来なく、解約せざるお得ない。この様な不便さは公募投信として解決していくべきではないだろうか。この業界は、もともと商品供給側の論理が強いが、そろそろ一般化した投信という商品から、投資家の利便性向上を目指した動きが強まっても良い。

 その兆しはあって、投信とほぼ同内容のETFが増加している。ETFなら株式と同様にどの証券会社でも基本的に購入することは出来るし、ペーパレスになっているので、他の証券会社への移管も容易だ。東証に上場されるETFは、まだ86銘柄だが、海外取引所に上場されるものは約2000銘柄あり、新興国にセクター別で投資するものもある。この海外ETFは、基本的に外国株の取次ぎと同様の仕組みとなる。最近、投信全般の情報は、情報ベンダーなどを通じて充実してきたが、売れ筋や投資家が選択したファンドと同様の投資効果があるETFの充実(投信の代替投資効果)は、現状の公募投信の仕組みを変えていくかも知れない。
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増加するETF (3月26日)
ETFは金融ビジネスとして急拡大している。世界全体では、銘柄数は2000銘柄、ETF投資資産総額が1兆ドルを超えているようだ。
昨年増加したのは、新興国へのセクター別の投資指数や、ハイイールド債投資を含む債券関連、商品投資関連だが、日本においても同様の動きが強まっている。今年、東証に上場されたものを見てみると、
・3月19日、エネルギー、産業用金属、農産物などに連動する14種類の商品ETFが上場
・2月24日、BRICsを含む新興国22カ国の株式市場をカバーした株価指数に連動する新興国株式ETFが上場
となっており、これで86銘柄と急増している。(昨年3月末は58銘柄、一昨年3月末は34銘柄)
また、4月以降ベトナム株指数に連動した海外ETFなども、日本で売り出されるようで、ドイツ銀行グループなどが日本でETFビジネスに本格参入することも伝えられ、東証上場のETF以外でも、海外ETFの取扱いを証券会社が本格化する兆しが出始めている。

 新興国投資、ハイイールド債、商品指数、海外REITなど、この1年投資信託の販売でテーマになったものは大概ETFでの投資が可能になってきている。但し、以前にも触れたが、投資信託は銀行等金融機関の窓販で購入することも出来るが、ETFは証券会社だけの取扱いになる。(※銀行が証券の仲介業を営めば、実質的に取り扱うことも可能)
ETF増加は世界的な傾向だが、確かに新興国の株式や債券に投資したくとも情報の収集と分析には相当の労力を要するので、一般的な個人投資家には難しい。そこでプロの運用者にお任せするのだが、投資信託の販売以上の問題として、アセットなどの運用会社が指定した証券・金融機関でなければ特定の投信を販売出来ない。Aという公募のファンドを購入したくとも、自分の証券口座のある証券・金融機関が、そのAファンドの指定証券会社でなければ、Aファンドの指定証券会社一覧から証券を選択して新たに口座を開設するか、Aファンドと似た様なファンドを探すしかない。結構な手間である。
そこで、Aファンドと同様の投資効果が期待できるETFがあれば、証券会社(リテール向け)ならどこでも購入することが出来る。これは、証券業界全体にとってはメリットである事に違いはない。欧米の取引所の様に、4~600以上のETFが上場されるようになれば、このメリットが現実になる。

その他、投資家にとってのメリットを考えると以下の様なこともある。
○ファンドに比べて、購入・維持費用が安い。(ETFは募集手数料の代わりに、株式と同等の委託手数料分、信託報酬の公募のファンドに比べて低い)
○基本的に信用取引も可能で、空売りやレバレッジ取引も出来る。
○購入・売却値段を自分で指定できる。(一定期間、指値をしておくことも可能)
○現物に投資するETFは、一定の投資規模になれば、現物と交換することも可能。
○取引時間中は、売買値段がリアルタイムで公表されている。

