株式会社資本市場研究所きずな設立趣意書
平成21年3月6日 渡辺雅之
私たちは、永年証券業界において、我が国の資本市場に関係した仕事をしてきた。
1980年からの資本取引の原則自由化で、オイル・マネーと騒がれ始めた時期に、この業界で仕事を 始め、1985年のプラザ合意からの円高局面でも、我が国からの大量の外債投資に対するヘッジのド ル売りに遭遇する現場にもいた。
その後、資本市場において、何度かのIPOブームと、時価発行増資の増加・CB市場の隆盛、そして、 この後の調整相場の山と谷を、何度も経験した。
1996年末からの金融ビックバンで、リテールなどの販売部門で、新規参入が相次つぐ一方、資本市 場においては、複数の新興市場のスタート、ファンドビジネスの活発化、資産やビジネスの証券化など、 我が国においても、その機能が拡大した。 資本市場は、金融市場とのリンケージを強める動きが活発化し、日本においても“金融立国”という 言葉が語られ、金融・資本市場競争力強化プランが策定されたのは、2007年12月であった。
この様に、機能は多様化し拡大してきた資本市場であったが、この市場に携わって仕事をしていた 私たちは、同時に矛盾を感じていた。 それは、ファイナンス・IPO・証券化・M&A等資本市場の機能を使える企業が、大企業に限られてい たこと、また、この資本市場を使った業務を遂行する機能が、大手投資銀行にしか備わっていないと、 業界内で、思われていたことについてである。
本来、資本市場の機能が拡大していけば、裾野の拡大で、その利用のメリットも大企業から中小企 業まで広がるはずである。確かに、新興市場のブームにより、ある特定業種では、中小企業が、株式 を公開した時期もあった。しかし、実際は、中小企業による資本市場の利用は、難しい。 規制されている訳ではなく、これを仲介する業者のコストの問題である。つまり、案件が小さいと、見 込める収益も小さいので、資本市場の仲介機能を持つ大手の投資銀行が、手掛けないからである。 我が国の資本市場においては、誰が主役なのであろうか。少なくとも、仲介者である投資銀行では ない。日本社会にとって役立つリスクマネーの提供の場である資本市場であるなら、主役は、その調 達を行う企業であるべきだ。
金融のアンバンドリングが進み、IT技術がこれほど発達した中にあって、資本市場への仲介機能が、 大手金融機関で安住していては、資本市場の真の発達はない。 幸いにして、昨年来の金融危機で、米国型投資銀行が殆どなくなり、またその人材も、多数流出して いる現状がある。 この人材達が、専門家集団として、案件ごとに協力し又協働して機能する仕組みがあれば、中堅・中 小の金融機関も、彼等の顧客たる中堅・中小企業を資本市場へと誘うことができる。
日本にも、欧米の様に、それぞれの専門分野に特化したブティック型投資銀行の成長があって良い はずである。 その資本市場の専門家達が、独立して活躍できる仕組みを、作り込んでいくために、私たちは、この 会社の設立を決意した。 始めは、資本市場に関する情報を共有していくネットワーク作りであり、その為の金融機関に対する 業務コンサルティングからである。
【企業としての理念】
私たちは、家族や共に仕事をする仲間との絆を大切にします。
私たちは、社会との絆を大切にします。
私たちは、お客様である企業との絆を大切にします。
【社名の由来】
資本市場研究所きずな、としたのは、資本市場に関する情報や知識を共有する仕組み・ネット ワークのハブになることを目指すため。 きずなは、ディール毎の関係ではなく、持続した関係の構築を一緒に働く仲間や顧客との関係 で目指すことを表す。 英文名:Financial Markets R&D KIZUNA は、資本市場が金融市場と重なってきた部分も増えたので、それに対応したいという思いと、 R&Dで、調査・研究だけではなく、新金融商品の開発にも対応する、という意欲を入れたもの。
以上.