以上のメリットばかりではなく、東証ETF制度への問題点の指摘もされている。
●銘柄によっては出来高が極端に少なく、指数との乖離が目立つものが日本株業種別指数関連では増えている。出来高や残高の減少による上場廃止基準はなく、指数と連動比率が0.9以上なら上場は維持されるのが東証の現制度。流動性を付与するマーケットメーカーの規制やメリットが少ないとの指摘もある。

また、売買を仲介する証券会社にとっては取扱い易い金融商品である半面、既存の投資信託・外国債券・外国株式投資とのすみ分けや戦略も求められている。但し、新興国投資を始めとするグルーバル化、商品投資などの多様化に対応していく方法として、ETFを使いこなすことは、世界の潮流となってもいる。

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投信販売というビジネス (3月9日)
証券会社の収益で4割近く占めるようになった投資信託の販売。2月も好調の様で、投信情報会社のリッパーによると、国内追加型株式投資信託(ETFを除く)の純流出入額(設定額から解約額と償還額を引いたもの)6201億円の純増となって26ヵ月ぶりの高水準、12ヵ月連続の増加となっている。
 この投信販売において、証券会社にとっての売上げは、販売時の募集手数料と、販売後に顧客の投信を預かることで投信の運用会社からキックバックされる信託報酬の一部(概ね投資家が支払う信託報酬の半分)だ。最近の主要証券会社24社の昨年4月~12月までの決算状況において、この投信販売時の募集手数料に相当する“募集売出手数料”は、概ね倍になっているが、一方、信託報酬を受け取る“その他受入れ手数料”は、1~3割程度の減少になっている。
 つまり、証券会社においては投信販売は増加しているが、投信残高が減少しているのではないかということになって、次の2つの事が推測される。
①証券会社での投信販売において、投信の乗換えが相当数あるのではないか。
②投信はその残高が増加しているので、証券会社とは別の販売チャネル、つまり金融機関で投信の販売及びその残高が増加し続けている。

 投信の乗換えに関しては、過去に証券会社の手数料(募集手数料)稼ぎと批判されることもあったが、最近は投信といえども、投資家に販売した後の収益とリスクの管理を証券会社サイドがキチンと行うべきだと資産管理型の考えも強まって、1年ほど前の相場下落局面では、投信設定時より一定割合価格が上昇したら償還してしまう目標設定型が人気を集めた。また、金融株・海外REIT・新興国インフラ・海外ハイイールドボンドなど一定時期にその時のテーマを決めて販売活動を集中する手法も目立った。
しかし、顧客の意図しない投信乗換えは厳格に制限される必要がある。証券会社にとって、投信販売の王道は、地道に残高を積み上げることであり、安定収益としての信託報酬の一部のキックバックを積み上げていくべきだとの考え方も、この業界には根強くある。
 前者は野村、後者は大和、と其々の投信販売手法の違いをマスコミに取り上げられたこともあった。どちらが正しいか決めるのは、投資家自身の問題になる。

 一方、証券会社において投信の残高が増加していなければ、もう片方の主要な投信販売チャネルである金融機関で投信残高は増加しているはずだが、その9割近くが毎月分配型だと言われている。この金融機関の投信販売に関して、運用会社の日興アセットは “投信窓販白書2010”を2月に公表している。
昨年2月の発行に続くものだが、金融機関向け研修イベントでの250名の販売担当者・マネージャーを対象にアンケート調査を行ったものの分析が中心になる。詳しくは同白書をご覧いただきたいが、業界の人間として、とても興味深い内容もあるので、その一部を紹介しておきたい。

・リーマンショックによる相場下落は大変だったが、良い経験(販売担当者)
・上司が投信販売にあまり協力的でない。(金融機関にとって、サイドビジネス的に店内で見られることが多い)
・単一の通貨やテーマに集中する傾向
・上司に求められるものは、相場観ではなく投資観
・手数料の投資家への説明について、販売手数料は販売会社への相談料、信託報酬は運用会社への顧問料・販売会社のメンテナンス料・受託会社の保管料
・目論見書や資料の顧客への翻訳が、販売者の仕事
・分配金問題に関して、正しく整理しておく必要性

これらは、販売者向け研修内容の結果としても、一般に白書の形で公表していくのは、面白い取り組みである。投信販売の先達である証券会社にとっても、その内容を、自社の販売対応に照らしてみる必要があるのではないだろうか。  
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投信の目論見書改正の目的とは (2月17日)
投資信託の目論見書制度が、この4月から変わる。具体的に何か変わるかと言えば、現在40~60ページの交付目論見書が原則10ページ以内になって、記載内容も比較検討しやすいようになる。加えて、投資信託の有価証券届出書内容を記載した請求目論見書の方は、電子交付を促進する為に、メールや申込書以外に電話で申し込むことも可能になる。なんだ、それだけ手続きの話かと思われるかもしれないが、ひょっとしたら投資信託の売り方が変わるかもしれないと期待したい部分もある。
 そもそも現在の交付と請求に目論見書を分けたのは平成16年の改正によるが、目的はゆうに100ページを超える目論見書を、投資家にとって利用しやすくする為だった。これにより、以前より随分と記載内容は一般の投資家が理解しやすくなった。しかし、どう考えても一般の投資家が、積極的に交付目論見書利用しているようには思えない。

 目論見書とは何か。金融商品取引法によると、投資信託などの募集する運用会社は、募集の際して、まず目論見書を作成しなければならない。投資信託を販売する証券や銀行は、その投資信託を販売する際には、目論見書をあらかじめまたは同時に投資家に交付する義務がある。なんの為に交付するかというと、投資家が投資判断をする為であるが、投信の募集勧誘を受けている時に100ページ超の物を読んで、更に投資判断するというのは、プロでも難しい。それが40ページでも、スムーズに投資判断する投資家は限られる。では、目論見書は実際にどう使われているかというと、販売用資料などで一通り説明を投資家が受け、実質的に投資信託の購入が決まってから、若しくは契約締結前書面と一緒に渡されているケースが多いとの指摘がある。
 つまり、目論見書は投資家の投資判断の為の資料ではなく、販売会社の行為規制目的で投資家に交付されている実態が浮かび上がる。何も日本だけの話ではなかったが、近年米英とも目論見書利用に関しては、本来の目的である投資判断=特に投信は数が多いので比較検討できるように、そのルールが改正されている。

 今回の投信目論見書改正において、交付目論見書が10ページ以内に収まるよう新しい記載様式も開示の内閣府令では示されており、投信を比較検討し易いように具体的記載文案も、投信協会で準備されているという。

 今回の投信目論見書改正に対する、投資家側の評価は、金融庁における内閣府令改正に伴う意見交換会において、フォスターフォーラム(良質な金融商品を育てる会)より、以下の意見が示されている。(概略)
[今回の投信目論見書改正を評価出来る点]
・交付目論見書の新しい様式(25号様式・25号の2様式)が示されたことで、投資経験の浅い投資家にも読みやすくなると期待できる。
・表示方法が統一されることで、今まで難しかったファンド比較が容易になり、投資家の適切な商品選択が促進される。
・投信会社(外国投信においては管理会社)等の情報と運用実績の記載が義務付けられたことで、投信の事業者を、投資家が判断しやすくなった。
[更なる改正を期待する点]
・請求目論見書での一層の情報の充実
・投資家にとって分かり易い記載の具体的記載内容、特に投信会社や運用者情報に関するものも含めて
・運用報告書の見直しについても、投資家目線にたった改正が必要
としている。

 投資信託は、この業界における成長産業であり、ファンド数も増えれば、投信を組成する運用会社も、登録制になったこともあって増加している。販売の理想は、投資家が数多くの投資信託の中から選択し、同様のものと比較検討した上で、投資判断を行うことだ。
今回の投信目論見書改正により、一般の投資家に比較検討できるように分かり易く、かつ販売会社の行為規制対応と分離して、交付目論見書が投資家に、事前に配布される。先ずは投資家にとっては一歩前進というところだろうが、本当に投資家が比較検討する為には、交付目論見書が容易に入手できる仕組みも、また必要なのではないだろうか。
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個人のJ-REIT投資 (2月5日)
 J-REITの平均分配金利回りは、6%を超えているが、株式の1.7%(全銘柄平均配当利回り)や国債の1.3%台に比べると随分と高い利回りに思える。昨年、国内外のハイ・イールド債が個人に売れていたことを思うと、個人のJ-REIT保有が増加していても良いようおもうが、どうもそれ程の増加にはなっていない。
J-REITに占める個人の保有シェアは、10%を少し超えた程度で、海外投資家保有シェアの半分以下となっている。株式や債券などの有価証券投資に対する代替投資手段として、もっと個人のJ-REITが増加しても良いのだろうが、実際は個人のJ-REITは、低水準に留まっている。不動産証券化協会の“個人投資家に対するJ-REIT認知度調査(昨年12月末時点)によると、
・個人投資家の認知度として、J-REITの内容を知る割合は32.7%
・個人投資家の投資状況で、現在保有している割合は7.9%
・個人投資家の投資意向で、新規又は追加で投資を検討する割合は4.5%、投資に興味を持っている割合は11.1%
となっていて、一年前に比べると若干改善しているものの、大きな変化は起きていない。
 J-REITがスタートして10年目になるが、当初2割以上あった個人投資家の保有比率は、2005年後半からの海外投資家の活発な投資資金流入によって価格が上昇、個人投資家の利益確定売りで、保有比率を下げているとされている。この価格上昇があった時期の2006年、個人投資家はJ-REITを3000億円以上と大幅に売り越している。以上はJ-REIT全体の話であるが、個別銘柄毎には相当差があり、時価総額の規模が小さい銘柄や10%超の高分配金銘柄では、個人投資家の保有比率が2割を超えるものの銘柄数は増える。
ただし、年間を通じた売買状況でみると、やはり個人は殆どの年次で売り越している。

 この理由は、なんとなく推測できるが、一つの仮説としては、証券会社にとって、個人投資家のJ-REIT投資は、募集活動中心に行われているからなのだろう。つまり、J-REITは、上場時や増資の時は、個人に対して募集活動の中で販売されていくが、その後は利食いの対象となり、利回りをみて上場後市場から購入するという投資行動には、個人投資家の場合、なかなか大きな流れになり難い。
考えてみれば、当たり前のことかもしれない。証券会社の個人営業においては、株でも債券でも投信でも、募集時においては、募集活動という販売促進イベントのもとに集中して投資勧誘をするが、その後は、個人投資家の顧客自らの注文による売買が中心となる。つまり、J-REITの個人投資家比率を上げようとするなら、個人投資家の認知を上げて、高利回りという情報をひろめて、個人投資家がいつでも売買し易いアクセスポイントを増やさなければならない。例えば、郵便局の窓口で、本日のJ-REIT利回りと、現在の価格(東証の)が表示されていて、いつでも普通の個人が売買可能になれば、J-REITは個人投資家の代替投資商品に成長する。

 そもそもJ-REIT(Real Estate Investment Trust)とは、日本版不動産投信であり、それが上場されていつでも価格情報を入手して売買しやすいようにしたものだ。投信であれば、証券会社以外でも金融機関や郵便局で取り扱える。取引所への取次ぎは、取引所の直接参加者の証券会社に委託すれは、金融機関や郵便局も個人投資家のJ-REIT売買チャネルとなることが可能になる。現状は、まだまた個人にとっては募集中心のJ-REITだが、取扱いチャネル拡大による流通市場の整備は、J-REITそのものに拡大に大きく貢献する。
 このことは、J-REITだけでの問題ではない。

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ETF市場拡大?=上場投信としての意味 (1月25日)
 1月25日の日経では、投資信託のグロソブ(グローバル・ソブリン・オープン)とETFの上場インデックスファンド海外債券を比較する記事が掲載されていたが、どちらも海外債券と運用対象とする毎月分配型の投資信託である。この2つの商品は、運用スタンスは異なるが、昨年7月には三菱系の企業を運用対象とするETFが上場された際、ほぼ同時期に、同様に三菱系の企業を運用対象とする投資信託が募集されていた。2つの商品の運用対象とする企業名まで調べたが、ほぼ同一の企業であった。この三菱系企業に投資するETFと投資信託で、異なることを上げると、ETFは証券会社ならどこでも購入することは出来るが、投信信託なら運用会社が指定した証券・銀行でしか購入できない。よく考えると、どちらも同じ投資信託なのに。

 そもそもETFとは何か。ETFとは、"Exchange Traded Funds"の略称で、証券取引所(Exchange)で取引される(Traded)投資信託(Funds)のことで、株価指数や債券指数など、特定の指標への連動を目指すインデックスファンドと、QUICKマネーライフは説明している。(ETFのメリットは、左記若しくは東証のETFスクエアをご参照)一見、ETFの方が購入しやすそうだが、投資信託を取り扱っている銀行では、取り扱わない。正確に言うと、一部の銀行の窓口では、証券仲介業者として系列の証券会社へ取次ぐことは可能だが、取り扱うETFの銘柄はかなり限定されている。

 このETFは、個人金融資産を、貯蓄から投資へ導く道具立てとして期待されていて、東証では本年度内に100銘柄の上場を目指していた。事実、東証でのETF数は増加していて、2007年34銘柄→2008年58銘柄→2009年70銘柄(更に2月まで、2銘柄増加予定)となっている。(大証も、昨年は2銘柄増加して12銘柄となっている。)この数字は、アジアでは香港取引所の43銘柄、韓国取引所の50銘柄を抑えてナンバーワンとなっている。
ちなみに欧米の取引所の昨年末ETF上場数は、ニューヨーク取引所の1065銘柄、ドイツ取引所の547銘柄、ユーロネクスト(パリ)取引所の497銘柄、ロンドン取引所の370銘柄となっていて、ニューヨーク取引所が前年比3割銘柄数を減じた以外は、のきなみ2~3割ETF数が増加しているのが、世界の取引所のトレンドになっている。
東証のETF増加努力も頼もしく感じるが、ETF売買取引金額ベースを見ると少し事情が異なって見える。東証ETFの売買取引金額の総額ベースは、前年比で約2割近く減少しているが、前年比でロシア株指数連動ETFが5倍になった大証は、3割増加となっている。アジアの中で見ても、昨年1年間の取引金額総額(ドルベース換算)は、東証の204億ドル(大証は231億ドル)に対して、上海取引所の843億ドル、香港取引所の644億ドル、シンガポールの277億ドルに大きく見劣りしているのが現状だ。勿論、ニューヨーク取引所の4兆3711億ドル、ナスダックの1兆1183億ドル、ドイツ取引所の2028億ドルには遠く及ばない。

ETFに関していうと、日本はまだプライマリーマーケットが本格化しだしたところで、セカンダリーマーケット(流通市場)の整備は、これからというところなのだろう。
 ETF流通市場の問題に関しては、金融研究研修センターの昨年3月に公表されたレポートにおいて、以下の事が指摘されている。
・Indicatibe NAV(ETFが保有する株式等の時価推計値(欧米市場では、15秒毎に計算・公表))が利用されていない。【つまり、運用目標とする指数が、投資家にほぼリアルタイムで提供する仕組みがない】
・流動性義務を負ったマーケットメーカーが不在である。【上場の際に、証券会社を指定参加者として指定し、流動性付与の努力を求めるのが現状】
・ETFデリバティブ市場が、未発達である。
・ETFの保有資産での、現金部分の開示がされていない。

最近のファインアス状況を見ていると、日本の資本市場は、株式も債券(国債以外)も発行市場に偏ったマーケットに見えてきたが、せっかくのETFは、投資信託の上場市場であるとともに流通の場を提供するプライマリー・セカンダリー両輪の機能を有する。投信市場全体の拡大の為にも、流通市場としての機能整備に期待したい。せめて、金融機関の窓口において、ETFを不自由なく売買出来る仕組みがあっても良いと思う。
投資信託なのだから。
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未公開株勧誘とベンチャーファンド (1月21日)
  表題の2つのテーマは、直接的な関係はない。しかし、それぞれの問題が持つ基本的な構造で、共通していることがある。当然の事であろうが、それは両方とも未公開企業へ投資し、その企業がIPOを目指しているということだ。ここでハッキリさせておかなければいけない事は、あくまで、IPOを目指しているのであって、予定しているのではない。IPOが予定されているような企業の株式は、普通の投資家は原則入手できないし、仮に入手したとしてもルールにより上場後一定期間が経過するまで売却できない。

しかし、未公開株勧誘による投資家の被害は増加しているという。日本証券業協会の証券相談・あっせんセンターに寄せられた相談件数は、昨年4月から12月までのあいだに1,123件と前年比1.9倍になっている。
手口は、
・複数の業者が登場する「劇場型」
・消費者を安心させる「公的機関装い型」
・謝礼や高値買取を約束する「代理購入型」
・被害回復をうたって未公開株を購入させる「被害回復型」
などがあるようだが、未公開株の勧誘を行う仲介業者は、金融商品取引業者として登録しているかどうチャックすることも可能なので、最近は発行会社の自己募集という形をとるケースも増加しているようだ。
公開予定企業の自己募集そのものは、グーグルの株式公開時に行われたケースがあるが、日本の株式公開では使われた事例は、未だ無い。(グルーンシート市場での公開公募で行われる“拡大縁故募集”が、実質的に発行会社の自己募集に近い)

 一方、未公開企業への投資を行うベンチャーファンドの動向について、(財)ベンチャーエンタープライズセンターより2009年版報告書が公表されている。それによると、ベンチャー投資が余り拡大しておらず、逆に既に投資した分のEXIT(投資回収)に苦しんでいる姿が浮き彫りになっている。報告書のポイントは、以下。
・IPOが19社と、1978年来の低水準で、本年IPOも20~40社程度に留まるとの見通し
・ベンチャーキャピタル(ファンド)の2008年度(2009年3月末)の投融資残高は、9,494億円で前年比7.6%減。米国では、国内ベンチャー企業へ投資するベンチャーキャピタルの投融資残高は20兆円程度あり、欧米に比べてベンチャー投資が低水準なっている日本の状況は、変わらない。
・2008年度(2009年3月まで)の年間投融資も、1,366億円と前年比29%減。2009年度は、1000億円を切る公算が大きいと報道されている。
・EXITでの株式公開の割合が、前年までの3~4割程度から1割を切っていて、償却・清算等が3割まで増加している。

 以上の2つのことは、直接は関係ない。又、資本市場に関する個人の興味を逆手に取ったような詐欺行為は許されない。しかし、国民の中に、未公開企業の成長力に対する何らかの期待があるなら、それを投資行動へ結びつける努力をするのは、業界の責任ではないだろうか。ただし、ベンチャー企業への投資はプロでも難しい。投資企業数の1~2割と言われる株式公開は、ベンチャー投資の成功の対価だろうが、同程度の破綻企業があるのも現実である。一般の個人投資家は、多くのベンチャー企業に分散投資しているベンチャーファンドを通じて投資を行うのが常道にも思う。ベンチャー投資へのリスクを負う個人投資家へのエンジェル税制も拡大してきているが、個人向けベンチャーファンドの充実や優遇税制の周知など、業界で取り組むべき事は多い。
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不動産投資EXITとしてのREIT (12月8日)
最近の増資ラッシュに巻き込まれて、J-REIT指数も9月始めまでの1000台乗せから、2割近く下げて11月27日には、814.88まで下落した。12月に入って、日経平均の反発とともに、J-REIT指数も900台を回復していて、平均分配金利回りは6.4%(時価総額加重平均)となっている。
 REIT指数の本格回復は、6月後半に、官民ファンド立上げで不安視されていたJ-REITが発行する社債の償還資金に目途がついたことや、REIT自身の統合に向けた法制度整備がなされたことが契機になった。実際にREIT統合は、来年の4月始めまで含めると現在の42法人(うち1社非上場)が、4社統合されて、38社になる(資産規模7兆7128億円)。最近の投資口の新規募集(株式の時価発行に相当)も4社で620億円程度なので、市場からの過去調達実績(2007年7144億円、2006年1兆5144億円、新規公開分も含む)からみて、それ程供給圧迫感があるとも思えない水準だ。
 不動産市場から、その最終的買い手(EXIT)として期待が強いJ-REITだが、投資家からはどの様に見られているのだろうか。住信基礎研究所が9月末時点で実施した、年金基金の不動産投資に関する実態調査では、以下の様なREIT対する投資姿勢となっている。

【REIT投資を開始・増加させたい理由】
・現在のREIT価格が割安な水準である為・・・38%
・オルタナティブ投資としてのアロケーションを増加させたい・・・24%
最近のREITの値動きは、株が下がれば、それ以上に下げ、株が上げればそれ以上に上げる傾向があり、株式投資の代替機能が見難い。むしろ、株式投資とは逆相関傾向にある国内債券投資の代替投資としての機能はあるのだろう。
・REIT市場が、今後安定するとみている・・・20%

【REIT投資を開始・増加させたい理由】
・価格変動が大きい・・・40%
・市場規模が小さい・・・7%
確かに、J-REITのボラティリティ(価格変動率)は異常に大きくなっていて、不動産証券化協会に調査によると、最近の国内株式のボラティリティー18%程度(60営業日ローリングでの日次リターンの標準偏差)であるが、J-REITは25%程度で再び上昇傾向にある。株よりボラティリティーが高い状況は、この3年以上続いていて、本来は利回りを狙う投資商品だが、株より高いというのは、市場規模が小さいことに繋がる。
・まだ価格下落がある・・・23%
J-REITが保有する不動産は、千代田区など東京都心のものが44%、その他東京を含めると61%が東京圏(関東圏まで含めると、78%)となっている。つまり東京都心のオフィスの賃料動向が、REITの予想配当利回りに影響を与える。賃料動向は、現在の不況に影響されて下落しているが、不動産業界では、東京都心オフィスの下落調整は、最近の調査では最終局面(不動産投資家の想定する期待利回りの上昇=キャップレートが、そろそろ止まりそう)に入ったと見られているようだ。

 一方、個人投資家の方は、海外REITへの投資を強める傾向が再び活発になってきているようだが、ある運用会社の資料には、海外REIT市場への投資に関して、以下の点をアピールしている。
・世界経済の回復が、REITの追い風
・世界的な金利低下によるメリット
・各国の景気対策が追い風に
・過去、景気回復に先駆けて回復した米国REIT指数
・米国REITの資金調達環境は改善傾向へ
何だか、米国REITの宣伝になってしまったが、海外REITの6割以上が米国なので、この動向がREIT全体を左右する。しかし、自国債との利回り差は、日米でそれ程変わらない。

 日本のREIT投資には、人口減少の影が付きまとっているのだろうか。それとも、景気対策に対する不安感なのだろうか。投資シナリオ作りは、業界の仕事だと思うのだが。
 
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投信の販売について  (12月4日)
リテール証券会社にとって、投信の販売動向が収益を左右するようになってしまい、もはや証券会社(個人にとっての)は、株を取り扱う会社から、投信を販売する会社へ変わっている。
 日本で組成される投資信託は、この3月末から10月末を見ても、順調に拡大していて、銘柄数で240銘柄増加の6146銘柄、残高も3兆5017億円増加の109兆947億円(株式保管振替機